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2024年11月24日 (日)

これまでに観た映画より(353) 「リトル・ダンサー」デジタルリマスター版

2024年10月31日 烏丸御池のアップリンク京都にて

新風館の地下にあるアップリンク京都で、イギリス映画「リトル・ダンサー」のデジタルリマスター版上映を観る。
「リトル・ダンサー(原題:「Billy Elliot」)」は、2000年に制作された映画で、日本公開は翌2001年。その後、映画に感銘を受けたエルトン・ジョンによってミュージカル化され、原題の「ビリー・エリオット」のタイトルで、日本でも現在三演(再々演)中である。

ミュージカル化された「ビリー・エリオット」は、社会問題により焦点を当てた筋書きとなっており、マーガレット・サッチャー元首相も悪女として語られるのだが、映画版では社会性はそれほど濃厚には感じられない。イングランド北東部の炭鉱の町を舞台とした映画で、サッチャーの新自由主義的政策により、まさに切り捨てられようとしている人々が多数出てくるのだが、それよりもビリー・エリオットのサクセスストーリーが中心となっている。サッチャーも名前が一度、ラジオから流れるだけだ。ただ自分たちには未来がなく、ビリーだけが希望という悲しい現実は示されている。
日本で公開された2001年には、日本経済にもまだ余裕があったのだが、その後、日本は徐々に衰退していき、英国病に苦しんでいたイギリスと似た状況が続いている。そうした上でも「染みる」作品となっている。

監督は、スティーヴン・ダルトリー。これが長編映画デビュー作となる。ヒューマンドラマを描くのが上手い印象だ。ダルドリーは元々は演劇の演出家として活躍してきた人である。
ミュージカル「ビリー・エリオット」の演出も手掛けている。

脚本のリー・ホールは、ミュージカル「ビリー・エリオット」の脚本も手掛けた。賛否両論というより否定的な感想に方が多かった映画版「キャッツ」の脚本を書いてもいる(映画「キャッツ」は視覚効果やカメラワークの不評もあって評価は低めだが、脚本自体は悪いものではない)。

振付のピーター・ダーリングもミュージカル「ビリー・エリオット」での振付を担当している。

出演は、ジェイミー・ベル、ジュリー・ウォルターズ、ジェイミー・ドラヴェン、ゲイリー・ルイス、ジーン・ヘイウッドほか。老婆役だったジーン・ヘイウッドは2019年9月14日に死去している。
ビリー・エリオット役のジェイミー・ベルも約四半世紀を経て大人の俳優となり、山田太一の小説『異人たちとの夏』を原作としたイギリス映画「異人たち」にも出演している。

「リトル・ダンサー」は、英国アカデミー賞英国作品賞、主演男優賞、助演女優賞を受賞。日本アカデミー賞で最優秀外国作品賞などを受賞している。

斜陽の炭鉱の街に生まれたビリー・エリオットは11歳。ボクシングを習っていたが、バレエ教室が稽古場の関係で、ボクシングジムと同じ場所で練習を行うことになり、ビリーは次第にバレエに魅せられ、またバレエ教室の先生からは素質を認められ、ロンドンのロイヤル・バレエ学校を受けてはどうかと勧められる。だが、ここは保守的な田舎町。父親から、「バレエは男がやるものではない。男ならサッカーやボクシングだ」とボクシングを続けるよう諭される。それでもビリーはロイヤル・バレエ学校のオーディションを受けることにするのだが、受験日と労働闘争の日が重なってしまい……。

前回「リトル・ダンサー」の映画を観た時と今との間に多くの映画・演劇作品に触れてきており、そのためもあってか、初めて観たときほどの感銘を受けなかったのも事実である。ただ「愛すべき映画」という評価は変わらないように思う。デジタルリマスターされた映像も美しく、俳優達の演技も生き生きとしている。

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