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2020年7月 1日 (水)

配信公演 飯守泰次郎指揮 東京交響楽団主催川崎定期演奏会 第76回「Live from MUZA!」(文字のみ)

2020年6月28日 ミューザ川崎シンフォニーホールからの配信

午後2時から、ニコニコ生放送で、東京交響楽団主催川崎定期演奏会 第76回「Live from MUZA!」を視聴。ミューザ川崎シンフォニーホールで行われる演奏会の配信である。聴衆を入れての公演であるが、左右1席空けでディスタンスを保てるようにしている。
指揮は飯守泰次郎。

ギフトという形で投げ銭が行えるようになっている。

曲目は、ベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」序曲、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番(ピアノ独奏:田部京子)、メンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」

指揮者や管楽器以外のオーケストラプレーヤー、ソリストなど全員が全員マスクを着けての演奏である。これまで観てきた緊急事態宣言発令以降の配信ライブでは、弦楽器奏者の譜面台は一人一台であったが、今日は二人(1プルト)で一台という通常の形式での演奏となる。


ベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」序曲。弦楽はビブラートはかなり掛けるが、ボウイングや音型の処理などにピリオドの影響が窺える。ティンパニの強打も効果的。
端正な造形美を誇る飯守らしい好演で、ベートーヴェンらしい生命力にも溢れている。


ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番。
ピアノ独奏の田部京子は叙情的な作品を得意とするピアニスト。グリーグのピアノ協奏曲などを十八番にしており、吉松隆作品なども世界初録音している。

彼女らしい雪解け水のような澄み切った音色が生かされたベートーヴェン。飯守指揮する東響同様、推進力もあり、若々しいベートーヴェン演奏となる。東響は弦の一音ずつに力を込めるような旋律の奏で方が、「プロメテウスの創造物」よりもピリオド寄りに聞こえた。

田部のアンコール演奏は、メンデルスゾーンの「無言歌」第2集より「ヴェニスの舟歌」。後半のプログラムへと繋ぐ曲であり、田部のリリシズムが最大限に生かされていた。


メンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」。スコットランドを舞台としたドラマが目に見えるようなロマン派を代表する交響曲である。通常は全曲が休みなしで演奏されるが、今回は第2楽章と第3楽章の間に少しだけ休みを入れていた。
日本におけるワーグナー演奏の泰斗である飯守の指揮だけあって、語り上手でロマンティックな仕上がりとなる。東響の仄暗さから輝かしさまで幅広い音のパレットも魅力。なかなかスケールが大きく、HIPではないがティンパニの強打がこの曲でも効果的であった。

演奏終了後、飯守は黒いマスクを取って笑顔を見せ、更にオーケストラメンバーがステージを後にしても拍手が鳴り止まなかったため、飯守一人が姿を見せて拍手を受けるという、俗にいう一般参賀も行われる。良い演奏会であった。

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2020年6月29日 (月)

コンサートの記(643) 大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団第539回定期演奏会

2020年6月27日 大阪・中之島のフェスティバルホールにて

午後3時から、大阪・中之島のフェスティバルホールで、大阪フィルハーモニー交響楽団の第539回定期演奏会を聴く。指揮は大阪フィルハーモニー交響楽団桂冠指揮者の大植英次。大植英次はドイツ在住であるため、新型コロナウイルス対策として日本に入ってから2週間の隔離生活を行う必要があったが、それを乗り切って指揮台に立つことになった。他のオーケストラだっらそんな面倒なことに耐えてまで指揮したいとは思えなかったかも知れないが、それが大植にとっての大フィル愛なのだろう。

約4ヶ月ぶりのフェスティバルホール。大阪市内で「過ごす」といっても良いほど長時間滞在するのも約4ヶ月ぶりである。

曲目に変更がある。当初はリヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」、レナード・バーンスタインの「ウエスト・サイド物語」よりシンフォニック・ダンスと組曲「キャンディード」が演奏される予定であった。特に「ウエスト・サイド物語」よりシンフォニック・ダンスは、1990年に行われたレナード・バーンスタイン指揮ロンドン交響楽団の来日演奏会東京公演で、当初はバーンスタインの自作自演となるはずが、当日になってこの曲だけを当時無名だった大植が指揮することがアナウンスされ、演奏は成功したのに、バーンスタインの自作自演を期待していた聴衆から叩かれまくったという因縁の曲であり、聴くのが楽しみであったのだが、やはり当初の曲目だとオーケストラプレーヤー間のディスタンスが十分に確保出来ないということで、ベートーヴェンの交響曲第4番と第5番が休憩なしで演奏されることになった。2曲共に今の状況下で演奏するに相応しい作品だと思われる。

曲目変更に納得出来ない場合は払い戻し可であり、また客席もディスタンス確保のため両隣一席空けでの対応が必要となり、事前に購入したチケットに記載された席には座ることが出来ず、入場前に新たに割り振られた座席券への引き換えが行われる。
私は2階席の8列目(最後列)下手端から、同6列目ほぼ真ん真ん中の席に移る。音響的には良い席に変わったことになる。

「ブラボー!」など大きな声を上げることは禁止。会話等もなるべく行わないことが推奨される。入場時に手のアルコール消毒を行うほか、サーモグラフィシステムを使っての体温検査も行われる。ビュッフェは閉鎖。飲料水のサーバも使用中止で、飲み物は7階(ホール3階)の自販機で買い求める必要がある。

 

コンサートマスターは須山暢大。ドイツ式の現代配置での演奏であるが、ティンパニは指揮者の正面ではなく左寄りに配置される。

トランペット奏者やオーボエ奏者が演奏開始前にステージ上で練習を行っていたが、集客が通常よりもかなり少なめということもあって音がよく響く。

 

開演前に大阪フィルハーモニー交響楽団事務局次長の福山修氏がマイクを持って登場し、曲目の変更や席の移動などを受け入れてくれたことへの感謝を述べ、弦楽奏者やティンパニ奏者はマスクをしての演奏であること、また奏者の間も通常より広く取っており、そのために予定されていた曲目が演奏不可となったことを詫びていた。

譜面台であるが、プルトで1台ではなく各自1台であり、なるべく距離を保てるよう工夫されている。また管楽器奏者は交響曲第4番と第5番で総入れ替えとなり、同一人物の飛沫が長時間飛ぶことのないよう工夫されていた。

普段とは異なり、オーケストラメンバーがステージ上に登場した瞬間からずっと拍手が起こる。

 

ベートーヴェンの交響曲第4番。大植は、コンサートマスターの須山暢大と握手をする前に右手に白い手袋を嵌め、客席からの笑いを誘う。

合奏の練習が出来ないということで演奏水準の低下が心配されたが、細かな傷はあったものの、一定水準は確保出来ており、安心する。

 

交響曲第4番は、「ベートーヴェンの交響曲の中では比較的小型で女性的」というイメージがあるが、大植は昨今の同曲演奏の一般的なテンポよりは少し遅めのものを採用し、第1楽章後半や第2楽章、最終楽章後半などではHIPを生かした一音ごとの強調や生命力を表に出して、重厚にして雄渾という男性的な第4を描いていく。闇の中を手探り状態で進んでいくような第1楽章序奏は、おそらく今現在の状況に重ねられているのだろう。
響き過ぎるためか、輪郭がややぼやけ気味なのが気になったが、渋い音による大フィルならではのベートーヴェン演奏となった。

 

交響曲第5番。大植は指揮棒を振り下ろして体の前で止めた時に運命主題が鳴るという振り方を採用する。フォルムはスタイリッシュだが、奥にマグマを秘めているという大植らしい音楽作り。大植はマーラー指揮者であり、ベートーヴェンの演奏では「成功」という評価をなかなか得られなかったが、今日は「コロナ禍を乗り越える」という精神で挑んだためか、密度の濃いなかなかのベートーヴェン像を提示する。
この曲でもビブラートを控えめにしたり、音の分離をくっきりさせるためのボウイングを用いたりとピリオドを援用。ピリオドであることを強調こそしないが、ピリオドならではの効果も随所で上げる。ホルンを警告としてかなり強く吹かせているのも特徴である。第4でもそうだったが、管による内声部が浮き上がる場面があり、採用した版が気になる。

最終楽章で第2ヴァイオリン奏者の楽器の弦がミシッという音を立てて切れ、リレーを行って最後列の奏者が弦の切れたヴァイオリンを持って退場するハプニングがあったが、演奏そのものには特に影響しなかった。

新型コロナに対する人類の勝利を祈念したかのような盛り上げ方も鮮やかであり、テンポの伸縮など、大植らしい外連も発揮されていた。

演奏終了後、大植はオーケストラプレーヤーに立つように命じたが、大フィルの楽団員は大植に敬意を表して立たず、大植が一人で客席からの拍手を受ける。大植は白手袋を嵌めてコンサートマスターの須山と握手。その後、弦楽最前列の奏者全員とグータッチを、コントラバス首席奏者とはエルボータッチを行い、客席を盛り上げた。

 

危機を迎えた時には何よりもベートーヴェンの音楽が良い薬になるということを実感した演奏会でもあった。ベートーヴェンの音楽に接する機会のある限りは、人類はいかなる危機であっても乗り越えられる、少なくとも新型コロナウイルスごときに容易く屈しはしないという勇気が胸の奥からふつふつと湧き上がってくるのを感じた。

 

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2020年6月27日 (土)

配信公演 サザンオールスターズ特別ライブ2020「Keep Smilin’~皆さん、ありがとうございます!!~」(文字のみ)

2020年6月25日 横浜アリーナからの配信

午後8時から、サザンオールスターズの無観客有料配信ライブ2020「Keep Smilin'~皆さん、ありがとうございます!!~」を視聴。サザンの結成42周年記念ライブで、42年前のデビューした日である6月25日を選んで横浜アリーナで行われる。

横浜アリーナには一度だけ入ったことがあるのだが、それはスポーツ観戦でもライブ参戦でもなく「大学の入学試験を受けるため」であった。横浜アリーナで受験した経験のある人はほとんどいないと思われるが、私が受験生だった時代は、受験者数がとにかく多く、話題作りも行う必要があるということで、変わった場所が試験会場になることもあった。

 

私の経験はどうでもいいとして、サザンオールスターズのライブ。ライブ配信であるにも関わらず、全曲字幕入りである。しかも今日のライブのために加えた歌詞や変更を行った歌詞も字幕で表示される。下準備が入念に行われたことが想像される。

セットリストは、「You」「ミス・ブランニューデー」「希望の轍」「Big Star Blues(ビッグスターの悲劇)」「フリフリ'65」「朝方ムーンライト」「タバコ・ロードにセクシーばあちゃん」「海」「夕陽に別れを告げて~メリーゴーランド」「シャ・ラ・ラ」。メンバー紹介を挟んで、「俺のへそピアス」「天井桟敷の怪人」「愛と欲望の日々」「Bye Bye My Love(U are the one)」「真夏の果実」「東京VICTORY」「匂艶THE NIGHT CLUB」「エロティカ・セブン」「マンピーのG★SPOT」「勝手にシンドバッド」

アンコールとして、「太陽は罪な奴」「ロックンロールスーパーマン」「みんなのうた」が歌われた。

セットリスト通りのストリーミング音楽配信もライブ終了後にタイシタレーベルから8つの配信会サービス向けに行われており、気が利いている。

録音された歓声入りでのライブ。メンバーもイヤホンをしていて歓声が聞こえるようになっている。桑田のボケにも適切な音声が返ってくるため、かなり入念なリハーサルが行われたことが察せられる。サザンオールスターズのみならず、ダンサーやスタッフも完璧を目指したかなり完成度の高い仕上がりで、「単に無観客配信ライブをやるのではなく、歴史に残るものを作ってやろう!」という強い意気込みが感じられる。

東京オリンピックのために作られた「東京VICTORY」では、新国立競技場の代わりに横浜アリーナ内の作られた聖火台に火を灯し、デビュー曲「勝手にシンドバッド」では客席で法被を着たスタッフが踊り狂うなど、無観客ライブとしては最大限の盛り上がりと臨場感と一体感を得られるような演出が施されている。見事という他ない。これぞ、ジ・エンターテインメントである。

これから行われるポピュラー音楽の無観客ストリーミング配信公演はこれが基準になるのではないかと思えるほどの高水準ライブであり、サザンオールスターズが日本のポピュラー音楽界の頂点に立つバンドであることを改めて示すことになった。

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2020年6月26日 (金)

配信公演 村川千秋&阪哲朗指揮山形交響楽団「山響ライブ第2弾」(文字のみ)

2020年6月21日 山形市のやまぎん県民ホールからの配信

午後3時から、クラシック音楽ストリーミングサービスのカーテンコールで、山形交響楽団の配信ライブ「山響ライブ第2弾」を視聴。今回はオープンしたばかりの、やまぎん県民ホールからの配信である。

山形交響楽団は、元々は山形県民会館(昨年11月に閉館)や山形市民会館で定期演奏会などを行っていたが、いずれも多目的ホールで音響が良くないということで、飯森範親が常任指揮者就任時に本拠地を山形テルサに移動することを提言。山形テルサはキャパ800名程度の中規模ホールで集客量に問題があったため、それまでの1回のみだった本番を同一演目で2回行うことも決め、現在に至っている。ただやはり大規模な演奏を行うには不利であるとして、新たにオペラやバレエも上演可能な山形県総合文化芸術館(山形銀行がネーミングライツを獲得し、やまぎん県民ホールと命名)が建てられた。昨年の12月には山形交響楽団の事務所もやまぎん県民ホール内に移り、新たな拠点となっている。


今回の演目は、山形交響楽団創立名誉指揮者である村川千秋が自身が編曲した山形県民謡「最上川舟歌」を指揮した後で、常任指揮者である阪哲朗にバトンタッチし、いずれもベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番(ピアノ独奏:三輪郁)と交響曲第6番「田園」が演奏される。


今回も阪哲朗と山形交響楽団の専務理事である西濱秀樹によるプレトークがあり、やまぎん県民ホールの音響や内装の紹介、そして今年がベートーヴェン生誕250年であることなどが語られる。
本来なら今日は、東京で「さくらんぼコンサート」を行うはずだったが、中止になり(大阪公演も中止となった)、代わりに新ホールからの配信が行われることになったことも語られる。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番のソリストを務める三輪郁(みわ・いく)は、山形大学の地域教育文化学部(旧・教育学部)文化創世コースの教授を務めているそうで、今は山形県に縁のある人となっている。阪哲朗がウィーンに留学した際、現地で出会った最初の日本人の一人が三輪郁だったそうで、ウィーンでも山形でも三輪郁の方が先輩に当たるそうである。
東京都交響楽団や兵庫芸術文化センター管弦楽団などが管楽器の飛沫などを測定し、飛ぶ飛沫の量は会話程度で比較的安全という結果が得られたこともあってか、今日はフル編成に近いスタイルでの演奏が行われる。ヴァイオリン両翼の古典配置での演奏である。


村川千秋指揮による「最上川舟歌」。チェロの叙情的な独奏が印象的な編曲である。

演奏終了後、西濱秀樹と村川千秋が客席中央通路でのトークを行う。「最上川舟歌」は、村川千秋が50年前に編曲したものだそうで、子どもに聴いて貰うことを念頭に置いていたという。
当時は地方にオーケストラがほとんどない時代。地方の子ども達が生のオーケストラを聴けないというのは文化的に貧しいと考えたのが村川千秋が山形交響楽団を結成した理由である。東北地方初のプロオーケストラとなったが、その後、東北地方には仙台フィルハーモニー管弦楽団が誕生しただけで、今のところ6県にプロオーケストラ2つという、十分とはいえない状態が続いている。


ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番。ホルン、トランペット共にナチュラルのものを使用し、ティンパニもバロック様式のものを採用している。当然ながらピリオドによる伴奏である。

三輪郁は、桐朋女子高校ピアノ科卒業後にオーストリアに渡り、ウィーン国立音楽大学と同大学院を修了。現在もウィーンを活動の拠点としている。2018年に山形大学の教授に就任。

三輪はスタインウェイではなくベヒシュタインのピアノを選択し、スケールの大きな伸びやかなピアノを弾く。

阪指揮の山形交響楽団は、第1楽章と第2楽章はピリオドを強調しない演奏だったが、第3楽章ではメリハリ、強弱などHIPをフルに生かした演奏を行う。第1楽章や第2楽章はハイドンやモーツァルトにも繋がるような典雅さを優先させたベートーヴェンだが、第3楽章では革命児らしいエネルギッシュな作風を披露しており、ベートーヴェンの飛躍がこの楽章から感じられる。


休憩の間は、西濱秀樹と阪哲朗とのトークを経て、山形県各地の紹介VTRが流される。やまがた舞子や、上山温泉、東根市のさくらんぼなどが紹介され、上山温泉では、山形県出身である井上ひさしの言葉「文化とはみんなの日常生活を集めたものである」も紹介された。


ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」。この曲では阪は指揮棒を持って指揮をする。
ピリオドによる演奏であるが特に強調することはせず、自然体。細部まで丁寧に作り上げた瑞々しさも印象的である。

「運命」と「田園」は同じ日にアン・デア・ウィーン劇場で初演されており、番号が今とは逆だったが、双子の交響曲とも呼ばれている。共に冒頭が休符で始まるなどの共通点があるが、「運命」が4つの音で内へ内へ向かっているのに対して「田園」は開放的であり、ベクトルが逆である。ただどちらも自然と思索を愛したベートーヴェンの個性が強く反映されており、相互補完的であるとも取れる。

自然の息吹が伝わってくるような演奏が展開され、等身大のベートーヴェンというと語弊があるかも知れないが、偉大なる楽聖・ベートーヴェン様のご高説を承るのではなく、友人ベートーヴェンが自然や音楽の素晴らしさを夢中で語っている場に接しているような親密さが心地よい。

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2020年6月24日 (水)

コンサートの記(642) mama!milk 「Concert at The Museum of Kyoto」2020.6.14

2020年6月14日 京都文化博物館別館ホールにて

午後4時30分から、三条高倉にある京都文化博物館別館ホールで、mama!milkの「Concert at The Museum of Kyoto」を聴く。
mama!milkもYouTubeでの配信は行っていたが、聴衆を前にして演奏するのは久しぶりである。

入場料3000円、上演時間約1時間のコンサート。YouTubeでの無料同時配信も行われるが、やはり音楽は生で聴くのが一番であり、旧日本銀行京都支店社屋であるお洒落な京都文化博物館別館ホールはmama!milkの音楽によく合う場所である。

新型コロナウィルス感染防止のため、入場者数は少なめに抑えられている。椅子を3つ並べて3人掛けにしたものが一定の距離を保って並ぶが、聴衆は中央の椅子にしか座れず、左右は空けておく必要がある。3人掛けの椅子が30個ほどということで、聴衆は全部で30人ほど。これにスタッフが加わるが、それでも計40名ちょっとである。別館ホールに入る前にはガンスタイル(と書くと物騒だがこうした表現で良いのだろうか?)の体温計を額に近づけて検温をする必要がある。ちなみに京都文化博物館本館には入ってすぐのところにサーモグラフィー機能付きのスクリーンが張られているのだが、私だけ35度台と体温が低めであった。

京都に本拠地を置くmama!milk。アコーディオンの生駒祐子とコントラバスの清水恒輔のデュオである。本拠地は京都なのだが、日本国内は勿論、海外での公演も多く、京都だからいつも聴けるというわけではない。

 

曲目は、「Parade(これからのパレード)」、「intermezzo Op.28(間奏曲第28番)」、「rosa moschata」、「微熱のtango」、「永遠のワルツ」、「Amber(さまよえるアンバー)」、「Sometime Sweet(かすかに甘くてほろ苦かったこと)」、「Waltz for Hapone(かのハポネのワルツ)」、「Veludo(ヴェルード,月の居ぬ間に)」、「ao(そして、青)」、「Sanctuary Ⅲ(3つのサンクチュアリより)」、「逃避行のワルツ」、「kujaku(孔雀)」、「your voice」

今回は、日本銀行京都支店時代にはカウンターだったところ、つまり現在の別館ホールの南側に背を向けての演奏である。

曇りであったため、南側2階に設けられた窓からはどんよりとした雲しか見えなかったが、会場としての雰囲気は良い。

 

mama!milkの音楽は、甘美且つミステリアスな要素を多く含み、ノスタルジックな迷宮へと誘われるような趣がある。どこかで見たことがあるような風景なのだが、気がつくと見知らぬ異国にたどり着いているような。

タイトルからも分かる通り、3拍子系の音楽も多く、優美であるが表層的な美ではなく血の通った音楽性で勝負している。

プログラム終了後、会場に駆けつけた聴衆のためだけのアンコール演奏が1曲だけあった。

 

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2020年6月22日 (月)

楽興の時(35) 京都坊主バー 「MANGETSU LIVE vol.21」

2020年6月6日 京都坊主バーにて

午後7時から、油小路錦小路上ルにある京都坊主バーで、「MANGETSU LIVE vol.21」を聴く。出演は、テレマン室内オーケストラのフルート奏者である森本英希。リコーダーのコンサート、二部制での上演である。

日本でも小中学校の音楽授業で必携になるなどお馴染みの楽器であるリコーダー。バロック期にはリコーダーの曲が多く書かれたが、古典派の時代に入るとフルートなどの横笛のみが生き残るようになり、リコーダーは忘却の彼方へと押しやられた。リコーダーが復権するのは20世紀に入ってからである。

リコーダーの名手としては後に指揮者として高い評価を得ることになる故フランス・ブリュッヘンが有名である。現役の奏者としては、デンマーク出身のミカラ・ペトリの存在が知られる。


お坊さんの経営するバーということで、知り合いにも何人か会う。


飛沫防止のためのビニールシートを前に垂らしての演奏である。演奏の時は当然ながら無理だが、トークはマスクで顔を覆って行われる。


森本英希は、和歌山県橋本市生まれ。京都市立芸術大学修士課程を修了。フルート、バロックフルート、リコーダーを専攻し、篠笛なども演奏するなど、笛のスペシャリストでもある。2013年に日本フルートコンヴェンションコンクールで第1位を獲得。2017年には京都芸術賞と京都新聞社賞を受賞している。


予定されていた曲目の前に、コロナ禍で亡くなった人を追悼するために「涙のパヴァーヌ」の演奏が行われる。「涙のパヴァーヌ」はフランス・ブリュッヘンのアルバムのタイトルにもなっている曲である。

フランス・ブリュッヘンのリコーダーアルバムの代表作は、自らがリコーダー用に編曲したJ・S・バッハの「無伴奏チェロ組曲」集であるが、今回のコンサートでも、ブリュッヘン編曲版かどうかは定かでないが(聞くのを忘れた)、無伴奏チェロ組曲第1番と第3番が演奏される。

クープランの「恋の鶯」という曲が演奏された他、「ターフェルムジーク」で知られるテレマンのファンタジアよりや、尺八を意識したという日本人作曲家の作品なども演奏された。

リコーダーのみによる演奏会を聴くのは、おそらく今回が初めてのはずで、なかなか貴重な体験である。


ラストもアンコールの代わりに小型のリコーダーによる「涙のパヴァーヌ」が演奏されて、コンサートは締められた。


その後は、森本さんとも少しお話。余り詳しい内容は書けないが、日本における古楽演奏発展の経緯なども教えていただいた。

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2020年6月18日 (木)

京都フィルハーモニー室内合奏団ほか リモート演奏「東村山音頭」

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2020年6月17日 (水)

ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団 グノー 「操り人形のための葬送行進曲」

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これまでに観た映画より(183) ヴィットリオ・デ・シーカ監督作品「ひまわり」

2020年6月15日 京都シネマにて

京都シネマで、「ひまわり」を観る。イタリア、フランス、ソ連合作映画。ヴィットリオ・デ・シーカ監督作品。出演:ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、リュドミラ・サベーリエワほか。音楽:ヘンリー・マンシーニ。製作:カルロ・ポンティ。

ちなみに映画プロデューサーであったカルロ・ポンティは既婚者であったが、この映画の撮影時にはすでにソフィア・ローレンと交際中であり、1972年にはローレンと再婚している。カルロ・ポンティとソフィア・ローレンの長男であるカルロ・ポンティ・ジュニアは、劇中に赤ちゃんとして登場するが、現在は指揮者として活躍しており、私も彼がロシア・ナショナル管弦楽団を指揮したCDを持っている。

映画音楽の大家、ヘンリー・マンシーニが手掛けた音楽も素晴らしく、メインテーマは彼の代表作となっている。

 

1970年に公開された映画で、今回は公開50周年を記念しての特別上映。最新のデジタル修復技術を用いたHDレストア版での上映である。

 

冒頭、中盤、ラストに登場する一面のひまわり畑が印象的である。ソ連時代のウクライナで撮影されたものだそうだ。ひまわりというと日本では華やかな陽性の花の代表格であるが、イタリアでは太陽に片想いしている寂しい花というイメージもあるようである。

 

第二次大戦中と戦後のイタリアとソ連が舞台である。
ファッションの街としても名高いイタリア・ミラノ。ロシア戦線に送られたまま生死不明となっている夫のアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)の行方を妻のジョバンナ(ソフィア・ローレン)が担当職員に問い詰める場面から始まる。

イタリア北部の田舎町出身のアントニオと南部の大都市ナポリ出身のジョバンナは恋に落ち、出征延期を目論んで結婚する。だが猶予はわずか12日。そこでアントニオはジョバンナと示し合わせて佯狂による一芝居を打つことで精神病院への隔離を狙うがすぐにばれ、ロシア戦線に送られることになる。
「ロシアの毛皮を土産として持って帰るよ」と約束してミラノ駅から旅立ったアントニオだったが、戦争が終わってからも行方はようとして知れない。
ロシア戦線から帰った一人の兵士が、アントニオのことを知っていた。彼によるとアントニオは真冬のロシア戦線、ドン河付近でソビエト軍からの奇襲攻撃を受け、逃走する途中で多くのイタリア兵と共に脱落したという。

それでもアントニオの生存を信じて疑わないジョバンナは、単身、ロシアに乗り込む。1953年にスターリンが亡くなり、雪解けの時代が始まっていて、ジョバンナもモスクワにたどり着くことが出来た。モスクワにある外務省で紹介された案内の男性と共にアントニオが脱落した場所付近に広がる一面のひまわり畑の中をジョバンナは進む。かつての激戦地に咲く鎮魂のひまわりに囲まれた空き地にイタリア兵とロシア人犠牲者のための供養塔があった。更にイタリア人戦没者墓地も訪ねるジョバンナだったが、「アントニオは生きている」という確信を棄てることはない。

そしてついにジョバンナは、アントニオの現在の夫人となっているマーシャ(リュドミラ・サベーリエワ)と出会う。アントニオとマーシャの間には娘のカチューシャがいた。ショックを受けるジョバンナ。すると汽笛が鳴り、働きに出ていたアントニオが自宅の最寄り駅に戻ってくる時間であることが示される。午後6時15分、以前、アントニオとジョバンナが約束の時間としていた6時よりも15分ほど先だ。

マーシャと共に駅に向かったジョバンナは今のアントニオの姿を見る。アントニオもジョバンナに気づき、歩み寄ろうとするが、もう以前のアントニオではないと悟ったジョバンナは走り出した汽車に飛び乗って去り、人目もはばからず泣き続ける。出会えさえすればたちどころに寄りを戻せると信じていたのだろうが、それは余りにも楽観的に過ぎた。

アントニオを諦めたジョバンナはミラノのマネキン工場で働く金髪の男性と新たにカップルとなり、子どもも設ける。

ジョバンナのことが忘れられないアントニオはマーシャと相談した上で、単身モスクワからミラノにたどり着き、紆余曲折を経てジョバンナと再び巡り会うのだが、ジョバンナにはすでに息子のアントニオ(カルロ・ポンティ・ジュニア)がいることを知り、関係修復が不可能なことを悟る。ジョバンナは息子にアントニオと名付けることで、かつての夫のアントニオを思い出の中の人物としていた。時計はすでに進んでしまっており、互いが互いにとって最愛の人物であることはわかっていても、時を取り戻すことは最早不可能である。報われぬ両片想いのラストが訪れる。

戦争により、本来の人生から外れてしまった男女の悲恋劇である。そしてこの物語もまた戦地に咲く片想いの花、ひまわりの一本一本が象徴する報われなかった数多の夢の一つでしかないのだということが暗示されてもいる。

 

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2020年6月14日 (日)

配信公演 阪哲朗&村川千秋指揮山形交響楽団「山響ライブ第1弾」(文字のみ)

2020年6月13日 山形テルサより配信

午後7時から、クラシック専門ストリーミング配信サービス「カーテンコール」で、山形交響楽団の「山響ライブ第1弾」を視聴。金管パート、木管パート、弦楽パートに分かれての三部構成による演奏である。

曲目は、ジョン・ウィリアムズの「オリンピック・ファンファーレ」、ブルックナーの「正しき者の唇は知恵を語る」、リンドバーガー編曲の「悪魔のギャロップ」と「セルからモースへの結婚行進曲」(以上、金管パート)、リヒャルト・シュトラウスのセレナード変ホ長調(木管パート)、チャイコフスキーの「弦楽セレナード」とシベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」(以上、弦楽パート)。弦楽パートの選曲は、3日前に行われた広上淳一指揮日本フィルハーモニー交響楽団の配信公演と完全に同じである。

指揮は山形交響楽団首席指揮者の阪哲朗。シベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」のみ山形交響楽団創立名誉指揮者である87歳の村川千秋(男性)がタクトを執る。

3月にも山形交響楽団の配信を行ったカーテンコールであるが、3ヶ月の間に配信のための基盤がかなり整ってきているようで(そもそも本格的なサービス開始は今年の秋からであり、今はまだ試験段階である)、音声はハイレゾ配信となり、カメラも3台から6台に増えたそうである。


飯森範親による改革が成功して、「田舎のオーケストラ」というイメージを脱却し、日本を代表するアンサンブルへと成長した山形交響楽団。財政的には厳しいが、新たなる本拠地ホールが完成するなど、更なる飛躍のための足がかりが構築されつある。


まず、山形交響楽団が日本で初めて始めたというプレトークが、指揮者の阪哲朗と山形交響楽団専務理事の西濱秀樹によって行われる。


阪は全編ノンタクトでの指揮、キビキビとした推進力に富む音運びである。山形交響楽団も揃っての演奏は久しぶりのはずで、万全とはいえない部分もあるが、ある程度の精度の高さを維持していることが感じ取れる。

金管の音は輝かしく、ブルックナーの楽曲ではオルガン的な響きを見事に再現してみせる。リヒャルト・シュトラウスが17歳で完成させるという早熟振りを示したセレナード変ホ長調の木管による洒落っ気に飛んだ表現も優れている。


転換を兼ねた20分の休憩時間中に、阪哲朗と西濱秀樹が客席中央通路に出てのトークを行い、更に今日のための撮影された山形の名所案内映像が流れる。阪と女優の永池南津子が、天童市内の温泉旅館やさくらんぼ農園、山寺こと立石寺を訪ねるという内容(麓から立石寺を眺めるだけで上ることはなかった)である。


チャイコフスキーの「弦楽セレナード」。チェロ以外の弦楽奏者はオールスタンディングでの演奏である。ハイレゾであるためか、弦の人数が日フィルよりも多いためか、奏者間をさほど空けていないからか、もしくはその全てか、弦の表情の細やかさや音の広がりは山形交響楽団の方が優れているように感じられる。


村川千秋が指揮するシベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」(ティンパニありのバージョン)。村川は指揮棒を持って指揮する。チェロとティンパニ奏者以外はやはり起立しての演奏。清澄な弦の音色が印象的な佳演であった。

演奏終了後、客席に山形交響楽団の管楽器メンバーが現れ、村川を拍手で讃えた。

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