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2024年8月19日 (月)

Eテレ「クラシック音楽館」2024年8月11日 沖澤のどか指揮 NHK交響楽団第2014回定期演奏会ほか

Eテレ「クラシック音楽館」。今日は京都市交響楽団第14代常任指揮者である沖澤のどかがNHK交響楽団に初客演した第2014回定期演奏会の模様を送る。今年の6月14日、東京・渋谷のNHKホールでの収録。

イベールの「寄港地」、ラヴェルの左手のためのピアノ協奏曲(ピアノ独奏:デニス・コジュヒン)、ドビュッシーの「夜想曲」(女声合唱:東京混声合唱団)というオール・フレンチ・プログラム。沖澤は京響でもオール・フレンチ・プログラムの定期演奏会を行っているが、フランスものには自信があるようである。今まで何度か実演に接しているが、情熱バリバリ系では全くなく、知的コントロール系なのでフランス音楽は合っているだろう。

以前はドイツもの一辺倒だったN響だが、シャルル・デュトワを常任指揮者・音楽監督・名誉音楽監督として据え、フランスものも得意なパーヴォ・ヤルヴィを首席指揮者(現在は名誉指揮者)に招いたことで、音のパレットがどんどん広がっている。


イベールの「寄港地」は、京響の定期演奏会でも取り上げている沖澤だが、色彩感の豊かさや音の濃さ、エキゾチシズムなどをN響からも引き出している。


ラヴェルの左手のためのピアノ協奏曲。ピアノ独奏のデニス・コジュヒンは1986年生まれのロシアのピアニスト。2010年にベルギーのエリザベート王妃国際音楽コンクール・ピアノ部門で優勝している。コジュヒンは重厚且つ力強い演奏を展開。沖澤指揮のN響は気品ある伴奏を展開する。

アンコール演奏は、チャイコフスキーの「子どものアルバム」から「教会で」。短く、音の冷ややかさが印象的な曲と演奏である。


ドビュッシーの「夜想曲」。この6月には、カーチュン・ウォン指揮日本フィルハーモニー管弦楽団も東京音楽大学の女声合唱で取り上げている。「夜想曲」が同一都市で同じ月に2度取り上げられるというは珍しい。しかも両方とも女声合唱を伴う第3曲「シレーヌ」をカットしないでの演奏である。
東京混声合唱団は、舞台下手端、オーケストラの最後列の後ろに陣取る。

カーチュンと日フィルの「夜想曲」は、シャープで音の色彩鮮やかといった印象だったが、沖澤とN響の「夜想曲」は丁寧さエレガントさが目立つ。カーチュンがドビュッシーの才気に、沖澤がドビュッシーの「粋」に焦点を当てているようでもある。音色もN響の方がソリッドな印象を受けるが、実演とテレビ放送なので単純に比較は出来ない。


続いて、京都コンサートホール小ホール「アンサンブルホールムラタ」で行われたヴォーチェ弦楽四重奏団によるドビュッシーの弦楽四重奏曲(テロップが弦楽四重奏団と誤植されたままであった)とバルメールの「風に舞う断章」より第3曲。

ドビュッシーの「夜想曲」と弦楽四重奏曲は、いずれも坂本龍一が生前最も愛した曲であり、続けて聴くことになる。ヴォーチェ弦楽四重奏団はフランスのアンサンブルということで切れ味鋭く解像度の高い演奏を行うという印象。
バルメールの「風に舞う断章」より第3曲演奏終了後には作曲者がステージ上に姿を現し、拍手を受けた。

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