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2026年5月の4件の記事

2026年5月10日 (日)

「新・科捜研の女2」Season6概要

「新・科捜研の女2スペシャル」Season6 File.1。これまでは地上アナログ放送向けのHDバージョンでの配信で、左右が切れていたが、このSeasonからは地上デジタル放送向けのFHDバージョンになり、映像が画面一杯に広がる。

マリコが科捜研での徹夜の仕事を終え、家に帰る。祇園白川沿いを自転車で通り、路地のどん突き(関西弁で突き当たりのこと)にある町家へ。住所は、左京区北白川中井町で、また引っ越したことが分かる。左京区北白川は、京都屈指の高級住宅街だが、範囲も広く、マリコが暮らすのは北白川は北白川でも昔ながらの町のようである。北白川には中井町はなく、架空の地名である。
今回、洛北医科大学のキャンパスとして京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)の人間館が登場。外観のみならず、館内にあった@CAFE(今は名前が変わっているがカフェ自体は存在する)でマリコと洛北医大の解剖医がお茶する場面があり、白衣を着たエキストラが何人も歩いている。京都造形芸術大学は北白川の一番北に位置する。大学自体の住所は異なるが、最寄りのバス停は「上終町(かみはてちょう)瓜生山学園 京都芸術大学」で、上終町は北白川の一番北であることを意味する地名である。

家に帰ったマリコは鍵が開いているのを知り、玄関にあった金属バット(野球もソフトボールもやりそうには思えないので護身用だろう)を手に奥へ。男が色々と物色している、と思いきや父親の榊伊知郎(小野武彦)であった。科学者である伊知郎。マリコの口癖である「科学は嘘をつかない」は父親譲りであることが分かる。伊知郎は妻との仲が悪くなり始めたので、熟年離婚を避けるべく、京都で仕事を見つけて娘の家に厄介になることにしたのだった。
寝る間もない内に、西京区桂で不審死があり、マリコは検視に出掛ける。男がマンションの自室から転落(桂の方は高さ制限が比較的緩く、高めのマンションも多い)して死亡したのだが、麻薬を常用していることが分かった。その後、科捜研の所長の宮前(山崎一)の鑑定によりメタンフェタミン(覚醒剤)であることが判明する。
現場でマリコは、嵯峨野署生活安全課の久崎英子巡査(鈴木杏樹)と出会う。久崎は麻薬に詳しかった。実は土門と久崎は四条署時代にコンビを組まされたこともあった。
検視を終えたマリコは、送りのパトカーの中で土門の肩にもたれて寝てしまう。土門も前Seasonではジャンパーなどラフな格好だったが、今シーズンは背広でビシッと決めている。

中京区のクラブで、覚醒剤の取引がある。捜査課も見張り、久崎も偵察要員として店の中にいる。
主犯である薬師寺(大沢樹生)が現れるが、逃亡を図る。組織犯罪対策部警部の角田(かくた。大浦龍宇一)が薬師寺に拳銃を向けるが、薬師寺に撃たれ、背後からも久崎に銃弾を浴びて即死。マリコが駆けつけるが、すでに事切れていた。振り返った真理子は久崎が泣いているのを見る。

誤射により処分を受けることになった久崎。更に薬師寺より先に発射した疑いも出る。
だが、土門は久崎は射撃の名手で、四条署時代は敵わなかったとマリコに口にする。

その後、監察の監視下に置かれることになった久崎だが、脱出し、逃亡する。

桂のマンションで、マリコは壁に掛けられた写真を見つける。1987年7月7日に撮られたもので、放送時より15年前である。後にここに写っているのが、久崎、薬師寺、角田、マンションから転落死した川添であることが分かる。
科捜研では、産休に入った光子に代わり、美貴(加藤貴子)が所員となる。元々ハイテク捜査室にいた美貴は、マリコに写真に写る山の稜線がどこのものか調べてほしいと依頼される。調査の結果、それらしい場所がいくつかあったが、一番近いのが西信楽高原から見たものだった。1987年7月7日に、久崎、薬師寺、角田、川添の4人はここで行われたキャンプに参加していた。この写真を撮ったのは地元のどら息子である加藤であるが、加藤は焼き増ししてあげると小学生だった久崎をだまし、久崎は少し年上で中学生だった3人に助けられたのだった。3人は加藤を突き落としたが、そのことで警察に入った角田はごろつきとなった薬師寺と川添に強請られ、京都府警が管理していたメタンフェタミンを二人に横流ししていたのだった。それでも更に薬や金を要求してくる川添を自殺に見せかけて殺した。
一方、小学生だった久崎にとって角田は憧れのお兄さんとなった。警察に入ったのも角田と同じ職に就くためであり、京都府警であった任命式を終えた久崎は角田と喜びの対面を果たす。

薬師寺の乗る車が、西院(「さいいん」「さい」という2種類の読み方があるややこしい地名)を西に向かっていることが分かり、土門らは追いかけて丹波インターチェンジまで向かうが、薬師寺の囮だったことが分かる。
薬師寺が実際に向かったのは大阪港だった。以前、川添が働いていた場所だ。そこで久崎から金を受け取ろうとする。久崎は銃口を薬師寺の頭に向けた。

一方、マリコは、加藤は突き落とされただけで死んではおらず、実は這い上がったところを実の父親によって絞殺されていたことを知った。当時、自分達が殺したと思ったのは、子どもたちの思い込みだったのだ。

覚醒剤の横流しを行っていた角田は死を願い、久崎に自分を撃つよう命ずるのだが、久崎は角田の向こうにいた薬師寺の拳銃を弾き飛ばそうとし、角田が久崎の弾道を読んで意図的に飛び込み、間接的な自殺を遂げたのだった。


大阪港で薬師寺は逮捕され、マリコは久崎に話しかける。これまで有能だったが人の気持ちを読むことが苦手だったマリコが初めて人に寄り添う回となった。


光子が超高齢出産での産休で不在という設定になっているが、光子役の深浦加奈子がすでに癌との闘病に入っており、おそらく病状が良くないのでしばらくお休みということにして貰ったのだと思われる。深浦加奈子は最後までごく親しい人にしか癌であることを打ち明けなかったそうで、「科捜研の女」にも復帰し、死の直前まで出演を続けた。いくつかあるドラマの遺作の一つに、「科捜研の女」はなるのかも知れない。現場には癌ではなくもっと軽い病気と説明したのだろう。デスクの上には深浦加奈子の写真と「I'll be back」の文字があった。


Season6 File.2。寺院の本堂で住職が頭を打って死亡する。翌朝、寺の長男(山崎裕太)が遺体を発見する。山崎裕太は「科捜研の女」二度目の出演であるが、「よく似た他人」という設定である。
この寺院の十一面観音は国の重要文化財に指定されている。指定に関与した麻生早紀江(田中美里)は、住職の十一面観音一般公開の方針に反対していた。
早紀江は、文化財保護管理委員会に属しているが、文化庁が京都に来る前なので、京都文化博物館でロケを行った京都文化博物館にいつもはいる。土門とマリコはなぜか、遠回りになるが「ばえる」別館(旧日本銀行京都支店)の方から京都文化博物館に入る。
前田珈琲が入っている中庭でのロケもある。
寺の住職は、重要文化財の十一面観音の模造品を仏師に作らせ、金儲けのための公開を試みるが、それも早紀江が食い止め、住職ともみ合いになり、住職は本尊の台座の部分に頭をぶつけて亡くなってしまったのだった。
ロケ地として大覚寺がクレジットされているが、おそらく塔頭を使って撮影したのだと思われる。他の寺院での撮影も行われたのかも知れない。

浜辺美波の台頭までは、「石川県出身の美人」の代表格だった田中美里。穏やかな役を振られることが多いが、今回は気の強い女性を演じている。

今回はなぜか、マリコと土門が南禅寺の水路閣の横を通るシーンがある。

寺院が舞台であることと、仏像の金銭的価値が描かれているため、いつもはラストクレジットに、「このドラマはフィクションです」と出るだけだが、今回は特別に「どの宗派ともどの寺院とも関係がありません」というメッセージが出た。


Season6 File.3。比較的大きなお屋敷で、老女が頭を打って亡くなっているのが発見される。老女は夫を亡くした2年ほど前から野良猫2匹に餌をあげるようになっていた。
息子の匂坂隆文(さきさか・たかふみ。太川陽介)と娘の美代子は、老女の遺書を読んだが、2匹の猫を世話することが遺産を受け取る条件だった。隆文は稲の花粉のアレルギー症で家も狭いので猫の世話は出来ない。美代子も自宅でフラワーアレンジメントの教室をしているので猫は引き取れない。ちなみに実家の価値は高く、1億円超えになることが見込まれた。
老女は猫に餌はあげるが飼おうとはしなかったため、苦情が出ていた。
マリコは、二匹の猫を見つけるべく、猫のマーキングの調査を始める。例によってしらみつぶしに当たるが、使用している地図に、「宇多野」の地名が入っており、御影堂(みえどう)の文字も見えることから、仁和寺とその周辺でロケが行われたことが分かり、立派なお屋敷も仁和寺の塔頭が用いられている可能性がある。クレジットにも「仁和寺」は出てくる。前回に続き、京都市の西部でのロケが行われた。

今回は掟破りに近い手法が用いられる。演劇界に詳しい人なら知っている俳優が犯人だが、役名は苗字のみで、最後のクレジットには役名すら出ない。そのため、話の筋がまとまっていない印象を受ける。「ノックスの十戒」にはギリギリ引っかからないが。

なお、今回、マリコの父親である伊知郎の前職が考古学の学者であることが判明する。大学の先生とは明かされていたが、科学の話ばかりするので科学の先生だと思っていた。考古学でも炭素判定法など科学は用いるが、いきなり科捜研の所長になるのは無理がある。


「新・科捜研の女」Season6 File.4。京都リサーチパークを社屋に見立てたtvkテレビ京都が登場。実際には、京都にあるテレビ放送局はKBS京都テレビである。KBSだけだと韓国の国営放送と同じになるので、基本、後ろに京都がつく。tvkは、テレビ神奈川のことで、テレビ神奈川よりもtvkテレビの方が使用頻度がずっと高く、関東地方の新聞のラテ欄にもtvkと書かれている。

架空の山である高良岳のハイキングコースで男性の遺体が発見される。高良岳には気象台があり、来場者は名前を残すのだが、事件当日に訪れていたのは五十川純子だけだった。

tvkテレビ京都の昼帯と夕方の天気番組で気象キャスターを務めている五十川純子(三浦理恵子)。視聴者からの局地的な天気を教えてほしいという要望に応えるリクエスト天気予報も好評である。だが、局にはより若い気象キャスターを据えたいという意向があり昼と夕方を降りて朝の天気予報番組に移ってくれないかとの打診があった、
千葉市の幕張新都心の本社を置くウェザーニューズの女性キャスターが人気の昨今であるが、以前からお天気お姉さんは人気の職種である。アナウンサーになりたいけれど難しく、それでもテレビに出たいというので気象予報士の資格を取りにいく人もいる。
ウェザーニューズのキャスターは気象予報士の資格を持っていない人が多いが、今回出てくるtvkテレビ京都の気象キャスターは、気象予報士の資格を持っているという設定である。
気象予報士は簡単に取れる資格ではないが、取れたとしてもそれを生かせる職業に就けるとは限らず、ペーパー気象予報士と呼ばれる人もいる。純子もtvkテレビ京都の気象キャスターになるまではペーパー気象予報士に甘んじていて、望むような仕事には就けなかったようである。
そこで純子は、気象の知識を生かして、辻が行う先物取引に加わった。アメリカのイリノイ州、オハイオ州、ミシガン州の穀物に関する先物取引である。純子はtvkテレビ京都の気象キャスターに抜擢され、先物取引を止めたかったが、辻は暴力団と関係があったため、抜けられなかった。
気象予報を外せば辻が自分を見限るのでは考えた純子だが、先物取引で予想を上回る大赤字が出る。損失補填を求められた純子だが、要求された大金は持っておらず、やむなく辻を殺すことに決めたのであった。
東京の場面があるが、四条烏丸のビル群が映っており、東京に見立てられたのか、あるいはそのまま四条烏丸のビル群として映っているのか、タイミング的に微妙である。

鍾乳洞を使った死亡時間を移すトリックをマリコが見抜くという展開、純子が乱視と遠視のためコンタクトレンズを使っており、辻を殺害する際にコンタクトを落としてしまって眼鏡に切り替えたことが疑惑に繋がるなど、推理ドラマの王道のような回となった。
撮影には京都地方気象台が協力している。


Season6 File.5。マジシャンの回である。英亜呂真(はなぶさ・あろま。高橋ひとみ)が古い小劇場でマジックのショーを行っている間に、楽屋にいた亜呂真の師であるピンキー桃山(森山周一郎)が窓から転落死する。ピンキーは傷害致死で服役し、仮釈放の身分だった。
マリコは状況から、自殺や事故ではなく、殺害の可能性が高いと見る。
亜呂真のマジックディナーショーを見るために、警察部長の佐久間(田中健)を誘う。
真っ赤なドレスは美貴から借りたものだ。土門も会場に。警察の身分があれば入れるようだが、捜査ではないのでお金を払って堂々と正面から入ったのだろう。
マリコは亜呂真に選ばれてマジックのアシスタントになる。
亜呂真のマジックは全て桃山から盗んだものであり、亜呂真は桃山に強請られるのではないかと恐れていた。
吉本のマジシャンである小泉エリが増村幹子役で出演。セリフは一つだけで叫ぶシーンもある。ラストでは手品も演じてみせる。小泉エリは大の好角家であり、高じて力士と結婚。相手が親方に昇進したため、現在は女将さんとなっている。
元々は高橋ひとみはマジシャン並みのトランプ捌きは出来ないので、手の演技を小泉エリにして貰ったのだが、脚本を書き換えて女優としても出演することになったようだ。

高橋ひとみは、「トリック」ではスリット美香子という自称超能力者を演じ、森山周一郎は冒頭のナレーションを担当していた。亜呂真は若い頃はチャイナドレスを着ているので、スリット美香子が思い出される。

師弟の間で考え方に相違があり、それが悲劇へと繋がる展開。最初の頃のマリコは相手の心に疎かったが、人物像が徐々にだが変わりつつある。


Season6 File.6。15年前に起きた誘拐事件。未解決だが、犯人から15年ぶりに接触がある。手紙が届いたのだ。京都駅のカフェテラスで会いたいというものだった。誘拐された子の親である神戸佳子(真行寺君枝)がカフェテラスに向かい、捜査課も客に扮して監視を行う。土門の要請により美貴も科捜研から捜査員に戻り、張り込みを行うが、それらしい人は現れなかった。
だがほぼ同時刻に京都東急ホテルで女性が亡くなる。医療薬の副作用による死であった。誘拐されたのは双子の女の子の片割れである。犯人は誘拐した子を我が子として育てているようで、笑顔の若い女性の映像がVHSに収められていた。前髪を掻き分けるという癖がある。
笑顔の若い女性、美玖の移ったビデオの編集された部分に、一瞬、他の映像が紛れている。上書きしたが残った映像だ。そこには滋賀県のケーブルテレビのロゴが移っていた。そのケーブルテレビが映るのは滋賀県の湖南地区だけだ。美玖はこの地区の高校に通っているはずであり、しらみつぶしに当たった結果、滋賀県内の女子高校に在籍していることが分かった。だが現在は病気で入院中である。院長の勝俣(中山仁)の診断では、「再生不良性貧血」。誘拐した犯人は京都東急ホテルで死亡した女性であり、舞と名付けて育てていた美玖が難病になったので、骨髄移植を求めたのであった。
美玖の双子の妹になる美菜は、最初こそ反抗的だったが、毛髪を提供するなど捜査に協力する。やはり前髪を掻き分ける癖がある。
勝俣は、15年前に誘拐を行った女性の主治医であり、服薬を行っていたが、最後は発作の起こる処方を行っており、死に至らしめた。勝俣の逮捕で事件は解決となる。

京都東急ホテルは実名での協力とロケ地として客室の提供を行っている。
滋賀県が舞台になるということで、滋賀県内の高校でのロケが行われたほか、大津市の琵琶湖畔、なぎさ公演で撮影が行われており、大津港とミシガン、びわ湖ホールの近くの灯籠などが映っているが、びわ湖ホールはロケには用いられなかったようだ。


「新・科捜研の女」Season6 File.7。祇園甲部が舞台になる。ということで、芸舞妓が花見小路を歩く場面があるが、普段は昼間に芸舞妓を見かけることは稀である。
祇園祭の山鉾巡行。長刀鉾などが映る。
新進の日本画家、織部が自宅の居間で遺体となって発見される。日本画の世界なので新進とはいえ48歳である。日本美術の世界では50歳でもまだ若手だ。指揮者の世界に近いものがある。だが、実際に織部が殺されたのは居間ではなく2階のアトリエである可能性が高いことにマリコは気付く。織部の遺体は仰向けで発見されたが、脚の両膝に血が溜まっており、実際にはうつ伏せであった時間が長いことが分かった。なお、織部の自宅であるが、以前に老婆か殺された仁和寺の塔頭を再び使っている。貸してくれる豪邸に見えるロケ先が余り多くないのだろう。
織部の胃の中を調べると、特別良いものを食べたことが判明。
父親で科捜研所長の伊知郎に対して無理矢理科学捜査を押しつけ、香の成分が発見されたことが分かる。匂い袋やを回り、売った先に祇園甲部のお茶屋「福に志」があることが分かる。お茶屋はマリコと最も相性が悪い場所である。
女将の小春(山本陽子)にけんもほろろに追い返されそうになったマリコだが、その時、芸妓の葉月と、舞妓の神無月(木南晴夏)が帰ってくる。木南晴夏が帰ってきた時点で確定してしまいそうだが、この時期の木南晴夏は今と違ってさほど売れておらず、「再現VTRの女の子」という認識だったはずである。旦那の玉木宏が全国区になるのも翌年に連続ドラマ「のだめカンタービレ」が大ヒットしてからである。
花見小路など、祇園甲部の名所が出てくるが、置屋の内部などはセットで撮影していると思われる。
織部がお茶屋で、仕出しの料理を食べた可能性が高いことが分かり、マリコは福に志を贔屓にしている佐久間に頼んで科捜研の面々をお座敷に上げて貰う。マリコはお茶屋で料理を作っているものと勘違いしたが、女将に料理屋の名前を教えて貰い、あの日、織部が福に志でお茶屋遊びをしたことを突き止める。
2階のアトリエに置かれた絵からルミノール反応が出た。犯行の場はアトリエで、そこから1階に遺体を運んだのだった。
アトリエに置かれた絵に、誰かが手を加えたことが分かる。四条大橋の北側から橋と南座を描いたものだが、河原に生える赤い花は後で加えられたものだった。赤い花の部分には口紅がついていた。福に志の女将は、織部に借金があり、「うちが殺しました」と申し出あるが、口紅は下唇にのみ塗られていた。そうした塗り方をするのは店だしから1年以内の舞妓だけであり、舞妓の神無月が犯人だった。神無月は小春の別名があり、女将は神無月の資質を買っていたのだった。
織部は、女将の借金を棒引きする代わりに神無月に絵のモデルになるよう言い、乱暴されそうになった神無月は灰皿で頭を打ったのだった。

マリコが芸妓の格好をして福に志を訪ねるシーンがあるが、実際にそれをやると追い出されそうな。

現在は帝国ホテル京都として生まれ変わった弥栄会館も映っている。

舞妓は中学卒業後に入門するのが一般的だが、高校卒業後に入ってくる人もいる。木南晴夏は舞妓としては年長だが、高校卒業後に入ったという設定である。

芸妓に扮したマリコが、女将から「えずくろしい」と言われる場面がある。「えずくろしい」は「趣味が悪い。気色悪い」という意味だが、美人の沢口靖子が言われているので笑っていられる。


Season6 File.8。
桂川で男性の遺体が発見される。左手にやけどの跡があったが、これが大和石に刻まれた印の文字であることが分かる。
「神の手事件」という現実にあった事件がモチーフになっている。世紀の発見を立て続けに行った考古学の先生が、実はねつ造した遺物を発掘現場に置いてあたかも大発見をしたかのように装った事件で、教科書の書き換えが必要になるなど、大きな影響があった。
15年前、二条院大学という架空の大学の考古学の教授である小山内が、六条門(東本願寺の北。江戸時代初期には六条三筋町という花街があった場所。徳川幕府により急に西新屋敷に移転するよう命じられ、バタバタする様が島原の乱に見立てられて、西新屋敷の通称は嶋原となった)にあった発掘現場で、大和朝廷の時代に作られたと思われる印鑑を発見。「大和石」と名付けた。しかしその後、ねつ造説が出て、大和石も15年前に廃棄されていた。この時期は東本願寺(真宗本廟)は修復工事中で、屋根がかぶせられている。
この回で、マリコの父親である榊伊知郎の前職が大学の考古学研究室の遺跡鑑定だったことが分かる。考古学と科学捜査の両方が専門だったようだ。伊知郎と小山内が古くからの友達であり、大和石を本物と認めたかったのだが、結果としてはねつ造されたものと認めざるを得なかった。小山内は自殺。
やけどの跡に刻まれた大和石に使われた文字は、3世紀以外に中国で実際に使われていたものだった。
小山内の妻は、今は鴨川沿いの川床の一つで働いている。
以前、小山内が大和石を発見した遺跡の後は、今はネオコート六条門となっており、マンションを建設した工務店社長の須川と妻のゆり子と出会う。
自分が鑑定ミスを犯したのではないかと悩む伊知郎はマリコに「警察の仕事を辞めようと思う」と打ち明ける。洛北の景色を見渡す高い場所にあるベランダで撮影が行われているが、ここは京都造形芸術大学瓜生山キャンパスの最上部となる。一般の人は人間館以外には用がないため、知られていない。

15年前に廃棄されたはずの大和石が、桂川で見つかる。 鑑定の結果、大和石は本物だった。
マンションを建てようとしていたゆり子は、発掘を続ける方針の小山内と対立。偽物の大和石を篆刻家の犬養に作らせ、二人で小山内を自殺に見せかけて殺害。だが、犬養に脅されるようになったゆり子は犬養を殺害したのだった。

自殺に見せかけて殺害する場面では、大津市の旧大津公会堂が再び用いられている。


Season6 File.9。小日向文世登場。京北町(現在は京都市右京区に編入)にあると思われる「京北鉄工所」の元経営者、楠見純一役である。古びた京北鉄工所。実はもう倒産しており、間もなく譲り渡す予定である。
女性の死体が見つかり、キッチンに別人のものと思われる吐瀉物が見つかる。更に指紋から嘔吐したのが桐島という男だということが分かる。
そして現場に落ちていた金属片がナットだと判明。同じナットを作る旋盤の種類も分かり、科捜研と捜査課が合同で同じタイプの旋盤を使っている工場をしらみつぶしに当たることになる。そしてマリコが当たったのが京北鉄工所であった。

今回は、沢口靖子と小日向文世の二人だけの場面が長い。

さて、根っからの善人も根っからの悪人も演じられる小日向文世。オンシアター自由劇場の看板俳優の一人として活躍。長男は俳優の小日向星一である。
演劇界では知られた存在だったが、劇団解散後は映像に進出するも上手くいかず、仕事にありつけない日々が続く。木村拓哉主演の連続ドラマ「HERO」への出演で注目を浴びて、ようやく映像方面での俳優として食べていけるようになる。
今回は素朴で臆病な感じの男性として登場するが、次第に殺人を犯したサイコパスの面を見せ始めるという、小日向の演技力が生かせる役である。こういう役をやらせると小日向さんは本当に嫌な人に見える。
天窓があり、ここが効果的に使われている。季節は夏。鉄工所の中は50度を記録する。マリコも楠見も灼熱の中で心理戦を繰り広げる。楠見は基本的に本音を語っているが、「もしこれが嘘だったら」と思うと余計に怖ろしい男である。


「新・科捜研の女」Season6 Last File。
嵐山で白骨死体が見つかったというので、捜査に出掛けた捜査課と科捜研。しかし猪のものだと分かる。帰り道、男が車道に飛び出してくる。危うく避けたが、その男は記憶喪失であった。
再び嵐山の橋の下の河畔で遺体が発見される。身元は会社員の柴田高明と判明。妻の麻美(あさみ。遠野凪子)によると二人は東京で出会い、その後、京都に移住したという。麻美は派遣社員をしている。
記憶喪失の男(東幹久)は、加藤貴子演じる美貴により「嵐山男」と名付けられた。嵐山男は、記憶を失っているが、精緻な住宅の絵を描く。男が持っていたレシートから、東京駅のコンビニで買い物をしており、その後、京都へと新幹線でやって来たようだ。
輸入された梟のサバクコノハズクの羽毛から東京の成増に嵐山男が描いた住宅がある可能性が高いことが分かる。成増にやって来るマリコと日髙。ペットショップでサバクコノハズクを探すうちに、嵐山男が描いた家を発見する。男は家の前の持ち主であった。成増のシーンはおそらく実在の成増ではなく京都市内で撮られていると思われる(不動産の「京都ライフ」の看板が映っている)。
嵐山男の身元が判明する。柴田高明。橋の下で死亡していた柴田高明はなりすましで本名は塚本一義。麻美が駆け落ちし、元夫の名前を今の夫に与えていたのだった。
殺しの犯人は麻美であった。派遣社員の社員証を下げる紐で夫を絞め殺していた。

遠野凪子(遠野なぎこ)は十代の頃は可愛い系だったのだが、心労が重なったためか次第に険しい顔つきになっている。子どもの頃から両親にDVを受けており、子役になったのも両親が子どもで儲けたいからであった。その結果、人格に歪みが生じてしまったのかも知れない。十代半ばで武満徹の名曲「系図 -family tree-」初演の語り手を務めた時がピークだったように思う。ただこの時期にも自殺未遂をしている。
45歳で孤独死。事故死とされる。

深浦加奈子が復帰。高齢出産という設定である。ただ通常ではない起用法である。深浦加奈子は癌を隠したが、気付いていた人もいたかも知れない。

ノンクレジットでいきなり出てきたりする神出鬼没の女優である加藤貴子は周りを明るくするタイプで、見えないところでも貢献しているように思う。


Season6の特徴として、画面のサイズが変わり、ロケ場所が定まらなかった洛北医科大学が京都造形芸術大学に決まったこと、これまでは烏丸通より東にロケ地が集中していたが、このSeasonからは烏丸通よりも西でロケが行われることが増えたことが挙げられる。

ラストは、南禅寺の楼門前を京都府警と科捜研の面々が横一列になって階段を降りてくるシーンであった。

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2026年5月 3日 (日)

これまでに観た映画より(435) 「四月物語」@T・ジョイ京都

2026年4月23日 イオンモールKYOTO内のT・ジョイ京都にて

イオンモールKYOTO内の映画館、T・ジョイ京都で、岩井俊二監督デビュー30周年記念特別上映「四月物語」を観る。上映時間67分。折に触れて観てきた愛らしい作品である。松たか子初主演映画。松たか子初出演映画である「東京日和」(竹中直人監督&主演。中山美穂主演)も今はなきシネマックス千葉という映画館で観ていて、こちらも優れた映画であるが、ロードショー時以降観ていないはずである。「東京日和」は岩松了によるシナリオブックも持っていたのだが、不思議ともう一度観ようという気にならないまま今まで来てしまった。
「四月物語」は今日が上映最終日。明日もやる映画館もいくつかあるようだが、京都は今日が締めである。ロードショー時に、東京・渋谷にあったシネアミューズで観て以来のスクリーン鑑賞。

脚本・監督・音楽:岩井俊二、主演&ピアノ演奏:松たか子。出演:松本幸四郎、市川染五郎、松本紀保、藤間紀子(九代目松本幸四郎夫人、松たか子の実母)、津田寛治、光石研、加藤和彦、江口洋介、石井竜也、伊武雅刀、藤井かほり、田辺誠一ほか。

北海道旭川市で生まれ育った楡野卯月(松たか子)が、武蔵野大学に入学し、慣れない東京生活や一人暮らしを経て、高校時代の純愛に結びつく話である。相手役の田辺誠一であるが、この後に撮られた松たか子のシングルのMVに出演しており、倦怠期の男女が描かれているが、「四月物語」 の続編ではない。
音楽:CLASSICとなっているが、実際に音楽を担当したのは岩井俊二監督であり、ピアノを弾いているのは松たか子で、アルバム「四月のピアノ」も発売された。ちょっとたどたどしい感じの音楽である。dtsデジタルサウンド採用。松たか子は、子どもの頃にピアノの先生から「プロを目指そう!」と言われるほど筋が良かったようだが、練習のしすぎで血を吐いて倒れ、諦めている。プロのピアニストでも血を吐くまでピアノの練習はしない。松たか子の集中力の高さが分かるエピドードでもある。

武蔵野大学であるが、映画公開当時は架空の大学であった。しかし浄土真宗本願寺派の武蔵野女子大学が共学化して武蔵野大学となり、実在する大学となった。共学化したことで、文学部のみの単科大学だったのが、社会科学系や福祉系の学科を増やし、西東京市から有明にも進出して、「共学化して最も成功した大学」として、有名になっている。卯月は武蔵野大学を知らなかったが、友人が「有名」と応えている。架空の武蔵野大学も実在の武蔵野大学もどちらも有名となった。

入学式のシーンは、吉祥寺にある成蹊大学の入学式に潜り込んで撮影している。普段過ごしているキャンパスは、栃木県小山市の白鷗大学で撮影を行っている。自転車などで走る街路は東京都国立市、田辺誠一演じる山崎先輩がアルバイトしている武蔵野堂書店や、加藤和彦演じる画廊の紳士・加藤が出てくる建物などは千葉市の幕張新都心で撮影が行われている。

何度か感想を書いていて、冒頭のシーンは明かしていなかったが、松たか子の実の両親と姉弟が駅のホームに勢揃いしている。これから東京に向かう卯月を送るためだが、カメラが被写体を追って動いたり、出演者達がカメラ目線になるため、カメラのレンズが卯月の虹彩となっていることが分かる。

学部に関しては不明。経済学の授業を受けている場面があるが、まだ一般教養だけを受けている状態なので、判然としない。ただ赤本に載っていた架空の武蔵野大学の情報を見ると文系だけの大学らしいことが分かる。

 

東京の怖さに触れる場面、「生きていた信長」というB級映画を観ている映画館(武蔵野館という実在の映画館名であるが、実際は幕張新都心に外観だけこしらえている)で卯月に近づいてくる男を演じているのは光石研である。当時はほぼ無名である。卯月が映画館に忘れ物をしたため、届けようと追いかけてくる場面もある。

卯月は、下の階に住む照子(藤井かほり)に引っ越しの挨拶に行くが、今はする人は少ない。女の一人暮らしだと分かると危ないからである。
卯月と照子がカレーを食べるシーンがあるが、メイキングによると松たか子が実際にカレーを作っており、スタッフが美味しそうに食べている。

冒頭の桜のシーンであるが、ほぼ全部造花で、大量投下作戦を行っている。若い頃の松たか子は、経験よりもDNAが勝つからか、今よりも歌舞伎の家出身というカラーが強い印象である。近頃の方が柔和な感じだ。
そんな松たか子だが、昨年公開された映画「ファーストキス 1ST KISS」では見事に若返った姿を披露している。

 

成績不振気味だった卯月が、山崎先輩と同じ武蔵野大学に入るために学力を上げ、合格したことを担任の森山先生は「奇跡」と言ったが、卯月は「愛の奇跡」と呼んでいる。少女マンガ的で私などは聞いていてこそばゆくなってしまう。岩井俊二監督が少女マンガを描いていた影響が出ているのかも知れない。

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2026年5月 2日 (土)

忌野清志郎 「満月の夜」(忌野清志郎 Official Channel バージョン)


2026年5月2日は満月の夜です。

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2026年5月 1日 (金)

コンサートの記(956) 尾高忠明指揮大阪フィルハーモニー交響楽団第597回定期演奏会

2026年4月10日 大阪・中之島のフェスティバルホールにて

午後7時から、大阪・中之島のフェスティバルホールで、大阪フィルハーモニー交響楽団の第597回定期演奏会を聴く。指揮は大フィル音楽監督の尾高忠明。
今年に入ってからスケジュールが合わず、久しぶりの大フィル定期である。枚方での特別演奏会などは聴いている。

曲目は、尾高尚忠(ひさただ)の交響曲第1番、ディーリアス作曲(ビーチャム編曲)の歌劇「村のロメオとジュリエット」より間奏曲“楽園への道”、エルガーの「エニグマ」変奏曲。尾高の十八番が並ぶ。
コンサートマスターは須山暢大、フォアシュピーラーに尾張拓登。ドイツ式の現代配置での演奏である。

 

尾高尚忠の交響曲第1番。戦中・戦後を代表する音楽家の一人、尾高尚忠。尾高忠明の父親である。ユダヤ人であっためドイツを離れ、日本に来ていたクラウス・プリングスハイムに指揮と作曲を師事。プリングスハイムはマーラーの弟子であり、尾高尚忠はマーラーの孫弟子ということになる。戦前にはウィーンに留学し、フェリックス・ワインガルトナーに指揮を習っている。ベルリン・フィルの指揮台にも立った。
戦中の1942年にNHKの資本を受けた日本交響楽団(現・NHK交響楽団)の常任指揮者として活躍し、作曲も行った。しかし過労が祟り、1951年に39歳の若さで死去。NHKによる酷使が問題視され、「NHKが尾高を殺した」という文句が躍った。
尾高氏は渋沢栄一の子孫に当たる名家。尾高忠明の兄である尾高惇忠は作曲家である。
尾高尚忠の交響曲第1番は単一楽章の交響曲と思われており、1948年に完成し、「平和のために世界に贈る交響曲懸賞」で第1位を獲得。同年、作曲者指揮の日本交響楽団によって初演されている。
しかし、2005年に遺品の中から第2楽章が見つかる。ほぼ完成形に近い出来で、発見者である尾高惇忠の補筆により、2006年に外山雄三指揮のNHK交響楽団によって2楽章版が初演されている。なお、第2楽章の最後に「アタッカ(続けて入る)」の表記があったことから、少なくとも3楽章以上からなる曲想の存在が明らかになっている。

天地を揺るがすような巨大な音によってスタート。大阪フィルの機能の高さもあって、大軍による前進が続く。平和のために書かれた曲のはずだが、戦のおぞましさが描かれているのだろう。マーラーの孫弟子ということで、影響を受けているのは明らかで、この時代にここまで力強い楽曲を書いていた人は少数派であろう。マーラー自体、ウィレム・メンゲルベルク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(現ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)による演奏が高い評価を受けていたが、マーラーの愛弟子であるブルーノ・ワルターはユダヤ人だったため、ナチスから逃れるのに必死でマーラーの曲の演奏は限られ、それ以外ではマーラー作品は「おどろおどろしくて不気味な曲」として評価されていなかった。そんな中、マーラーの音楽性を受け継ぐ作曲家が東洋の島国に現れたというのはかなり驚くべきことである。
第2楽章は第1楽章と異なり耽美的であるが、「大地の歌」に繋がるものが感じられる。東洋的な曲想も顔を覗かせるが、尾高尚忠は正真正銘の東洋人。ということでマーラーを凌ぐオリエンタルな典雅さが花を咲かせている。
晴れた日に散りゆく桜を眺めながら、春の名残を味わうようなそんな趣である。

この後に「アタッカ」で来るなら、第1楽章のような鋭い音楽だった可能性が高いが、それはもう想像するしかない。

 

休憩後、ディーリアス(ビーチャム編曲)の歌劇「村のロメオとジュリエット」より間奏曲“楽園への道”。楽園というのはいわゆる楽園ではなくて、劇中に出てくる居酒屋の名前だそうである。
繊細な作風で知られるディーリアス。英語圏では知名度が高いが、それ以外ではさほど有名ではない。一時、出谷啓がやたらと推していた作曲家である。ビーチャムによる編曲版であるが、指揮者のサー・トーマス・ビーチャムはディーリアスの良き理解者であった。

ディーリアスは、オランダ系ドイツ人の両親の下、イングランドの裕福な商家に生まれるが、商売には興味がなく、アメリカに行ってフロリダでオレンジ栽培をしながら黒人霊歌に興味を持ち、ドイツに渡ってライプツィッヒ音楽院で教育を受けてパリで作曲活動をスタート。ライプツィッヒ音楽院では留学していたグリーグと出会っている。
デビュー後、40歳近くになって名声を得るようになるが、次第に梅毒に悩むようになり、最後は失明しながらも作曲を続けた。
歌劇「村のロメオとジュリエット」より間奏曲“楽園への道”であるが、穏やかで優しい弦の響きが次第に輝きを増したかと思うと、一瞬不吉な旋律が現れ、元へと戻っていく。
歌劇「村のロメオとジュリエット」であるが、やはりバッドエンドのようである。

 

エルガーの「エニグマ」変奏曲。ニムロッドの大英帝国の栄耀栄華を描いたかのようなゴージャスで輝かしくノーブルな響きが印象的であるが、それ以外の曲も堂々且つチャーミングで、「イギリスを代表する1曲」といっても過言ではないだろう。
「エニグマ変奏曲(謎の変奏曲)」は、二人芝居のタイトルになっており、南座で一度観たことがある(沢田研二と杉浦直樹)が、上演は余り多くないようである。「エニグマ変奏曲」に「書かれていない謎」があることから、それ同様に登場人物の一人である小説家の小説にも書かれていない謎があり、それを探るという内容。実際、エルガーは、「演奏されない中心的主題」があると記しており、その謎は今も解かれていない。
尾高の十八番である「エニグマ」変奏曲。余り腕を振らずにオーケストラを操ることが可能である。「ニムロッド」の最初の方は腕をほとんど動かさずにオーケストラに任せていた。「ニムロッド」が終わってからは少し間を置いて演奏を再開し、「ニムロッド」が他よりも一段格上の音楽であることを示していた。
ベストかと言われるとそうではないかも知れないが、「尾高らしいエニグマ」というべき仕上がり。エルガー作品の良き表現者によるエルガーを聴けるのは幸せなことである。

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