« これまでに観た映画より(393) 井上ひさし原案・山田洋次監督・坂本龍一音楽・吉永小百合&二宮和也主演「母と暮せば」 | トップページ | BS-TBS「JNNストーリーズ ラスト・ワルツ 踊る指揮者(マエストロ)井上道義」 »

2025年8月22日 (金)

これまでに観た映画より(394) 「二十四時間の情事(ヒロシマ・モナムール)」

2015年8月11日

Amazon Prime Videoセルで、「二十四時間の情事(ヒロシマ・モナムール)」を観る。左岸派、アラン・レネ監督第1回長編作品。脚本:マルグリット・デュラス。出演:エマニュエル・リバ、岡田英次ほか。セリフはフランス語が主で、たまに日本語が入り、ラスト近くでは英語が用いられる。
制作は1959年で、舞台となっているのも1959年の広島だ。1945年8月6日の様子は、「ひろしま」など複数の映画から引用されている。

マルグリット・デュラスによるシナリオブックが出ているが、実際の映画とは趣が異なる。男の方は共産主義者で、言葉遣いにそれが出ているという記述があるのだが、映画の字幕を読んでいても、そうした感じは余り受けない。ただ職業が建築家で政治家、フランス革命に影響を受けたというところがかろうじてそれらしい。

新広島ホテルの一室で、男と女が体を重ねている。男の方は日本人の建築家、女の方はフランス人の女優である。女は広島を舞台とした反戦ものの映画を撮っていて、看護師の役を演じている。
男の声で「君は広島を知らない」、女の声で「いいえ、私は広島を知ってるわ」といったやり取りが続くが、これはアラン・レネの代表作「去年、マリエンバートで」を想起させる。病院での人形のような女性達も同様である。

男は広島に住んでいるが被爆はせず、ただし家族を失っていた。女は生まれ故郷のヌヴェールという県庁のある人口4万人ほどの小さな街で二十歳まで過ごしていたが、ドイツ兵と恋に落ちる。しかし、フランス解放軍に見つかり、ドイツ兵はロワール川の河畔で射殺、女はドイツ兵と関係を持ったとして丸刈りの刑にされ、晒し者になる。その後、女は実家の地下室に幽閉される。丸刈りの刑については、「愛と哀しみのボレロ」でも見ることが出来る。戦中のフランスでは、ドイツ兵と寝た女は娼婦として丸刈りにされて晒されたのである。

ずっと広島にいて欲しいという男と、明日の朝、広島を発つという女。男は女の撮影場所に現れ、その後もカフェに入るなど行動を共にする。そして二人で男の自宅を訪れる。
夜(1959年の広島には、低いがタワー建築があったようである)、女は新広島ホテルに戻るが、再びカフェへと出掛け、男と再会する。翌朝、女は広島駅から電車で広島を離れようとするが、直前に改札口を出て、新広島ホテルに向かう。男もタクシーで女を追いかける。
それぞれが互いの場所であることを認識する二人。人間は忘れるが、都市は忘却し得ない。複数の人間による記憶の重層性を突いているようでもある。

| |

« これまでに観た映画より(393) 井上ひさし原案・山田洋次監督・坂本龍一音楽・吉永小百合&二宮和也主演「母と暮せば」 | トップページ | BS-TBS「JNNストーリーズ ラスト・ワルツ 踊る指揮者(マエストロ)井上道義」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« これまでに観た映画より(393) 井上ひさし原案・山田洋次監督・坂本龍一音楽・吉永小百合&二宮和也主演「母と暮せば」 | トップページ | BS-TBS「JNNストーリーズ ラスト・ワルツ 踊る指揮者(マエストロ)井上道義」 »