これまでに観た映画より(435) 「四月物語」@T・ジョイ京都
2026年4月23日 イオンモールKYOTO内のT・ジョイ京都にて
イオンモールKYOTO内の映画館、T・ジョイ京都で、岩井俊二監督デビュー30周年記念特別上映「四月物語」を観る。上映時間67分。折に触れて観てきた愛らしい作品である。松たか子初主演映画。松たか子初出演映画である「東京日和」(竹中直人監督&主演。中山美穂主演)も今はなきシネマックス千葉という映画館で観ていて、こちらも優れた映画であるが、ロードショー時以降観ていないはずである。「東京日和」は岩松了によるシナリオブックも持っていたのだが、不思議ともう一度観ようという気にならないまま今まで来てしまった。
「四月物語」は今日が上映最終日。明日もやる映画館もいくつかあるようだが、京都は今日が締めである。ロードショー時に、東京・渋谷にあったシネアミューズで観て以来のスクリーン鑑賞。
脚本・監督・音楽:岩井俊二、主演&ピアノ演奏:松たか子。出演:松本幸四郎、市川染五郎、松本紀保、藤間紀子(九代目松本幸四郎夫人、松たか子の実母)、津田寛治、光石研、加藤和彦、江口洋介、石井竜也、伊武雅刀、藤井かほり、田辺誠一ほか。
北海道旭川市で生まれ育った楡野卯月(松たか子)が、武蔵野大学に入学し、慣れない東京生活や一人暮らしを経て、高校時代の純愛に結びつく話である。相手役の田辺誠一であるが、この後に撮られた松たか子のシングルのMVに出演しており、倦怠期の男女が描かれているが、「四月物語」 の続編ではない。
音楽:CLASSICとなっているが、実際に音楽を担当したのは岩井俊二監督であり、ピアノを弾いているのは松たか子で、アルバム「四月のピアノ」も発売された。ちょっとたどたどしい感じの音楽である。dtsデジタルサウンド採用。松たか子は、子どもの頃にピアノの先生から「プロを目指そう!」と言われるほど筋が良かったようだが、練習のしすぎで血を吐いて倒れ、諦めている。プロのピアニストでも血を吐くまでピアノの練習はしない。松たか子の集中力の高さが分かるエピドードでもある。
武蔵野大学であるが、映画公開当時は架空の大学であった。しかし浄土真宗本願寺派の武蔵野女子大学が共学化して武蔵野大学となり、実在する大学となった。共学化したことで、文学部のみの単科大学だったのが、社会科学系や福祉系の学科を増やし、西東京市から有明にも進出して、「共学化して最も成功した大学」として、有名になっている。卯月は武蔵野大学を知らなかったが、友人が「有名」と応えている。架空の武蔵野大学も実在の武蔵野大学もどちらも有名となった。
入学式のシーンは、吉祥寺にある成蹊大学の入学式に潜り込んで撮影している。普段過ごしているキャンパスは、栃木県小山市の白鷗大学で撮影を行っている。自転車などで走る街路は東京都国立市、田辺誠一演じる山崎先輩がアルバイトしている武蔵野堂書店や、加藤和彦演じる画廊の紳士・加藤が出てくる建物などは千葉市の幕張新都心で撮影が行われている。
何度か感想を書いていて、冒頭のシーンは明かしていなかったが、松たか子の実の両親と姉弟が駅のホームに勢揃いしている。これから東京に向かう卯月を送るためだが、カメラが被写体を追って動いたり、出演者達がカメラ目線になるため、カメラのレンズが卯月の虹彩となっていることが分かる。
学部に関しては不明。経済学の授業を受けている場面があるが、まだ一般教養だけを受けている状態なので、判然としない。ただ赤本に載っていた架空の武蔵野大学の情報を見ると文系だけの大学らしいことが分かる。
東京の怖さに触れる場面、「生きていた信長」というB級映画を観ている映画館(武蔵野館という実在の映画館名であるが、実際は幕張新都心に外観だけこしらえている)で卯月に近づいてくる男を演じているのは光石研である。当時はほぼ無名である。卯月が映画館に忘れ物をしたため、届けようと追いかけてくる場面もある。
卯月は、下の階に住む照子(藤井かほり)に引っ越しの挨拶に行くが、今はする人は少ない。女の一人暮らしだと分かると危ないからである。
卯月と照子がカレーを食べるシーンがあるが、メイキングによると松たか子が実際にカレーを作っており、スタッフが美味しそうに食べている。
冒頭の桜のシーンであるが、ほぼ全部造花で、大量投下作戦を行っている。若い頃の松たか子は、経験よりもDNAが勝つからか、今よりも歌舞伎の家出身というカラーが強い印象である。近頃の方が柔和な感じだ。
そんな松たか子だが、昨年公開された映画「ファーストキス 1ST KISS」では見事に若返った姿を披露している。
成績不振気味だった卯月が、山崎先輩と同じ武蔵野大学に入るために学力を上げ、合格したことを担任の森山先生は「奇跡」と言ったが、卯月は「愛の奇跡」と呼んでいる。少女マンガ的で私などは聞いていてこそばゆくなってしまう。岩井俊二監督が少女マンガを描いていた影響が出ているのかも知れない。
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