観劇感想精選(502) 朗読劇「星の王子さま」 構成・朗読:安田成美
2025年11月12日 三条高倉の京都文化博物館別館ホールにて
午後5時から、京都文化博物館別館ホールで、朗読劇「星の王子さま」に接する。作:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ、翻訳:内藤濯(ないとう・あろう)。構成・朗読:安田成美、音楽(作曲・演奏):阿部海太郎、美術:木梨銀士(きなし・ぎんじ。安田成美と木梨憲武の次男)。
東京の自由学園明日(みょうにち)館(国指定重要文化財)での公演を経て、昨日今日と京都文化博物館別館ホール(旧・日本銀行京都支店。国指定重要文化財)での京都公演が行われる。
「トレンディ女優」という言葉から連想される女優の一人である安田成美。映画、ドラマ、演劇と幅広く活躍しているが、結婚後は育児などを優先して、仕事をセーブしていた時期もある。「同・級・生」、「素顔のままで」、「ヴァンサンカン・結婚」、年末時代劇「源義経」、仲代達矢演じる弁護士と敵対関係になる女性を演じた松本清張ドラマ「霧の旗」、ベトナムロケを行った「ドク」など多くのヒットドラマに出演。映画では、「犬死せしもの」、林海象監督作品「ZIPANG」、オムニバス映画「バカヤロー!私怒ってます」第2話“遠くでフラれるなんて”、緒形拳と共演した「咬みつきたい」、役所広司主演作「すばらしき世界」などに出演している。演劇も出演作は多くはないが、「リチャード三世」は私も観ている。ただこれは劇団新感線による新感線版「リチャード三世」で、出演時間は余り長くはなかった。
こうやって見ると、ドラマに特化した活動を行っていることが分かる。
元々は、「風の谷のナウシカ」のイメージソング(作詞:松本隆、作曲:細野晴臣。映画本編では流れない)のシンガーとして登場した人で、昨年、細野晴臣との共同作業で「風の谷のナウシカ」をリメイクしている。
まず木梨銀士による動く美術。アニメーションとは少し違い、動く美術としか形容の仕様がないものである。そして、作曲家でマルチプレーヤーである阿部海太郎によって様々な楽器が演奏され、安田成美がにこやかな表情で下手側から現れて朗読を行う。
安田成美が構成を担当したテキストは、かなり改変されていて、原作とは違い、星の王子さまからの視点で物語は進んでいく。本来の語り手である飛行機の操縦士は途中で登場し、星の王子さまからのメッセージを受け取る役目を担う。
ドラマでは基本的に声音の使い分けは行わなかった安田成美だが、流石はプロの女優。様々な声を駆使して演じ分ける。星の王子さまの声は子どもっぽく、ヘビの物言いは狡猾そうだ。
テキストの改編については、様々な意見があるかも知れない。『星の王子さま』の著作権はすでに切れており、多くの出版社から刊行されていて、青空文庫では無料で読めたりする。なので改編も自由なのであるが、今回の上演は星の王子さまの内省の物語としてなら有効だと思われる。改編が嫌なら後で無料でテキストを読むことも可能なのだから、原作通りに頭から読まれることを希望するよりも安田成美が解釈した「星の王子さま」に耳を傾けるのも良い経験である。美声でもあるし。
カーテンコールには、木梨銀士も登場。安田成美が自身の次男であることを明かすと、「似てる!(安田成美にというよりも木梨憲武にだと思われるが)」という声も上がるが、実際はそんなに似ておらず、サッカー選手のような見た目である。木梨憲武も強豪・帝京高校サッカー部で、3年の地区予選までレギュラー、帝京高校は全国大会に出場を決めるが、全国大会では補欠に落ちてしまい、ピッチには立てなかった。なので両親に似ているというよりも木梨憲武のサッカー選手的雰囲気を受け継いでいるのかも知れない。
それよりも印象的だったのは、安田成美の声の可愛らしさである。今日の上演、更にはこれまでに出演したドラマや映画で演じている時の声よりも更に可愛い。つまり我々がこれまで聞いてきたのは演技用の安田成美の声であり、地声はさらに魅力的だったのだ。彼女はバラエティーにはほとんど出ないので(「笑っていいとも!」のテレフォンショッキングのゲストとして出演し、ここに来る直前にスタジオアルタの前で痴漢に遭ったことを告白していたのが記憶に残っているが)、彼女の地声はほとんど関係者にしか知られていなかったということになる。
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