コンサートの記(883) CHINTAIクラシック・スペシャル ウクライナ国立バレエ(旧キエフ・バレエ)「ジゼル」全2幕@ロームシアター京都メインホール
2025年1月11日 左京区岡崎のロームシアター京都メインホールにて
午後3時から、左京区岡崎のロームシアター京都メインホールで、CHINTAIクラシック・スペシャル ウクライナ国立バレエ(旧キエフ・バレエ)「ジゼル」全2幕を観る。
昨年の暮れに来日しているミコラ・ジャジューラ指揮のウクライナ国立歌劇場管弦楽団。昨年の暮れには大阪・中之島のフェスティバ-ルホールでジルベスターコンサートを行い、翌日となる今年の元日にはやはりフェスティバルホールでニューイヤーコンサートを行うなど日本国内で精力的に演奏活動を行っており、ウクライナ国立歌劇場のバレエ部門であるウクライナ国立バレエとして京都で公演を行うことになった。出演は全員、ウクライナ国立バレエのメンバーであり、引っ越し公演となる。
ウクライナの首都キーウ(キエフ)が京都市の姉妹都市ということで、キエフ・バレエとして、またコンサートオーケストラとしての名称であるキエフ国立フィルハーモニー交響楽団(現・ウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団)として何度も京都公演を行っているウクライナ国立バレエだが、「ウクライナ国立バレエ」という名称で京都公演を行うのは今回で二度目となる。
演目となるアダンの「ジゼル」は、比較的人気のバレエ作品で、日本の伝承「七人みさき」に少し似た筋書きを持つ。作曲者のアドルフ・アダンはフランスの作曲家であり、このバレエ作品もパリのオペラ座で初演されたが、その後はロシアで上演される機会が増えている。
出演は、カテリーナ・ミクルーハ(ジゼル)、ニキータ・スハルコフ(アルブレヒト)、アナスタシア・シェフチェンコ(ミルタ=ウィリの女王)、ヴォロディミール・クツーゾフ(ハンス=森番)、アレクサンドラ・パンチェンコ&ダニール・パスチューク(ペザント・パ・ド・ドゥ)、オレクサンドル・ガベルコ(アルブレヒトの従者)、エリーナ・ビドゥナ(バチルド=アルブレヒトの婚約者)、ルスラン・アヴラメンコ(クールランド公爵=バチルドの父)、クセーニャ・イワネンコ(ベルタ=ジゼルの母)、カテリーナ・デフチャローヴァ&ディアナ・イヴァンチェンコ(ドゥ・ウィリ)ほか。
振付:J・コラーリ、J・ペロー、M・プティパ。改訂振付:V・ヤレメンコ。
中世のドイツが舞台。体が弱いが踊りが好きな村娘のジゼルは、ロイスという若者と恋仲だが、このロイスの正体は公爵アルブレヒトであり、身分違いの恋である。森番のハンスは、ロイスの正体に疑いを持っている。
村祭りの日に、収穫祭の女王に選ばれたジゼルだが、クールランド公爵とその娘のバチルドが村を訪れ、身分とバチルドが公爵アルブレヒトの婚約者であり、ハンスからロイスの正体がアルブレヒトであると明かされたジゼルはショックの余り息絶えてしまう。何も死ぬことはないんじゃないかと思うのだが、第2幕では、ウィリと呼ばれる婚前に亡くなった処女の精霊達の女王であるミルタがジゼルを仲間に加え(この辺が「七人みさき」っぽいが、ウィリの数は7人どころではない)、墓参りに訪れたハンスの命を奪う。そしてアルブレヒトがジゼルの墓の前に取り残されるというのが本筋なのだが、今回の演出ではアルブレヒトも命を失い、あの世でジゼルとアルブレヒトが一緒になるという結末に変えられていた。
美男美女が多いことでも知られるウクライナ。男性バレリーナは高身長で手足が長く、迫力と気品がある。女性バレリーナもスタイルが良く、絵になる。大人数での踊りも手足の動きがビシッと合っており、爽快である。村娘達が黄色いスカートで踊る場面があったが、ウクライナのひまわり畑(イタリアの名画「ひまわり」はウクライナのひまわり畑が舞台になっている)やウクライナの国旗をイメージしたものであると思われる。
「ウクライナの指揮者と言えば」的存在のミコラ・ジャジューラ指揮のウクライナ国立歌劇場管弦楽団は、最初のうちは音が弱く、金管の音色が安っぽいように聞こえたが、次第に乗ってきて、磨き上げられた音による華麗で繊細な音絵巻を描き上げた。オーケストラピットからの音の通りが良いロームシアター京都メインホールの音響もプラスに働いていたように思う。
カーテンコールのみ撮影可であったが、舞台から遠いのと、スマホの性能の限界で、余り良い写真を撮ることは出来なかった。
出演者に花束贈呈が行われたが、指揮者のジャジューラは花束をオーケストラピットに投げ込むというパフォーマンスを見せていた(「いらない」ではなくオーケストラを讃える行為である)。
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