カテゴリー「室内楽」の34件の記事

2020年9月19日 (土)

コンサートの記(655) 京都フィルハーモニー室内合奏団 「北欧の室内楽」@アートコンプレックス1928 2005.12.7

2005年12月7日 三条御幸町のアートコンプレックス1928にて

午後7時からアートコンプレックス1928で京都フィルハーモニー室内合奏団のメンバーによる室内楽演奏会、「北欧の室内楽」を聴く。
アートコンプレックスでコンサートを聴くのは久しぶり。前回はジャズの演奏会だったのでクラシック音楽を聴くのは自分でも意外だが初めてである。

京都フィルハーモニー室内合奏団(以下:京フィル)はアートコンプレックスで定期的に演奏会を行っていたのだが、これまではずっと平日の昼間に演奏会を開いていたのでなかなか聴きに行けなかった。客席は、京フィルの関係者とファン、北欧音楽ファン(私もここに入る)、室内楽ファンに大別されるようだ。あまり宣伝はしていなかったので、「よくわからないけれど何となく来てしまった」という人はいないようである。

楽団紹介パンフレットには、藤堂音楽賞受賞や京都新聞大賞文化学芸術賞受賞など受賞歴が書いてあるが、それがどういう音楽賞なのかよくは知らないため、感じるのは「頑張ってるんだねえ」ということだけ。
それよりも、「アーノンクールが初めて、そして今のところ唯一指揮した日本のオーケストラ」という売り文句を書いた方がずっとわかりやすいしアピール力もあると思うのだが(クラシックファンの中に、アーノンクールが京都に来たことを知らない人は何人かいるかも知れないが、アーノンクールという名前を知らない人はまずいないだろうし)、京フィルには「売らんかな」という姿勢はないようなので、こちらがどうこういっても仕方ない。


曲目はニールセン(デンマーク)の木管五重奏曲。シンディング(ノルウェー)の「セレナーデ」より第1番、第2番、第5番。グリーグ(ノルウェー)の「ソルヴェイグの子守歌」と「白鳥」。シベリウス(フィンランド)の弦楽四重奏曲「親愛なる声」。グリーグのみ室内楽ではなく歌曲である。


ニールセンの曲は不思議なメロディーと現代的な響きが特徴。クラリネットが普通は出さないような音を出す。技巧的にも難しいのがわかる。
しかしその割りには曲があまり面白くない。今日のアートコンプレックスの客席は平戸間であるため、暖房が下まで届かず寒かったのだが、にも関わらず居眠りしている人が続出。やはり曲に魅力がないのだろう。


シンディングの曲は二つのヴァイオリンとピアノによる三重奏という編成。
シンディングの音楽はどこまで行っても青空、といった風な明るさと、艶やかで優しく爽やかなメロディーが特徴だ。だが少なくとも今日聴いた音楽からは影がほとんど感じられない。
生前は人気作曲家であったというシンディング。しかし死後、急速に忘れ去られてしまう。あるいは影が不足していたことがその原因なのかも知れない。シベリウスの音楽が喜びの歌の背後に癒しがたい悲しみを湛えていたのとは好対照である。


グリーグの歌は、清澄なメロディー、温かな雰囲気、透き通るような悲しみが特徴。愛らしい歌曲である。歌ったのはソプラノの島崎政子。真っ赤なドレスが印象的であった。


ラストのシベリウスの弦楽四重奏曲「親愛なる声」は他の曲とは格が違う。弦楽四重奏曲ではあるが、スタイルは小編成による合奏曲に近い。先にも書いたがチャーミングで喜び溢れる歌の中に、悲しみや孤独が隠れている。私はそこに人生を感じてしまう。
視覚的にも格好良く、一斉合奏の部分は絵になっている。
ただシベリウスの音がしていたかというと、「ある程度は」と答えるしかない。シベリウスの音楽を聴かせるのは難しいのだと再確認する。

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2020年9月 6日 (日)

コンサートの記(652) 京都フィルハーモニー室内合奏団第227回定期公演B~室内楽シリーズ Vol.3「京都で愛でるダンス音楽の夕べ」@京都文化博物館別館

2020年9月3日 三条高倉の京都文化博物館別館にて

午後6時30分から、京都文化博物館別館で京都フィルハーモニー室内合奏団の第227回定期公演B~室内楽シリーズ Vol.3 「京都で愛でるダンス音楽の夕べ」を聴く。客席は両隣最低1席は空けてソーシャルディスタンスを保っての開催である。

コロナ禍でもいち早く演奏を再開させて話題になった京都フィルハーモニー室内合奏団。今年の春からは柳澤寿男がミュージックパートナーに就任している。

 

京フィルこと京都フィルハーモニー室内合奏団の室内楽演奏は、マニアックな曲目を取り上げることで知られている。

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今日のプログラムは、ファルカシュの「17世紀の古いハンガリー舞曲」(フルート:市川えり子、オーボエ:岸さやか、クラリネット:松田学、ファゴット:田中裕美子、ホルン:山本愛沙子)、ピアソラの「ブエノスアイレスの四季」より“秋”と“冬”(ヴァイオリン:森本真裕美、チェロ:石豊久、ピアノ:佐竹裕介)、トゥリンの「ファンダンゴ」(トランペット:山崎恒太郎、トロンボーン:村井博之、ピアノ:佐竹裕介)、ヨハン・シュトラウスⅡ世の「皇帝円舞曲」(第1ヴァイオリン:角田博之、第2ヴァイオリン:青山朋永、ヴィオラ:馬場順子、チェロ:石豊久、コントラバス:上野泰歳、ピアノ:佐竹裕介)。

京都市交響楽団を始め、関西のオーケストラのピアノパートを手掛けることの多い佐竹裕介が4曲中3曲に登場し、ほぼ主役状態である。関西のクラシックファンで京フィルのメンバーを一人も知らないという人は結構多いと思われるが、佐竹裕介を知らない人は稀だろう。それぐらい出まくっている。主に20世紀以降にオーケストラに加わるようになったピアノパートは、それほど人気というわけではないが、佐竹は「自分はピアニストだけれど、オーケストラのメンバーになりたい」という憧れをずっと抱いていたそうで、適職に就いたという感じである。

 

ファルカシュの作品は、タイトル通り、バロック以前の味わいを持つが、ファルカシュ自体は1905年に生まれ、2000年に没したという、比較的新しい時代の作曲家である。
ファルカシュ・フェレンツ(ハンガリー人であるため、姓・名の順の表記となる)は、ブダペスト音楽院を経てローマの聖チェチーリア国立音楽院で、レスピーギに師事しており、レスピーギ譲りの豊かな音の彩りを駆使して映画音楽の作曲家としても活躍したそうだ。ジェルジ・リゲティは弟子である。
「17世紀の古いハンガリー舞曲」は素朴さや明るさが特徴的であり、旋律も内容も分かりやすい。古い楽曲を現代風にアレンジするところなどは、師のレスピーギに範を取ったのだろうか。

演奏終了後にファゴットの田中裕美子がマイクを手に挨拶。マイクの前にはプラスチックボードが貼り付けてあり、飛沫が飛ばないよう工夫されている。今日は結構、人が入ったため(元々、京フィルの室内楽シリーズは曲目が魅力的ということで人気がある)、マイクを使っても後ろの方まで聞こえなかったようで、最初からやり直しとなったため、クラリネットの松田学に急遽出てもらい、5曲目の「跳躍の踊り」について語って貰っていた。

 

ヴァイオリニストの森本真裕美によるピアソラの「ブエノスアイレスの四季」の解説。1990年代半ばに起こったピアソラビームの影響もあり、今では「タンゴといえばピアソラ」という感じになっているが、ピアソラはパリ国立音楽院でナディア・ブーランジェに師事し、ブーランジェから「あなたはタンゴを書くべきだ」といわれ、祖国であるアルゼンチンに戻り、タンゴの作曲家としてスタートしている。クラシックの作曲法を学んだこともあって洗練されたタンゴを書いたが、「こんなタンゴじゃ踊れない」と祖国では評判が悪く、逃げるようにアメリカに移っており、アルゼンチンでタンゴの作曲家として認められた時にはすでに60歳を過ぎていたそうである。
ただクラシックをベースにしたタンゴであるため、世界のどこに行っても通じやすく、日本にもピアソラのファンは多い。ギドン・クレーメルのピアソラアルバムがベストセラーとなった時は、坂東玉三郎が広告やCDの帯でピアソラ愛を語っていた。

アルゼンチンは南半球にあるため、日本とは季節が真逆である。今は冬から春に向かう頃だ。

“秋”は、ヴァイオリンが駒より後ろの部分を奏でてギロのような音を出すなど意欲的な表現も目立ち、いかにもピアソラといった味わいの音楽だが、“冬”は家族で団欒の時間を過ごしているような親密な顔が覗く。あるいはヴィヴァルディの「四季」の“冬”より第2楽章が意識されているのかも知れない。

 

トゥリンの「ファンダンゴ」。アメリカの作曲家であるジョセフ・トゥリンは吹奏楽の世界では有名なようである。トロンボーンの村井博之がマイクを手に、新たに京フィルに加わったトランペットの山崎恒太郎を紹介していた。
「ファンダンゴ」は躍動感と推進力を特徴とする。元々は吹奏楽ための賑やかな曲のようで、YouTubeなどにもいくつか映像が上がっているが、室内楽バージョンは少し趣が異なる。

 

ラストの曲目となるヨハン・シュトラウスⅡ世の「皇帝円舞曲」。場面転換に時間が掛かるので(ステージスタッフは女性一人のみ)、第1ヴァイオリンの角田博之(すみだ・ひろゆき)がトークで繋ぐ。大体はWikipediaから拾ってきた情報だそうである。
個人的な思い出を書くと、工藤静香が若い頃に出演していたチョコレートのCMに「皇帝円舞曲」が使われており、CMの中で工藤静香が首を振って踊っていた情景が思い起こされる。誰かがYouTubeにアップしているようだ。

室内楽編成の「皇帝円舞曲」であるが、各パートの旋律がはっきり分かるという利点があり、京都文化博物館別館の独特の音響にも助けられて、華やかな仕上がりとなった。サロンでは昔からこうした編成で弾かれる機会も多いので、室内楽アンサンブルで聴くのも取りようによっては贅沢である。

アンコールは同じくヨハン・シュトラウスⅡ世の「トリッチ・トラッチ・ポルカ」。勢いもある楽しい演奏である。ニューイヤーコンサートではないが、今年の前半はコロナで全て吹き飛んでしまったため、これが本当の意味での今年の始まりという気分にもなる。


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2020年8月13日 (木)

楽興の時(38) 京都坊主BAR 「MANGETSU BAROQUE NIGHT」 ensemble kreanto(西谷玲子&中野潔子)

2020年8月4日 本能寺跡近くの京都坊主BARにて

午後7時から、元本能寺(本能寺跡地)の近くにある京都坊主BARで、「MANGETSU BAROQUE NIGHT」を聴く。普段はツーステージあるが、今日はワンステージのみである。出演は、ensemble kreanto。

ensemble kreantoは、チェンバロの西谷玲子とヴィオラ・ダ・ガンバの中野潔子によるデュオ。

西谷玲子は、京都市出身。京都市立堀川高校音楽科を経て、京都市立芸術大学ピアノ科を卒業。京都市新人芸術家選奨を受賞している。現在はJEUGIAが経営する京都音楽院の講師として活躍している。

中野潔子は、大阪音楽大学楽理科卒業後、同大学院でも音楽学を学び、現在は京都音楽院などで講師を務めるほか、ヴィオラ・ダ・ガンバのコンサートなども主催している。

 

京都坊主BARに新たに電子チェンバロが入る。私が浜松を訪れた時に訪れた浜松市楽器博物館で弾くことの出来る数少ない楽器展示だった電子チェンバロと同じ種類のものだと思われる。この電子チェンバロシリーズは、「テラの音(ね)」コンサートでも用いられたことがある。新品は高いので中古品を購入したそうだ。

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出演者が店に到着するまでに時間があったので、チェンバロで少し遊んでみる。J・S・バッハの「平均律クラーヴィア」からプレリュード、坂本龍一の「シェルタリング・スカイ」、サティの「ジムノペディ」第1番などの冒頭を弾き(暗譜していないため)、その後、即興演奏も行って遊ぶ。

 

スピーカーからはいつもバロック音楽が流れているのだが、コレッリの「ラ・フォリア」が流れたので、CDの紙ケースを見せて貰う。リコーダー:フランス・ブリュッヘン、チェロ:アンナー・ビルスマ、チェンバロ:グスタフ・レオンハルトという豪華な顔触れによる演奏である。しかしもう今では全員他界してしまった。

フランス・ブリュッヘンの実演には1度だけ接したことがある。リコーダー奏者ではなく指揮者としてである。自ら結成した十八世紀オーケストラを率いての京都コンサートホールでの来日公演。2003年のことだったと思う。民音(民主音楽協会、創価学会の運営)主催であるため、チケット不買運動が起きていた。
この時はブリュッヘンは体調不良だったようで、演目はベートーヴェンの交響曲第6番「田園」と第5番という王道プログラムであったが、ブリュッヘンらしい覇気と才気には欠けていた。というわけで1980年代から90年代のような好調時のブリュッヘンの演奏には残念ながら接していない。

 

今日はマイクのセッティングがなく、出演者もマスクをしながら喋る必要があるため、説明や曲目紹介などが聞き取りにくい。ただ、いずれも馴染みのない曲が多く、曲名を紹介したところで、こちらもどういう曲なのか上手く説明出来ないため、印象のみを述べることにする。

 

西谷玲子のソロ曲目は聞き取ることが出来、J・S・バッハの「シンフォニア」よりが演奏される。西谷は「調の変化を楽しんで欲しい」と言う。「インヴェンションとシンフォニア」として学習用楽曲として有名であるが、そこは流石にバッハで、平易ではあってもシックな大人の音楽に仕上げている。京都坊主BARは町家を改造したバーであり、シンクな雰囲気がバッハの楽曲にとてもよく合う。

 

中野潔子のヴィオラ・ダ・ガンバの演奏。コロナ禍で海外旅行が出来ないため、せめて音楽の世界だけでも異国に飛ぼうということで、オランダ、イギリスやフランスなどの楽曲が奏でられる。
ガット弦を張ったヴィオラ・ダ・ガンバ(チェロの先祖に当たるが、エンドピンがなく、奏者は両足で楽器を挟んで演奏する)の音色は押しつけがましさがなく、音も漂うような雰囲気があり、光の推移の様が目に見えるかのようである。そういう点においては音楽は絵画の「印象派」を先取りしている。ドビュッシーやラヴェルの音楽は、音楽における印象派と呼ばれているが絵画の印象派とは異なる(ドビュッシーらは印象派ではなく「象徴派」と呼ぶべきだという意見もある)。クロード・モネが描こうとしたような光と時間の移り変わりは、音楽では先に達成されていると見ることも出来るのかも知れない。

 

ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロの楽曲としては珍しい現代の作品の演奏を経て、テレマンの3つあるガンバ・ソナタのうちの一つが演奏される。スケールが大きくリズミカルな曲であり、テレマン自身の自信や誇りが伝わってくるかのようである。
その後の音楽とは価値観が異なる作品が多いが、その時代にマッチし、彩ってきた音楽に触れる贅沢を感じることが出来た。

 

演奏終了後、やっぱりチェンバロを演奏してみたくなったので、先程演奏した曲に加えて、楽譜が置かれていたバッハの「インヴェンションとシンフォニア」第1曲(千葉にいた頃によく弾いた曲だが、譜面がスラスラ読めないようになって来ているので苦戦)、ベートーヴェンの「月光」ソナタの冒頭(暗譜出来ておらず、すぐに行き詰まる)、サティの「グノシェンヌ」第5番の冒頭の右手の旋律、オルガンの音も出せるので、J・S・バッハの「小フーガ」ト短調の冒頭、右手だけの部分などを弾く。もう18年もピアノに向き合っておらず、たどたどしいものにしかならないが、瞬間瞬間で浮かんでくる旋律を音に変えるという即興演奏っぽい遊びを行っている時間は、あるいは私にとって最も幸せな瞬間なのではないかと、高校生の時にふと浮かんだ思いが、デパートの屋上から上がるアドバルーンのように私の頭上でゆらゆら揺れていた。

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2020年8月 9日 (日)

コンサートの記(646) 春秋座室内楽公演「デュオの妙」2005 鈴木大介(ギター)&亀井良信(クラリネット)

2005年10月1日 京都芸術劇場春秋座にて

京都芸術劇場春秋座で、室内楽公演「デュオの妙」を聴く。ギタリスト・鈴木大介と、クラリネット奏者・亀井良信のデュオ。

ギターとクラリネットのための曲というのは、ほぼ皆無に等しいので他の楽器のために書かれた曲の編曲が中心である。
J・S・バッハの「インヴェンションとシンフォニア」のデュオや、シューベルトの「アルペジオーネ・ソナタ」の編曲など、曲目も面白い。
特にクラリネットは超絶技巧の連続なのがわかる。指使いが尋常ではない。

「アルペジオーネ・ソナタ」はチェロやヴィオラ、ピアノの伴奏で演奏されることが多いが、クラリネットで演奏すると音色が明るいこともあって、夢見るような心地良さを感じることが出来る。

そういえば、最近、シューベルトの音楽に急速に惹かれるようになっている。前から良く聴いてはいたが、自然とシューベルト作品のCDに手が伸びるようになったのは最近だ。シューベルトは31歳で早逝した。私も今年で31歳(2005年当時)。同年齢に達しようとしているが故に惹かれるのかどうか、それはわからないけれども、シューベルトの心境が何の理屈もなくわかるようになって来ている。

後半はアメリカの現代作曲家、エリオット・カーターのクラリネットソロ作品でスタート。クラリネットから硬質な響きや、サキソフォンのような音が出たりする。クラリネットの性能を追求した曲だ。興味深い。もう一度聴きたいとは思わないけれど。

次いで、プーランクの「ホルン、トランペットとトロンボーンのためのソナタ」を、クラリネットとギターで演奏するなど、無茶なことをしたりする。でもちゃんと聴かせてしまうのだから大したものだ。

アンコール演奏は2曲。ショーロというブラジルの大衆音楽からの1曲と、二人の共通の友人であるフルーティスト・荒川洋の作曲した、いずれもクラリネットとギターのための曲を演奏する。オリジナルだけに無理がない。いい音楽だ。

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2020年7月 7日 (火)

楽興の時(36) 「テラの音」特別版「今こそ、みんなの力で」

2020年7月3日 中京区の真宗大谷派小野山浄慶寺にて

京都御苑の近くにある真宗大谷派小野山浄慶(じょうきょう)寺で久しぶりに「テラの音(ね)」を聴く。今回はコロナ対策として特別版「今こそ、みんなの力で」と銘打たれ、普段は予約不要であるが要予約、来場者も20名までに限られる。風通しを良くするため本堂の障子が開け放たれており、雨音が良く響く。自然の通奏低音との共演である。

今回の出演者は、「テラの音」共同主催者で企画担当でもあるヴァイオリニストの牧野貴佐栄(きさえ)と、実妹のmarie(ピアノ&ヴォーカル)のデュオ。姉妹であるため顔は同傾向ではあるが、髪型、髪の色、衣装全て大きく異なる。性格もかなり違うはずである。多分であるが、兄弟姉妹は性格が違うほど仲は良くなる傾向がある、と思われる。

オープニングとして姉の牧野貴佐栄のヴァイオリン独奏で、J・S・バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番より「プレリュード」と「ガボット」が弾かれる。

その後は姉妹デュオで、「Hallelujah~ハレルヤ~」、「Cannon Rock」(パッヘルベルの「カノン」の編曲)、ビートルズナンバーの「Oh! Darling」、「G線上のアリア」、イーグルスの「Desperado~ならず者~」、「希望の讃歌」、葉加瀬太郎の「情熱大陸」の演奏。

「希望の讃歌」は譜面が出版されていないため、耳コピで演奏にまで漕ぎ着けたそうである。

通常の「テラの音」は2時間ほどの上演時間であるが、今日は1時間ほどの短縮バージョン。開演時間もいつもの7時から7時半に遅らせている。雨でヴァイオリンの調子が余り良くないようだが、ノリの良い演奏が聴かれる。
ちなみに現地での聴衆の数が限られるということで、来られない人のために今回の「テラの音」はFacebookでライブ配信がなされた。

コロナでの自粛期間は姉妹で実家(名古屋だと思われる)に戻って過ごしたそうで、仕事も演奏会も飛んでしまったが、姉妹で練習する時間が持てたそうである。

 

アンコール演奏は、ジョン・レノンの「Imagine」。合唱はまだ危険とされているため、歌詞カードは印刷されていたが、聴衆は心の中で歌うに留める。

 

最後は、浄慶寺の中島浩彰住職による法話。実はコロナ対策として叫ばれている「三密」が元は仏教用語であり、「身密・口密・意密」の三つからなるもので、身体・行動、言葉・発言、意思・心の三つが整うととても良いのだが、新型コロナのためにそれが難しくなっている。移動行動が制限されているため祖母が孫に会えないということがあったり、ネット上での口撃で女子プロレスラーが自殺してしまったりという痛ましい出来事があったりした。
ただ、自粛期間に普段出来ないことする時間が生まれるなど、良いこともあるという話にもなる。住職は掃除が捗ったり、家族の時間を持つことが出来たそうである。

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2019年11月20日 (水)

コンサートの記(608) 第23回京都の秋音楽祭 「フォーレに捧ぐ――北村朋幹×エール弦楽四重奏団」

2019年11月10日 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタにて

午後2時から、京都コンサートホール アンサンブルホールムラタで、第23回京都の秋音楽祭「フォーレに捧ぐ――北村朋幹×エール弦楽四重奏団」を聴く。

ピアニストの北村朋幹(きたむら・ともき)と、桐朋学園の仲間によって2011年に結成されたエール弦楽四重奏団によるピアノ五重奏曲の演奏会。

曲目は、フォーレのピアノ五重奏曲第1番、シェーンベルクの室内交響曲第1番(ウェーベルン編)、フォーレのピアノ五重奏曲第2番。
フォーレのピアノ五重奏第1番とシェーンベルクの室内交響曲第1番は共に1906年の作曲、1907年の初演であり、並べて演奏されることになった。

 

北村朋幹は、愛知県生まれのピアニスト。浜松国際ピアノコンクール第3位、シドニー国際ピアノコンクール第5位並びに3つの特別賞、リーズ国際ピアノコンクール5位、ボン・テレコム・ベートーヴェン国際ピアノコンクール第2位などの受賞歴がある。東京藝術大学を経て、ベルリン芸術大学ピアノ科を最優秀の成績で卒業。現在はフランクフルト音楽・舞台芸術大学でイェスパー・クリステンセンに師事し、歴史的奏法の研究に取り組んでいる。

エール弦楽四重奏団のメンバーは、毛利文香(もうり・ふみか。ヴァイオリン)、山根一仁(ヴァイオリン)、田原綾子(ヴィオラ)、上野通明(うえの・みちあき。チェロ)。

毛利文香は、2012年に第8回ソウル国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門で優勝、2015年には第54回パガニーニ国際ヴァイオリンコンクールで第2位に入っている。桐朋学園大学ソリストディプロマコースと洗足学園音楽大学アンサンブルアカデミーを修了。慶應義塾大学文学部も卒業している。

山根一仁は、中学生だった2010年に第79回日本音楽コンクール・ヴァイオリン部門で第1位。中学生での1位獲得は26年ぶりであった。現在はミュンヘン音楽演劇大学でクリストフ=ポッペンに師事している。

田原綾子は、第11回東京音楽コンクール弦楽部門第1位と聴衆賞を獲得。第9回ルーマニア国際音楽コンクールでは全部門でグランプリを獲得している。桐朋学園大学音楽学部を卒業後、パリ・エコールノルマル音楽院とデトモルト音楽大学で学んでいる。

上野通明は、2009年、13歳の時に第6回若い演奏家のためのチャイコフスキー国際音楽コンクールで日本人初の優勝。第6回ルーマニア国際コンクール最年少1位、第21回ヨハネス・ブラームス国際コンクールで優勝など華麗な経歴を誇る。現在はデュッセルドルフ音楽大学でピーター・ウィスペルウェイに師事している。

 

パリ音楽院院長を務めたことでも知られるガブリエル・フォーレ。劇音楽「ペレアスとメリザンド」、「レクイエム」、「パヴァーヌ」、歌曲「夢のあとに」などで知られ、いかにもフランス的なノーブルな作風で知られている。保守的と見なされることも多く、革命児のドビュッシーとは音楽面では敵対していた(仲自体はさほど悪くなかったようである)。

 

フォーレのピアノ五重奏曲第1番。北村はベーゼンドルファーのピアノを使用。室内楽ということでステージ奥寄りでピアノを弾くが、ムラタホールでは奥にピアノを配置した方が音が良くなるように思えた。
エール弦楽四重奏団の配置は、下手手前から時計回りに、山根一仁、上野通明、田原綾子、毛利文香。配置は1曲ごとに変わる。
フォーレは各楽器が対話を交わすような趣の曲を書いている。基本的にエレガントな音楽であるが、第3楽章冒頭のピアノとピッチカートの弦楽が奏でるメロディーは愛らしく、ポップですらある。ただそこからうねるような展開を見せ、スケールがどんどん大きくなっていく。

 

シェーンベルク(ウェーベルン編)の室内交響曲第1番は、うねりやスケールの大きさにおいて、フォーレのピアノ五重奏曲第1番に通じるところがある。北村とエール弦楽四重奏団も力強いエネルギー放出で情熱的な演奏を展開する。

この曲では、フォーレのピアノ五重奏曲第1番の時の、田原綾子と毛利文香が場所を入れ替えた形での配置で演奏が行われた。

 

 

フォーレのピアノ五重奏曲第2番。配置は下手手前から時計回りに、毛利文香、山根一仁、上野通明、田原綾子である。
フォーレは室内楽を好み、ドビュッシーからは「サロン音楽作曲家」と揶揄されたこともある。だが、ピアノ五重奏曲第2番は、シンフォニックでスケール雄大であり、ついぞ交響曲というものを作曲しなかったフォーレが室内楽の分野においてそれに匹敵する壮大な曲を書いていたことが確認される。
第2楽章では無調の部分があるなど、ウィーンで行われていた音楽の影響も取り入れており、単なる保守派の作曲家であったわけではないこともわかる。
第4楽章のラストでは弦楽が力強いユニゾンを奏で、豪勢な響きで曲を締めくくった。

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2019年9月19日 (木)

コンサートの記(594) 大阪クラシック2019 第2公演&第4公演

2019年9月8日 大阪シティ信用金庫本店2階講堂と大阪市中央公会堂中集会室にて

午後1時から北浜にある大阪シティ信用金庫本店で行われる第2公演に向かう。第2公演は無料である。
大阪クラシックは、普段は演奏が行われない場所が用いられるのが楽しみの一つである。用がないので大阪シティ信用金庫本店には行ったことがないのだが、2階に講堂があり、ここで演奏が行われる。普段はまず入れない場所なので興味深い。

第2公演は、大阪交響楽団のメンバーによる室内楽演奏である。出演は、ホルン:細田昌弘&小曲善子、ヴァイオリン:里屋幸&吉岡克典、ヴィオラ:南條聖子、チェロ:大谷雄一。

曲目は、モーツァルトのディヴェルティメント第15番より第1楽章とベートーヴェンの2つのホルンと弦楽四重奏のための六重奏曲。

チェロの大谷雄一がマイクを手に曲目解説などを行う。弦楽四重奏と2つのホルンという編成のための曲はそれほど多くはないのだが、モーツァルトとベートーヴェンという二人の作曲家がそろってこの編成のための曲を書いているという。

モーツァルトのディヴェルティメント第15番第1楽章。音響設計がされていない会場ということで、弦がかさついて聞こえ、ホルンの不安定さも目立ってしまう。

ただ人間の耳というのは大したもので、ほどなくして環境に馴染んでしまい、音楽が良く聞こえ始める。

ということでベートーヴェンの2つのホルンと弦楽四重奏のための六重奏曲は満足して聴くことが出来た。

2つホルンと弦楽四重奏のための六重奏曲の第2楽章が始まって程なくして、上手の入り口から大植英次がすっと入ってくるのが目に入る。

演奏が終わると、大植英次がマイクを手にステージの前に進み、挨拶と大阪交響楽団の紹介を行う。大谷雄一は演奏が始まる前に「今日はアンコールはありません」と明言していたのだが、大植英次が「アンコール聴きたいですよね」と聴衆に聞いて無茶ぶり。ベートーヴェンの2つのホルンと弦楽四重奏のための六重奏曲より第3楽章がもう一度演奏された。

大植は「ベートーヴェンの年は来年(生誕250)なのだが、我々はいつも先取りして行う」と語っていた。また大阪交響楽団のモットーである「聴くものも、演奏するものも満足できる音楽を!」を絶賛し、「海外ではいつも使わせて貰ってます」「著作権はありませんよね」と語っていた。


第3公演も無料公演なのだが、スケジュールが重なっているため、そちらは聴かずに大阪市中央公会堂中集会室で行われる第4公演へと向かう。大阪フィルハーモニー交響楽団団員達による演奏で、これは1000円の有料公演である。

出演は、宮田英恵(ヴァイオリン)、石田聖子(チェロ)、宮本聖子(ピアノ)によるピアノトリオ。全員がベルリンへの留学経験があるため、ベルリン・トリオという名も名乗っているそうである。まず宮田英恵がスピーチを行うのだが、聖子が二人いたり、「宮」や「田」の字が重なっていて結構ややこしいという話から入って、曲目の解説を行う。

メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番とブラームスのピアノ三重奏曲第1番という、ピアノ三重奏曲第1番を重ねたプログラムである。宮田によるとメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番は、彼が二十歳の時に書かれたもので、二十歳というと普通はまだ若いと思われる年齢だが、メンデルスゾーンは38歳の若さで亡くなってしまうため、作曲家としてはすでに中期に差し掛かっていると見なされるそうである。

メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番は、仄暗い情熱を湛えた曲であり、メンデルスゾーンの早熟ぶりを窺うことが出来る。

ブラームスのピアノ三重奏曲第1番の前には、チェロの石田聖子がスピーチを行う。本来はメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番のみで収めようと思ったのだが、大阪クラシックの持ち時間は45分で、どれだけゆっくり演奏したとしても45分持たないということで、ブラームスのピアノ三重奏曲第1番も演奏することにしたという。ブラームスがピアノ三重奏曲第1番を作曲したのは21歳と若い頃だったのだが、その後に改訂され、今日演奏されるのもその改訂版だという。

スケールの大きな曲だが、ブラームスとしては開放的な曲調を持っており、メンデルスゾーンが「暗」、ブラームスが「陽」という一般的なイメージとは逆の楽曲で構成されているのが面白い。

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2019年7月 9日 (火)

楽興の時(30) 「Kyo×Kyo Today vol.5」

2015年1月30日 京都芸術センター講堂にて

午後7時から、京都芸術センター講堂で、「Kyo×Kyo Today vol.5」を聴く。京都芸術センターで京都市交響楽団のメンバーが室内楽を演奏するという企画。毎年1回、冬の時期に行われていて、今年が5年目で5回目の演奏会になるが、1回から4回まではこうした催しがあることすら知らなかった。昨年、やはり京都芸術センター講堂で、30回有効のパスポートを観たとき、開場前に京都芸術センターのチケット売り場で「Kyo×Kyo Today」のことを知ったのである。

ちなみに京都芸術センターは旧・明倫小学校の校舎を利用しているが、講堂と体育館が別であったことがわかる。講堂は2階にあるが体育館は1階にあり、今はフリースペースとして使われている。体育館が講堂も兼ねているのが普通なので(私が卒業した小学校も、様々な催しが行われる木屋町通沿いの元・立誠小学校もそうである)、旧・明倫小はかなり珍しいケースである。

今日の出演者は、長谷川真弓(ヴァイオリン)、山本美帆(ヴァイオリン)、金本洋子(かなもと・ようこ。ヴィオラ)、木野村望(きのむら・のぞみ。ヴィオラ)、ドナルド・リッチャー(チェロ)、垣本昌芳(ホルン)、小谷口直子(クラリネット)。

オール・モーツァルト・プログラムで、弦楽五重奏第6番、ホルン五重奏曲、クラリネット五重奏曲「シュタードラー」。5回目の公演ということに掛けて全て5重奏の曲が選ばれている。

なお、京都市交響楽団は現在、小学生を対象とした音楽鑑賞教室を京都コンサートホールで行っており(指揮は京都市交響楽団の首席常任客演指揮者の高関健)、今日は午前10時20分からの公演と午後2時からの公演があり、更に夜もこの公演があるということで、弦楽奏者達は今日は一日中弾きっぱなしということになるそうだ。

まず、第1ヴァイオリンを務める長谷川真弓によるマイクを使った挨拶がある。いかにも良家のお嬢さんという感じの声と話し方である(弦楽奏者は楽器が高い上に小さな頃からのレッスン料金もバカにならないので、ほぼ100%、親が金持ちだといわれている。一方、管楽器は中学校の吹奏楽部で初めて楽器に触り、というケースが多く、楽器は学校持ちでレッスンは先輩達が教えてくれるため、必ずしも良家出身とは限らないそうだ。以上は、NHK交響楽団の首席オーボエ奏者である茂木大輔のエッセイによる。茂木によると、N響の場合でも弦楽器奏者と管楽器奏者とでは雰囲気が違うそうである)。

弦楽五重奏曲第6番。第1ヴァイオリン:長谷川真弓、第2ヴァイオリン:山本美帆、第1ヴィオラ:金本洋子、第2ヴィオラ:木野村望、チェロ:ドナルド・リッチャー。
リッチャーが中央に陣取り、下手に長谷川と山本のヴァイオリン奏者、上手に木野村、金本のヴィオラ奏者が並ぶ。
元々小学校の講堂ということで残響はないが、シャンデリアの下がるお洒落な内装の講堂の雰囲気はモーツァルトの音楽に合っている。音の通りも申し分ない。ただ、両サイドは磨りガラスであるため、オーケストラの演奏は無理そうだ。
1956年の創設直後に「モーツァルトの京響」という評判を取った京都市交響楽団。創設当時のメンバーは当然ながらもういないが、モーツァルト演奏時に重要となる緻密なアンサンブルは今も生きている。

 

ホルン五重奏曲。ヴィオラの金本洋子が降り、代わりにホルンの垣本昌芳が加わる編成。舞台下手から、時計回りに、長谷川、山本、リッチャー、木野村、垣本という布陣。
モーツァルトの時代のホルンは、唇と管の中に突っ込んだ手のみによって音程を変える、今ではナチュラルホルンと呼ばれるものだったため超絶技巧が必要とされたが、現代のホルンはピストンが付いているため、ナチュラルホルンよりは演奏がしやすい。このホルン五重奏曲も、ホルン協奏曲4曲を献呈されたホルン奏者、ロイトゲープのための作曲されたとされる。モーツァルトはイタズラ好きであったため、わざとナチュラルホルンでは演奏の困難なメロディーを書いたりしているが、垣本の技術に遺漏はなく、優れた室内楽演奏となる。

 

クラリネット五重奏曲「シュタードラー」。今日演奏される曲の中で一番有名な曲である。喫茶店などのBGMとしてもよく用いられる曲であるため、聴くと「ああ、知ってる」となる人も多いと思われる。

演奏前にクラリネット奏者の小谷口直子がマイクを持って挨拶をする。クラリネットは楽器の歴史の中では比較的若い楽器であり、モーツァルトの晩年になってようやく普及したため、モーツァルトが書いたクラリネットのための曲も多くはないのだが、クラリネット協奏曲と、今日演奏するクラリネット五重奏曲を書いてくれたお陰でクラリネット奏者は至福の時を味わうことが出来ると小谷口は語る。小谷口は2010年より文化庁派遣芸術家在外研修員としてウィーン国立音楽大学に留学したが、「ウィーンは京都によく似たところがある」という。ウィーン市民の排他的なところと京都人の排他性は似ているが、小谷口はそれには触れず(触れたら怒る人もいるだろうし)、芸術と街が一体になった雰囲気や、京都なら御所、ウィーンなら宮殿を中心として発展しているところ、カフェ文化が街に根付いていることなどを挙げる。モーツァルトの音楽というと小谷口はウィーンのメランジュという泡立てコーヒーの味を思い出すそうだ。モーツァルトの曲調を例えるのに「夢のように」という言葉を使いたいという小谷口だが、ウィーンには「悪夢のように甘すぎるケーキ」や「悪夢のように不味い飯」などもあったそうである。「最近はクラリネットを吹くよりも喋る方が得意になった」と言って、客席を笑わせる。

弦楽のメンバーはホルン五重奏曲の時と一緒。垣本と小谷口が入れ替わるが、小谷口は中央に正面を向いて座り、舞台上手に木野村、リッチャーが陣取る。

小谷口のクラリネットは伸びやかで、典雅さにも欠けていない。弦楽奏者4人も緻密なアンサンブルで聴かせ、はんなりとした演奏となる。

アンコールとしてクラリネット五重奏曲の第4楽章よりアレグロの部分が再度演奏された。

客席であるが、オール・モーツァルト・プログラムということもあってか、若い女性も多い。京都堀川音楽高校の生徒だろうか、制服を着た女子高生達もいる。一方で、男性の方は白髪頭の人が目立つ。あるいはクラシックの聴衆の世代交代は女性よりも男性の方が上手くいっていないのかも知れない。

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2019年5月25日 (土)

楽興の時(29) 「テラの音 Vol.13 ~チェロとピアノの織りなす調べ~」

2019年5月19日 北白川の真宗大谷派圓光寺にて

午後6時から、北白川山田町にある真宗大谷派圓光寺で行われる「テラの音(ね) Vol.13 ~チェロとピアノの織りなす調べ~」を聴く。今回は、西村あゆみと西村まなみの姉妹によるピアノとチェロのコンサートである。

姉の西村あゆみ(ピアノ)は、京都市立音楽高校(現・京都市立京都堀川音楽高校)を経て、大阪教育大学教育学部教養学科芸術専攻音楽コースを卒業。第4回クオリア音楽フェスティバル大学の部3位、2014年京都ピアノコンクール一般部門金賞並びに全部門最優秀賞京都新聞賞などを受賞している。京都芸術祭「デビューコンサート」に出演し、京都芸術祭聴衆賞も受賞している。
妹の西村まなみは、京都市立京都堀川音楽高校、京都市立芸術大学音楽学部を卒業。第25回クラシック音楽コンクール全国大会チェロ部門大学の部第4位、第3回宗次ホール弦楽四重奏コンクール第1位およびハイドン賞を受賞。第70回全日本学生音楽コンクール名古屋大会チェロ部門大学部の第3位、第31回京都芸術祭音楽部門新人賞も受賞している。


曲目は、第1部が、エルガーの「愛の挨拶」、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」、マーク・サマーの「Julie-O」、カザルス編の「鳥の歌」、サン=サーンスの「白鳥」、田中カレンの「はくちょう」、カサドの「親愛なる言葉」、フォーレの「夢のあとに」。第2部が、尾高尚忠の「夜曲」、木村弓の「世界の約束」、久石譲の「風の谷のナウシカ」より組曲「5つのメロディー」、両毛地方民謡「八木節」、中島みゆきの「糸」


有名曲が並ぶが、マーク・サマーはジャズの作曲家兼チェリストであり、「Julie-O」はピッチカートで始まるノリの良い曲である。
真宗大谷派圓光寺は、茶山の東側の中腹にあり、白川通まですぐそこの割には山深い印象を受けるのだが、「鳥の歌」、サン=サーンスの「白鳥」、田中カレンの「はくちょう」の鳥シリーズが演奏された時には、偶然、ウグイスが鳴き続け、歌比べのような形になった。

田中カレンの「はくちょう」は、はくちょう座を描いた曲である。西村あゆみが小学4年生の時に練習していたのだが、大好きだった学校の先生が妹さんを亡くした時に、「『きっとはくちょう座の星になって見守ってくれてるよ』って言って弾いてあげなよ」と母親から言われて、音楽室で先生に聴かせたという思い出があるそうだ。

フォーレの「夢のあとに」は、ノートルダム大聖堂が火災に遭った日に、チェリストのゴーティエ・カプソンが大聖堂の近くに駆けつけて弾いたことでも話題になったが、今日取り上げたのは、そのこととは特に関係がないようである。


第2部は全曲日本人の作曲家による作品が並ぶ。尾高忠明の父親としても知られる尾高尚忠の「夜曲」は、橋本國彦にも通じるようなフランス音楽からの影響と日本的な旋律を三部形式で書き上げた作品。なかなか魅力的である。

久石譲が「風の谷のナウシカ」のために書いた音楽をチェロとピアノのための組曲にまとめ上げた「5つのメロディー」は、久石の傑出したメロディーメーカーとしての才能を再確認出来る優れた楽曲である。

二人の安定した技巧による演奏を間近で聴けるというも贅沢な感じがする。

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2019年4月28日 (日)

コンサートの記(552) ローム ミュージック フェスティバル 2019 「リレーコンサートB ローム ミュージック フレンズ 木管&弦楽スペシャル・アンサンブル」

2019年4月20日 ロームシアター京都サウスホールにて

午後6時30分からロームシアター京都サウスホールで行われるロームミュージックフェスティバル2019の室内楽公演「リレーコンサートB ローム ミュージック フレンズ 木管&弦楽スペシャル・アンサンブル」を聴く。前半が木管アンサンブルの演奏で、ロッシーニの歌劇「セビリャの理髪師」より「序曲」「第1幕アリア『陰口はそよ風のように』」「第1幕カヴァティーナ『私は町のなんでも屋』」(山本真編曲)とビゼーの「カルメン」組曲より「前奏曲」「セギディーリャ」「アルカラの竜騎兵」「闘牛士」「ハバネラ」「闘牛士の歌」「ジプシーの踊り」(山本真編曲)。後半が弦楽八重奏によるメンデルスゾーンのずばり八重奏曲変ホ長調。


前半の木管アンサンブルの演奏。出演は、濱崎由紀(クラリネット。東京藝術大学、上野音楽大学非常勤講師。藝大フィルハーモニア管弦楽団と横浜シンフォニエッタのクラリネット奏者)、吉岡奏絵(クラリネット。日本センチュリー交響楽団クラリネット奏者)、荒絵理子(オーボエ。東京交響楽団首席オーボエ奏者)、本多啓祐(オーボエ。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団首席オーボエ奏者)、黒木綾子(ファゴット。ザルツブルク・モーツァルティウム管弦楽団ファゴット奏者)、岩佐政美(ファゴット。読売日本交響楽団ファゴット奏者)、高橋臣宜(たかはし・たかのり。ホルン。東京フィルハーモニー交響楽団首席ホルン奏者)、熊井優(ホルン・神奈川フィルハーモニー管弦楽団ホーン奏者)、そしてコントラバスの高橋洋太(東京都交響楽団コントラバス奏者)が加わる。

普段は別の楽団に所属している面々が、ロームからの奨学金を得ていたという繋がりで一堂に会して行う室内楽演奏会。各々が楽しそうに演奏しているのを見るのも喜びの一つである。


後半、メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲変ホ長調。出演は、島田真千子(ヴァイオリン。セントラル愛知交響楽団ソロコンサートマスター)、中島麻(ヴァイオリン。イルミナートフィルハーモニーオーケストラコンサートマスター)、青木調(あおき・しらべ。ヴァイオリン。NHK交響楽団ヴァイオリン奏者)、吉田南(ヴァイオリン。まだ学生だが、藤岡幸夫が司会を務める「エンター・ザ・ミュージック」に単独ゲスト出演して藤岡に絶賛されている)、金丸葉子(ヴィオラ。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団ヴィオラ奏者)、須田祥子(ヴィオラ。東京フィルハーモニー交響楽団首席ヴィオラ奏者)、横坂源(チェロ。ソリストとして活躍)、渡邊方子(わたなべ・まさこ。NHK交響楽団チェロ奏者)。

メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲は、私が最も好きな室内楽曲の一つだが、弦楽奏者8人が必要ということで(編成も弦楽四重奏団2つ分である)実演に接する機会は余り多くない。
チェロ奏者2人以外は立ったままでの演奏である。
メンデルスゾーン16歳時の作品であるが、ほとばしるような旋律、陰影の濃さなど「モーツァルトを凌ぐ神童」といわれたメンデルスゾーンの才能が脈打っているのが感じられる。
実演ということで音の受け渡しを目で確認出来るのも面白い。

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