カテゴリー「落語」の12件の記事

2019年11月22日 (金)

「志の輔らくご in 森ノ宮2019」

2019年11月14日 大阪の森ノ宮ピロティホールにて

午後6時30分から、大阪の森ノ宮ピロティホールで、「志の輔らくご in 森ノ宮2019」を観る。

まず志の輔の弟子が落語を披露する。六番弟子だという立川志の大の「一目上がり」と、七番弟子だという立川志の麿の「初天神」。

志の大は、「空気を読みまして、15分のところを10分で終えようと思います」と言ってから始める。「一目上がり」は、「自画自賛」という言葉でも知られる絵の「賛」という言葉をご隠居から教わった八っつあんが、出会う相手に「賛ですね」と知ったかぶりをして詩である「詞」だと言われ、次に出会った人に「詞ですね」やはり知ったかぶりをして、悟りの「悟(ご)」だよ言われるという、同音異義の漢字が繋がる話である。次に出会った人に八っつあんは、「次は六だろう」と先手を打つが、実際は「七福神」が来たという話である。

「初天神」は、始めて天神のお祭りに行く親子の話である。ラストでは父親が子どもが蜜団子を買うのだが、今、コンビニで同じ事をやって目撃談が投稿されたら炎上しそうなことを行ってしまう。

 

志の輔登場。まずは「買い物ぶぎ」。もう11月ということで、「振り返ってみると災害以外はラグビーのことしか記憶にない」「にわかラグビーファンが増えた」「私もその一人」という振りを行い、ここ数年は東南アジアで公演することが多いという話から始める。昨年、春秋座で語ったのと同じ枕である。午前11時台の飛行機に乗ると、時差もあって午後5時にはタイのバンコクに着いてしまい、現地時間の午後7時から独演会を行って、終演後に一杯やっていると、「師匠、時間がありますので」と言われる。午前0時発羽田行きの飛行機が出ていて、その日のうちに帰れるそうだ。

海外で公演を行うと、大使といった普段会えない人にも会ったりするという。「60歳ですが、落語を生で観たのは初めてです」と言われ、表向きは「初めての生の落語が私。光栄です」と応えるのだが、内心は「初めて? その年で? 今までなにやってたの? 大使ってのは現地に日本文化を広めるのが役割じゃないの?」と思うそうだ。まあ、当然である。
昨年はベトナムのホーチミンがあり、折角なので志の輔の出身地である富山の「こきりこ節」を前座で上演しようということになる。富山から保存会の方がホーチミンまで来て上演を行う。志の輔は、それを舞台袖のパイプ椅子に腰掛けて見ていたそうだが、客席が沸いているのを見て感涙の涙を流したという。だが、それは「私、18歳まで富山で過ごしていたんですが、こきりこ節を生で見るのは、その時が初めて」「ということで、落語を見るのは今日が初めてという方も全然問題ない」と、「にわか」がここに掛かる。

志の輔は現在は折りたたみのものではなく長財布を愛用してるのだが、お札だけではなく必ず200円分のコインを用意しているそうである。羽田空港には最新式のマッサージチェアが設置されていて、その使用料が200円なのだそうだ。最新式のマッサージチェアは「かゆいところに手が届く」ほど心地よいそうで、「中に人が入ってるんじゃないか?」(「人間椅子」である)というほどだそうで、志の輔は搭乗する前には必ずマッサージチェアで10分間、至福の時を味わうそうだ。
長崎まで日帰り公演に行った時のこと。朝7時25分に羽田を発つ飛行機に乗る。長崎空港までは1時間半で着くが、公演会場までは長崎空港から車で2時間掛かったそうである。公演を終え、本当なら長崎の中華街でグルメと行きたいところだったのだが、日帰りなので、長崎空港発羽田行きの飛行機に今日中に乗らなくてはいけない。長崎空港でマッサージチェアを楽しもうとした志の輔であるが、200円入れても動かない。人を呼ぼうとするが、JALの人もANAの人もマッサージチェアに詳しいとは思えない。売店のお姉さんが目に入るが、少し距離があるのでマッサージチェアから離れないといけない。その間に他の人にマッサージチェアを取られても困る。バッグには貴重品が入っているので椅子取りをするのも不用心である。
実は、長崎空港のマッサージチェアの使用料は300円だったのである。「羽田空港のマッサージチェアが300円で長崎空港のマッサージチェアが200円ならわかりますよ」「でも生意気、いやいやこんなこと言っちゃいけない」。結局、マッサージチェアは使えず、200円も戻って来ず、長崎空港を離れることになったのだが、飛行機の中でイライラ。理由は「次に使う奴は100円でいい」からだそうである。
今は街にものが溢れている。江戸時代はものがなく、上方落語でも江戸落語でも「なんとかして酒を吞む機会にありつきたい」という渇望が描かれているのだが、今はものだらけで江戸時代の人が今の時代に来たら頭が混乱するというところから、本題に入る。

舞台はドラッグストアである。奥さんが風邪を引いたというので風邪薬を買いに来た男が、ついでに奥さんに頼まれたものを買うことにする。相手をするのは勤務歴3ヶ月のアルバイトの男性。店長は生憎、食事のために出掛けている。
森の香りがする「森の妖精」という消臭剤を買うことにするのだが、「森に行ったときに便所のことを思い出したから困る」「匂いを吸い込むんでしょ? 森の香りは吸い込まないの?」
クリーナーモップは用途別になっているため迷うのだが、なんでも用もあるので、「それは変でしょ?」となる。
風邪薬は山のようにあるのだが、「鼻水と鼻づまりに両方効くってどういうこと?」
歯磨き粉も種類が多い。虫歯対策の他に、「歯を白くする」「口臭予防」などの種類があるが、「歯が白くなっても抜けたらなんの意味もない」と文句を言う。

トイレットペーパーの「お得用二枚重ね」も「自分で二枚重ねにするよりお得ってこと?」と詰め寄ったりする。男が棚の後ろにいる時に店長が買ってきて、アルバイトの男性は、聞かれたことをそのまま店長に伝えるのだが、「そんな馬鹿な質問をする奴がどこにいるんだ?」と言うと、文句ばかり付ける男が出てきて「馬鹿とはなんだ」、「馬鹿とは言っていない」と言い合いになる。
だが、その時におばさんの客が一人、口を出す。実は風邪薬を買いに来た男とアルバイトの男性がやり取りを始めるずっと前から店内にいたのだが、ずっと相手にされないため怒り心頭に発したのだ。「馬鹿だの馬鹿じゃないのってないで、馬鹿を治しな!」と言うのだが、「馬鹿に効く薬はありません」

 

 

15分の休憩を挟んで、「徂徠豆腐」が演じられる。まず、毎年、胃と腸の検査をして貰っているという話から入る。「5年ほど前までは、(NHKの某番組で)人に勧めているだけだったんですが」やはり年齢もあって検査して貰うようになったそうだ。志の輔は目黒区の外れの方に住んでいるのだが、胃と腸の検査は多摩川を越えた神奈川県相模原市の病院でやって貰っているという。その病院の先生が理解のある人で、芸能活動で時間がないだろうからということで、胃と腸の検査を同時に――といっても上と下から一度にカメラを入れるわけではないのだが――やってくれるというので、相模原まで出掛けているそうだ。
病院の先生は尊敬されているからいいが、看護婦さん(今は看護婦ではなく看護師を使うことが多い)はそれほど尊敬されているというわけでもない。だが、看護婦さんこそ立派な職業だという。薄給であり、少なくとも豪邸に住んだりベンツを乗り回している看護婦さんというのは聞いたことがない。彼女たち本人は進んで看護婦になったと思っているだろうけれど、実際は医学の神様から選ばれた人がなっているのだろうと志の輔は述べる。消防士もまた大変な仕事で、時間を選ばず火事は発生する。火事が発生するや消防士はポールを下りて(今はポールを下りる習慣はなくなったようだが)現場へ向かう。それでいて少しでも到着が遅れると怒られたりする。消防士達も消防の神様から選ばれたのだろうという話をする。火事の話は「徂徠豆腐」本編に繋がっていく。
江戸・増上寺のそばに住む上総屋七兵衛という腕の良い豆腐屋が主人公である。ある日、七兵衛が豆腐を売り歩いていると、髭面の男の呼び止められる。豆腐は1つ4文だが、髭面の男は「ツケにしてくれ」という。髭面の男は豆腐が何よりも好物だそうである。次の日も七兵衛は髭面の男に豆腐2丁を売る。昨日の分と合わせて12文なのだが、髭面の男は実は無一文であることがわかる。髭面の男は市井の学者なのだが、金の入る仕事はしておらず、日々読書をして暮らしているそうである。いずれ世のためになるべく勉強している学者であり、今は金はないが、世に出たら返すと髭面の男は言う。七兵衛は、「豆腐じゃなくて握り飯を食べたらどうか」というが、学者は「握り飯はいかん。豆腐屋から握り飯を貰ったのでは、施しを受けるということになる」と主張する。七兵衛は、「あんた頭が硬い。握り飯の形をした豆腐だと思って食えば良い」と言う。七兵衛は、学者におからを分けてやったりする。
その直後に七兵衛は体調を崩し、十日ほど仕事を休んだのだが、再び学者の家にいるとすでに引っ越した後だった。
七兵衛は腕の良い豆腐屋で、上総屋の豆腐の味は口コミによって大評判となり客が押し寄せる。七兵衛夫婦は付近の町のことを「良いちょうない、良いちょうない」と「ビフィズス菌のように」話すのだが、「火事と喧嘩は江戸の華」ということで、大火が夫婦を襲う。江戸は大火が多く、「明暦の大火といいまして、火元は本郷、文京区本郷です。私の母校である東京大学(?)の近くで」「死者は十万余人に及んだという。以前、東北地方でこの話をしたら、『ずいぶん細かく数えられたのね』と言われたんですがその四人ではなく」。ともかく、大火によって上総屋は焼けてしまい、七兵衛夫婦は長屋に身を寄せる。七兵衛は自分より腕の悪い豆腐屋に務めるのは嫌だというのだが、他に良い算段も思いつかない。そこへ、謎の男が現れて七兵衛夫婦に十両を渡す。七兵衛の妻は、「置き泥棒」だと夫に言う。十両を借金させて、手元に金がなくなった時に黒幕が現れて、借金のカタとして妻を貰っていくという段取りなのだと推測する。

その後、色々あるのだが、いちいち書いてもなんなので、髭面の男は実は儒学者の荻生徂徠であり、引っ越したのは側用人で実力者の柳沢吉保に引き立てられたからだったのだ。そんな折り、上総屋が火事で焼け出されたという話を耳にしたのだが、仕えている身であるため無闇に出掛けることもままならない。そこで当座の金として十両を届けさせたのである。

「上演が終わって、森ノ宮の駅に向かう時に、後ろからポンと肩を叩かれて、振り返ると『日本で一番上演されている劇はなんだか知ってるかい?』と聞かれる。そんなことはまずないんですが」という形で話されるのだが、日本で一番上演されている演目、「忠臣蔵」で、浪士達自らが申し出て切腹するという結末に導いたのが荻生徂徠だとされている。ちなみに志の輔は、大阪・日本橋の国立文楽劇場で数回に分けて上演された「仮名手本忠臣蔵」は全て観たそうで、知り合いの作曲家である三枝成彰から電話を貰って、彼が作曲したオペラ「忠臣蔵」(台本は島田雅彦が書いている)も渋谷のオーチャードホールで観たそうだ。オペラ「忠臣蔵」は素晴らしかったそうだが、オペラなので歌いながら切腹しなければならず、なかなか死ねないということに違和感も持ったそうである。

十両を渡しに来た男が再び七兵衛の家にやって来る。そしてその後からいかにも偉そうな男が入ってくる。七兵衛の妻は、「黒幕よ!」というが、いい男だったので七兵衛を捨てて男について行く気満々である。だが、その男こそ荻生徂徠であった。髭を剃り、さっぱりしていたので七兵衛は最初、気づかなかったのだ。荻生徂徠は、七兵衛のために上総屋の焼け跡に元より立派な店舗をこしらえていた。道具も最上級のものが揃っている。荻生徂徠は、縁者が一人もいないので、七兵衛の親類にして欲しいと頼むが、七兵衛は断り、逆に七兵衛が徂徠の親類に入ることを提案する。

新しくなった上総屋で、七兵衛は最初の豆腐を作り、大学者となった徂徠に献上する。感謝の言葉を述べる七兵衛に徂徠は、かつて七兵衛に「握り飯だと思うな。握り飯の形をした豆腐だと思え」と言われたことを受けて(七兵衛は自分が言ったことを覚えていなかったが)、「店だと思うな。店の形をしたおからだと思え」

 

カーテンコールで志の輔は、フェニーチェ堺の小ホールのこけら落とし公演に出たことを語り、更に池袋にオープンする大規模劇場のこけら落としにも出演が決まっていることを知らせる。そして、新たにオープンするパルコ劇場のこけら落とし公演として1ヶ月出続けることを告知するのだが、その後に渡辺謙主演の演劇を2ヶ月上演するそうで、「演劇の上演の前に、照明や音響の調整をするのに私でいいってことになったんじゃないか。演劇の小屋ですからね。落語は演劇よりも照明も音響も楽でしょうし。なんかあっても私一人のせいにすりゃいいってことで」と冗談を言っていた。
更に、「1ヶ月、20回も公演を行いますので、いくら大阪に住んでいるからといっても観に来られない理由はない」

 

志の輔の芸が弟子二人とは比べものにならないのは当然としても、見事な出来である。志の輔が一人で語っているだけなのだが、目の前に半透明のスクリーンが浮かんでいて、そこに次々と映像が投影されていくような、強烈なイメージ喚起力を持つ語りである。登場人物が皆生き生きとしており、全ての人物に存在感が吹き込まれている。
軽妙にして骨太、豪快にして繊細、緩急の手綱裁きの巧みさ、人物対比の見事さ、押しと引きの交代の妙、場面転換の鮮やかさ、まるで一人で壮大な言葉の交響曲を奏でているかのようであった。

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2019年10月13日 (日)

真宗大谷派岡崎別院 「落語と石見神楽の夕べ」

2019年10月9日 左京区の真宗大谷派岡崎別院にて

午後7時から、真宗大谷派岡崎別院で「落語と石見神楽の夕べ」を観る。石見神楽の上演は大阪市寝屋川市に本拠を置く伝統芸能杉本組、落語の上演は笑福亭仁智。司会は昨年同様、フリーアナウンサー兼タレントの元谷朋子(もとたに・ともこ)。

岡崎別院の本堂での上演となるのだが、無料公演とあって満堂となる。岡崎別院の本堂はそれほど大きくないので、石見神楽と聞いて浮かぶオロチの舞などは行われない。演目は、二人で演じられる「恵比須・大黒」である。まず神楽の説明がある。神楽は宮中で行う御神楽(みかぐら)とそれ以外で行う里神楽に分かれ、石見神楽は里神楽に当たり、神職によって伝えられてきたのだが、維新後に明治政府から、「神職が芸人のようなことをすべきではない」として禁じられ、その代わりに氏子達によって発展したという。その後に楽器体験のコーナーや演者の衣装や面(動きが激しいので軽くする必要があり、和紙で出来ている)の紹介もある。
二人で祝いの舞を舞った後で、他の座員が手にした鯛の模型を使っての釣りの踊りが披露される。いずれもコミカルな舞であり、華やかでエネルギー放出量豊かだ。
恵比須は、この舞では大国主命の息子である事代主(島根県松江市の美保神社の祭神)ということになっているようだ。

 

笑福亭仁智による落語。「牛ほめ」と「いくじい」の2席が演じられる。
昨年の6月に上方落語協会の会長に就任した仁智であるが、それ以降、天満天神繁昌亭が地震や台風、経年劣化で提灯が落ちたために行われた修復工事などでたびたび休館することになったという話から入る。
「牛ほめ」は、池田のおじさんが新たに普請した邸宅を褒めに行き、大黒柱の縁起の悪い形の節(死に節)の対処法を説けばお駄賃が貰えると親族(詳細不明)から言われた大阪の男の話である。命じる側は教養があるので、様々な褒め言葉を使って文章を聞かせるが、聞く方は頭が弱いので、勘違いをしたり書くべきでないことまで記してしまう。実は男は少し前に普請を見に行ったのだが、「大工4人で3ヶ月掛けた家」だと自慢されたので、「大工4人で建てても燃えるときゃ一晩だ」、「玄関が狭いね。これじゃ葬式の時に棺桶が通らない」、「こっちは通るが広すぎてあんただけじゃなく家族全員の棺桶が一度に出せる」などと暴言を吐きまくっていたことがわかる。
言われたことをよく覚えてから池田のおじさんの普請に向かうよういわれた男だが、ものぐさなので何も覚えずに池田へと向かう。そして懐に隠したアンチョコを見ながら喋るのだが、「備後の畳」を「貧乏の畳」と読み間違えるなど散々。ただ、大黒柱の不吉な節を秋葉権現(秋葉原の語源としても知られる火の神様)のお札を貼れば良いと教わったままに提案してご褒美を貰うという話である。
今度は牛を褒めに行く話になるのだが、男は勘違いして娘を牛に例えて大失敗するという展開になる。

「いくじい」。ヤクザの家族の話である。ヤクザの柴田乙松が年を取ったので引退することを決め、「イクメン」が流行っているので孫を育てる「いくじい」になったらどうかと弟分の源太から提案される話である。まず乙松が風呂に入るので、「バブを持ってきてくれ」と源太に命じるのだが、「バブバブっておしゃぶりでっか?」と勘違いされたり、バブを渡されたと思ったらポリデントだったり、バブとポリデントを見間違えたため「視力はいくつだ?」と聞くと「24です(視力を4×6だと勘違いしたのだ)」と返ってきたり、トンチンカンなやりとりから入る。
さて、乙松が孫の面戸を見るようになってからしばらく経った頃のこと。孫が小学校でおかしな振る舞いをするようになったというので、乙松とその息子は担任に呼ばれて学校に出向く。孫はすっかりヤクザの世界に感化されており、「一で始める四字熟語を答えなさい」という問いに「一宿一飯」と回答したり、「覚悟を決めたときには何を括るというでしょう?」という問題に「首を括る」と答えたりしているそうである。七夕の願い事にも「将来、堅木になりたい」と書き、AKB48のメンバーは一人も知らないが相撲取りの名前は48人ほど言える、夏休みの宿題も謎かけや都々逸で子供らしさが全くないものである。
その他にも「蛇は何類でしょう?」に「気持ち悪い」、「太郎君の家の冷蔵庫にはオレンジジュースが30杯分入っています。太郎君はオレンジジュースを残り10杯になるまで飲み、更に5杯飲みました。さて、太郎君はオレンジジュースを何杯飲んだでしょう?」→「お腹一杯」。「太郎君はケーキ屋さんにケーキを買いに行きました。200円のケーキを5個買って150円負けて貰いました。さていくら払うでしょう?」→「店の人に聞く」
ただ、乙松もその息子も小学校の成績は悲惨だったそうで、「『打って変わって』を使って文章を作りなさい」という問いに、「僕のお父さんは薬を打って変わってしまいました」と書いたりしていたそうである。
その後、乙松は町内のご長寿クイズ大会に乙松が出るという展開になるのだが、ここは少し作り物的で弱かったように思う。
枕として、「ガッツ石松は、『太陽はどちらから昇るでしょう?』と聞かれて『右側』と答えた」「具志堅用高は、マクドナルドのドライブスルーで『あれとこれとそれ』と言って、『それじゃ分かりませんので名前を言って下さい』と店員に言われて『具志堅用高』と答えた」という話をして、「でも世界チャンピオン」という話をしていた。

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2019年3月28日 (木)

笑いの林(116) 「きん枝改メ四代桂小文枝襲名披露公演」@NGK

2019年3月12日 なんばグランド花月(NGK)にて

 

午後7時15分から、なんばグランド花月で「きん枝改メ四代桂小文枝襲名披露公演」を観る。出演は、桂小文枝の他に、桂坊枝、桂文珍、月亭八方、桂春團治、桂文枝、桂ざこば、笑福亭仁智、三遊亭円楽(登場順)。

 

前半が落語、仲入りを挟んで桂小文枝らによる襲名披露口上があり、その後に三遊亭円楽の落語、トリに桂小文枝の落語が来る。

 

 

前半の落語の出演は、桂坊枝、桂文珍、月亭八方、桂春團治、桂文枝。

 

 

桂坊枝は古典落語の「時うどん」をやる。うどんの勘定の誤魔化し方を覚えた男が、真似しようとして逆に損をするという話である。

 

 

桂文珍。電車に乗っているとお年寄り二人が、「あれ」「え?」「そうよね」「ああ」と文珍の方を見ながら話していて「もう名前が出てこない」年だという話から入り、若者はスマホに向かって「大阪 落語 眼鏡」と言って検索しようとする。「聞いてくれたら答えましたのに。『鶴瓶です』」
というところから創作落語「メディアの海」に入る。パソコンが使えないおじさんの話に始まり、スマホが先代の桂小文枝や桂米朝、先代の春團治など他界した人々に繋がり、遂にはスマホの中の世界に入ってメディアの海を渡るようになる。メディアの海の向こうのあの世には大きな川が二本流れているが、Amazon川とLINE川だそうである。

 

 

月亭八方。八光の小学6年生になる息子が一人で遊びに来て、「吉本いろはがるた」(「い 岩尾と後藤でフットボールアワー」「ろ ローン地獄で八光大変」など)をやったという話から、「狸賽」に入る。ばくち打ちが助けた狸にサイコロになって貰って一儲けたくらむという話である。
賭場で狸に出て欲しい数を言うのだが、「なんで数を言うんだ」と咎められたため、符丁を使うことに。だが、一と二しか打ち合わせておらず、五が欲しかった男は「梅鉢の紋、菅原道真公」と五に近い紋様を示すが、狸は勘違いで菅原道真公そのものに化けてしまうというオチであった。

 

 

桂春團治。「落語家協会には260人ほど所属していますが、誰もやらないものをやります。なんで誰もやらないかといえば、しょうもない話だから。タイトルを覚えて貰わないといけません。『死ぬなら今』」
「地獄の沙汰も金次第」ということわざにちなむ作品で、ある男が閻魔大王に贈賄をし、本来地獄に落ちるはずが極楽行きが決まった。しかし、密告があり、極楽の阿弥陀如来らが軍を差し向け、閻魔大王と鬼達を収賄容疑で捕らえる。ということで今なら閻魔大王の裁きを受けずに極楽にフリーパスという話である。

 

 

桂文枝。創作落語「大・大阪辞典」。東京の銀座で生まれ育った女性が大阪出身の男性と結婚したのだが、夫の転勤で大阪に引っ越すことに。武家の都である東京と商人の町である大阪とでは大違いなので、形だけでも大阪通にならないとと考えた女性は、「大・大阪辞典」を買って来て勉強することに。大阪通クイズで100点満点中50点は取りたいというので、夫に問題を出して貰って挑む。「『次の大阪弁を日本語に直しなさい』。日本語ってなんやがな? 大阪をどこや思うてんのや? 『おいど』(正解は「お尻」である)」「次の日本語を大阪弁に直しなさい。『鳥肌』(正解は「さぶいぼ」)」「次の日本語を大阪弁に直しなさい。『ものもらい』(正解は「めばちこ)」という知識問題から、「こんな時、大阪ではどうする」どいう状況判断間問題まで揃っている。状況判断問題は大阪人の粋(すい)が感じられるものになっている。
ちなみに、先代の桂小文枝(先代の桂文枝でもある)がCMに出ていたということにちなんでか、「千日前の千日堂のコマーシャルソングを歌いなさい」という知識問題もあり、文枝は歌声を披露していた。

 

 

 

中入り後の口上。出演は、四代桂小文枝を中心に、桂ざこば、桂文枝、桂春團治、月亭八方、三遊亭円楽、笑福亭仁智(掲載順)。司会は桂坊枝が務める。

 

ちなみに桂文枝と桂小文枝両方の名跡が揃うのは実に115年ぶりだそうである。

 

桂文枝が、「これからは小文枝師匠と呼ばなければならない」というも「この師匠、少々アホでして」と小文枝が選挙に出た時の話をする。きん枝時代の小文枝は「大阪には100万のお笑い票がある」と豪語するも、ふたを開けたら僅か4万票の泡沫候補に過ぎなかったのだが、「二期目どうしよう?」と当選してもいないのに心配していたり、選挙演説のため船で道頓堀に漕ぎ着けたのだが、寄ってきたのはみな中国人だったという話をしていた。

 

三遊亭円楽は、若い頃に小文枝と京都で勉強会をやることになったのだが、円楽を呼んだ理由が「僕は友達がいないから」と打ち明けられて、「気が合いそうだ」と思ったことを話す。

 

桂ざこばは、四代桂小文枝のことを「三代目桂小文枝」と間違えていたりしたが、「これが脳梗塞です!」と病気ネタにしていた。

 

 

 

三遊亭円楽の落語。先程の口上での桂ざこばの発言を枕として使い。「脳梗塞はずるいですよね。私も肺がんじゃなくて脳梗塞になれば良かった」と語る。
演目は「寄合酒」。皆で酒を飲もうという話になったのだが、どいつもこいつも金はない。それでも酒は飲まなければならないというので、角の乾物屋からあれこれ持ってくるという、角の乾物屋にとっては難儀な話である。

 

 

そしていよいよ四代桂小文枝が登場。文枝や文珍とは同門だが、彼らと違って自分は出来が悪かったという話をする。先代の小文枝は温和な人だったが、稽古で当代の出来が悪かったため、物差しで叩かれるのが常であったという。
演目は「天神山」。大阪の天王寺付近を舞台をした落語である。
へんちきの源助が一心寺(現在は骨仏の寺として有名。また断酒の願掛けを行う寺院としても知られている)の墓場で墓石を見ながら酒を見るという花見ならぬ墓見を行う。若くして亡くなった「いと」という女性の墓の前で飲んでいたのだが、「いと」のしゃれこうべが出てきたため、持ち帰って花を生けようなどと考える。
ところがその夜、源助の住む長屋の戸を叩くものがある。何かと思ったら「いと」の幽霊である。しかし、源助は変わり者なので幽霊と結婚することに。
一方その話を聞いた、源助のお隣さんである安兵衛は、幽霊の嫁を求めて一心寺へ。しかししゃれこうべに出会えず、その北にある安居天神(真田幸村終焉の地として知られている)に行ったところ猟師に捕まった狐を助けることになる。そして女に化けた狐を嫁にするのだが……。

 

二つの物語がバトンタッチする演目で、寄り道が多く、正直「長い」とも感じられたのだが、こうした余分の多い芸能はある意味、時間を気にしなくてもいいという文化的な豊穣さの証でもある。とはいえ、私は京都から来ていたので帰りの電車の時間が気になっていたのだけれど。

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2019年1月30日 (水)

天満天神繁昌亭 2019年一月天神寄席「信長・秀吉・家康」

2019年1月25日 大阪・天満天神繁昌亭にて

午後6時30分から、大阪の天満天神繁盛亭で、一月天神寄席「信長・秀吉・家康」を聴く。

番組と出演者は、「荒大名の茶の湯」笑福亭風喬、「大名将棋」笑福亭仁喬、「太閤の白猿」森乃福郎、「家康の最期」旭堂南海、中入り後、鼎談「時代小説と落語」(桂春團治、高島幸次)、「本能寺」桂米左。なお、鼎談に出演予定だった小説家の木下昌輝がインフルエンザのために降板となり、急遽、旭堂南海が加わって鼎談という形になった。

織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑であるが、落語は基本的に庶民を描くものであり、偉人は登場しない。今回行われる上演でも、旭堂南海の「家康の最期」は講釈。前半の他の演目も講釈を原作とするもので、桂米左の「本能寺」は歌舞伎を原作とするものである。


「荒大名の茶の湯」。徳川家康の参謀である本田佐渡守正信と、豊臣恩顧の7人の大名(加藤清正、池田輝政、浅野幸長、黒田長政、加藤嘉明、細川忠興、福島正則)の茶の湯の会を描いた作品である。
家康から7人の大名を篭絡するよう命を受けた本田正信が、茶会に7大名を招くのだが、細川忠興以外の6人は純粋な武人で、茶の湯についてはなにも知らない。そこで教養人である細川忠興に相談し、全員が忠興の真似をすることになるのだが、真似すべきでないところも真似してしまうという笑い話である。家康はほんのちょっとしか登場しない。
笑福亭風喬は、枕として「有馬で某国立大学の先生を相手に落語をした時の話」をする。「『落語は頭のいい人が笑うんです。頭の悪い人はなにが可笑しいのかわかりません』と話してから落語をしたところ、あの人たちよく笑うんです。なに話しても笑う」と言っていた。
加藤清正の顔が大きく、髭も長かったという話がオチにも繋がっている。


「大名将棋」。登場人物は、紀伊徳川家2代目の若殿とその家臣。若殿が家臣と将棋を指すのだが、家臣が負けたときは鉄扇で2度頭を叩く、ただ若殿が負けることはないということで、若殿は銀将を真後ろに動かし、金将を斜めに下がらせ、自分の桂馬は名馬だといって4つも5つも進ませ、槍(香車)を横に進ませ、角行を左右に飛車を斜めに、王将は「八艘飛びじゃ」と言って盤の下に隠してしまうという体で、無理やり負けということにされた家臣たちは鉄扇でしたたかにはたかれ、「もう石焼き芋屋にでもなろうか」と転職を考えるありさま。それを知った家老の石部金吉郎が若殿に立ち向かうという話である。


「太閤の白猿」。東雲節の由来を探るという話。秀吉が登場するのだが、主人公になるのは秀吉によく似ているということで大坂城に招かれて優遇されている白猿の方である。この作品にも加藤清正や福島正則は登場するのだが、鍵を握っているのは「独眼竜」伊達政宗である。


講釈「家康の最期」。家康が大坂夏の陣で討死したという仮説を元にした話である。江戸時代に出来た話だが、神君家康を書くのはまずいということで、「本を刷るのはまずいが、筆写したものは良し。売るのはまずいが、貸本屋に置くのはOK」ということだったそうである。
真田幸村が魔神のような活躍を見せる。結構、不気味である。
ちなみに、家康の影武者となったのが南光坊天海でその正体は明智光秀、というのは旭堂南海が付け加えたものだという。


鼎談「時代小説と落語」。桂春團治と高島幸次(大阪大学招聘教授)が小説家の木下昌輝に話を聞くはずが、木下がインフルエンザに罹患し、熱は下がったが医師から外出禁止令を受けているということで欠席。高島が木下からのメールを読み上げた後で、「加藤清正や福島正則が、『清正』『正則』と呼ばれることはない。諱といって本名を呼ぶのは失礼に当たる」ということで、「そういうことを本に書いている」と自分の本を紹介し始めてしまう。ちなみに高島は大阪天満宮で古文書解読の市民講座を開いているのだが、木下はそこでの生徒だそうである。

旭堂南海が呼ばれ、三英傑のことを書いた講釈は多数存在するが、落語はほとんどないという話をする。
高島は、落語の良さとして、「時代そのものがわかる」ことを挙げる。落語には、長屋の小僧が代官に気に入られて跡継ぎになる話があるそうなのだが、そうしたことは実際に数多く起こっていたそうで、ちょっと前まで日本の教科書には「江戸時代は士農工商の身分社会でした」と書かれていたが、実際は身分は流動的で、武士と庶民がいただけで庶民間に階級はなく、金で武士になることも出来た(坂本龍馬は商人を本家とする階級の生まれ、中岡慎太郎は庄屋の倅である)。春團治は、「確かに農民は身分が低いからと馬鹿にするという落語はありませんな」と語る。
ちなみに春團治は、来月大阪松竹座で行われる芝居に落語の祖とされる安楽庵策伝役で出演するそうで、出番は少ないが、高島から「主役よりも良い役」と言われていた。


トリとなる「本能寺」。歌舞伎のために書かれた本を説明を加えながら一人語り用にしたものである。元となった歌舞伎の演目は現在では廃れてしまって上演されず、上方落語の芝居噺としてのみ残っているそうだ。
鳴り物、ツケ入りの上演。
桂米左は、歌舞伎の見得や立ち回りを大げさにやって笑いを取っていた。



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2018年10月13日 (土)

楽興の時(24) 真宗大谷派岡崎別院「落語とJAZZの夕べ」2018

2018年10月3日 左京区岡崎の真宗大谷派岡崎別院にて

午後7時から、真宗大谷派岡崎別院本堂で、「落語とJAZZの夕べ」を聴く。いつもは空いている催しのようだのだが、今日はどうしたわけか超満員。本堂に入りきれないほどの人が集まった。

司会を務めるのは仏教イベントでは余り見かけないような可愛らしい女性であったが、フリーアナウンサーやタレント、女優などをしていて、現在放送中の朝の連続テレビテレビ小説「まんぷく」にも、主人公の今井福子(安藤サクラ)が務めるホテルのフロント係役として出演しているという。「まんぷく」は録画しているので見直したところ、確かにそれとわかる女性が出演していた。

第1部がJAZZの演奏会。ヴォーカルの麻生優佳、アルトサックスの本並ともみ、キーボードの須田敏夫、ダブルベースのマキアキラ、ドラムスの辻川郷という編成。
全10曲が演奏され、そのうち6曲にヴォーカルの麻生が参加する。

曲目は、「It's only a paper moon」、「Autumn leaves(枯葉)」、「星に願いを」、「Caravan」、「ムーンリヴァー」、「Smile」、「Fly me to the moon」、「中国行きのスロウボウト」、「ムーンライトセレナーデ」、「Moanin'」という超王道レパートである。

「It's only a paper moon」が本並ともみを中心としたサックスカルテットで演奏されてスタート。2曲目の「枯葉」から「Fly me to the moon」までは麻生優佳のヴォーカルが入る。伴奏が合ってるのか合ってないのかよくわからないところがあったりしたが、楽しむには十分な水準である。客席は白髪の人中心で、音楽にうるさい人も余りいないようであるし。
反応が本当にNHKの公開収録のそれそのままであり、お年の方は本当にああした反応を見せるようである。

第2部が落語、四代目桂塩鯛(しおだい)が登場する。岡崎別院本堂内には高座がないため、ビールケースを三つ重ねたものを7つほど置き、上に板を敷いて特設の高座とした。

桂塩鯛は、昭和33年、京都市生まれ。立命館大学中退後に桂朝丸(現・桂ざこば)に入門し、現在はざこばの筆頭弟子である。若い頃にABC落語・漫才新人コンクールで最優秀賞を受賞したことがあり、平成10年に文化庁芸術祭優秀賞を受賞している。

塩鯛は、まず一目でその筋とわかる人が最近いなくなったという話をし、新幹線で組の人(3年1組と冗談を言っていた)と出会った時のことを話す。東京から大阪に帰る新幹線の3人掛けシート、窓側に塩鯛は座っていたのだが、京都から組の人らしき人物が乗ってきた。3人掛けシートの通路側の席には、サラリーマンと思われる人が疲れて寝ていたのだが、組風の男はサラリーマンの足を思いっ切り踏んだため、「お前、なにすんねん! 足踏みよってからに」と怒る。起きていたら、組風の姿を見て遠慮したと思われるのだが、目を開けてすぐに怒鳴ったため、相手の風体に気づく暇がなかったようだ。組風の男はのうのうと「足踏んだからなんやねん?」と返答し、サラリーマンも「なんやねん」と言い返すが、組風の男も「なんやねん」と言い返し、サラリーマンも「なんやねん」と返し続けるが、そのたびの顔色が悪くなっていく。塩鯛が止めに入ろうとしたが、前の席に座っていたおっさんが、「お前、関係ないのになんやねん?」と苦情を言ってきたため、塩鯛も組風の男と前のおっさん二人に延々と「なんやねん」を返して、そのしているうちに新大阪に着いてしまったという話である。
これを枕に、チンピラの「らくだ」を巡る話である古典落語「らくだ」全編上演に入っていく。長屋に住む「らくだ」(役立たずという意味がある)というあだ名の男、卯之助。この男がどうしようもないろくでなしで、3年もの間、長屋の家賃を一度も払ったことがなく、長屋で祝儀を出すことになっても「立て替えておいてくだせえ」と言ったきり、結局、今に至るまで金を払ったことがない。
らくだの親分である脳天の熊五郎がらくだの長屋を訪ねてくる。らくだが寝坊をしていると思ってしばらく話しかけていた熊五郎だが、らくだの体が冷たくなっていることに気づく。どうもフグを食って毒に当たり、死んでしまったらしい。
やはりやくざ者である熊五郎は、長屋の前を通りかかったくず屋を呼び止め、らくだの死を利用して、ただで酒と肴を楽しもうと企てて……。

噺家なので、登場人物の演じ分けが巧みなのは当然なのだが、クシャミやしゃっくりを入れるタイミングが絶妙であり、自然に出てしまったかのように聞こえる。人間の生理現象は意識して出るものではないので、真似るのは難しいのだが、そこは十全のようである。



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2018年9月12日 (水)

春秋座「志の輔らくご」10周年・立川志の輔独演会「大河への道」―伊能忠敬物語―

2018年9月7日 京都芸術劇場春秋座にて

午後6時から、京都芸術劇場春秋座で、春秋座「志の輔らくご」10周年・立川志の輔独演会「大河への道」―伊能忠敬物語―を観る。

前半と後半に分かれての公演で、前半が「バールのようなもの」、後半が「大河への道」―伊能忠敬物語―の上演である。

まず松永鉄九郎による三味線弾き語りの「三番叟」があり、続いて志の輔が登場する。

実は志の輔は明治大学の先輩なのである。彼は経営学部を卒業しているが、以前、クイズ番組の回答者としてテレビ出演した時に明治大学のサークルがゲストとして出演したことがあった。そこで志の輔が先輩として一言も求められたのだが、「明治大学は卒業論文がなくて楽ですので」と発言、こちらはテレビ向かって、「違う違う! それは経営学部だけ! 他全部ある!」と突っ込むことになった。志の輔は名門として知られる明大落研出身で、トップの高座名である紫紺亭志い朝(しこんていしいちょう)の5代目である。4代目紫紺亭志い朝が三宅裕司、6代目が渡辺正行という黄金期の在籍者なのだが、全員が経営学部出身であるため勘違いしたのだと思われる。三宅裕司も渡辺正行も演劇サークルを兼ねていたということもあり、志の輔も自然と影響を受けて演劇を志し、卒業後は劇団の研修生になる。その後、一時は広告会社のサラリーマンとなるが、30歳を目前に控えた時にラストチャンスとの思いから立川談志に弟子入りしている。
富山県出身であるが、富山県は舞台人の出所であり、現役に限っても、西村まさ彦、室井滋、柴田理恵(明治大学文学部文学科演劇学専攻卒)らが輩出している。

枕として春秋座での10周年を迎えたことを語り、春秋座が2001年オープンで17年目、春秋座が入る京都造形芸術大学も前身である京都芸術短期大学から数えて40年が経過したという話をするのだが、ベトナムでのホーチミン市での公演も毎年行っていて今年で同じく10周年を迎えたことを語り、春秋座での公演では10周年記念として造形大の学生に記念グッズを作って貰ったが、ホーチミンでは「富山出身ですよね?」ということで、全国的に有名な富山民謡「こきりこ節」の歌と踊りを富山の人達を呼んでやって貰うということになった。ホーチミン公演には駐在大使の方も夫妻で駆けつけてくれたのだが、「いやあ、私は落語を観るのは今回が初めてで」と言われたそうで、「初めて? その年で? 日本にいるとき何やってたの? 駐在大使は日本文化を広める役でしょ?」と内心思ったそうである。演目が終わった後、客席背後のドアから富山出身の謡い手踊り手が現れ、客席通路を通って舞台の上までやって来る。志の輔はそれを見て泣くほど感動したのだがそれは、「私、18まで富山に住んでいたんですが、こきりこ節見るのはその時が初めて」だったからということで、「落語を観るのは今日が初めてという方がいらっしゃっても、いっこうに問題ない」

登場人物二人の小咄で知ったかぶりをするものがあるというので、「夏はなんで暑いんだい?」「そりゃあ、冬の間、ずっとストーブを焚いてて、その熱が空に上がって、落ちてくるに連れて暑くなるんだろうよ」「じゃあ、なんで冬は寒いんだい?」「夏の間、ストーブを焚かなかったからだろうよ」などと言ってから、「バールのようなもの」に入る。品川区の宝石店でシャッターがバールのようなものでこじ開けられたというニュースを聞いた大工のはっつぁんが、ご隠居に、「ニュースの意味がわからない」といって内容を教えてくれるように言う。大工なのでバールはわかるのだが、「バールのようなもの」というのが何なのかわからないという。ご隠居は誰も見ていなかったから「ようなもの」としかいえないのだと言うが、「女のようなって女かい? 女のようなってのは男のことだろう」、「ダニのようなってダニかい?」、「ハワイのようなってハワイかい? 違うだろ、宮崎のようなところで言うんだろう」「夢のようなっていったら夢かい?」ということで、「バールのようなものはバールじゃない」という結論に達する。
ところではっつぁんは、昨夜、熊さんのところに行くと言ってバーに行き、そこでママの姪っ子でお手伝いに来ていたというナツミちゃんという女性に一目惚れ。上品で大人しくてそれでいて華があってというナツミちゃんとカラオケでデュエットをしていたのだが、そこに熊さんに連れられて旦那を探しに来た山の神にコテンパンにやられてしまったのだという。
ご隠居の話を聞いたはっつぁんは、奥さんに「あれは妾じゃない。妾のようなものだ」と、言い訳して却って火に油を注ぐ結果になるという展開である。


メインの「大河への道」―伊能忠敬物語―。上演時間約1時間半という長編創作落語である。講釈台を用いての上演。
千葉県を代表する歴史上の偉人の一人である伊能忠敬。今の山武郡九十九里町小関の名主の家に生まれている。志の輔は知っているのかどうかはわからないが、忠敬の父親は富山を拠点としていた豪族・神保氏の流れとされる。明治大学駿河台キャンパスのすぐそばにある神田神保町も神保氏の屋敷があったためにその名がある。その後、佐原(現在の香取市佐原)の豪商・伊能氏の婿養子となり、数字に抜群に強かったことから商才を発揮。名主となってからは正式に苗字を名乗ることを許可され、帯刀も許された。
50歳で隠居の後、忠敬は江戸に出て、幕府天文方の高橋至時に師事。至時は忠敬より19歳年下だったそうだが、志の輔も談志より19歳下、ということで、突然、「おう、弟子にしてくんな!」とあの濁声で言われるようなものだそうで、「自分なら断る」そうだが、忠敬は至時に「地球一周の長さを測りたい」と申し出たそうで、そのために自宅のある深川と学んでいる暦局の間を一定の歩幅で歩く訓練も繰り返す。志の輔はこの時に講釈台の上を指で歩く真似を行った。
学問と修業を重ね、55歳の時に、蝦夷地の観測に出発。子午線1度の距離を割り出し、蝦夷地南部の地図を完成させる。地図の出来に感嘆した幕府のお墨付きを得て、「御用」の文字を掲げることを許され、日本全国六十余州の観測に乗り出すことになる。その後、17年を費やして、測量を終え(北海道北部の観測は間宮林蔵に託された)、その後、病を得て程なく他界。「大日本沿海輿地全図」は本格的な作図作業に入っておらず、その姿を見ることはなかった。1818年、今から丁度200年前である。

志の輔は今から十数年前に、現在は市町村合併で香取市となっている街で公演を行っている。公演終了後、知り合いのコピーライターの運転で東京に帰ることになったのだが、「近くに小江戸として知られる佐原という街があるので寄っていかない?」と誘われ、佐原に行き、伊能忠敬記念館に入ったのだが、そこで、人工衛星がとらえた日本の映像と、忠敬の観測に基づく大日本沿海輿地全図がピタリと重なることに感動し、4年ほど費やして「大河への道」―伊能忠敬物語―を作り上げたそうだ。

大日本沿海輿地全図が完成したのは西暦1821年のこと。ここで話は、完成200周年に当たる2021年に、大河ドラマ「伊能忠敬」の放送を目指す千葉県の職員と、作家として指名した若手の加藤という男を主人公にしたものへと移る。大河ドラマは全50話。しかし、伊能忠敬の功績の大半は測量の場面であり、ドラマとしては著しく起伏に欠けたものとなってしまう。そこで測量者にジャニーズやAKBのメンバーを加えようだとか、毎回変わる風景を撮ろうだとか(「世界の車窓から」のようだとしてボツ)、その土地のグルメを紹介しようだとか(「食いしん坊万歳」と大して変わらないということでボツ)色々と手を加えようとするが、上手くいかず、遂には、大日本沿海輿地全図が完成するまで忠敬の死は極秘事項として伏されたことから、幕府天文方・高橋景保ら関係者による群像劇となるが、その場合は大河ドラマ「高橋景保」になってしまうそうで、最終的には大河ドラマ「伊能忠敬」の企画立案は断念となる。「伊能忠敬の人生はドラマに収まるほど小さなものではない」というのが決めのセリフとなった。

特別にエンドロールが流れる。2010年の初演時に作られたものだそうで、海岸沿いの断崖絶壁のそばを中空から撮影された映像が映されるが、当時はまだドローンというものは存在せず、飛行撮影家の矢野健夫がパラグライダーを使った撮影したものを使用しているそうである。ギターは高中正義のものをセレクトしたそうだ。

最後は三本締めで終えようとした志の輔であるが、座席番号によるプレゼント抽選会がある。10周年記念グッズの中から手ぬぐいが10名に送られるのだが、私も当たる。多分、明大の縁だろう。

語りは老練の領域であり、もう話に身を任せるだけで十分である。



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2017年5月 1日 (月)

笑いの林(87) 「なんばグランド花月 次世代落語会 落語と特大大喜利のスペシャルセット」

2017年3月30日 なんばグランド花月にて

午後7時から、なんばグランド花月で、「なんばグランド花月 次世代落語会 落語と特大大喜利のスペシャルセット」を観る。出演は、月亭方正、ジミー大西、桂三度、月亭八光、笑福亭笑利、トレンディエンジェル、桂あおば、月亭方気、桂三幸、桂三語、月亭太遊、月亭八織。なお、桂文五郎は膝を怪我したため出演出来ないという。

まずは、笑福亭笑利による落語。座布団一枚あれば落語が出来るというので、色々な場所に呼ばれるそうである。中にはバーのカウンターの上に座布団を置いて喋ったりということもあるらしい。露天風呂で落語を行ったときのこと。露天風呂の前に座布団があり、横にゴザが敷いてある。ゴザは上で寝転ぶ人が使うそうであり、笑利が落語を行う前に、すでは裸のおっちゃんが寝ていたそうである。
落語は10分から15分掛けて行うのだが、露天風呂に入っている人は、「熱い熱い」と言って、5分ぐらいで出てしまうそうで、途中でお客が入れ替わるそうである。そして入れ替わったお客もオチを付ける前に出てしまい、オチを言った時には湯船には誰もいなかったそうだが、笑利が立ち上がろうと思ったら、「良かったで」と言ってくれる人がいる。ゴザの上で寝ていたおっちゃんが最後まで聴いてくれていたそうだ。
その話を枕として、本編は「人形の出てくる落語」。侍の志賀之助という人がおつきの者を連れて湖のある村に行った時の話。おつきの男が、「昨日、湖のほとりで若い女に誘われた」という話をする。綺麗な女だったそうで、「明日の夜、なので今夜ですね。湖の上に一緒に漕ぎ出そう」と言われたそうで、おつきの者はいそいそと出掛けていった。そこへ村の名主が挨拶に来た。なんでも、「湖には近づかないで下さい」とのこと。化け物が出るからだそうで、「昼間は女のなりをしていますが、正体は鯉の化け物」とのことである。志賀之助がおつきの者が出掛けていったことを告げるとは、「ああ、そうですか。もう駄目ですな」と恬淡と言われる。「もう間に合いません」
だが、志賀之助は出掛けていって退治をする。ここで笑利は鯉の被り物をして、右手に志賀之助人形を付けて一騎打ちをやってみせた。


続いて、トレンディエンジェルによる漫才。今日は二人とも着物姿である。芸歴12年という話から入り、「ねえ、お兄さん、トレンディだね、トレンディエンジェル」とやる。
二人ともアイドル好きだという話になり、たかしがAKBグループが好きだというのだが、斎藤司はAKBグループを、「AB48、SE48、HT48」と挙げて、たかしに、「斎藤さん、Kが抜けてるよ」と言われると、「そんなこと(毛が抜けてること)は最初からわかってるよ」と返す。たかしに、「AKBってなんの略かわかる?」と言われた斎藤は、「秋元康が きもいオタクから ぼったくる」と言ってしまう。
斎藤はジャニーズが好きだそうだが、「こう見えてジャニーズです」
斎藤は、嵐が好きで、ニノ(二宮和也)役だそうなのだが(?)、客席に、「みんな、『ニノ!』って言って下さい。チビッコ達、『ハゲ!』って言わないでね」。その後も何度も、「ハゲって言わないでね」「ハゲって言わないでね」「わかりますよね? ジャパニーズ・カルチャー」と念押しして、観客から、「ハゲ!」と言って貰う。
その後、嵐の「嵐」を歌って踊るのだが、たかしの手拍子によるテンポが速過ぎて、シッチャカメッチャカな動きになる。再度挑戦して、今度は普通のテンポでナルシストポーズを決める。

たかしにポケモンGOの話をされ、「斎藤さん、ポケモンGOってわかる?」と聞かれて、「当たり前だ、斎藤さんだぞ!」とやるも、「これ(着物)戻しにくい、江戸時代に生まれてたらやれない。現代だから出来る」
ということで、斎藤がピカチュウに扮して、たかしがポケモンGOをやるのだが、斎藤は挙動不審。たかしに「ピカチュウですか?」と聞かれた斎藤は「はい」と答えるも、「ピカッとした中年」とピカチュウ違い。
もう一度やることになり、斎藤は「ピカチュウ」と鳴くのだが、やはりさっきの怪しい中年であった。


出演者総出による大大喜利大会。高座にトレエン・斎藤、トレエン・たかし、ジミー大西、月亭八光、桂三度が座り、ハリセンを持った月亭方正の司会で進む。若手落語家はパイプ椅子に座るが、月亭方正は彼らを、「次世代の落語会を担う人達を担う落語家」と紹介してしまう(つまり彼らは次世代を担う落語家ではない)。

まずは「あいうえお作文」。春休みでチビッコが多いので、月亭方正はチビッコから何行がいいかを募集する。
「ラ行」で行うことになり、最初の単語を「ラクダ」に決めて貰うのだが、トップバッターの斎藤は「ラクダに見えるといいますが」、たかしは「リスにも見えると言いますが」とボケまくって作文になりそうにない。ジミー大西は、「ルーマニアに行こう」と飛躍。月亭八光が「列車に乗って」と戻すも、本当は「飛行機じゃないの?」と突っ込まれるボケのつもりが、前が酷すぎてボケにならなかったそうである。トリの桂三度が「ロンドンに着いた」となんとか纏める。

次は「サ行」で、最初の単語は「サンドイッチ」。斎藤「サンドイッチを買いに出掛けて」、たかし「シンガポールに行って」で方正にハリセンではたかれるも、「静かにシンガポールに行って」とシンガポールは譲らない。ジミー大西「凄いことになってん」、八光「先生に相談したら」、三度「そんなことわからん」

続いて、「この人が言いそうにないこと」。お題になる人は背後の巨大モニターに映される。最初のお題はフランシスコ・ザビエル。若い落語家が良い答えを出すと、高座の人と入れ替わりになれるという。月亭八光は「ナムアミダブツナムアミダブツ」と誰でも思いつきそうなことを言って、高座から下ろされる。ちなみに、月亭八織は何も答えていないのに高座に上げられていた。方正によると「可愛いから」だそうである(八織は紅一点である)。
続く人物は、子役の寺田心。斎藤さんは、「あのAD、D(ディレクター)になったな」と、斎藤曰く「業界ではよく言う」という言葉を挙げるのだが、OKは出なかった。

歌詞穴埋め。B'zの「ウルトラソウル」のサビ、「ウルトラソウル! ハイ!」のところが空欄になっていて、上手い言葉を入れるというコーナー。桂三度は、「桃太郎のお供の動物が変わりました」として、「犬・猿・象」と書いていた。「ウルトラソウル」の前の歌詞は「そして輝く」なのだが、月亭八織が、指輪の絵を描いて「薬指」とするもジミー大西が「意味がわからない」と言って、他の人から説明を受けていた。

大喜利の最後は「なりきり読書」。白紙の続く本をあたかも書かれているものを読むかのように読むという、長めの「勧進帳」である。
勝ち抜いた、トレエン・斎藤、笑福亭笑利、ジミー大西、月亭八織、月亭三度によって読まれる。お題は「水戸黄門」の第1話。
斎藤は、「昔々あるところに、水戸黄門と助さんと角さんがいました。SNSで知り合った三人は、うっかり八兵衛にメールを送りました。ウィルス付きの。メールを受け取ったうっかり八兵衛は」と舞台を現代に置き換えた「水戸黄門」を語り始める。
二番手の笑福亭笑利は、「As soon as」と何故か英語で語り始める。そして、「由美かおる」と演じている女優の名前を言ってしまう。ジミー大西も英語で語り始めてしまうが、「町人の村長(?)が米を貰う代わりに金をばらまき、漁村が迷惑した(??)」という謎だらけの展開をする。月亭八織は、「由美かおるが悪代官に襲われて逃げるシーン」を演じるが、桂三度は、「一方、その頃、暴れん坊将軍は」とボケた。

ちなみに、トレンディエンジェルの二人は、昼間はひらかたパークで行われた「歌がうまい芸人」のイベントに出演していたようだが、この後にも別の仕事があるということで、ここで出番を終えた。


ラストは桂三度による落語。「落語って長すぎるんちゃう?」と言われることがあるそうだが、縮めた落語もあるそうで、「ときそば」というネタを披露する。夫婦でそばを注文するのが、持ち合わせは十五文。そば二人分は十六文で足りない。だが、勘定する時に夫が、「1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、今何時?」、「9つ」、「10、11、12、13、14、15、16」と一つ飛ばして勘定を済ませる。
そこで妻は一人の時に、早めの時間に別の二人で行ってそばを食べたのだが、「1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、今何時?」、「5つ」、「6つ、7つ、8つ……」ということになり、三文損したという話である。

映画も縮められるようで、「タイタニック」は、「大きな船乗れた嬉しい」「僕は君が好き」「私もあなたが好き」「タイタニックポーズ」「船が沈んだ」「僕も沈んだ」で終わるそうである。
「男はつらいよ」全48話は、「思ったよりつらくなかったよ」に纏められるそうである。

最後は変な話。料理店に若い男がアルバイトの申し込みに来るのだが、大阪生まれの日本人なのに片言のような日本語を話す。なんでも音痴なので、なまった喋りしか出来ないのだそうだ。更には運動音痴なので、数のカウントも独特になる。更に本当に音痴なのだそうだが、「歌手になりたい」という夢を持っているそうだ、「ドラえもんの歌」を歌うのだが、バラード調になってしまう。
「赤とんぼ」を歌うと「赤鼻のトナカイ」のメロディーになり、「赤鼻のトナカイ」を歌うと「赤とんぼ」になる。歌手は歌手でもオペラ歌手になりたいそうで、「千の風になって」を歌うのだが、最初の旋律の歌い方は出鱈目なのに、「千の風に 千の風になって」のところだけはまともになる。
コックのチャンさんが「辞める」という電話を寄こしたため、男は「料理は出来る」とアピールするが、「料理は出来るが味音痴」

「次世代落語会」が行われたのは今回が初めてだが、出演者達は「続けたい」と抱負を語った。

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2017年3月27日 (月)

しんらん交流館大谷ホール 山城地区同朋大会 節談説教「親鸞聖人御一代記」より

2017年3月11日 真宗大谷派東本願寺(真宗本廟) しんらん交流館大谷ホールにて

午後2時から、しんらん交流館にある大谷ホールで、節談(ふしだん)説教「親鸞聖人御一代記」よりを拝聴。大徳寺の東にある唯明寺の住職で、真宗大谷派山城第2組組長、元立命館常務理事である亀田晃巖(こうがん)による節談説教が行われる。節談説教は落語のルーツといわれ、江戸時代から昭和初期に掛けては積極的に行われたようだが、現在、真宗大谷派で行っているのは亀田晃巖のみであるようだ。山城地区同朋大会の中で行われるため、ポスターには「一般来聴歓迎」と書かれている。入場無料である。
以前、岡崎別院で亀田晃巖の節談説教を聞いたことがあり、内容はその時と同じである。

まず、真宗宗歌を皆で歌うのであるが、一応、真宗の歌はCDで買って聴いてはいるものの、伴奏が安っぽいので繰り返しては聴いていない。ということで歌えない。ただ音の進行は大概の楽曲においては決まっているので、適当に誤魔化すことも可能であり、そうした。

まず、関係者による挨拶があった後で、亀田晃巖による講義となるが、亀田は「講義なんてそんなものはしません」と言って、話を始める。今日はしんらん交流館に来る前に、以前に学校法人立命館の常務理事だったことから、立命館宇治高校に行ってきて挨拶もしたそうだが、その時とは「見える風景が違う」という話から始まる。若い人達は「前途洋々」「未来はこの手の中に」といった風で生き生きしているが、しんらん交流館大谷ホールにいる面々は、年を召した方が中心で、「老病死」の苦を十分に味わった人ばかりである。ただそういう方々も若者に「そう上手くはいかんよ」と教える必要があると亀田は語る。
東本願寺(現在の正式名称は真宗本廟)は、江戸時代に大火で4度も焼失している。徳川将軍家の保護を受けていたため、3度までは徳川将軍家が再建のための費用を負担してくれたが、4度目の大火は幕末の禁門の変による「どんどん焼け」によるもので、再建に取りかかろうとした時には徳川幕府の時代は終わっており、徳川将軍家そのものが亡くなっていた。ということで、門徒の協力によって再建された。亀田は「今、そんなことやろうと思っても出来ませんよ」と言う。今は熱心な門徒が減ってしまっている。

その後、節談説教についての説明。落語は新京極六角にある浄土宗西山深草派総本山誓願寺の安楽庵策伝が「醒睡笑」を表したのが始まりといわれ、安楽庵策伝という人はとにかく話の巧い人だったそうで、しかも話の最後に必ず落ちをつける(落ちをつけるので落語である)人だったそうだ。こうして落語の元となる節付説教と呼ばれるものが生まれ、真宗においては節談説教と呼ばれるようになる。ここから落語の他にも講談、説教浄瑠璃、説教節などが派生していく。
亀田晃巖の祖父である亀田千巖という人が節談説教の名人であり、元日と正月2日以外は説教師として日本中を飛び回っていて、追っかけがいるほどの大人気だったそうだ。
そして節談説教のために唯明寺が場所を移して再興され(東本願寺の近くにあったが、禁門の変で全焼。明治、大正を通して存在せず、昭和になって再興)、評判を聞きつけた小沢昭一や永六輔らが唯明寺にやって来て、小沢昭一は「節談説教」を覚えて録音し、レコードを残しているという。


休憩を挟んで、節談説教「親鸞聖人御一代記」より。亀田晃巖は高座に上がって語る。
まず「やむこをば預けて帰る旅の空 心はここに残しこそすれ」という和歌で入る。
京都へ帰ることを決めた親鸞。だが、親鸞を慕う関東の人達が京へと向かう親鸞の後をずっと付いてくる。次の村まで、次の村までと思うのだが、思い切れず、結局、箱根山まで付いてしまう。ここから先は関東ではない。ということで、親鸞も人々とお別れを言う。箱根山を下りたところで人々は「今生の別れ」とむせび泣く。そこで、親鸞は一番弟子の性信(しょうしん。性信坊という名で登場する)に関東に留まるよう告げる。親鸞は性信坊に道中仏を託し、「あの同行(どうぎょう。門徒のこと)の中から鬼の下に走る者が出ないよう、教えを貫くよう性信坊に伝える。涙ながらに関東に戻った性信は、関東での布教に励む。だが、その30年後、本尊である阿弥陀如来の顔が汗まみれになっているのを見て驚く。考えてみれば師の親鸞も齢すでに90。親鸞の身に何かあったに違いないと悟った性信は慌てて京に上るのだった。


最後は、「恩徳讃Ⅱ」を皆で歌って閉会となる。

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2016年1月15日 (金)

追悼・桂春団治 「襲名50周年記念 桂春團治落語会」2009年5月

2009年5月6日 大阪・なんばのワッハ上方ワッハホール(現・よしもと漫才劇場)にて

午後2時から、大阪・なんばのワッハ上方ワッハホールで、「襲名50周年記念 桂春團治落語会」に接する。

出演は、登場順に、桂福矢、桂小春團治、桂春之輔、桂さこば、笑福亭松喬、桂春團治。客席は満員で当日券なしの盛況である。

優れた落語家は、声から芳香を発するのがよくわかる。それぞれ香りは違うが、年齢を重ねれば重ねるほどに香ばしさを増す、まるでウィスキーのような(と書きつつ、私はウィスキーは呑めないのだが)声である。

演目は、桂福矢が「動物園」、桂小春團治が「豊竹屋」、桂春之輔が「牛の丸薬」、桂ざこばが「子は鎹」、笑福亭松喬が「お文さん」、そして桂春團治は、有名な「代書屋」をやった。

それにしても襲名50周年というのは凄い。春團治が語りの枕で、初代春團治が57歳で亡くなり、二代目春團治(今の春團治の父親)が58歳で亡くなっているので、自分は……、ということで襲名するのを躊躇したと語って客席の笑いを誘ったが、三代目は29歳で春團治を襲名し、長生きをしている(後記:桂春団治は享年85歳であった)。

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2014年12月12日 (金)

笑いの林(25) よしもと祇園花月「祇園ネタ」&吉本新喜劇「うまくいくやつ、いかないやつ」2013年6月29日

2013年6月29日 よしもと祇園花月にて

午後3時30分より、よしもと祇園花月で、「祇園ネタ」と吉本新喜劇「うまくいくやつ、いかないやつ」の二本立てを観る。

「祇園ネタ」の出演者は、桜 稲垣早希、ライセンス、サバンナ、テンダラー、月亭八方(登場順)。

関西では「知らない人がいない」と言われるほどの人気を誇るが、東京では知っている人の方が少ないという今の時代に珍しいタイプの芸人である早希ちゃんは、おなじみとなったコント「お姉さんと一緒」を演じる(早希ちゃんの出世作である「ロケみつ」は東京では月曜日の深夜3時過ぎに放送されており、当然ながらそんな時間にテレビを見ている人はほとんどいない)。子供番組のお姉さんのような格好で登場し、「幸せなら手を叩こう」、「ミッキーマウス・マーチ」、「アイアイ」、「グー・チョキ・パー」の替え歌を歌いながら、ネズミ講(「特性洗剤」3800円)や霊感商法(「神様の涙で出来た石の破片」16万8000円)、出会い系サイト、闇金、オレオレ詐欺(「俺俺」と名乗る詐欺が少なくなったことと、手段が振り込みから手渡しに変わりつつあることから、最近、ネーミングを「母さん助けて詐欺」に変更したが、ネーミングセンスが無い上に緊張感もないということで批判の声が多い。ネーミングは公募によって行われ、一番多くの評を集めたのは「なりすまし詐欺」であったが採用されなかった)などの、犯罪をネタにするというブラックなもの。人形劇の場面では、お得意の声の切り替えが楽しめる。

ライセンスは、CMをネタにしたもの。テレビCMもそろそれ方向性を変えた方がいいのではないかということで、藤原一裕が様々な提案をするが、「う、心臓痛い。血を吐いた。『救心』」、「靱帯断裂。JUST DO IT,NIKE」など、商品のイメージが悪くなるものばかり(藤原はテレビ番組の収録中に、実際に左足の靱帯断裂の大怪我を負い、活動休止を余儀なくされたことがある)。
更に藤原は、「ヒューン、エレクトリカルパレード」とやって相方の井本貴史(いのもと・たかふみ)から「速すぎて見えんがな。ミッキーマウス確認出来ん」と突っ込まれる。
藤原は「ミッキーマウスは大きな耳を着けていて、口も大きく開いているので、高速だと耳は後ろに飛んで、口は大きく開く。三木谷さん、顔見えてますよ、口開いて、顔丸見えです三木谷さん」と言って、井本から「ミッキーマウスの中に人はいない。夢を壊すな」とたしなめられる。
藤原は「無職の熊を何とかしないといない。下半身露出してる熊を」と言って、「『くまのプーさん』のプーは、無職のプーじゃない」と突っ込まれる。だが、藤原は、「くまのプーさんは一応上着は着てるのよ。着るという考えは持ってるの。何色の服がいいかな、そうだ赤の服がいいとかいうセンスも持ってるの。でも、下半身は露出してる。あれは変態だ」と断じる。更に「カモメもいるやん、セーラー服の上着は着てるのよ。しかも帽子まで被って、でも下半身は剥き出し。変態の集まり」などという。
最後はCMネタに戻り、藤原は「メイク落とすの大変ね。チャラッチャッチャッチャー、i'm Lovin' It」といって、ドナルド・マクドナルドの話にしてしまう。カーナビのCMの話となり、藤原は映画の予告編のような凝った文言を口にするが、井本に「長すぎる」と突っ込まれて、漫才は終わる。

サバンナ。八木真澄の一発ギャグを、今日も、高橋茂雄が最初にネタをばらして、わざとすべらせるということを導入部で用いる。八木は更に「一、二、一、二」と手を振り、足を高く上げてステージ上を歩き、正面を向いたときに「前へ(出した手の手首を下に曲げて幽霊のような手つきにする)お化け」とわざとすべるネタをやる。

それから、高橋が、「ドクター・ユレオ」というテレビゲームを演じて見せるという。ピーチ姫を助ける話で、クッパという亀の怪物が出てきて火を噴くなどと「ドクター・マリオ」そのままなので、八木は一々「それ『ドクター・マリオ』やろ」と突っ込むが、高橋は「いや、ユレオ」と言って譲らない。高橋は、ズボンのベルトを外し、穴に通す部分を八木に持たせて「コントローラー」だという。八木は「えらい貧楚なコントローラーやな」と文句を言うが、取り敢えず、動かしてみる。高橋は全体を小さく前後に揺らすだけ。それで「テレッテテレッテテン」とゲームオーバーを告げる。八木が「ただ揺れてるだけやん」と突っ込んだので、高橋は、高校の男子生徒が男同士で盛り上がっているが女子のグループのことも気にしているゲームをやると言い、大笑いしたり、大袈裟に手を叩いて見せたりするが、横目で女子を確認するという演技をし、八木に「女子見た」と言われる。
八木は高橋に、「お前一人だけの仕事増えてるやん。俺、一人でテレビ見てる時、お前のことよく見る。下痢のCMにも出てるし」と愚痴をこぼすが、高橋に「下痢止め。下痢止めのCM。下痢のCMって何やねん」と突っ込まれる。更に高橋は、八木の天然エピソードを紹介。高橋が同じことを二回言った時に、八木は「何で二回言うねん。何で二回言うねん」と何でか二回言ってしまったこと。おまんじゅう食べたかと聞かれて「食べました、一個。赤と白」、二つ食べとるやないかと突っ込まれる。更にJR神戸駅で切符をなくすが、切符は八木の唇に貼り付いていたというもの。
最後は、おなじみのヤンキー同士の喧嘩ネタ。肩がぶつかってヤンキー同士で喧嘩になるというネタをやる。肩がぶつかり、八木が「どこ見て歩いてんじゃ」と因縁をつけるが、高橋は高い声で意味不明の言葉をつぶやき、八木から「お前、何人やねん」と突っ込まれる。もう一度、肩がぶつかるネタ。いつもは八木が着ているTシャツの首の部分を高橋が引っ張って伸ばしてしまうというネタだが、今日は更に進化して、引っ張って伸びたTシャツを八木の頭に被せてしまう。その後、ぶつかるシーンで高橋は八木の体を回してしまう。八木は「回すなや。お茶やないんやから」という高橋が「お茶?」と聞くと、八木は「茶道で回すやろ」。そこで高橋はもう一度、八木を回す。八木は「独楽じゃないんだから」とありきたりな答え。
再度、肩がぶつかるネタ。高橋が「お前、どこ中?」と聞くので、八木が「広瀬中じゃ」と答える。高橋は「じゃ、片山知ってる?」、八木「どこの片山じゃ?」、高橋「片山ノブユキ」、八木「ああ、知ってる」、高橋「俺、片山と公文やってた頃の友達」、八木「何の話や?」という展開になる。
最後は、高橋に「お前何歳?」と聞かれた八木が「38歳じゃ」と実際の年齢を言ってしまい、高橋の「いや、中学生、高校生のネタやで。本当の年齢言ってどうするん」と突っ込まれて終わる。

テンダラー。浜本広晃の、「どうも、テンダラーです。我々、若手のふりをしていますが、私は38歳、相方は41歳」という言葉で始まり、浜本は「今日は土曜ということで、沢山、お客さんに来て頂いています。普段は5upよしもとという若い女の子の集まる劇場でやることが多くて、良い匂いがするのですが、今日はねえ…。養命酒の匂いがするかな」と続ける。更に浜本は「遠くからお越しになっているお客さんも多いと思います。誰が一番遠くから来ているかを聞いたりするということをよくやりますね」というが「それは置いておいて」と飛ばしてしまい、白石悟実から「聞かないかい」と突っ込まれる。結局、お客さんにどこから来ているか聞くことはなかった。

浜本は、「お客さんを見て、どのネタをやるか決めることがあります。今日はもう決まりました」と言って、白川から「もう決まったの?」と聞かれるが、「ええ、決まりました。今日のお客さんの顔を見てすぐに決まりました」というが、「最近、チンチンがね」と言って、「下ネタかい」と白川に突っ込まれる。この時、客席から子供の泣き声が聞こえ始めたので、浜本は「大きな声でやってると、子供もそりゃ泣きますよね。漫才師は子供の泣き声に弱いんですね。小さな声でやりましょう」と言ったが、本当に小さな声で話し始めて、白川から「聞こえん!」と突っ込まれる。ここで浜本は例によって「そういうわけで、そろそろ時間なので」と早めに切り上げようとする演技をして白川に引き留められる。
それから浜本は、THE 虎舞龍の「ロード」を「丁度、「一」年前に、この「二」じ(虹)を「三」かけた(見かけた)時」と一から十までの数え歌にしてしまう。
中学生の頃は、真面目なタイプより不良の方がもてるという話になり、浜本は白川に「真面目だったでしょう」と聞くが、白川は「悪かった。頭バシッと決めて、太いズボン履いて歩いてた。職員室に呼び出されて、『お前、ズボン履き替えろ』と言われた」と答える。浜本も「悪かった。頭グワッとして、(高めの変な声で)『おい、こら』とやってた。職員室に呼び出されて、『お前、ズボン履け』と言われた」(白川に「ズボン履いてないんかい」と突っ込まれる)。「俺も『お前こそ履け』と言い返して(白川が「先生も履いてないんかい」と突っ込みを入れる)、三時間、パンツの掴み合い」という話をする。
更に「若い頃は男同士が喧嘩をするということもよくあることです」と浜本がいい、正面からぶつかって喧嘩になるという場面になる。白川が「おい、こらなんじゃ!」といい、浜本も「お前こそ。何じゃ」と高めの変な声で答える。白川が「お前、誰じゃ、俺は三年の白川じゃ」と凄むが、浜本は「校長の田中です」と言って、白川から「何で先生なん?」と突っ込まれる。浜本は「実際に、こういう先生がいた。変な声の先生で」と体験談にしてしまう。

恋愛でドラマティックな出会いをするのはいいことだと白川が言い、「例えば映画『タイタニック』のような船の上での出会い」と続けるが、浜本は「良いですね。船の上での出会い。『あ、ハマちゃん』、『スーさん』」とやって白川から「それは『釣りバカ日誌』」と突っ込まれる。
書店で、男女が同じ本を取ろうとして手が触れあうというのも良いということで、二人で、同じ本を取ろうとして手が触れる演技を行う、「ああ、ああ」とやるが、浜本が「これ、どっちが女なん?」ということで、「まず、どっちが女か決めとかないと。今のじゃ、ただ『ああ、ああ』言ってるだけの変態や。じゃ、俺が女やるわ」と浜本が言い。男女の手が触れあうシーンをもう一度やるが、浜本は「兄ちゃん、ごめんね」と女は女でもオバハンにしてしまう。
子犬の散歩で出会うというのも良いということで、そのシーンをやるが、白川が「可愛い子犬ですね」と言うと浜本は不審そうな顔をして「キャリーバッグです」と答える。「キャリーバッグ引っ張ってるのに子犬だなんて」と浜本は言うが、白川は「子犬の散歩という設定なのに、なんでキャリーバッグ引っ張ってんねん」と突っ込む。

スパイ映画が良いという話になる。スパイが鍵を握っている美女に接近して秘密を聞き出すという設定で、白川がスパイを、浜本が美女を演じる。白川が浜本演じる美女(煙草を吸っている仕草をしている)に、「ワインはお好きですか?」と聞くが浜本は「嫌いです」と答える。白川が「では、シャンパンは?」と聞くが、浜本は「もっと嫌いかも」。そこで浜本は「イケメンはお好きですか?」と自分がイケメンであることをアピールするが、浜本は白川の顔をじっと見て、そこに煙草の火を押し当てるという演技をする。
今度は、浜本が一人二役で、スパイと美女を演じる。スパイ「おきれいですね」、美女「良く言われます」(白川「否定せんのかよ」)、スパイ「ちょっとお話でもいかがですか」、美女「あなたスパイなんじゃないの? あたしから秘密を聞き出そうとする。スパイ「(挙動不審で高い声になり)ああ、いえ、そんな」(白川「バレバレやがな」)、美女「あたしからただで情報を引き出そうなんて無理よ」、スパイ「勿論です。それ相応のものを用意しています。つまらないものですが、どうぞ」、美女「あら、唐揚げ君」(白川「本当につまらないものやがな」)。美女は「そこ入って右」とあっさり教えてしまう。

最後は、映画「ミッション・インポッシブル」のテーマを浜本が口ずさみながら、スパイを演じるというネタ。最初はあちこちを見回し、白川から「挙動不審。もうばれてる」と言われる。次は秘密基地への潜入シーン。浜本は、扉を上に上げたり、左右に開いたり、左から右へと開けたりという演技をするがそれが延々と続く。白川は「何枚扉あるねん。さっき暖簾みたいのもあったし」と突っ込む。白川が「塀乗り越えて来いや」と言ったので、浜本はジャンプして、塀を乗り越えるシーンを演じるが、すぐに左足をくじいて「チャラー」と失敗の音を入れる。
スパイがバイクで来ることになるが、浜本はバイクから降りて、「ちょっと待て」のポーズをして、バイクにチェーンを掛ける。白川「なんでチェーン掛けるねん?」、浜本「だって盗まれたら困るし」、白川「乗り捨てて来いや」。すると浜本はバイクから降りるとバイクを投げ捨てる演技をする。白川は「バイク投げ捨てる奴がどこにおるねん」と突っ込む。
今度は、サーチライトからスパイが逃げるという設定。浜本は色々な格好をして身をかわす演技をするが、最後は白川と目があって「チャラ-」となる。
ラストは、拳銃で撃たれたスパイ。浜本は白川に撃たれるが、自分で弾を取り出し、自ら傷口を縫うという演技を繰り返す。白川は「そんなわけあるか、不死身やんか、もうええわ」で終わる。

月亭八方の落語。八方は、「昔は母親から『勉強せえ、勉強せえ』言われた。『勉強せんとどこにも入れんよ。吉本しか入れんよ。私そんなの嫌よ。笑われるのを商売にするなんて』とこうなる。学校でも宿題を忘れると『誰や、宿題してこないの。どうなっても知らんよ。吉本しか行けんよ。先生、知らんよ』とこうなる。子供の頃、悪さをして見つかるとおじさんから『どこの子? 将来、吉本やな』と言われる」という話をする。「今は違います。今は大阪と東京にNSCという学校があって、毎年1000人が入る。その中で勝ち残った人だけがテレビや舞台に出られる。今日出てきた人はみんな生き残った人です」という(NSCは卒業すら難しく、無事卒業出来るのは十人に一人ほどである。ただNSCだけしか入り口がないのではなく、テンダラーのようにオーディションに合格して吉本に入る場合もある)。「我々のころはそうじゃなかった。人が集まりませんでしたから。ライバルもいなかった。吉本も広告出してました。『芸能人募集、あなたもテレビや舞台に出てみませんか』と書いてある。ただ条件がある。『親からでも先生からでもいいから、“アホちゃうか”と言われたことのある人』。とこうある。でも起きるのが遅いと大阪の母親は『とっとと起きなさい。アホちゃうか』と言います。『アホちゃうか』というのは大阪のおばちゃんにとっては言葉の最後に付く止めの言葉です。『かしこ』と一緒です。学校から帰って遊びに出ようとすると『どこ行くの、ランドセル投げんとき、アホちゃうか』」。
そして、伊丹空港(大阪国際空港)から、出雲空港まで飛ぶ飛行機内での話になる。ただ前とは細部が違っていた。「ゴルフをやられているからは水切りという言葉を知ってらっしゃると思います。ゴルフで前が池です。打つとゴルフボールが水の上をピョンピョン跳ねながら、向こう岸にたどり着く。そしてキャディーさんが「セーフ」という。それと一緒です。飛行機が宍道湖の上に着陸しましたが、湖の上を跳ねます。着水するたびに我々は冷たい思いをするわけですが、そうやって、湖の上を跳ねて、出雲空港に着陸しました。スチュワーデスさんが出て来て、『セーフ』と言います。えー、今日は土曜日でございます。いつもより多めに嘘をついてしまいました」と言って演目は終わる。

 

吉本新喜劇「うまくいくやつ、いかないやつ」。出演は、辻本茂雄、西川忠志、島田珠代、高井俊彦、中條健一(ちゅうじょう・けんいち)、井上安世、しゃっきー、松浦真也、吉田裕(よしだ・ゆたか)、新名徹郎(にいな・てつろう)、レイチェル、浅香あき恵、桑原和男。

「花月うどん」という、うどん屋が舞台。新名徹郎と、しゃっきーのカップルが「花月うどん」にやって来る。店員の高井俊彦が応対するが、うどんを作るのに時間が掛かる。新名徹郎が「早くせえよ」と言うと、高井俊彦はやかんを新名に投げつける。更に高井は、しゃっきーに「デブですね」という。高井の代わりに西川忠志が対応。平謝りし、しゃっきーに対して「細いじゃないですか」と嘘をつく。新名と、しゃっきーは機嫌を直して店を後にする。店主の辻本茂雄は高井俊彦と西川忠志の態度を見比べ、「忠志はよくやってくれる」と言って、娘の安世(井上安世)と忠志を結婚させることに決める。高井に対しては「お前は不細工の犠牲になれ」とつれない態度。だが、実は高井と安世は恋人の関係にあり、茂雄の決定を快く思っていない。茂雄と忠志が去った後で、安世は高井に茂雄の外見的特徴から「しゃくれペリカンフランスパン」という徒名をつけ、高井に茂雄に対して「しゃくれペリカンフランスパン」と毒づくように提案する。だが、高井は小心者なので何度も「しゃくれペリカンフランスパン」と言って練習したのに、いざ茂雄を目の前にすると。何も言えない。
そこに安世のストーカーをしている松浦真也がギターを片手にやって来る。安世は松浦に自分が連れて行かれて悲鳴を上げれば、みんなが出てくるから、その時に松浦をやっつければ高井の株が上がるという提案をする。高井は松浦を追い返そうとするが逆に殴られる。そこへ忠志が出てきて、松浦を殴り、追い払う。

向かいの祇園酒店の桑原和子(桑原和男)がやって来る。花月うどんの店先に立ち、一人で「ごめん下さい、どなたですか、向かいの祇園酒店の桑原和子です、お入り下さい、こりゃどうも」といって入ってきて、その場にいた全員が全員がずっこける。和子は後を継ぐはずの娘の珠代(島田珠代)が現在、東京に彼氏がいるのでなかなか戻って来ないと愚痴る。そこへ珠代が久しぶりに帰ってくる。東京の彼氏とは別れたという。珠代は高井に一目惚れしてアプローチ。みんな状況を察して店の奥に引っ込んだり、外へ出て行ったりして、高井と珠代の二人だけの場面を作ってしまう。だが、高井は恋人がいるのでと拒絶。珠代は出ていく。皆が戻ってくる。和子がなぜこのうどん屋にやって来たのかと高井は聞き、和子はアルバイトの申し込みがあったので面接をこの場でやりたいと言う。アルバイトに申し込んだのは吉田裕。だが、吉田が入って来るなり、高井は吉田に「あなた、あれでしょ。マキバオーでしょ」と言う。吉田は「違います」というが、高井は「牧場男と書いてマキバオー」としつこい。吉田は「マキバオーじゃないです」と否定するが高井が「牧場に男と書いてマキバオー」とまだ言っているので、「だから男じゃないです!」とキレるが、周りの人は全員意味を勘違いして引く。吉田は「そういう意味じゃないです。マキバオーじゃなくて吉田裕」と名乗る。吉田は酒店で働きたい理由として、「お酒が好きなので酒屋で働いてみたいと思った」というが、茂雄は和子に「雇っちゃ駄目ですよ」と忠告し、吉田に「お前アル中やろ。だからいつでも酒が飲める仕事に就きたいんだろう」と面罵する。吉田は怒って出ていこうとするが、茂雄に「ちょっと待て」と呼び止められる。「出ていく前に、何か面白いことせえ」という茂雄。吉田が店に入ってくる時に、柱の陰でお辞儀をしたことに文句を言い、「それじゃ客席から見えないだろう」と作中人物ではなく劇団員としてのだめ出しをする。「俺は考えて演技してのし上がってきたんじゃ」という茂雄。吉田は「ヒヒーン」と馬の真似をして一端、捌けるが、不本意だったようでもう一度戻ってきて、「昔なにやってたかって? スキー」とやるがいずれも受けなかった。
中條健一がスーツ、カッターシャツ、ネクタイ、ズボン、ベルト、靴下、靴まで全部緑色というコーディネートで入って来る。茂雄は「お前、ちゃんと断ってきたんか?」と中條に言う。中條は何のことかわからないでいたが、茂雄が「八百屋から逃げて来やがって。お前、アスパラガスやろ」という。中條は「違う。吉本商事のものだ」といって、「ここの土地を売って欲しい」という話をする。何言ってるんだとみんな呆れてしまう。「今、社長を呼んでくるから。少し待て」とと出ていく中條。皆は店の奥に入ってしまうが、すぐに中條は吉本商事社長の浅香あき恵を連れて再登場。浅香あき恵は、「京都に新しいアミューズメントパークを建設したい」といい、「おたくの場所が最適という結論に到りました」とお金を上げるからこの場所を譲るように迫る。茂雄は拒絶。話し合いを拒否して、店の中に引っ込んでしまう。皆も茂雄の後を追って引き上げ、忠志も引っ込もうとするが、戻ってきた中條に呼び止められる。忠志は吉本商事に200万の借金をしていた。早く返すよう忠志に迫る。忠志はレジの金を盗もうとするが、高井に見つかってしまい、金を取り上げられる。しかし、そこで店の奥から出てきた茂雄に、高井がレジのお金を盗もうとしたと勘違いされ、ぶん殴られる。高井も忠志がレジの金を盗もうとしていたと説明するが、「忠志がそんなことするわけないやろ」と相手にして貰えない。騒ぎを聞きつけて皆が集まってくる。茂雄は皆に高井がレジの金を盗もうとしたと告げる。
安世も高井を見損ない、忠志と結婚することに決める。和子と珠代は、結婚式の準備をしなきゃ、と言って酒店の戻る。「京都一の結婚式場で式を挙げなきゃ」という珠代だが、高井がそれはどこかというと、「京都斎場」といって、高井から、「それは葬式やるとこや」と突っ込まれる。高井は殴られたことに立腹し、「もう辞めます。出ていきます」というが誰も止めない。
忠志が一人になったのを見計らって、浅香と中條が戻ってくる。浅香は、忠志に「安世と結婚して、この店を自分のものにし、それから吉本商事にこの土地を売ってくれれば借金はチャラにしても良い」という。忠志はこの話を呑む。花月うどんの入り口では、浅香と中條を見て妖しいと思い、後を着けてきた高井が陰に隠れて、このやり取りをスマートフォンで録音していた。
高井は皆を呼び、証拠である録音を聞かせるが、誤って前に録音した「しゃくれペンギンフランスパン」という音が再生されてしまし、茂雄を怒らせる。高井は再度再生、今度は上手くいった。忠志は内容が事実であると認めた。中條は短刀を取り出し、安世を人質に取って、力尽くで土地の権利を手に入れようとするが、和子がギャグをやっている隙に短刀を奪われ、浅香と共にボコボコにされる。警官(レイチェル)がやって来て、浅香と中條を銃刀法違反および脅迫罪で逮捕する。忠志は自分も逮捕して欲しいというが、茂雄はそういう忠志の誠実な態度を見て、忠志の逮捕は止めるよう警官にいう。警官は空気を読まずに忠志を逮捕しようとするが、結局逮捕は免れる。
安世は忠志に惚れてしまい、忠志と結婚することを決める。高井は振られたが、茂雄から「お前に恋してる奴がいる」という。島田珠代が前に出てきて、高井に甘える。
ところが、そこに吉田だがやって来る。実は吉田は珠代の東京時代の元彼だったのだ。珠代と吉田はやり直すことに決め、高井は結局一人で残されてしまうのだった。

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