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2024年3月13日 (水)

観劇感想精選(457) 令和六年 京都四條南座「三月花形歌舞伎」桜プログラム(令和六年三月三日)

2024年3月3日 京都四條南座にて

午後3時30分から、京都四條南座で「三月花形歌舞伎」桜プログラムを観る。演目は、「女殺油地獄」、「忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの) 将門」。

平成生まれの若手歌舞伎俳優が腕を競い合う南座の「三月花形歌舞伎」。今回は、中村壱太郎(成駒家)、尾上右近(音羽屋)、中村隼人(萬屋)の3人が中心となる。というより目玉がこの3人しかいない。

まず中村壱太郎による口上がある。壱太郎は、「女殺油地獄」のお吉の格好をして1階席後方から登場。ユーモラスな語り口である。「遠くから来られた方」と客席に聞くと、「千葉」と答えたお客さんがいた。千葉なら歌舞伎座も新橋演舞場も近いはずだが、それよりも若手の歌舞伎俳優のファンなのだろう。
その後、階段を昇って舞台に上がった壱太郎。看板になる役者が3人しかいないので大変だという話をした後で、作品の解説を行い、最後は南座のゆるキャラである「みなみーな」と一緒に記念撮影の時間を設ける。壱太郎は子どもたちにも手を振り、「楽しんでいって下さい。凄惨な話ですけど」と述べていた。


今年は近松門左衛門没後300年ということで、「女殺油地獄」の他に、松プログラムでは「心中天網島」より「河庄」が上演される。

「女殺油地獄」。与兵衛を当たり役としてきた片岡仁左衛門の監修による上演である。
どら息子の与兵衛(中村隼人)は、新地で馴染みの芸者である小菊を誘ったものの断られ、その小菊が野崎参りに来るというので、先回りしようとやって来ていた。野崎観音参りには油屋の豊嶋七左衛門(尾上右近)の女房であるお吉(中村壱太郎)も娘と一緒に来ており、茶屋で夫がやって来るのを待っていた。日頃から与兵衛のことを弟のように可愛がっていたお吉は、与兵衛に意見するが、与兵衛は全く聞き入れず、小菊の取り巻きとの喧嘩が始まってしまう。そんな中で、与兵衛は通りかかった高槻藩の小姓組頭である小栗八弥に泥をかけてしまう。八弥一行の中には与兵衛の親戚である山本森右衛門がおり、森右衛門は与兵衛の無礼に怒り、その場で切り捨てようとする。なんとかことは収まり、与兵衛は茶店の中で着替えることになり、お吉も同伴する。やって来た七左衛門は二人の仲を怪しむことになる。
家に帰った与兵衛であるが、ここでも乱暴を働き、義理の父親である徳兵衛と実母のおさわから勘当を言い渡されてしまう。
実は明朝までに返す必要のある借金をこさえていた与兵衛。しかし勘当されたとあっては返す見込みもない。与兵衛の足は油屋豊嶋屋へと向かう……。

与兵衛とお吉の関係を縦糸に、徳兵衛とおさわの人情を横糸とした世話物であるが、実は江戸時代を通して初演時以外は上演されず、明治に入ってから坪内逍遙の評価によって注目を浴び、明治も後年になってから常連演目となり、今では非常に人気のある作品となっている。

人気女形の中村壱太郎であるが、可憐な身のこなしに加えて発声を少し変えたようで、リアルなお吉像を作り上げていた。
中村隼人の立ち回りも素早く、絵になっていた。


「忍夜恋曲者 将門」。承平・天慶の乱で「新皇」に即位し、板東で都に背いた平将門の相馬の古内裏が舞台。将門の娘である滝夜叉姫(壱太郎)が傾城如月に化けて花道から現れ、舞う。相馬の古内裏には、将門の残党狩りを命じられてきた大宅太郎光圀(尾上右近)が現れ、蟇の妖術を使う者が現れるというので見張っているが、まどろんでしまう。そこに如月が姿を見せ、光圀は如月を怪しむ。
その後に語らう光圀と如月であったが、如月が相馬錦の将門の旗を落としたために光圀は如月の正体を将門の娘と見抜き、部下と共に滝夜叉姫と対峙することになる。

壱太郎、右近共に若々しく艶のある舞姿が印象的であった。

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