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2024年10月20日 (日)

コンサートの記(862) ザ・フェニックスホール アンサンブル・ア・ラ・カルト67「ジャパニーズ・ミニマル・ミュージック~オール・久石譲・プログラム~」

2024年10月12日 大阪・曾根崎のあいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホールにて

午後3時から、大阪・曾根崎の、あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホールで、アンサンブル・ア・ラ・カルト67「ジャパニーズ・ミニマル・ミュージック~オール・久石譲・プログラム~」という公演を聴く。
演奏は、いつもの面々。

じゃ、分からないか。
中川賢一(ピアノ/音楽監督)、石上真由子(いしがみ・まゆこ。ヴァイオリン)、森岡聡(ヴァイオリン)、安達真理(ヴィオラ)、鈴木皓矢(こうや。チェロ)、長谷川順子(コントラバス)、大石将紀(まさのり。サクソフォン各種)、井上ハルカ(サクソフォン各種)、畑中明香(あすか。パーカッション各種)、宮本妥子(やすこ。パーカッション各種)。
しかし、どう見ても「いつもの面々」である。

タイトル通り、オール・久石譲・プログラム。
第1部が、「Shaking Anxiety and Dreamy Global-揺れ動く不安と夢の球体-」2台のマリンバのための、
アルバム「フェルメール&エッシャー」より、「Muse-um」(for piano)、「Circus」(for piano trio)、「Virtical lateral thinking」(for piano torio)、「Sense of the light」(for piano quintet)、「Encounter」(for piano quintet)。

第2部が、アルバム「ヴィオリストを撃て」より。ヴィオラ・ジョークですね(違う)。
「794BDH」、「KIDS RETURN」、「MKWAJU」、「LEMOLE」、「TIRA-RIN」、「DA・MA・SHI・絵」、「Summer」


まず「Shaking Anxiety and Dreamy Global-揺れ動く不安と夢の球体-」2台のマリンバのための。
畑中明香が上手側の、宮本妥子が下手側のマリンバを演奏する。不思議な浮遊感のある音楽である。

久石譲に関しては説明不要とも思えるが、クインシー・ジョーンズから芸名を取った音楽家で、本名は藤澤守。1950年生まれ。幼い頃から音楽に親しみ、作曲を島岡譲(ゆずる)に師事。国立(くにたち)音楽大学作曲科でも島岡に学び、現代音楽に衝撃を受け、新しい音楽を志すようになる。当時は前衛的な音楽を作っていたが、聴きに来るのは身内ばかり。この頃、ミニマル・ミュージックを知り、傾倒する。その後、ポピュラーミュージックへと転向し、スタジオジブリの映画音楽を手掛けたことで一気に知名度が上がる。ただこの「ジブリ映画の久石譲」はあくまで仮の姿である。北野武監督作品の映画音楽の作曲家としても知られるようになった。指揮者で元NHK交響楽団オーボエ奏者、エッセイストとしても知られる茂木大輔の義兄弟でもある(奥さん同士が姉妹)。
最近は指揮活動に力を入れており、大阪の日本センチュリー交響楽団の首席客演指揮者に就任。更に来年には音楽監督に昇格する予定である。久石の指揮については余りよく知らず、独学なのかと思っていたが、仕事の合間を縫って秋山和慶に師事していたようである。「齋藤メソッド」の正統的な継承者である秋山さんなら間違いないだろう。
ミニマル・ミュージックの作曲家、久石譲が彼の本当の姿である。

アルバム「フェルメール&エッシャー」より。「Muse-um」。中川賢一のピアノ独奏。偶然かどうかは分からないが、琉球音階のような進行をする。

中川賢一、石上真由子、鈴木皓矢による「Circus」と「Vertical lateral thinking」。ミニマル・ミュージックというと、マイケル・ナイマンといい、スティーヴ・ライヒといい、フィリップ・グラスといい、乾いた響きのする作曲家が多いが(ナイマンは「ピアノ・レッスン」を機にロマンティックな作風へと方向転換)、日本の作曲家によるミニマル・ミュージックはウエットなものが多く、久石の音楽も同傾向である。

中川賢一、石上真由子、森岡聡、安達真理、鈴木皓矢による「Sense of light」と「Encounter」。この間、京都のカフェ・モンタージュで聴いたばかりの安達真理。今日もポニーテールでの演奏である。
腕が立つ人ばかりであるため、迫力のある演奏が展開される。私の席からは安達真理さんのチャーミングな笑顔がよく見えてとっても(以下の文章は検閲により削除されました)


ちなみに今日は客席に明らかに音楽関係者と思われる人が多い。現代音楽に強い演奏家ばかりが集っているが、案外、空席も目立つ。久石譲とはいえ、やはり現代音楽アレルギーのある人は多いのだろうか。


第2部。PAを使った10人編成での演奏である(全員参加)。
中川賢一が客席に背を向けて中央に座り、弾き振りのスタイルで演奏(実際には振る場面はほとんどない)。総譜を使ってピアノを弾き、時折、指示を出す。
石上真由子がコンサートミストレス。弦楽器は下手側にピアノを囲むように並び、その背後(下手側)にサキソフォンの二人が来る。舞台上手側にはパーカッションの二人が陣取る。
中川は譜めくり人を使っての演奏。
石上真由子、森岡聡、大石将紀はタブレット譜を使っての演奏。安達真理とパーカッションの二人は紙の楽譜。その他の人は座席の関係で何を使っているのかは確認出来ず。

北野武監督作品の映画音楽の中でも人気の高い「KIDS RETURN」と「Summer」(「菊次郎の夏」より。CM楽曲としても使用された)はやはり親しみやすい。切れ味の鋭い演奏である。

「KIDS RETURN」の、「俺たちもう終わっちゃったのかな?」「馬鹿野郎! まだ始まっちゃいねえよ!」は映画の幕切れのセリフとしてかなり有名なものである。
ただ北野武は、「良い曲なのに、少年犯罪の時に使われてばかりで困る」とも語っている。
オリジナルは声が入っているのだが、その部分は演奏されなかった。
「KIDS RETURN」は、当初は別のストーリーだったのだが、安藤政信のボクシングの上達が金子賢より早かったため、内容が変わっている。自転車での二人乗りのシーンは、淀川長治が、「詩だ」と絶賛した。

その他の曲であるが、変拍子、突然の転調、ポリリズム、音型の変化、出だしの意図的なずらしなど、現代音楽の要素がたっぷり詰まったものである。いずれもとても楽しい音楽だ。楽器の音の受け渡しなど、視覚的にも面白い。
乗れる音楽なのだが、日本のコンサートは体を動かして聴くのは厳禁なんですね。ということで、指先だけでリズムを取ったりしていた。


アンコール演奏は、「KIDS RETURN」をリターン。やはりこの曲は良い。

Dsc_4870

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