「題名のない音楽会」60周年記念企画⑤ 鈴木優人指揮バッハ・コレギウム・ジャパン 2024.8.31
録画してまだ見ていなかった8月31日放送の「題名のない音楽会」を見る。今回は「題名のない音楽会」60周年記念企画⑤として、鈴木優人指揮バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏が紹介される。演目は、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」より第1楽章、第4楽章と、メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」より序曲と「結婚行進曲」。メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」は、オーケストラ・ディスカバリーで抜粋版が上演されるはずであった。
バッハ・コレギウム・ジャパンは、その名の通り、バッハの作品を演奏するために結成された古楽器オーケストラ。鈴木雅明が結成し、現在はその息子の鈴木優人が首席指揮者を務めている。
有名奏者としては、チェロの上村文乃(かみむら・あやの)がいるが、ハーバード大学とジュリアード音楽院の両方を首席で出て才媛と騒がれた廣津留すみれもいつの間にかメンバーとして加わっているようである。
鈴木優人は、眼鏡なしのノンタクトで指揮。当然ながら古典配置での演奏である。
ベートーヴェンの交響曲第5番第1楽章では、最初の運命主題のフェルマータはナチュラルだがやや短めに、2度目はよりも流す感じ。古楽器の鄙びた音が独特の立体感を作り出し、推進力にも富む。古楽器は音が小さめなので、モダンオーケストラに比べると迫力を欠きがちだが、収録ということや、構築力を示すことを重視した音楽作りと言うことで不満はない。カットしたバージョンによるもので、哀切なオーボエソロはない。
第4楽章でも生き生きとした音によるドラマが繰り広げられた。モダン楽器と違い、音が必ずしも溶け合わないのも特徴である。音色も明るめで、爽快感のあるラストを迎える。
この曲で初めて使われた楽器として、ピッコロ(野崎真弥)、コントラファゴット(鈴木禎)、トロンボーン(清水真弓ほか)が紹介される。
メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」より序曲と「結婚行進曲」。「結婚行進曲」がラストに登場するのはおそらく意味があり、「運命」と「結婚」の冒頭の主題が実は、「タタタターン」という同じ音型なのである。メンデルスゾーンが意図的に真似たという説もある。
オフィクレイドという楽器が紹介される。今では使われていない楽器である。演奏は橋本晋哉。
序曲における底から湧き上がってくるかのようなエネルギーの横溢した表情。「結婚行進曲」(短縮版)の華やかさ(冒頭で吹かれるトランペットは、勿論、ナチュラルトランペットである)。いずれも聞きものであった。
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