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2024年9月13日 (金)

「おとなのEテレタイムマシン」 ヴァーツラフ・ノイマン指揮 NHK交響楽団第1005回定期演奏会 スメタナ 連作交響詩「わが祖国」より「高い城」「モルダウ」「ブラニーク」

2024年8月31日

録画してまだ見ていなかった「おとなのEテレタイムマシン」N響第1005回定期公演の模様を見る。指揮はチェコの名匠、ヴァーツラフ・ノイマン。スメタナの連作交響詩「わが祖国」より、第1曲「高い城」(だから「他界しろ」じゃないって)、第2曲「モルダウ」、第6曲「ブラニーク」が放送される。おそらく「わが祖国」全曲演奏からの抜粋である。
1986年11月3日、東京・渋谷のNHKホールでの収録。
コンサートマスターは徳永二男。フルート首席の小出さん、オーボエ首席の北島さんなど懐かしい顔ぶれも見える。

長年に渡ってチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者・常任指揮者として活躍したヴァーツラフ・ノイマン(1920-1995)。当時、世界的な名声を得ていたラファエル・クーベリックがチェコの共産化を嫌ってチェコを離れた後、チェコ楽壇を牽引し続けた。N響との共演も多かったが、当時は「凡庸」との評価も多かった。
非常にジェントルな風貌で、音楽も外見に相応しい洗練されたものである。チェコ人は「ビロード」という言葉を好んで使うが、ノイマンはまさにビロードの響きをN響から引き出している。N響の演奏力も長足の進歩を遂げているため、私が学生定期会員をしてた1990年代後半の演奏でも、今から見ると「あれ、N響ってこんなに下手だったっけ?」と思うことが多いのだが、ノイマンの指揮するN響はかなりの好演を見せている。

チェコには同時期に、同じヴァーツラフをファーストネームとする指揮者がいた。ヴァーツラフ・スメターチェクである。スメターチェクの方が大分年上である。スメターチェクは「チェコのカラヤン」と呼ばれており、「録音数が多いから」というのがその理由とされたが、彼の死後になっても公になった録音点数は余り多くないため、実力面での評価だったのかも知れない。
当時、チェコ(当時はチェコスロヴァキア)は共産圏であり、「共産圏では実力よりも政治力がものを言う」「音楽性ではスメターチェクの方が上だが、ノイマンには政治力がある」とまことしやかな話が流れていたが真相は不明である。

ノイマンはお国もの演奏、録音が多かったが、最晩年にキャニオン・クラシックスにマーラーの交響曲などを録音。熱い名演で、これが大評判となり、従来の「凡庸」との評価は覆ることとなった。大物音楽評論家の宇野功芳は、スメターチェクを絶賛する一方で、ノイマンに対しては厳しい見方をしていたが、キャニオン・クラシックスに録音したマーラーの演奏に関しては一転して最上級の評価を与えていた。

ちなみに私が最もよく聴いたスメタナの「わが祖国」のCDは、ノイマンとチェコ・フィルによる東京文化会館でのライブ収録盤である。

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