Eテレ「クラシック音楽館」 ヘルベルト・ブロムシュテット指揮NHK交響楽団第2045回定期演奏会
2025年11月16日
NHKONEで、Eテレ「クラシック音楽館」 NHK交響楽団第2045回定期演奏会を視聴。東京・溜池山王のサントリーホールでの演奏。N響のサントリーホールでの定期演奏会は、定期会員だけでほぼ満員になるため、1回券などで入ることは困難である。
指揮は史上最高齢指揮者であるヘルベルト・ブロムシュテット。1927年生まれ。今年で98歳になる。スウェーデン人のセブンスデー・アドベンチスト教会の宣教師の両親の下、アメリカで生まれたブロムシュテット。程なくしてスウェーデンに帰り、北欧最古の大学として知られるウプサラ才学やストックホルム音楽大学に学んだ。スイスのバーゼルでは古楽の研究も行っている。セブンスデー・アドベンチスト教会の教義に基づき、動物性の食材は一切口にしない(セブンスデー・アドベンチスト教会は、日本で三育学院大学などを設置しているが、この学院も学生は在学中肉食厳禁である)。ただ菜食主義者とは思えないほどエネルギッシュな音楽作りが特徴であり、ベートーヴェン、ブルックナー、ブラームス、シベリウス、ニールセンなどには定評がある。現在はアメリカ国籍。
ブロムシュテットが注目を浴びたのは、東ドイツのシュターツカペレ・ドレスデン(ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)時代。2、3年でコロコロと指揮者を替える傾向のあった同楽団の首席指揮者を10年に渡って務め、ベートーヴェンやシューベルトの交響曲全集を完成させている。ドレスデン離任後はサンフランシスコ交響楽団の音楽監督となり、グリーグの劇附随音楽「ペール・ギュント」抜粋や、ニールセンやシベリウスの交響曲全集が絶賛された。その後、ハンブルクの北ドイツ放送交響楽団の首席指揮者に就任したものの、ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団から首席指揮者(カペルマイスター)就任の打診があり、北ドイツ放送響は3年契約を2年契約で打ち切っている。ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団では、ブルックナーや2度目となるベートーヴェンの交響曲全集を作成。作曲者生存当時の奏法なども研究した演奏で、トップクラスの評価を受けている。
NHK交響楽団からは1985年に名誉指揮者の称号を得る(NHK交響楽団の名誉指揮者は、N響と特に強い結びつきを持つ外国人指揮者に贈られる終身称号。亡くなると返納される)。実は若い頃のブロムシュテットは他の名誉指揮者に比べると地味とされて、それほど人気はなかったが、ベートーヴェンや北欧ものでの人気は高かった。現在は、N響初の桂冠名誉指揮者を務めている。
私も、N響、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、バンベルク交響楽団、ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団を指揮した演奏会を、東京、大阪、京都、横浜で聴いている。高齢のため、現在は日本では東京でしか指揮しておらず、オーケストラもNHK交響楽団に限られる。
以前はすっくと立って、指揮棒を激しく振る指揮姿が印象的であったが、世紀が変わる頃にノンタクトでの指揮に移行。現在は高齢のため椅子に座って指揮するようになっている。
オール・北欧プログラムで、グリーグの「ホルベルク組曲(ホルベアの時代から)」、ニールセンのフルート協奏曲(フルート独奏:セバスティアン・ジャコー)、シベリウスの交響曲第5番の3曲が演奏される。
ちなみにブロムシュテットが耳に装着しているのは補聴器ではなく、より音が良く聞こえる装置だそうである。
グリーグの「ホルベルク組曲」(グリーグが書いた擬古典的音楽)は、スプリングの効いた若々しい演奏である。古典的な造形美も見事だ。
ニールセンのフルート協奏曲は、やはりミステリアスな作風で、交響曲を含めてニールセンの作風を理解するにはまだ時間が掛かりそうである。ただ豪快な作風はバイキングを生んだ国民性と無関係ではないだろう。なお、ソリストのジャコーはタブレット譜を見ながらの演奏であり、涼やかな響きでホールを満たした。アンコール演奏は、フルート独奏曲としてお馴染みのドビュッシーの「シランクス」。
ブロムシュテットが得意とするシベリウスの交響曲第5番。若い頃と変わらず、無駄な肉をそぎ落としたソリッドで力強い演奏。人生讃歌、そして世界讃歌となっている。ブロムシュテットのシベリウスは第3、第4、第6、第7などは必ずしも万全ではないのだが、第5に関しては、確信を持った演奏を行っており、盤石である。
楽団員の多くがステージを去った後も拍手は鳴り続き、ブロムシュテットはコンサートマスターの郷古廉(ごうこ・すなお)に付き添われて再登場した。




































































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