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2024年2月25日 (日)

観劇感想精選(456) 三谷幸喜 作・演出「オデッサ」

2024年2月3日 大阪の森ノ宮ピロティホールにて観劇

午後5時30分から、大阪の森ノ宮ピロティホールで、三谷幸喜の作・演出作品「オデッサ」を観る。出演:柿澤勇人、宮澤エマ、迫田孝也。音楽・演奏:荻野清子。
オデッサといえば、今ではオデーサ表記が一般的となったウクライナの黒海沿いの都市が有名だが、今回舞台となるのはアメリカはテキサス州の小都市・オデッサである。かつてロシア系の移民が開拓を行った時にオデッサに似ているというのでその名が付いたようである。以前には石油の産地として栄えたこともあったようだが、現在は寂れて、人口も10万人程度となっている。そんなオデッサで殺人事件がある。もともとテキサス州では女性ばかり8人連続で殺害されるという事件が起こっていたのだが、今回はそれとは別の老人殺しの事件で、被疑者は日本人。オデッサ署の日系アメリカ人女性警官カチンスキー警部(宮澤エマ)、通訳を務めることになったトレーナーの日高(柿澤勇人)、鹿児島出身の被疑者である児島(迫田孝也)によるダイナー(8人殺しの取り調べにより取調室が満員で、ダイナーを使う羽目になっている)における密室でのやり取りが続く。

宮澤エマと柿澤勇人は英語が話せて互いの意思疎通が可能という役なので、二人だけの時は日本語で会話が行われ、迫田が入り、柿澤が宮澤と英語でやり取りを行う場面では、背後に日本語の字幕が出る。柿澤と迫田は共に鹿児島県出身という設定なので、二人で話すときは薩摩弁が用いられる。カーテンコールでの字幕紹介でも迫田には「鹿児島弁指導」、宮澤エマには「英語監修」の肩書きが記されていた。

迫田演じる旅行者はやたらと有罪になりたがるのだが、これには訳がある。柿澤演じるスティーブこと日高は、同郷のよしみからか児島を無罪へと無闇に誘導したがる。途中まではその方向性で進んでいくのだが、迫田演じる旅行者がふと口にした一言で、それまでの取り調べの過程が一気にひっくり返ることになる。

言語を題材にしたミステリーで、言語による落差やそれぞれの立場、日本人の性質や銃社会アメリカの問題などが描かれており、コミカルな中にもアメリカ社会のシリアスな面が浮かび上がるようになっている。

2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に出演していた3人によるアンサンブル。完璧とまではいかなかったが、それぞれの持ち味を発揮した生き生きとした演技を行っていたように思う。

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