これまでに観た映画より(415) 「アクターズ・ショート・フィルム」シーズン2
2025年12月2日
アクターズ・ショート・フィルム シーズン2 エピソード1「いくえにも。」とエピソード2「物語」を観る。俳優が監督としてショートフィルムを制作するという試みの第2弾。WOWOWの制作である。
エピソード1「いくえにも。」は、脚本:山咲藍、出演:村上虹郎、平岩紙、見上愛、奥田洋平、黒沢あすか他。監督:青柳翔。
少年が線路沿い(総武快速線もしくは横須賀線沿いに見える)の電話ボックスに入るシーンから始まるが基本的には家族ものである。
阿部家では、毎週土曜日は一人暮らしをしている長男のシュウヘイ(村上虹郎)を呼んで家族4人で食事をすることにしている。朝食のテーブルについた4人。長女のナツミ(見上愛)は高校の制服を着ているが、土曜日でも学校に通う用事があるのかも知れない。ただ、結局、学校に行くことはない。
ナツミは肉を抜くダイエットを始め、シュウヘイは唐揚げが好きなので妹の分も食べる。
そんなところに、引っ越してきたお隣さんのフジノ(黒沢あすか)がやって来て、犬が……。
食事を始めたときは朝食だったのに、お隣のフジノがいる間に外は暗くなり、夕食となっている。そんなに長くいたのか?
シュウヘイがトイレの中で嘔吐する音が大きすぎるのが問題点。あんなに音が大きく漏れるトイレはもはや欠陥品である。
シュウヘイが自身のアイデンティティーを疑う展開があるが、基本的には食事をしているのがメインの話で、物語らしきものは見当たらない。
二世タレントとしては最も有名な一人である村上虹郎は、外見に似合う演技を見せている。
この時点では無名だったと思われる見上愛だが、大河ドラマ「光る君へ」で、中宮彰子(劇中での読み方は「あきこ」。実は「あきこ」と読む人が数人いた)に抜擢されて注目を浴び、次期朝ドラのWヒロインの一人をオファーで勝ち取っている。自然体の演技を行っているが、これだけでは女優としての資質は分からない。
平岩紙はおそらく主婦役だと思うが(旦那の職業は不明だが、一軒家に住んでいるので、少なくともそれなりの企業で良い地位にいると思われる。シュウヘイはホームセンターの倉庫係と、今ひとつパッとしない職業についた。正社員なのかどうかも不明)は、現実の彼女の年齢よりも若い女性を演じていると思われる。
エピソード2「物語」。出演:琉花、奥平大兼、玉城ティナ、はやしだみき他。脚本・監督:玉城ティナ
若い女性(琉花)が人混みの中でイヤホンを付ける。
彼女は白い部屋の中で寝たきりの男性、ユウヤに自身のことを話し続ける。彼女の職業が女優で、オーディションに落ちまくっていることが分かる。よそで聞いた話によると、男優でも女優でも大抵のオーディションは落ちるらしい。「オーディション荒らし」の異名を取った芳根京子でも落ちたオーディションの方が圧倒的に多いようだ。
とはいえ、オーディションに落ちてばかりでは仕事は出来ない。
彼女は昔、ユウヤがカラオケで歌った尾崎豊の「ダンスホール」を動画で撮影したことがあり、それを視聴して心を癒やしてきた。
見た目は要介護の男性に女性が話しかけているように思われるのだが、女性は部屋を出るとそこは病院のような施設で、女性が何も言わない男性に話しかけることで癒やしを得るセラピー施設のようだ。
新たな女性(玉城ティナ)が来た。ユウヤは、女性に好きなことを言っていいと紙に書いて示す。新たなセラピーが始まる。
7月12日
Amazon Prime Videoで、アクターズ・ショート・フィルム シーズン2エピソード3話「あんた」を観る。脚本・監督・主演:千葉雄大、主演:伊藤沙莉。
バーの雇われ男性ママが仕事を終えた後で小説を書き始める。それは遠い日の自分を題材にしたもののようだ。
仲が良さそうな男女が山にキャンプに来る。男の方(千葉雄大)も女の方(伊藤沙莉)も二人称は「あんた(標準語とは違い、『あ』ではなく『ん』にアクセントが来る)」であり、互いの名前は最後まで分からない。
男と女の親友という感じなのだが、共に未来に不安を感じている。女の方はマンションの22階から飛び降りる気になったことがあるということで希死念慮があり、男の方もまた同様の感情を抱いていた。
二人の関係に変化が起こる。女の方に彼氏が出来て同棲を始めたのだ。男の方は仕事を終えた後、小説を書こうとしているようだが、思うようなものは書けないようである。
女に彼氏が出来たことを男は喜ぶが、単なる親友で男女の関係になることはないと思っていた男が愚痴を言い始め……。
非常に仲が良いが恋人にもパートナーにもなれないし、なる気のない二人の心理劇。二度目のキャンプにおける心理攻防戦が見どころ。基本的に男も女も優しい人であることは分かる。
プライベートでも仲良しという千葉雄大と伊藤沙莉ということで、互いの良さが生かされている。台本はあるはずだが、伊藤沙莉の口癖が入っていたり、口語でしか使わない語順のセリフがあったりするため、かなり即興的に撮られた部分も多そうである。どうやったら自然に見えるかを第一に考えて二人で演技しているということもあり、俳優でない本当の一組の男女のやり取りを見ているかのようだ。
カメラの台数はそれほど多くないが、伊藤沙莉のキュートな丸顔(チャームポイントだと思うのだが、本人はコンプレックスに感じているようで、Instagramなどではビューティー+を使って顔を細くした写真をアップしている)が綺麗に撮られており、千葉雄大が伊藤沙莉のことを人間として大好きであることが察せられる。
線香花火のシーンの伊藤沙莉の子どものような無邪気さも愛らしいが、台本の必用がないシーンなので素でやっていると思われる。
「死んだら殺す」と発言出来る相手と出会う確率はかなり低く、その後はおそらく上手くいかなかったのだろうが、キャンプを楽しんだ日々は思い出として永遠に残るほどの幸せであったのだと思う。
伊藤沙莉は、この作品の演技で、国際短編映画祭 ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2022 ジャパン部門のベストアクターアワードを受賞した。
8月22日
アクターズ・ショート・フィルム パート2のエピソード4「ありがとう」を観る。脚本・監督:永山瑛太。主演:役所広司。出演:永山瑛太、橋本マナミ、服部文祥ほか。
地方都市。役所広司はきちんとした格好をしているが勤め人ではないようだ。食事も十分に取らずに店を出る。金銭的にも行き詰まっているようである。
その後、性感マッサージの店に入るが、ここも途中で抜け出す。
コロナ禍で多くの人がマスクをしているが、マスクをせずに大きな咳をしている男が一人。役所広司演じる男は、咳をしている男の車を奪う。黄色のオープンカーで、重厚な役所広司には軽すぎて全く似合っていない。男は、森の森の中に入り、首吊り自殺を試みようとするが、目の前に黄色い服を着た男が一人。それでも男は縊死を試みるが、ネクタイとベルトだけでは弱く、宙づりにすらなれない。たまに幼女や妻らしき姿が目の前に浮かぶ、男は二人を亡くし(もしくは別れ)、生き甲斐を失ったようだ。
役所広司演じる男は、黄色い服を着た男に案内されて山の中の家へ。二人暮らしで猟をして生活しているようだ。
役所広司演じる男は、猟銃を盗み出し、ヘミングウェイのように口内を撃って自殺しようとするが上手くいかず、ならばと腹に銃口を向けてゴッホのように死のうとするがやはり上手くいかない。
男は、都井睦雄になろうとして、商店街まで出て人々に銃口を向けるが、誰からも相手にされず、森へと戻る。娘の思い出の花束を川に流した後で、男は瑛太演じる黄色い服の男から撃たれる。かすり傷のようだ。
上を見れば太陽は輝き、自然は息づいている。「この世には生きるだけの価値がある」と男は思い直したようである。
妻子を失った老年に入ろうとする男の孤独に焦点を当てた作品だが、悲しく見えねばならないはずの妻子の姿がやけに綺麗であるだけに喪失感が薄まっている。何か一つエピソードを入れた方が良くなるはずである。セリフなしだったとしても十分である。
男の持ち金が少ないことは分かるので、失業がきっかけで妻に去られたのかもしれないが、自殺の理由としてはやや弱い。現実社会ではそうしたこともあるのかも知れないが、フィクションなので更なる説得力が要る。説得力がないと観客が置き去りにされてしまう。
最後に、格好悪い役所広司も格好良かった。
11月18日
Amazon Prime Videoで、アクターズ・ショート・フィルム シーズン2パート5「理解される体力」を観る。出演:柳英里紗(やなぎ・えりさ)、三浦貴大ほか。監督:前田敦子。
小さな喫茶店で、パフェを食べながら泣きじゃくる女、キエ(柳恵里紗)と煙草を吸いながらそれを見守るトランスジェンダーの男、ユミ(三浦貴大)。
キエは、旦那に浮気された。家に帰ったら、旦那が新婚旅行の時に買ったカメラで若い女のことを録画していた(多分、「撮影していた」のだと思われる)。これ以上の悲しみはないというので大泣きしていたのである。キエは悲しみが表に見えないタイプで、しかも身の回りで起こった悪いことにのみ記憶がいい。幼稚園児の頃や小学校時代に起きた悪いことを克明に覚えている。最近の研究で、発達障害のある人は悪いことばかり覚えて良いことを忘れてしまう傾向があることが分かっている。同じ失敗を二度としないために悪いことを覚えるのだが、良いことを覚えて悪いことは忘れるという一般人にありがちな傾向とは真逆であり、生きづらさを抱えている。最終的にはユミも同じような傾向があるらしいことが分かる(演技の可能性もあるので断言は出来ない)。
余り広がりのない物語だが、友情についてはよく分かる話になっている。なお、柳英里紗と前田敦子は大親友だそうだ。その関係を置き換えたところがあるのかも知れない。




































































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