コンサートの記(914) 遊佐未森 「cafe mimo Vol.24~春爛漫茶会~」大阪公演
2025年4月20日 心斎橋PARCO SPACE14にて
午後5時から、心斎橋PARCO14階の、PARCO SPACE14(イチヨン)で、遊佐未森の「cafe mimoVo.24 ~春爛漫茶会~」に接する。シンガーソングライターでボーカル&ピアノの遊佐未森が、ギターの西海孝とパーカッション&打ち込みの楠均と共に毎春トリオで行っているコンサート。通常は、東京の草月ホールでスタートして各地を回るのだが、今回は、大阪のこの公演が初日となった。昨年もPARCO SPACE14で開催。PARCO SPACE14は、以前は大丸心斎橋劇場、その前はそごう劇場という名前だったのだが、そのどちらでもcafe mimoは行われており、歴史の長さが感じられる。本来は、25周年になるはずで、お祝いも出来るはずなのだが、コロナで飛んでしまった年があり、Vol.25とはならなかった。遊佐未森によるとスタッフがどさくさに紛れて、Vol.25になるよう画策したらしいが、遊佐が「それはちょっと」と難色を示したので、四半世紀にはまだ届かないということになった。ただ中止になった回もリハーサルだけはしたそうで、その時にカバーした曲が面白くて大笑い。だが、笑いすぎて歌唱にならないため、その曲は封印することになったようである。
未森さんは、「桃」を意識したピンクのワンピースで登場したが、注文して完成したのが昨日の夜中。ドレスメーカーのサチコさんが夜に車を飛ばして事務所まで届けてくれたそうである。サチコさんは夫婦で衣装の製作を手掛けているのだが、結構、有名な人らしい。
ミラーボールが輝く会場。スキャットを背後に中原中也の「月夜の浜辺」の全編朗読を含む「月夜の浜辺」という同名の曲でスタート。未森さんは、「(中原中也の)映画もあったようなんですが(「ゆきてかへらぬ」)リハーサルで観に行けなかった」と語っていた。
桃の衣装なので、「桃」という歌や、「つゆくさ」というナンバー」も歌われ、cafe mimoでは終盤によく歌われた「一粒の予感」がバラード調のスタートで早めに歌われた。
恒例のカバーでは、「Fly Me to the Moon」が歌われる。お馴染みのジャズナンバーで、若い人には、「新世紀エヴァンゲリオン」連続アニメ版のエンディングテーマとして知られると書きたいところだが、「新世紀エヴァンゲリオン」連続アニメ版が放送されたのは30年近く前で、それを知っている人ももう若いとは言い切れない年齢になっている。
どちらかというと、ジャズ的なノリよりも落ち着いた歌唱を指向した出来であった。
カバーとしてはもう1曲、「The Water is Wide」が歌われた。フォーク全盛期にはよく歌われた民謡である。
大阪公演のゲストは、元Le Couple(ル・クプル)の藤田恵美。Le Coupleは連続ドラマ「一つ屋根の下2」の挿入歌となった「日だまりの詩(うた)」が大ヒットしたが、2005年に活動停止、2007年に離婚が成立して解散となっている。その後、藤田恵美はカバーなどを中心としたアルバム制作や、ラジオのDJなどとして活動を続けている。写真や映像で見るよりシャープな印象の女性。
藤田は自己紹介で、子どもの頃に劇団ひまわりにいて、左卜全とひまわりキティーズ「老人と子どものポルカ」にひまわりキティーズの一人としてレコーディングに参加していたそうである。
その後、ブルーグラスやカントリーなどを歌う歌手としてライブハウスで活動するが、その時、ライブハウスで演奏と同時に従業員として働いていたのが西海孝だそうである。西海孝とはその後、5人組のバンドを組み、藤田がボーカル、西海がギター&バンジョーで新宿コマ劇場の地下にあったカントリー系としては日本最大のライブハウス・ウィッシュボンで活動していた仲だという。十代、二十代は洋楽ばかり聴いていたが、事務所の人から、「日本の今を知らなきゃ駄目だよ」と言われ、手を伸ばしたのが遊佐未森のCD、「momoizum」であった。そして、「ライブにも行ってみよう」と思い、渋谷公会堂に出掛けたのだが、「え? こんなに踊る人だったの?」と思ったそうである。遊佐も自身のライブ映像を見返したことがあったのだが、「『momoizm』の時はこんなに踊ってたんだ」と驚いたそうである。
そしてなんと、「日だまりの詩」を歌うことになる。第1番を遊佐が、2番を藤田が歌う。
「ひだまりの詩」は、旋律は明るいが、歌詞はもう会えなくなった元彼の思い出と感謝を歌うという、ちょっぴり切ないものである。遊佐未森は、癒やし系シンガーであり、例えば「ココア」などの切ない曲も歌うが、メロディーが明るくて歌詞が切ない楽曲には彼女の歌声はハッピーすぎて余り合わないかも知れない。藤田は持ち歌だけにしっとりと歌い上げていた。
藤田が、遊佐の「僕の森」にチャレンジしたいと言う。遊佐は高校時代は音楽科出身で声楽などを学び、大学も音大。大学では声楽科ではなかったが、「8の字唱法」といって、通常の裏声を使うことなく高い声を出す唱法を習得している。普通の人はそうした発声は出来ないので、一般的な裏声を使うのだが、藤田も「出来には期待しないで下さい」といっていた通り、高音を出すのには苦労しているようだった。
その後、遊佐は、最も新しいアルバムである「潮騒」からタイトル曲などを歌う。
アンコールは、菅原都々子の「月がとっても青いから」を藤田恵美と共に歌う。藤田の父親が、菅原都々子のアルバムを2回聴かないと寝かせてくれないような人だったそうだ。
最後は遊佐未森による告知。大阪では、島之内教会でクリスマスコンサートを行うそうである。また大阪ではないが、同じ関西で、「京都の『ぶんぱく』というところでコンサートをやります。『ぶんぱく』って正式にはなんていうんだろう? 京都の人、みんな、『ぶんぱく、ぶんぱく』って言うから。文化博物館? 合ってる? 京都市文化博物館?」。京都文化博物館は、正式名称を京都府京都文化博物という京都府の施設なので、京都市文化博物館だとちょっと違う。ということで、「京都“府”」と言う。遊佐は、「そうですよね。京都府文化博物館?」。まあ、「府」と聞いただけで、京都府京都文化博物館という名称を導き出すのは難しいだろう。



















































































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