コンサートの記(900) 玉置浩二 阪急阪神東宝グループ billboard Classics 「KOJI TAMAKI ODE TO JOY」大阪城ホール公演
2025年4月16日 大阪城ホールにて
午後6時から、大阪城公園内の大阪城ホールで、阪急阪神東宝グループ billboard Classics「KOJI TAMAKI ODE TO JOY」を聴く。恒例となった玉置浩二のオーケストラとの共演コンサート。大阪では先にフェスティバルホールでの公演が行われたが、そちらは落選。すぐ近くの西宮北口にある兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールでも公演が行われ、次いで行われるのが大阪城ホール公演である。大阪城ホールは、何度も前を通っており、倉庫を改造した小劇場が出来たときには、いくつか公演を観ているが、いわゆる大阪城ホールの内部には入ったことはない。城ホールの名で親しまれている大阪城ホールは、本来はスポーツのためのアリーナで、収容人数が多いことからコンサートでも用いられ、東の日本武道館、西の大阪城ホールと並び称されている。一方、音響設計が不十分として公演を行わないアーティストもいる。なお、「ODE TO JOY」の千穐楽は、日本武道館で行われる予定である。
実は、大阪城ホール公演の抽選も一次は落ちて、二次も良い席は落ち、第3希望の一番安い席のみ当たった。
アリーナなので、舞台は比較的自由に設営できるが、今回は北側に仮設ステージを置き、横長での使用となった。私の席はクラシックコンサートでいうポディウムに当たる舞台背後の席。玉置浩二が歌っているところを正面から見られないが、巨大スクリーンに映像が映ってパフォーマンスを確認出来るようになっている。
オーケストラの演奏であるが、オーケストラが演奏するには広すぎるので、楽器にマイクを付けてスピーカーから音を出すという方法を採用。生音で聴くのがオーケストラの醍醐味であるが、この会場ではそれは難しい。
今回の演奏は豊中市に事務所を置く日本センチュリー交響楽団が担当。指揮は大友直人。大友は、13日に京都コンサートホールで京都市交響楽団のスプリング・コンサートを指揮したばかり。終えてすぐに玉置浩二とのコンサートのリハーサルに入って中2日で本番を迎えた。大友は日本武道館での「ODE TO JOY」の指揮も担う予定である。
2部構成で、第2部冒頭に演奏される管弦楽曲は毎回異なり、大阪城ホールでは、冨田勲の「新日本紀行」の音楽が演奏される。大友直人は若い頃、冨田勲の劇伴を中心とした管弦楽曲を指揮してCDを制作しており、「新日本紀行」も入っていた。
日本センチュリー交響楽団は、いつもながらのドイツ式の現代配置での演奏。コンサートミストレスは松浦奈々。彼女の姿はたまにクローズアップされるが、ヴァイオリンにマイクがセットされているのが分かる。
まず、ベートーヴェンの第九より歓喜の歌のメロディーでスタート。合唱が入るところで音楽が「GOLD」に変わる。玉置浩二が現れて、「ロマン」でスタート。「コール」、「SACRED LOVE」、「MR.LONELY」、「サーチライト」、「Friend」で1部終了。「Friend」で終わるパターンは比較的多い。
玉置浩二はオーケストラと共演するようになってから初めてクラシックコンサートには休憩があるということを知り、「休憩があっていいんだ」ということで、自身のコンサートでも休憩時間を設けるようになっている。
第2部は、先に書いたとおり、冨田勲の「新日本紀行」の演奏に始まり、玉置浩二が現れて、「いつもどこかで」、「行かないで」、メドレー「ワインレッドの心」~「じれったい」~「悲しみにさよなら」、「JUNK LAND」、「夏の終わりのハーモニー」で本編終了。
玉置も大友も白髪に黒服、同い年という共通点がある。
アンコールは、登場はするもののなかなか演奏を行わず、玉置の3度目となる退場があった後で、大友指揮する日本センチュリー交響楽団がベートーヴェンの「田園」交響曲第1楽章を演奏。そこに玉置浩二の「田園」のメロディーが混じり、玉置が現れて自身の「田園」を歌う。例によって、「愛はここにある君はどこにも行けない」を「愛はここにある大阪にある」と地名に変えて歌った。更に、サビの「生きていくんだそれでいいんだ」のところを歌わず、聴衆に歌って貰っていた。
「田園」がラストということも多いのだが、オーケストラのメンバーが楽譜を換えたので、まだアンコール演奏があることが分かる。
アンコールの2曲名は、「メロディー」。これもラストで歌われることの多い曲だが、アンコールは更に続き、ダブルアンコールとして「田園」が再度歌われる。サビを聴衆に歌って貰うところなどは一緒だが、「愛はここにある」の次を「大阪城ホールにある」と会場に変えて歌い、客席を沸かせていた。
マイクを口から離してのアカペラの部分もあったが、スピーカーからも声が出ていたので、他の楽器のマイクから拾っているのだと思われる。大阪城ホールの空間で生声を響かせるのは、アンプラグドが基本のオペラ歌手でも難しいだろう。
「メロディー」を歌い終えた後には、見えにくかったステージ端のお客さんにも近づいて手を振るなど、ファンサービスも欠かさなかった。
コンサート終了後は、京橋の松下IMPビル内で食事をしたのだが、ここかしこから玉置浩二の歌声が聞こえてくる。どうやら大阪城ホールでコンサートのあった時は、そのアーティストの曲を流す習慣があるらしい。実際に店員がお客さんにそう説明していた。流れている音源がどこからのものなのかは分からないが、玉置浩二が香港でコンサートを行い、「行かないで」のサビを、ジャッキー・チュン(張楽友。リトル・ジャッキー)が北京語でカバーした「李香蘭」のものに一部変えて歌った音源も流れた。
最近のコメント