コンサートの記(832) 井上道義指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団第575回定期演奏会
2024年2月9日 大阪・中之島のフェスティバルホールにて
午後7時から、大阪・中之島のフェスティバルホールで、大阪フィルハーモニー交響楽団の第575回定期演奏会を聴く。今日の指揮者は、2024年12月30日をもって指揮活動からの引退を表明している井上道義。
曲目は、ヨハン・シュトラウスⅡ世のポルカ「クラップフェンの森で」、ショスタコーヴィチのステージ・オーケストラのための組曲より5曲、ショスタコーヴィチの交響曲第13番「バビ・ヤール」(バス独唱:アレクセイ・ティホミーロフ、男声合唱:オルフェイ・ドレンガー)。今日のコンサートマスターは崔文洙。
前半の2曲は指揮台を用いないでの指揮である。
大フィルがウィンナワルツやポルカをやると重心が低めになる傾向があるが、「クラップフェンの森で」も弦楽は重めの響きを奏でていた。
ショスタコーヴィチのステージ・オーケストラのための組曲より5曲。ショスタコーヴィチを十八番としている井上道義。今日も大フィルから鋭い響きや渋さのある輝かしい音を引き出して好演を聴かせる。
ショスタコーヴィチの交響曲第13番「バビ・ヤール」。1941年にナチスドイツがウクライナのキーウ(キエフ)郊外のバビ・ヤールでユダヤ人の虐殺を行ったことを題材にした作品である。字幕付きでの上演(テキスト日本語訳:一柳富美子)。実際にはバビ・ヤールではユダヤ人のみならずロシア人やウクライナ人など多くの人種が虐殺されている。
オルフェイ・ドレンガーは、スウェーデンの男声合唱団。アルヴェーンやエリック・エリクソンなどの指導を受けてきた名門合唱団である。
大フィルの音の密度は濃く、威力がある。ただ決してうるさくはならず、常に音楽的である。
オルフェイ・ドレンガーの合唱もアレクセイ・ティホミーロフの独唱も雄弁であり、迫力ある音楽を生み出していた。
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