カテゴリー「ドキュメンタリー番組」の5件の記事

2021年8月27日 (金)

NHKBSプレミアム 「追悼 ウォルフガング・サヴァリッシュ ~マエストロの肖像 ウォルフガング・サヴァリッシュ 音楽に愛された男~」2013.3.4

2013年3月4日

NHKBSプレミアムで、「追悼 ウォルフガング・サヴァリッシュ ~マエストロの肖像 ウォルフガング・サヴァリッシュ 音楽に愛された男~」を観る。2003年に作成されたドキュメンタリーの再放送。先日(2013年2月22日)逝去した指揮者でNHK交響楽団の桂冠名誉指揮者であったウォルフガング・サヴァリッシュ追悼放送である。

幼児の頃から楽才を発揮したこと。第二次大戦では聴力を生かした傍受係を担当したこと。ミュンヘン音楽大学を首席で卒業したこと。初めての指揮台での演奏は失敗に終わったこと。アーヘンの歌劇場でのキャリアの出発。34歳の時に史上最年少でバイロイト音楽祭の指揮者を務めたこと。38歳でバイエルン国立歌劇場という、ドイツ国内でも一二を争う名門オペラハウスの芸術監督に就任したこと。歌劇場の総支配人との対立。1993年にフィラデルフィア管弦楽団の音楽監督に就任したことなどが、サヴァリッシュ指揮によるリヒャルト・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」に乗せて描かれていく。

私はサヴァリッシュの実演には一度しか接することが出来なかったが(1998年11月21日、NHK交響楽団の第1366定期演奏会)、この愛すべきマエストロの生前の姿を観て、一度きりだったことを残念に思うし、改めてサヴァリッシュの音楽が聴きたくなった。

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2021年8月 7日 (土)

NHKBSプレミアム ドキュメンタリードラマ「Akiko's Piano(明子のピアノ) ~被爆したピアノが奏でる和音(おと)~」

2021年8月5日

昨年の8月15日に録画して、そのまま見ないままにしてしまっていたNHKBSプレミアムドキュメンタリードラマ「Akiko's Piano(明子のピアノ) ~被爆したピアノが奏でる和音(おと)~」を観る。広島市の中心部で被爆し、翌日に19歳でこの世を去った河本明子(かわもと・あきこ)さんが残した日記を基にドラマとドキュメンタリーで構成された作品である。主演とナビゲーターは芳根京子が務める。

河本明子は、1926年、ロサンゼルス生まれ。父親の源吉は船乗りとしてアメリカに渡って保険会社で働き、ピアノを趣味とするシヅ子と結婚。二人の間には長女の明子、そして二人の弟の計三人が生まれた。明子が小学校に上がる年齢になったため、一家は日本に帰国。母方の実家があった広島県三滝町(現在の広島市西区三滝町)に居を構えた。ロサンゼルス時代に買ったアメリカ製のピアノは、1926年の製造で、偶然、明子と同い年。明子はこのピアノを心から愛していた。

ドラマの部分は、子役の出演部分を経て、明子(芳根京子)が(旧制)中学校に通っていた14歳の時から始まる。勉強好きで成績優秀、ピアノの演奏にも秀でるという優等生だった明子は、地理の教師でデッサンを趣味とする芸術家肌の竹内茂(町田啓太)に片思いするのだが、竹内は召集令状を受け取り、明子の夢の一つが絶たれることになる。その後も日中戦争が泥沼化したため働き手が足りなくなり、生徒達にも勤労奉仕が義務づけられる。日米開戦以降はピアノ音楽自体が敵性のものとして思うように弾けなくなった(クラシック音楽の盛んなドイツやイタリアは同盟国だが、当時の日本国民には音楽の違いなどはほとんど分からない)。夢がどんどん絶たれていく。

配給制が始まり、米が十分に得られないため、料理なども工夫しなければならない。育ち盛りの二人の弟に十分に食べさせるため、明子は食事を少しずつ減らすようになる。

中学校を卒業した明子は、広島女学院専門学校(現在の広島女学院大学の前身)に進学し、被服科で服飾デザインを専攻する。ここでも明子は1番の成績を誇り、級長も務めていた。

気になるのは、明子が県立広島女子専門学校(現在の県立広島大学の前身)に進むのに十分な学力がありながら、敢えて広島女学院専門学校に進んだと取れる会話が出てくることと、広島女子専門学校の生徒が広島女学院専門学校の生徒よりも明らかに優遇されていることが仄めかされる場面があることである。公立と私立で差があったようなのだが、なぜこうした情報が提示されているのかは良く分からない。ただ、広島女子専門学校に進んでいたら、あるいは8月6日の朝に広島の都心の税務署に勤労奉仕に出ることもなく、彼女の人生もまた別のものになっていたかも知れない。父親の源吉(田中哲司)と母親のシヅ子(真飛聖)は、明子の顔入れが優れないのに気づいており、源吉は「今日は家におれ」と明子に告げるが、級長ということで責任を感じていた明子は広島の都心へと向かう。

昭和20年8月6日午前8時15分。税務署の外で友人と話していた明子は被爆。爆風により、近くに停めてあった自動車の下まで飛ばされたという。その後、明子は、自宅までの3キロの道のりを歩いて帰ろうとする。旧太田川に掛かっていた橋は落ちており、明子は川を泳いで渡る。そして自宅まであと少しというところで倒れてしまう。両親に発見された明子だが、翌8月7日に死去した。河本家の墓石に明子の家族の名が刻まれているが、源吉は100歳、シヅ子は103歳まで生きるという長命の家系であったことが分かる。それだけに明子の早逝が一層悲しくなる。実家も被爆し、ピアノにはガラスの破片が突き刺さっていた。なお、上の弟は神戸経済大学(神戸大学経済学部の前身)の予科に進学しており、下の弟は学童疎開で福山にいて無事であった。一家でピアノが弾けるのは明子とシヅ子だけだったが、明子が亡くなってからはシヅ子はピアノを封印してしまい、蓋を開けたことすらなかったという。廃棄寸前だった被爆ピアノだが、15年前に修復が行われ、被爆ピアノではなく「明子さんのピアノ」と呼ばれるようになる。
この「明子さんのピアノ」のために、ロンドン在住の気鋭の作曲家である藤倉大がピアノ協奏曲を書き、それが2020「平和の夕べ」コンサートの曲目として広島文化学園HBGホールで初演される様子も流される。初演が行われたのは2020年8月5日で、翌6日にも同一プログラムで演奏されている。
初演のピアニストは、マルタ・アルゲリッチが予定されていたが、コロナ禍のため来日出来ず、広島出身の気鋭のピアニストである萩原麻未が演奏することになった。リハーサルと本番の様子が収録されているが、ピアノの譜めくり人は旦那さんであるヴァイオリニストの成田達輝が務めたようである。まずグランドピアノとオーケストラによるやり取りがあり、ラストで萩原が「明子さんのピアノ」に向かう。「明子さんのピアノ」付近以外の照明が落とされ、ピアノのモノローグが奏でられる。最後は高音が鳴らされ、明子の思いが光となって浄化されていくような印象を受けた。

2020年8月6日。芳根京子は広島平和記念式典に出席。ただ演出の都合上、マスクを付けることは出来ないため、平和記念公園には入らず、平和大通りで平和の鐘を聞き、なるべく人のいないところを選んで明子が被爆後に自宅まで歩いたルートを辿った。

藤倉大のピアノ協奏曲第4番「Akiko's Piano」の初演にも接した芳根は、「明子さんのピアノ」の前の椅子に腰掛ける。鍵盤に向かった芳根だが、「弾く勇気はないな」と語った。

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2021年3月 6日 (土)

DVD「ブルーノ・ワルターの芸術」

2008年3月7日

DVD「ブルーノ・ワルターの芸術」(ジェネオン)を観る。1958年、ワルターがバンクーバーの音楽祭に招かれて、バンクーバー・フェスティバル・オーケストラを指揮した際のリハーサル(ブラームスの交響曲第2番の第1楽章と第4楽章)と、カリフォルニア・ビバリーヒルズにあるワルターの自宅でのインタビュー映像が収められている。カナダのCBCの制作。

ユダヤ人であるためヒトラー政権下のドイツからアメリカに亡命したブルーノ・ワルターは、1957年に心臓に不調を感じたため、公式なステージからは引退するが、指揮活動からの完全引退ではなく、静養を多く取ることにはするものの、要請があればいつでも指揮台に立つつもりであった。このDVDのインタビューでもそう答えている。そしてこの直後から、ワルターの演奏を新たに開発されたステレオ録音で残すためにロサンゼルス・フィルのメンバーやハリウッドのミュージシャンを集めた録音用の特別オーケストラ、コロンビア交響楽団との録音活動に入ることになる。

バンクーバー・フェスティバル・オーケストラはかなり特殊な配置をしており、冒頭にワルターが「ホルンはどこだ?」、「トランペットは?」とオーケストラメンバーに尋ねている。ステージ中央に雛段があり(段上は無人。おそらくコーラス用のスペースではないかとライナーノーツには書かれている)、そこにいるはずの管楽器奏者はステージの端にいるのだった。

ブラームスの交響曲第2番第1楽章リハーサル。ワルターは、「エスプレッシーボ(感情豊かに)」、「ピアノ(弱く)」、「シング(歌って)」をオーケストラに何度も求め、「ディミヌエンド(段々弱く)」に注意するよう指摘している。バンクーバー・フェスティバル・オーケストラは臨時編成のオーケストラであるためか、ややぶっきらぼうな傾向があり、ワルターは「ピアノ」を強調する必要があったのだろう。また木管楽器に、より滑らかに演奏するよう求めるシーンも多い。

第4楽章では、ワルターは逆に「フォルテシモ(最も強く)」を強調する。臨時編成のオケが非力なためだろう。

譜面台に譜面がないということはないと思うのだが、ワルターはスコアに目をやることはなく、コンサートマスターに「今はどこだ?」と練習番号を訊いている。ただ、スコアは完全に頭に入っているようで、コンサートマスターが「Gです」と答えると、「ではGの前から」と言ってちゃんとそこから振り始める。

ビバリーヒルズの自宅でのインタビューでは、ワルターは音楽がエンターテインメントであることを否定し、自らも「エンターテイナーではない」としている。ワルターは音楽を崇高なものだとしており、ジャズに対しては音楽を馬鹿にしているように思えると否定的な見解を示している。1958年といえば、マイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンなどが活躍し、ジャズは黄金期を迎えようとしていた。そうした時流への牽制の意味もあったのだろうか。

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2021年1月16日 (土)

NHK「クローズアップ現代 [瀬戸際のオーケストラ対策は]」2007年1月17日放送(後記あり)

2007年1月17日

NHK「クローズアップ現代」。今日は[瀬戸際のオーケストラの対策は]というテーマで、経営難が叫ばれ続けている日本のオーケストラ事情を特集する。

オーケストラは大所帯であるためコストパフォーマンスが悪く、毎回客席が超満員になっても黒字が出ない。存続のためには資金援助に頼るしかないのだが、言葉だけは「好況」と言われていても実情が伴っていない現在の日本(2007年時点)では援助金がカットされ続けているというのが現状である。

私の出身地である千葉市に本拠を置く、ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉(現・千葉交響楽団)の苦境が放送される。千葉県内唯一のプロオーケストラとして1985年に発足。千葉市は比較的クラシック音楽愛好家の多い街だが、東京に近いということもあって、より優秀な演奏を求めて東京のプロオーケストラの演奏に通う人の方が多い。

千葉県も文化においては東京に頼り切りというところがあり、自前で文化を生み出そうという気概には欠けるところがある。JR千葉駅前に音楽専用ホール「ぱ・る・るホール」がオープンしたが、千葉県はニューフィルのフランチャイズにして育てるのではなく、東京フィルハーモニー交響楽団を招くという政策を採った(後記:その後、「ぱ・る・るホール」は大手地方銀行の一つである京葉銀行がネーミングライツを得て、京葉銀行文化プラザ音楽ホールとなったが、運営費が維持出来ず、2018年に閉鎖されている)。

ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉は年5回の定期演奏会を開いているが、会場は千葉市、市川市、船橋市、習志野市などに分散されているため、一つの都市に密着して演奏を行うということが出来ない。またゲストの堺屋太一氏が大阪フィルの前身である関西交響楽団の学校巡りの話をしていたが、ニューフィルは学校巡りや芸術鑑賞会での演奏を数多くこなしている。しかし思うような結果は出ていない。
クラシック音楽の聴衆を増やすためには、クラシックが持つ、「難しい」、「高尚な」、「インテリが聴く」、「暗い」、「退屈」という誤ったイメージを払拭する必要があるのだが、かつてのインテリ達が「クラシックは特別」という意識を今も持ち続けていることが多いこともあってか、なかなか普及しない。海外有名オーケストラの来日演奏会チケットが高いため、日本のオーケストラのチケット料金も高いと誤解されている節もある。

オーケストラだけでなく演劇もまたそうで、誤ったイメージが浸透しているため観客が増えない。映画にしろテレビ番組にしろ本にしろ漫画にしろ、一度も観たことがない、一冊も読んだことがないという人を探すのは難しい。しかしクラシックのコンサートや演劇を生で一度も味わうことなく生涯を終える人は思ったより多いと思われる。
初対面の人と演劇の話をする場合は、「まず演劇というものを観たことがあるか」から始めなければならない。そうでないと失礼になる。悲しいことだがこれが現状である。欧州などとは違い、日本では演劇が日常に溶け込んでいないのだ。

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2021年1月 8日 (金)

NHKスペシャル「未解決事件 File.01 グリコ・森永事件」2011-2021

2011年7月31日

昨日、一昨日と二日に渡って放送された「NHKスペシャル 未解決事件 『グリコ・森永事件』」を見た。1980年代半ばに起こったグリコ・森永事件の再現ドラマ(上川隆也主演)と、ドキュメンタリーからなる番組。一昨日の第一部と、昨日の第二部は再現ドラマが主、昨日の第三部はドキュメンタリーである。

再現ドラマは硬派なタッチで、主演の上川隆也を始め、池内博之、宅間伸、大杉漣といった実力派を揃え、実に見応えがあった。上川隆也の演劇集団キャラメルボックス時代の同僚、近江谷太郎との共演も嬉しかった。

再現ドラマを見て、興味深かったのは犯人グループの挑戦文、予告文、脅迫文などを担当した男の文章である。グリコ・森永事件には北朝鮮工作員説があるが、少なくとも文章を書いた男の文学的素養は高く、言葉は乱暴ながら七五調を用いたり、言葉遊びをするなど、子供の頃から日本で育った人間でないとこういった文章を書くのは難しいと思われる。また他者の心理を煽る手法などは巧みで、ドラマ中で男の文章を「よく書かれている」と評する言葉があるが、確かにその通りである。

現金輸送車を警察が予想していなかった滋賀県方面に走らせたこと、また第三部で紹介された、当時の滋賀県警の刑事が目撃した大津サービスエリアで目撃した容疑者Fこと「キツネ目の男」の行動、また、滋賀県警察本部長の焼身自殺を持って犯行が終了したことなどから、犯人組織の中に警察の人間がいたのではという説はやはり有力なのかも知れない。

事実は小説よりも奇なりというが、確かにグリコ・森永事件のようなフィクションを描いたなら嘘くさくなるだろうが、事実としてこうした出来事が起こっていたということは実に興味深い。

第三部のドキュメンタリーでは、これまでは事件の動きを知らされていなかったとされる滋賀県警が独自に捜査を行っていたことが明らかになる。また第二部のラストでは企業にかかってきた強迫電話が日本音響研究所の鈴木松美氏によって最新技術で解析され、事件当時警察が想定した三十代から四十代の女性と一人の子供による脅迫電話(つまり親子の可能性が高いと思われた)は解析の結果、十代半ばの少女と二人の少年、つまり三人の子供によるものであることが明らかとなった。

 

2021年1月5日

NHKオンデマンドで、NHKスペシャル「未解決事件 File.01 グリコ・森永事件」3回分を1度に見てみる。初回と第2回がドラマ中心、第3回がドキュメンタリー中心という構成になっている。2011年の放送。『罪の声』の作者、塩田武士もこの番組を見て、グリコ・森永事件を題材とした小説の執筆の準備に入っている。前から気になっていた情報がテレビで放送されたため、他の作家に先を越されまいとしたためだが、担当編集者に「今すぐ書くだけの技量はない」と言われたため、その後5年掛けて取材し、小説を書き上げた。塩田は、ドラマで上川隆也が演じていた読売新聞記者、加藤譲(ゆずる)にも話を聞いたという。声に関する話は第2回の最後に出てくる。

第3回のドキュメンタリーでは、「キツネ目の男」、捜査員達からはFOXの頭文字から「F」と通称された男の話が、当時の大阪府警や滋賀県警の刑事達から語られる。男の似顔絵がかなり似ていたというのは複数の人物の証言から間違いなさそうである。身長も175cmから180cmと高め、そしてあの目つき。すぐに身元が判明しそうに思われるのだが、今に到るまで消息不明である(それらしき人物がいたことは確認されているようだが、すでに故人となっているようだ)。2カ所で目撃されたキツネ目の男の行動は余りにも異様であり、警察を挑発、もしくはおちょくっているようにも思われる。いかにおかしな行動を取っても法に触れていない限りは逮捕出来ず、職務質問をしたとしても何の証拠も出ないだろうということで、警察の考え方を知悉していた可能性があり、『罪の声』の犯人グループに元警察の人間がいたという設定はここから生まれた可能性が高い。

関西の各府警、県警の連携が上手く取れていなかったことが犯人を挙げられなかった最大の要因だが、犯人グループはそれすら察知していたようで不気味である。ただ、栗東市付近の名神高速道の下で職務質問されそうになった犯人グループの一人と思われる人物の行動がやはり最大の謎である。それまで脅迫をしても最終的には金を受け取りに現れなかった犯人グループだが、この時だけは名神高速道の白い旗の下という重要ポイントとなる県道に車を停めていた。それがいかなる意図で行われたのかはわからないが、かなり妙である。白い旗の下には指示とは異なり、空き缶は置かれていなかった。ただ高速道路であるため、通過する車が起こす風圧によって空き缶が飛んでしまったという可能性はある。周到に準備を重ねてきた犯人グループがそうした可能性も考えないという初歩的なミスを犯すだろうかという問題が残るが。地元の滋賀県警でも配備出来るはずもない場所であり、滋賀県警のパトカーが不審な車を目撃したのも偶然である。空き缶に「鞄を下に落とせ」という指示書が入っていたとしたら、犯人グループが金をせしめる可能性は結構高いように予想される。ただ、常識的に考えれば空き缶は最初からなく、次の指示もなかったと見るべきである。では、なぜその下の県道に犯人グループの一人が車を停めていたのか。答えは出そうにない。

 

実はJRになる前の国鉄高槻駅から京都駅に向かう列車に乗り、車窓から白い旗が見えたら鞄を窓から投げ落とせという指示があった際には、警察は白い旗を確認したが、見落としたふりをしてわざと落とさないという作戦を取っている。この時もあるいは白い旗の下に車が停まっていて、ということだったのかも知れないが、夜に走っている電車の窓から現金の入った鞄を落として、それを犯人グループが見つけて回収という筋書きにはリアリティがない。回収出来る場所に鞄が落ちる確率がどれだけあり、そもそも闇の中を落下する鞄を目視で確認出来るのかという話である。

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