これまでに観た映画より(381) 「その街のこども 劇場版」
2025年1月17日 京都シネマにて
京都シネマで、阪神・淡路大震災30年特別再上映「その街のこども 劇場版」を観る。2010年1月17日に阪神・淡路大震災15年特別企画としてNHKで放送されたドラマの映画版(2011年公開)。NHK大阪放送局(JOBK)の制作である。放送から15年が経っている。監督:井上剛。脚本:渡辺あや。出演:森山未來、佐藤江梨子、津田寛治ほか。音楽:大友良英。京都では今日1回のみの上映。神戸では今日から1週間ほど上映されて、森山未來がトークを行う日もあるようだ。
森山未來も佐藤江梨子も1995年当時、神戸に住んでおり、阪神・淡路大震災の被災者である。ただ佐藤江梨子はどうなのかは分からないが、森山未來は実家付近にほとんど被害が出なかったそうで、知り合いに亡くなった人もおらず、当事者なのに部外者のような気がしてコンプレックスになっていると語ったことがある。
2010年1月16日。森山未來演じる中田勇治は、阪神・淡路大震災被災後年内に、また佐藤江梨子演じる大村美夏は、震災の2年後に東京に転居し、以後、一度も神戸を訪れていないという設定である。
東京の建設会社に勤める中田は、先輩の沢村(津田寛治)と共に広島への出張で新幹線に乗っている。新神戸駅で下車しようとするスタイルのいい女性の後ろ姿を見掛けた二人。中田はふいに新神戸で降りることに決める。
スタイルのいい女、美夏から、「新神戸から三宮まで歩いて何分ぐらいですか?」と聞かれたことから、二人の物語が始まる(私は新神戸から三宮まで歩いたことがあるが、15分から20分といったところである。地下鉄で1駅なので普通は地下鉄を使う)。美夏は、明日の朝に東遊園地で行われる追悼集会に出る予定だった。中田は灘の、美夏は御影の出身である。
喫茶店や居酒屋で過ごした後、二人は御影(美夏の祖母の家がある)へと歩いて向かう。
オール神戸ロケによる作品である。震災から距離を置きたかったという気持ちが、少しずつ明らかになっていく(共に親族に問題があったようだが)。見終わった後に染みるような感覚が残る映画である。
ラストシーンは、2010年1月17日午前5時46分からの追悼集会で撮影され、即、編集が施されてその日のうちに放送されている。
撮影から15年が経っているが、森山未來は今も見た目が余り変わっていない。十代の頃の面影が今もある人なので、年を取ったように見えないタイプなのだと思われる。
上映終了後に、井上剛監督と配給の石毛輝氏による舞台挨拶がある。
キャストが森山未來と佐藤江梨子に決まったことで、当初よりも恋愛要素の濃い設定となったようである(ただし二人が恋仲になることはない)。色々と新しい試みを行ったそうで、カメラマンは、ドラマではなく報道専門の人を起用したそうである。また「百年に一度の災害」というセリフがあるのだが、放送の翌年に東日本大震災が発生。その後も熊本や能登で大規模な地震が発生している。関西でも大阪北部地震があった。ここまで災害が続くとは制作陣も予想していなかったようである。
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