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2024年2月 2日 (金)

これまでに観た映画より(319) 「PERFECT DAYS」

2024年1月17日 京都シネマにて

京都シネマで、ヴィム・ヴェンダース監督作品「PERFECT DAYS」を観る。主演の役所広司がカンヌ映画祭で最優秀男優賞を受賞した作品。出演は役所広司のほかに、田中泯、中野有紗、柄本時生、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、三浦友和ほか。

平山(役所広司)は、渋谷区の公衆トイレ(デザイナーズトイレ)の清掃員をしている。朝早く起き、身支度を整え、自宅アパート前の自動販売機で缶コーヒーを買い、運転する車の中で洋楽のカセットテープを流し、いくつものトイレを丹念に磨く日々。仕事帰りには銭湯に入り、浅草の地下で食を味わい、浅草の居酒屋で一杯やる。仕事から帰ってからは自転車で移動し、古本屋に立ち寄って本を買い、夜にはその本を読むという毎日。
昼食は神社の境内でサンドウィッチを食べ、同じく境内で食事をしているOLと挨拶をする。無口で不器用な男である。

仕事の部下というか同僚であるタカシ(柄本時生)がアイという女性(アオイヤマダ)と恋仲になる。アイが働くガールズバーでデートをしたいタカシは金がないことを嘆き、平山はタカシに金を貸すのだが、やがてタカシは仕事を辞めてしまい……。

一方、平山の姪(妹の娘)であるニコ(中野有紗)が、母親(麻生祐未)と喧嘩をして平山のアパートを訪ねてくる。

淡々とした日常の中に起こるちょっとした出来事が丁寧に描かれているという印象を受ける作品。平山の日常はほとんど毎日変わらないのだが、周囲の人々が少しずつ変わっていく。仕事を辞めたタカシ、突然訪ねてくるニコ、浅草の居酒屋のママ(石川さゆり)の元夫で癌を患っている友山(三浦友和)。平山の周囲を様々な人々が駆け抜けていく。そんな些細な日常の変化を上手く捉えた作品といっていいだろう。決して派手な映画ではなく、むしろ地味な作品に分類されると思われるが、ラストで説明される木漏れ日のようにたゆたう日常が不思議な浮遊感を伴って観る者の胸をとらえる。

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