コンサートの記(846) 遊佐未森「cafe mimo Vol.23 ~春爛漫茶会~」大阪公演
2024年5月18日 心斎橋PARCO SPACE14にて
午後5時から、心斎橋PARCO SPACE14で、遊佐未森の「cafe mimo Vol.23 ~春爛漫茶会~」に接する。シンガーソングライターの遊佐未森(ボーカル&ピアノ)が、ドラムス・パーカッション・打ち込み担当でバンドマスターの楠均(くすのき・ひとし)とギターの西海孝(にしうみ・たかし)の3人と行う春の恒例ライブ。東京、遊佐の出身地である仙台、名古屋での公演を経て、今日の大阪公演が千秋楽となる。
大阪公演のゲストは、wasambon。遊佐未森がハープの吉野友加(よしの・ゆか)と二人で始めたユニットで、純粋なゲストというよりも遊佐未森が別団体で加わる形になる。
会場となる心斎橋PARCO SPACE14(イチヨン)は、旧大丸心斎橋劇場、元そごう劇場で、遊佐未森は大丸心斎橋劇場時代にも、そごう劇場時代にもcafe mimo公演を行っている。名前の通り、心斎橋パルコ(大丸心斎橋店北館を改装したもの)の14階にある。
遊佐未森と西海孝の二人でスタート。「クレマチス」と「遠いピアノ」が歌われる。
若く見えるが、今年で還暦を迎えた遊佐未森。黄色い上着と白のロングスカートで登場する。
楠が加わり、3曲目には、ルー・リードの「Perfect Day」が歌われる。ここで、役所広司主演、ヴィム・ヴェンダース監督の映画「PERFECT DAYS」の話になる。リハーサルをしている期間に遊佐と楠は観ていて、スタジオで感想を語ろうとしたところ、西海からストップがかかった。西海は「PERFECT DAYS」をまだ観ていなかったので、ネタバレを聞きたくなかったのである。その後、西海は「PERFECT DAYS」を気に入り、3回観たという。遊佐が客席に「『PERFECT DAYS』ご覧になった方」と聞くとパラパラと拍手が起こっただけ。ほとんで観られていないようである。楠が「ネタバレ出来ないですね」と語る。遊佐に「PERFECT DAYS」の感想を聞かれた楠は、「素晴らしかったです」と返すが、遊佐に「普通ですね。バンマスとしては普通」と言われる。楠は、「いや、本気で職業替えしようかなと思いました」と映画の内容を称えていた。
桜の季節の歌をうたいたいということで、出身地である仙台をモデルにした「旅立ち」が歌われる。
cafe mimoの仙台での公演は、近年では秋保温泉(あきうおんせん。映画のタイトルにもなったことがある有名な温泉で、私も子どもの頃に泊まったことがある)の近くにある慈眼寺(じげんじ)という寺院の本堂で行っているのだが、本堂の屋根裏に燕が巣を作っていたそうで、公演中に燕が飛び交っていたという。「僕の森」を歌った時には鳴き声がレスポンスのように響いていたそうだ。だがスタッフによるとライブが終わり、撤収した途端に燕の姿も鳴き声も消えたそうである。
昨日は名古屋での公演だったのだが、乗ったタクシーがつばめタクシーという会社のもので、「燕が続いている」という。
「銀と砂金の星」、「野の花」などが歌われた後で、wasambonのために遊佐が衣装替えで引っ込む。その間、楠と西海が「水夢(すいむ)」という曲で繋いでいた。
西海と楠が引っ込み、遊佐未森と吉野友加のwasambonが登場。「『遊佐未森です』『吉野友加です』(二人で)『wasambonです』」と新人のように自己紹介する。二人とも縞模様のワンピース姿である。二人でお揃いのワンピースを買いに行ったそうで、試着しながら遊佐が「なんとか姉妹みたいだね」と言ったところ、吉野が「阿佐ヶ谷姉妹ですか?」と返してきたそうで、遊佐は「阿佐ヶ谷姉妹も好きだけど、安田姉妹とかのつもりだったのに」と思ったそうだ。ユニット名の由来となった「wasambon(和三盆)」という曲でスタート。
wasambonは一昨年に結成されたが、その年は1回ライブを行っただけ。だが昨年は、遊佐のデビュー35周年ということで、「wasambonでツアーをやってみたら」という話があり、東北と中国・四国地方でコンサートを行ったという。色々なところで色々な美味しいものを食べたそうだ。
四国で公演を行うとき、ハープを運ぶので新幹線で岡山まで行き、そこからレンタカーを使って瀬戸大橋を渡り、途中、与島(よしま)で瀬戸内海の風景を楽しんでいたのだが(遊佐は「お薦めです」と言った後に、「あ、こっちの人の方が絶対詳しいよ」と吉野に語る)、「祝35周年」という垂れ幕がかかっているのを吉野が見つけ、遊佐と一緒に写真を撮ったそうで、「(デビューからの歳月が)瀬戸大橋と同じ35周年」という話であった。
wasambonは、録音を行ったことがないので、客席に曲を知っている人がほとんどいない。歌入りのものだけでなく、遊佐のピアノ、吉野のハープによるインストゥルメンタル作品も演奏される(遊佐のアルバムにはインストゥルメンタル楽曲が入っている場合が多い)。和三盆ということで、タイトルに「スノーボール」「葛桜」などお菓子由来のものが多いのも特徴である。「JUNE」という曲もあったが、これもお菓子ではないがお菓子の名前でもある「水無月」にタイトルが変わるかも知れないとのことであった。「葛桜」については色々話してくれたのだが、和菓子に興味も知識もないため、こちらはピンとこなかった。
「赤い実」という曲は二人とも楽器を離れて、2本用意されたマイクを前にアカペラで歌う。間奏の部分は楽器が鳴らないので、遊佐が「間奏」といって過ごしていた。また「僕の森」は今回は吉野のハープ伴奏で歌われた。
楠と西海が戻ってきて、吉野も残り、4人編成での演奏。「森とさかな」「一粒の予感」などが歌われた。
本編終了後、楠と西海のBPB(物販ブラザーズ)が、「BPB! BPB!」を連呼しながら登場。Tシャツなど物販の紹介を行うが(西海が、「Tシャツも丁シャツなの? T字路も元々は丁字路だった」という話をする)、今回はグッズの流通が上手くいっていないようで、会場にグッズが余り届いておらず、後でネットで注文することになるようだ。
アンコールは昭和歌謡のカバーで、二村定一の「アラビアの唄」(1928年=昭和3年。遊佐未森のカバーアルバム「檸檬」に収録されている)が、楠の打ち込みによる伴奏、遊佐の楠の二人のボーカルにより、振り付きで歌われた。
振りは遊佐が考えたものだが、自身のYouTube公式チャンネル CHANNEL MïMOに振付の動画をアップしているそうで、客席でも一緒に踊っている人がいた。
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