これまでに観た映画より(390) 「BLUE GIANT」
2025年2月24日
Amazon Prime Videoで、アニメ音楽映画「BLUE GIANT」を観る。原作:石塚真一、NUMBER8。脚本:NUMBER8。音楽:上原ひろみ。声の出演:山田裕貴、岡山天音、間宮祥太朗、東地宏樹(とうち・ひろき)、木下紗華(きのした・さやか)、木内秀信、加藤将之、高橋伸也(たかはし・しんや)、乃村健次ほか。監督:立川譲。
ジャズを題材にした青春ストーリーである。女の子が主人公の音楽アニメには、京都市左京区がロケ地となった「けいおん!」シリーズや、京都府宇治市を舞台とした「響け!ユーフォニアム」(いずれも京都アニメの作品)などがあるが、こちらは女性はほとんど登場せず、音楽男子達の友情と青春を描いた作品となっている。
仙台出身の宮本大(声:山田裕貴)が主人公である。中学高校とバスケットボール部だったが、3年ほど前から広瀬川の河原でテナーサックスの練習を始め、半年ほど、由井というサックス奏者(乃村健次)に師事した。
高校を卒業し、「世界一のジャズプレーヤー」になることを夢見て上京した大。先に東京の大学(早稲田大学がモデルとなっている)に進学していた高校の同級生の玉田俊二(岡山天音)の下宿に転がり込む。隅田河畔で練習に打ち込み、ジャズバー「TAKE TWO」を訪れた大は、ママのアキコ(木下紗華)から生演奏を行っているジャズバーを紹介される。そこで大は片手で華麗なピアノ捌きを見せる沢辺雪祈(さわべ・ゆきのり。間宮祥太朗)のプレーに釘付けになる。すぐに共演を申し込む大。ずっと年上に見えた雪祈だったが、実は大と同じ18歳で、立教大学をモデルにした立丘大学の学生だった。
「TAKE TWO」に雪祈を誘った大。しかし、サックス経験がわずか3年、しかもほとんど独学ということで呆れられる。雪祈はピアノ教室を経営している家に生まれており、4歳の時から14年間、ピアノを弾き続けてきた。だが、大のサックスの演奏を聴き、3年の間に尋常でない練習量をこなしてきたことに気付いた雪祈は、心を打たれるのだった。
「TAKE TWO」の空き時間に練習させて貰えることになった大と雪祈だったが、ピアノとサックスだけでは足りない。ドラムがいる。
その頃、大学のサッカーサークルに所属していた玉田は、遊び半分のプレーを行う先輩達に嫌気が差していた。高校で全国ベスト8に入ったこともある玉田だったが、早稲田大学がモデルとなると、サッカー部(早稲田のサッカー部は、ア式蹴球武を名乗る)に入るのは難しいのだろう。失望してサークルを辞めた玉田は、隅田川のほとりでサックスの練習をする大を見に行き、空き缶でリズムを取る役目を務めたことでジャズに興味を持つ。他に当てのない大は、玉田をドラマーとして加えることにするのだが、雪祈はど素人を連れてきたことに呆れる。取りあえずセッションを行うが、玉田は全くついて行けない。
それでもドラムに魅せられた玉田は、ドラム教室に通うなど、二人のセッションに加わろうとする。
サークルや部活動ではなく、本気でプロを目指す若者達の青春ものである。描かれているのは1年ほどだが、音楽的にも人間的にも成長著しい。それまでジャズに興味のなかった者や、密かに彼らを見守ってきた常連客、遠い昔の知り合いなどを巻き込み、文学でいう教養小説的な佳編に仕上がっている。主人公3人はプロの声優ではなく若手俳優が当てていいるが、違和感もなく素直に上手いと感じられる。韓国と中国のスタッフが多数参加しており、東アジア総力戦という構え。音楽は、ピアノが上原ひろみ、サックスが馬場智章、ドラムが石若駿が演奏を務め、音楽に合わせて作画を行うという工程が取られている。動きはリアルで、モーションキャプチャーが使用されているようである。実写では絶対無理なアングルや描写なども多く、アニメならではの優れた構図が多く見られる。
精神年齢が高すぎて18歳には思えない人も出てきたりするが、それも物語を進む上での推進力となっており、音楽映画として、また人間ドラマとしても優れた仕上がりになっている。
第47回日本アカデミー賞では優秀アニメーション賞と最優秀音楽賞を受賞した。
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