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2024年9月16日 (月)

観劇感想精選(467) 令和六年「能楽チャリティ公演~祈りよとどけ、京都より~」第2部 能「花月」、狂言「梟」、能「融」

2024年8月22日 左京区岡崎のロームシアター京都サウスホールにて

午後6時30分から、左京区岡崎のロームシアター京都サウスホールで、「能楽チャリティ公演~祈りよとどけ、京都より~」第2部を観る。演目は、能「花月」、狂言「梟」、能「融(とおる)」

まず、女性能楽師の鷲尾世志子による作品の説明があり、今年の元日に起こった能登半島地震のチャリティ公演にもなるということが告げられ、それが通訳の女性によって英訳される(外国人観客のため)。


能「花月」。出演は、河村浩太郎、原大。山下守之(アイ)。
7歳でさらわれた花月を巡る物語である。
九州筑紫国、彦山の麓に住む出家が現れ、7歳でさらわれた息子の花月を探して諸国を練り歩いていることを語る。桜が満開の清水寺(「きよみずでら」であるが、能狂言の場合は、音読みの「せいすいじ」と呼ばれる)にたどり着いた出家は、花月という少年が清水寺にいたという話を耳にする。
現れた花月は清水寺の由来に合わせて舞い、鶯を弓で射ようとする。出家はそれが自分の息子だと確信する。
父親に出会えた花月は嬉しさの余り、様々な舞いを披露しつつ、これまでの遍歴を述べるのだった。
日本諸国の「山づくし」が謡われる「鞨鼓舞」が印象深い。

「良弁杉由来」にちょっとだけ似ている展開である。


狂言「梟(ふくろう)」。出演は、茂山忠三郎、山本善之、鈴木実。
「梟」は以前にも、「能楽チャリティ公演」で茂山千五郎家によって上演されているのだが、今回は茂山忠三郎家の忠三郎が主役の法師を務める。実は忠三郎とはちょっとした知り合いなのだが、特に仲が良いわけでもない。

弟が、山に行った兄が放送自粛用語になったので、放送自粛用語に放送自粛用語を……、
あ、これじゃ分からないか。放送自粛用語になったので、法師に祈祷をお願いする。どうも兄は山で梟の巣をいじったようで、梟のような奇声を上げる。法師は祈祷を行うのだが……。
客観的に見ると、エクソシスト系の純粋なホラー作品である。狂言だということにしてあるため笑っていられるが、身近であんなことが起きたら、当時だと山奥に幽閉されそうな気がする。昔はその手の差別が酷かった。


能「融」。今回は後半部分のみの上演である。「融」の発音は、関東では「お」にアクセントが来るが、鷲尾世志子の「融」の発音は、英語のTallに近い。
嵯峨天皇の子であり、嵯峨源氏系渡辺氏の祖である源融。当事国内最大の荘園であった渡辺荘(現在の大阪市内にあったことは分かっているが、実際にどの辺りなのかははっきりしていないようである)の荘官を務め、渡辺氏を名乗った嫡流の子孫は融にあやかり、代々、諱は漢字一文字である(渡辺綱などはその代表例)。
光源氏のモデルの一人ともされており、六条河原町に広大な邸宅を建てて河原左大臣(かわらのさだいじん)とも呼ばれている。

出演は、片山九郎右衛門、有松遼一。

秋の名月の日、東国出身で初めて都に来た僧侶が六条河原院にやって来る。そこで汐汲みの田子を背負った老人と出会う。この老人は、以前、この邸の主だった源融のことを語る。

今回上演されるのは、これより後の、融(後シテ)の亡霊が現れて、舞を披露するが、夜明けと共に月の都へと帰っていく場面である。
後シテの舞に迫力があり、鳴り物の妙も相まって気高さの感じられる上演となっていた。

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