こう読む NHK連続テレビ小説「虎に翼」原爆裁判判決の回
判決文に関しては、一切説明がありませんでしたが、佐田寅子(伊藤沙莉)が「最後に何か書き加えてみては」と言っている以上、寅子の意志が国家の責任の部分に反映されているのだと思われます(ノベライズ本にはどこが寅子が関与した部分か分かるようになっています)。まさかここまでやるとは思っていなかったのですが、史実超えを狙っています。寅子自身は一言も発しておらず厳しい顔のままなのですが(伊藤沙莉さん、ほとんどまばたきしません。特に最初のロングカットでは1回しかまばたきしていません。これは「当事者」の目です)、最後の部分で山田よね(土居志央梨)が目の角度から寅子を見ているのが分かります。寅子も閉廷して立ち上がるときに一瞬だけよねを見ます。よねは泣いている。裁判に負けて悔しかったからではないと思われます。
第1回法廷の後、弁護団が竹中次郎記者(高橋努)に挨拶した後になりますが、よねと寅子がすれ違う時に「意義のある裁判にするぞ」という場面がありますが、これは「一緒に」を意図的に抜いたセリフです。寅子はすぐに「みんなで一緒に海行きましょう」などとと提案するタイプですが、よねが寅子に「一緒に」だとか「共に」というニュアンスを込めた言葉を発するのは初めてのはずで、寅子が驚いて振り返るのはそのためです。
よねが泣いたのは、寅子が「意義のある裁判」にしてくれたのが嬉しかったからだと思われます。土居さん、微かに頷いてますね。
説明のないシーンなので説明してみました。
佐田寅子が関与したと思われる部分(国家責任にまつわる箇所。前半にも関与している可能性があるが、セリフに沿うとこの部分である)
「それでこそ訴訟当事者だけでなく、原爆被害者全般に対する救済策を講ずることができるのであって、そこに立法および立法に基づく行政の存在理由がある。終戦後十数年を経て、高度の経済成長を遂げた我が国において、国家財政上、これが不可能であるとは到底考えられない。我われは本訴訟を見るにつけ、政治の貧困を嘆かずにはおられないのである」
その後、寅子は、山田轟法律事務所に行き、「私…」と言って深々と頭を下げます。これが「ごめんなさい」だと誤解する人は多いです。今まで徹底してそう言って来ましたので、今回もそうだと思い込む。だがこれは違います。「私、ごめんなさい」とは言わないので、飲み込んだのは他の言葉です。その次に星家で寅子が語る「私、出来ることはやった」が続きの言葉だと思われます。続きは、「でもこれで原告の被爆者の方々が救われた訳じゃない」。救うのは国・行政の役目ですので符号します。
| 固定リンク | 0
« これまでに観た映画より(345) 「チャイコフスキーの妻」 | トップページ | 「おとなのEテレタイムマシン」 ヴァーツラフ・ノイマン指揮 NHK交響楽団第1005回定期演奏会 スメタナ 連作交響詩「わが祖国」より「高い城」「モルダウ」「ブラニーク」 »
コメント