観劇感想精選(478) 彩の国シェイクスピア・シリーズ 小栗旬&吉田鋼太郎「ジョン王」大阪公演
2023年2月11日 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて観劇
午後5時30分から、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで、「ジョン王」を観る。彩の国シェイクスピア・シリーズの一つ。出演・演出:吉田鋼太郎。テキスト日本語訳:松岡和子、出演:小栗旬、中村京蔵、玉置玲央、白石隼也、高橋努、植本純米、櫻井章喜ほか。オール・メール・キャストによる上演である。
「ジョン王」は、シェイクスピア作品の中でも知名度が低く、上演されることは今ではほとんどないといわれているが、叙事詩的傾向がかなり強く、登場人物の魅力が余り掘り下げられていない印象を受けるため、それもむべなるかなという気もする。
ジョン王は、英国史上最悪の王といわれることもあるようだが、この劇を観ている限りでは、「最悪」とまでの印象を受けることはない。また、やり取りや展開に納得がいかない部分があるのだが、これは実際にそうしたことが史実としてあったのであろうか。
タイトルロールを演じる吉田鋼太郎(埼玉、愛知、大阪でのみジョン王を演じる)と、先王リチャードの私生児であるフィリップ・ザ・バスタード(先王リチャード獅子心王の息子と認められ、リチャードと呼ばれることになる)を演じる小栗旬の存在感は流石で、出ているだけで舞台が引き締まる。
小栗旬は冒頭で、フードを被った現代の若者(小栗旬も40歳だが)として客席から舞台に上がり、ラストでも冒頭と同じ格好になって客席を歩いて去っていった。その去り行く小栗旬を自動小銃が狙っている。イギリスとフランスの戦争を背景とした作品だが、今なお続くウクライナ紛争など、戦争が過去のものではないことを示しているのだと思われる。
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