コンサートの記(856) 加藤訓子 プロデュース STEVE REICH PROJECT 「kuniko plays reich Ⅱ/DRUMMING LIVE」@ロームシアター京都サウスホール
2024年8月25日 左京区岡崎のロームシアター京都サウスホールにて
午後5時から、左京区岡崎のロームシアター京都サウスホールで、加藤訓子プロデュース STEVE REICH PROJECT 「kuniko plays reich Ⅱ/DRUMMING LIVE」を聴く。
全曲を現代を代表するアメリカのミニマル・ミュージックの作曲家、スティーヴ・ライヒの作品で固めたプロジェクト。ライヒと共演を重ねている打楽器奏者の加藤訓子(かとう・くにこ)が、自身のソロと若い奏者達との共演により、ライヒ作品を奏でていく。
曲目は、前半の「kuniko plays reich Ⅱ」(編曲&ソロパフォーマンス:加藤訓子+録音)が、「フォーオルガンズ」、「ナゴヤマリンバ」、「ピアノフェイズ」(ビブラフォン版)、「ニューヨークカウンターポイント」(マリンバ版)。後半の「DRUMING LIVE」が、「ドラミング」全曲。
開演前と休憩時間にロビーコンサートが行われ、開演前はハンドクラップによる「Clapping Music」の演奏が、休憩時間にはパーカッションによる「木片の音楽」の演奏が行われた。日本でのクラシックのコンサートでは、体を動かしながら聴くのはよろしくないということで(外国人はノリノリで聴いている人も多い)リズムを取ったりは出来ないのだが、ロビーコンサートはおまけということでそうした制約もないので、手や足でリズムを取りながら聴いている人も多い。ミニマル・ミュージックの場合、リズムが肝になることが多いため、体を動かしながら聴いた方が心地良い。
まず、スティーヴ・ライヒによる日本の聴衆に向けたビデオメッセージが流れる。1991年に初来日し、東京・渋谷のBunkamuraでの自身の作品の上演に立ち会ったこと、1996年に再来日した時の彩の国さいたま芸術劇場やBunkamuraでの再度の公演の思い出を語り、「日本に行きたい気持ちは強いのですが、1991年の時のように若くはありません」と高齢を理由に長距離移動を諦めなければならないことなどを述べた。
「kuniko plays reich Ⅱ」。第1曲目の「フォーオルガンズ」では、録音されたオルガンの音が流れる中、加藤がひたすらマラカスを振り続ける。この上演に関しては音楽性よりも体力がものを言うように思われる。
その後は、マリンバやビブラフォンを演奏。ちなみに木琴(シロフォン)とマリンバは似ているが、マリンバは広義的には木琴に属するものの、歴史や発展経緯などが異なっている。シロフォンがヨーロッパで発展したのに対し、マリンバはアフリカで生まれ、南米で普及している。日本ではオーケストラではシロフォンが用いられることの方が多いが、ソロではマリンバの方が圧倒的に人気で、日本木琴協会に登録している演奏家のほとんどがマリンバ奏者となったため、協会自体が日本マリンバ協会に名称を改めている。
ミニマル・ミュージックならではの高揚感が心地よい。
後半、「DRUMING LIVE」。「ドラミング」を演奏するのは、青柳はる夏、戸崎可梨、篠崎陽子、齋藤綾乃、西崎彩衣、古屋千尋、細野幸一、三神絵里子、横内奏(以上、パーカッション)、丸山里佳(ヴォーカル)、菊池奏絵(ピッコロ)、加藤訓子。
4人のパーカッション奏者が威勢良くドラムを奏で、しばらくしてからマリンバやビブラフォン、ヴォーカル、ピッコロなどが加わる。
リズミカルで高揚感があり、パワフルなドラムと、マリンバやビブラフォン、ヴォーカルやピッコロの神秘性が一体となった爽快で洗練された音楽が紡がれていく。音型が少しずつ形を変えながら繰り返されていく様は、聴く者をトランス状態へと導いていく。
偶然だが、久保田利伸の「You were mine」のイントロによく似たリズムが出てくるのも面白かった。
演奏修了後に、歓声が響くなど、演奏は大成功であった。
その後、カーテンコールに応えて、奏者達がハンドクラップを始める。聴衆もそれに乗り、一体感を生むラストとなった。
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