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2024年3月22日 (金)

コンサートの記(835) 小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXX モーツァルト 歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」@ロームシアター京都

2024年3月17日 左京区岡崎のロームシアター京都メインホールにて

午後3時から、左京区岡崎のロームシアター京都メインホールで、小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXX モーツァルトの歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」を観る。1969年、ザルツブルク音楽祭において若き日の小澤征爾が師であるヘルベルト・フォン・カラヤンの勧めで、初めて本格的に指揮したオペラがこの「コジ・ファン・トゥッテ」である。
小澤征爾逝去後初となる小澤征爾音楽塾のオペラ公演。上演前には小澤征爾追悼としてモーツァルトのディヴェルティメント K.136より第2楽章が演奏された。

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演奏は小澤征爾音楽塾オーケストラ、合唱は小澤征爾音楽塾合唱団。いずれも日本を始め、中国や韓国でも行われたオーディションを突破した若手音楽家によって結成されている。
指揮は小澤征爾音楽塾首席指揮者で、ベネズエラのエル・システマ出身のディエゴ・マテウス。演出はデイヴィッド・ニース。チェンバロはキリル・クズミンが担当する。
なお、今回は小澤征爾の肩書きは音楽監督になっているが、来年の予告チラシを見ると、永久音楽監督の称号が与えられることが分かる。

出演は、サマンサ・クラーク(フィオルディリージ)、リハブ・シャイエブ(ドラベッラ)、ピエトロ・アダイーニ(フェランド)、アレッシオ・アルドゥイーニ(グリエルモ)、バルバラ・フリットリ(デスピーナ)、ロッド・ギルフリー(ドン・アルフォンソ)。


ナポリが舞台の作品ということで、背景にはベスビオ火山が描かれたものもある。
女の貞淑さについて賭けを行うという作品なのだが、「不謹慎にもほどがある!」ということで長らく上演されなかった時期もあるという「コジ・ファン・トゥッテ」。モーツァルトがロレンツォ・ダ・ポンテと組んで作り上げた3つめにして最後の作品である。モーツァルトの三大オペラは、「フィガロの結婚」、「ドン・ジョヴァンニ」(いずれも台本はダ・ポンテ)、「魔笛」(台本はシカネーダー)であるが、「コジ・ファン・トゥッテ」も含めて四大オペラとされることもある。

グリエルモとフェランドは、恋人の心を確かめるために、兵隊に行く振りをして、フィオルディリージとドラベッラの前から去り、アルバニア人に変装して再登場。フィオルディリージの恋人であるグリエルモはドラベッラを、ドラベッラの恋人であるフェランドはフィオルディリージを誘惑。しかし二人の女性は相手を拒否。貞淑さに賭けていた二人は勝利を確信するが、ドン・アルフォンソは誘惑を続けるよう命じる。


揺れる女心を描くと同時に、男のいい加減さ、人間の弱さ、女の自由、生きる意味などを問うた作品である。有名なアリアなどはないが、重唱が多く、厚みのある音楽が特徴となっている。

ノンタクトで振るマテウス指揮する小澤征爾音楽塾オーケストラは、ピリオドを援用した鋭くも典雅でメリハリの利いた演奏を展開。音の輝きや活きの良さなども十分であった。
恋人役の4人の歌手も好演。トリッキーな役である女中のデスピーナを演じたバルバラ・フリットリも様になっていた。

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