カテゴリー「韓国映画」の13件の記事

2019年12月16日 (月)

これまでに観た映画より(148) 「完璧な他人」

2019年12月11日 京都シネマにて

京都シネマで、韓国映画「完璧な他人」を観る。イタリア映画「おとなの事情」のリメイク。監督:イ・ジェギュ、出演:ユ・ヘジン、ヨム・ジョンア、チョ・ジヌン、キム・ジス、イ・ソジン、ソン・ハユン、ユン・ギョンホ。

幼馴染み4人とその妻が、新居完成祝いに集まり、自分達の間に秘密はないとして、互いのスマホに掛かってくる電話やメールを公開する(電話はスピーカーモード使用、メールは読み上げソフトを使う)という、誰がどう考えてもやらない方がいい「ゲーム」を始めてしまったがために起こるシチュエーションコメディ。喜劇ではあるが「俯瞰で見ると」という喜劇で、かなりビターな味わいのある大人のための作品である。

登場する男性達は全員同級生の45歳という設定であり、今の私と丁度同い年だ(韓国は数え年なので厳密に言うと少し違う)。全員がミッドライフクライシスを抱えており、家庭、男女間、仕事などでそれぞれが問題に直面している。

ソクホ(チョ・ジヌン)とイェジン(キム・ジス)は医師同士の夫婦である。ソクホは「韓国の東大」として日本でも知られるソウル国立大学校医科大学出身の美容外科医、イェジンは精神科医である。二人には二十歳になる娘がいるが、イェジンは二十歳はまだ子どもだとして娘が男性と付き合うことに猛反対している。ちなみにソクホもイェジンとの結婚をイェジンの父親に猛反対されたらしく、職場に乗り込んでの嫌がらせをされたりもした過去があったようだ。
テス(ユ・ヘジン)もソウル国立大学校のおそらく法科大学出身で弁護士。亭主関白である。二人の高校時代の恩師からの電話も入るのだが、「ソウル国立大学校に入るという快挙」というセリフがあるため、二人の出身大学がわかる。テスの妻・スヒョン(ヨム・ジョンア)は専業主婦だが、文学講座に通っており、韓国の有名詩人の詩をそらんじている。
ジュンモ(イ・ソジン)はレストラン経営者だが、これまで様々な事業で失敗を重ねており、学歴面で皆に及ばないことでコンプレックスを抱いていることを告白するセリフがある。また、カンボジアでタピオカのビジネスを始める計画を語って、皆から一笑に付される場面もある。かなりのプレイボーイで女性に不自由したことはない。妻のセギョン(ソン・ハユン)は獣医だが、これまたいかにも男にもてそうなタイプであり、さりげない嫌みで場の空気を掻き乱すのを得意としている。
校長の息子で、教員を辞めたばかりのヨンベ(ユン・ギョンホ)は、バツイチであり、新しい恋人を連れてくると言ったが、風邪で寝ているということで一人で来る。いかにもわけありそうで、実際のところ多くの人が予想するであろう通りの結果なのだが、とある事情でテスとスマホを交換することになり、そのことがあらぬ疑いを招く結果となってしまう。
なお、ヨンベが新居完成祝いとして大量のトイレットパーパーを持ってくるシーンがあるが、韓国ではトイレットパーパーを送ることは「末永く幸せが続くことを祈る」という意味があるそうで、新居完成や引っ越し祝いの定番だそうである。日本人が見ると奇異に感じるが、ヨンベがおかしなことをしているというわけではない。

男性と女性とでは、そもそも脳の仕組みが違うというセリフがあり、それぞれがスマートフォンに例えられるのだが、男性はAndroidで、「安くて効率が良くてアップデートしないと使い物にならない」、女性はiPhoneで、「美しくて機能的だが高くて互換性がなく、生意気」らしい。ちなみスマホの世界シェアトップはサムスンで、当然ながら韓国ではAndroidが主流である。

ということで、ソクホのスマホには娘から「彼氏と一夜を共にしたい」という内容の電話が入り、スヒョンのスマホには文学講座の仲間から電話が入るのだが、影でイェジンに対する悪口雑言を並べていることがバレてしまう。イェジンには実父からの電話があり、イェジンの手術を夫のソクホに任せることはまかり成らんというお達しがある。イェジンの父親が今もソクホのことを馬鹿にしていることもわかる。
セギョンには元彼からの電話がある。ジュンモは「俺は元カノの電話には出ない」と怒るが、元彼が愛犬の対処法を頼んでいるということで、スピーカーモードでの施術が行われる。だが、下のことであるため、妙な雰囲気が漂ってしまう。

ソクホの投資へ失敗、ジュンモの部下との浮気(更に他の女性とも浮気をしている)、ヨンベが教師を辞めたわけなど、人生の真ん中に差し掛かった男と女の「よくあるが深刻な危機」が描かれており、秘密にして誰にも明かしていない部分ということでよそ目には「完璧な他人」であるが、内情は誰もが経験する可能性のあることであり、特に私は彼らと同世代ということで、「あり得たかも知れない自分」を彼らの中に見出すことになった。そう感じる人は私一人だけではないはずで、彼らは全員「あなたに似た人」でもある。
暴露だけではなく、勘違いが勘違いを生むというシチュエーションコメディの王道を行く展開もあり、「面白ろうてやがて悲しき」悲喜劇となっている。

国家戦略として映画に国を挙げて取り組んでいる韓国。この映画でも思い切ったアングルを用いたり、他のものに託して心理描写を行うなど意欲的な仕上がりとなっている。

 

2005年に自殺してしまった女優、イ・ウンジュの最後の連続ドラマとなった「火の鳥」(2004)で相手役を務めていたイ・ソジン。最初はイ・ソジンじゃ笑っちゃうということだったのかイ・スジン表記だったがまあそれはいい。アメリカで演技を学んだ本格派で(当初は映画監督志望だったが両親に反対されたため、俳優の道に進んでいる)インテリを演じることが多かったのだが、この映画では女の敵ともいうべき遊び人役であり、ものにしている。

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2018年5月 2日 (水)

これまでに観た映画より(103) 「親切なクムジャさん」

DVDで韓国映画「親切なクムジャさん」を観る。「宮廷女官チャングムの誓い」のイ・ヨンエが悪女役に挑んだ復讐劇。パク・チャヌク監督作品。

強烈な残虐シーンがあるなど、人間の暗部に切り込む劇である。韓国ではR18、日本ではR15の指定を受けたそうだが、うなずける。

演出面ではかなり意欲的であり、実験的要素も多い。

韓国映画はアメリカと同じスターシステム。スターに注目が集まるが、その分、芸能人は叩かれやすくもある。私はイ・ヨンエの著書を読んだことがあるけれども、彼女もこれまで善人役やお嬢さん役が多く、新しい役に挑む度に、「こんな役がイ・ヨンエに出来るのか?」などと書かれるという。それだけにイ・クムジャ役は、女優としての幅を広げるための挑戦以上の意味を持っていたと思われるが、かなり難しいと思われる表情作りにも成功しており、チャレンジは成功とみていいだろう。

好き嫌いのはっきりと分かれる映画だと思われ、嫌いな人は徹底的に嫌うと思うが、表現をしている人間や表現を志している人間は観ておいて損はしない映画だと思う。内容も表現方法も、頭を内側から叩かれるような衝撃力を持っている。

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2014年1月16日 (木)

これまでに観た映画より(61) 「真実ゲーム」

DVDで韓国映画「真実ゲーム」を観る。1995年に韓国のヒップホップデュオ“deux(デュース。フランス語のdeuxを英語読みに変えたもの)”のメンバーで知日家でもあったキム・ソンジェが急死し、恋人を名乗る女性が殺人罪で逮捕されたという事件をモチーフにした映画である。キム・ソンジェ事件の他にやはり同時期に韓国音楽界で問題になった盗作騒動(当時、韓国においては日本の音楽を放送で流したり、日本の歌手のCDを売ったりすることは禁じられていた。しかし音楽業界人の間ではジャパニーズポップは比較的熱心に聴かれていた。そして一般人が日本の歌を聴くことが出来ないことを悪用して日本の楽曲を自作として発表するミュージシャンが相次いで登場。しかし悪事は露見するもので、社会問題になっていた)も取り入れ、一人の女子高生がなぜ人気歌手を殺害したのか、その謎に検事が迫るというミステリー映画である。
ある雨の日、一人の女子高生が「人気歌手のチョ・ハロを殺害した」と警察に自白の電話をかけてくる。その女子高生ハン・タヘ(ハ・ジウォン)はチョ・ハロにレイプされたため、かってなって殺したと供述。しかし検事のチョ・ジェヒョン(アン・ソンギ)は、事件の起こった8時間後にタヘが警察による身体検査を受けた際、彼女の体内からチョ・ハロの精液は検出されなかったことから、タヘの供述は嘘なのではないかという疑いを強めていく。

ハ・ジウォン、アン・ソンギという韓国を代表する俳優のぶつかり合いが見物である。観る前はそれほど期待していなかったのだが面白かった。筋書き自体は目新しいものではないし、ラストも人によっては無理を感じるかも知れない(それゆえにチョ検事が真実を見抜けなかったということでもあるのだが)。だが俳優の演技も良く、演出も飽きさせない。

    1979年生まれのハ・ジウォンは、一時、イ・ウンジュ(1980-2005)のライバルと目されていた女優。ともに黒髪が印象的な美女であり、デビューも同時期。そして同じ大学の同じ学科(檀国大学芸術造形学部映画・演劇学科)の先輩後輩でもあった。ハ・ジウォンはデビュー以降、出演作にも恵まれ、現在では韓国を代表する女優の一人である。一方、イ・ウンジュは出演作に恵まれていたとはいえず、若くして不幸な最期を遂げている。
ハ・ジウォンが19歳だった頃に撮られた作品だが、この時期すでにハ・ジウォンは確かな才能を発揮している。相手役のアン・ソンギは韓国を代表する映画スターだが、ハ・ジウォンは一歩も引けを取っていない。なお、ハ・ジウォンはこの映画で韓国の権威ある新人女優賞を受賞しているが、実はその年の新人女優賞受賞の最有力候補といわれていたのが「虹鱒」に出演したイ・ウンジュであった。イ・ウンジュ本人も周囲もウンジュの受賞を確信していたのだが、発表式で呼ばれたのはハ・ジウォンという名前。
      悔しくて一晩中泣き明かしたと、イ・ウンジュはのちに告白している(ちなみにイ・ウンジュは翌年も同じ新人女優賞候補に挙げられ、この時は見事栄冠を手にしている)。

ミスター韓国映画とも呼ばれるアン・ソンギの迫力ある演技も素晴らしい。ところでこのアン・ソンギ、目元が役所広司そっくりに見える時がある。そういえばアン・ソンギと役所広司は映画で共演していたんだっけ。

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2011年2月22日 (火)

韓国映画「スカーレットレター」オリジナル・サウンドトラック

イ・ウンジュの遺作となった韓国映画「スカーレットレター」のオリジナル・サウンドトラック(EMI)を紹介しようと思います。なお、この「スカーレットレター」、映画としては出来が余り芳しくなく、DVDもオリジナル・サウンドトラックも廃盤となっています。手に入れようと思ったら、今のところ中古CDショップを当たるしか手はないようです。

韓国映画「スカーレットレター」オリジナル・サウンドトラック

イ・ウンジュの「Only When I Sleep」(オリジナルはアイルランドの兄妹バンド、ザ・コアーズによるもの)は追悼アルバム「ONLY ONE」にも収録されていますが、そちらは音声を復刻して男性シンガー、キム・テフンとのデュエット版に編集されたものと、ジャズセッション版なので、イ・ウンジュのソロによる正統的な「Only When I Sleep」は本CDでしか聴けません。

「スカーレットレター」の主人公、刑事のギフン(ハン・ソッキュ)がオペラ好きということもあって、サウンドトラックにはヴェルディの歌劇「運命の力」よりや、イ・ウンジュ演じるジャズシンガーのカヒとギフンと三角関係になる、ギフンの妻スヒョン(ソン・ヒョンア)がチェリストということもあって、ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番より第1楽章などが使われるなど、クラシック音楽の用い方が上手いです。クラシックの楽曲はその他にもモーツァルトのセレナード「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」や、ドイツ国歌になったハイドンの弦楽四重奏曲「皇帝」などが収められています。なお、劇中で、イ・ウンジュ演じるカヒがシューベルトの「楽興の時」より第3番を弾くシーンがありますが、残念ながら、音源はイ・ウンジュの演奏によるものではないようです(イ・ウンジュは高校の途中まではピアニスト志望で音大を受験しようと思っていましたが、高校生の時にドラマに出演したことで演技の魅力に取り憑かれ、進路を変更して、檀国大学校芸術大学演劇映画学科に入学しています。そういうこともあって彼女のピアノの腕は玄人はだしで、映画「永遠の片想い」のエンディングテーマのピアノ演奏は彼女が手掛けています。なお、彼女が自殺したのは檀国大学校を卒業した直後でした)。
オリジナルの音楽もなかなか優れています。

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イ・ウンジュさんの命日

今日は韓国の女優、イ・ウンジュさんの命日ということで、「イ・ウンジュ」の検索ワードで入ってこられる方が多いですね。私も彼女が亡くなってからもイ・ウンジュさんのファンを続けている、いわゆる「イギサ」です。

イ・ウンジュ

イ・ウンジュ(李恩宙)さん、素敵な女優さんでした。彼女より美しい韓国人女優を私は知りません。元ピアニスト志望だけあって、ピアノの腕は玄人はだし、演技の細やかさも群を抜いていました。ちなみに「スカーレットレター」の次のイ・ウンジュさんは明るい女刑事を演じることが決まっていたそうです。観てみたかった。

イ・ウンジュさんのプロフィール

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2008年7月26日 (土)

これまでに観た映画より(31) 「4人の食卓」

DVDで韓国映画「4人の食卓」を観る。「猟奇的な彼女」のチョン・ジヒョン主演のサイキック・ホラー。亡霊が現れたり、DVがあったり、飛び降り自殺や、小さな子供がバックしてきたトレーラーのタイヤに押しつぶされるなどショッキングな場面も多い。

中田秀夫監督や黒沢清監督、森田芳光監督の映画に作風が似ているがあるいは参考にしたのだろうか。うずまき模様は多分、アルフレッド・ヒッチコック監督の「めまい」へのオマージュだろう。

脚本は非常に良く練られている。主人公達が持つ心の暗部。それへの恐怖が絶妙に表現されている。

脚本・監督は韓国の新進女性画監督、イ・スヨン。
チョン・ジヒョンは「猟奇的な彼女」とは180度違う、心に闇を抱えた女性を全編ノーメイクで演じている。

チョン・ジヒョン演じるヨンの住むマンションの1階の広くて柱の林立する空間など、撮影場所の選び方も上手いと思う。

若干、演出よりも脚本が勝った感じがするが(例えば、母親が持つ「子供に喰い殺されるかも知れないという恐怖」や、それとは逆に子供が持つ「母乳を飲むことで母親から栄養を奪って殺してしまうかも知れないという恐怖」はまんまフロイトであり、理屈が強いように思う)良い作品だ。ショッキングな像で見るものを怖がらせるタイプのホラーではなく、心にじんわり染み込んでくるタイプの怖さを持つ映画。

ヨンは霊媒の能力の持ち主なのだが、もしも実際は単にナルコレプシーによる妄想癖を持つだけなのだとしたら、あるいはそちらの方が怖いかも知れない。どこまでが本当でどこまでが嘘なのか。あるいは本当よりも嘘の方が人間には重要なのかも知れないけれども。

他者から理解されない孤独感や、自らの存在によって他者が不幸になっていくのではという罪の意識が痛々しいほど良く出ている。
他者への愛情とそれに報いて貰えない憎しみ、それが「自分に問題があるのでは?」という自分への懐疑や憎しみへとフィードバックしていく。そしてその思いがまた他者へと…。どこまでいっても答えの出ない螺旋階段のような自意識の葛藤。あるいは劇中に出てくる渦巻き模様はそのメタファーなのか?

知ることは幸福なことなのかという問いかけがある。何度も繰り返されたテーマではあるがやはり考えさせられる。
ホラーではあるが、悲しい、この上なく悲しい人間ドラマがきちんと描き込まれており、好印象を持った。

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2008年3月29日 (土)

「親切なクムジャさん」オリジナル・サウンドトラック

テレビドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」でおなじみのイ・ヨンエが悪女役に挑戦した韓国映画「親切なクムジャさん」のオリジナル・サウンドトラックを紹介します。韓国盤。

「親切なクムジャさん」オリジナル・サウンドトラック 「親切なクムジャさん」は幼児誘拐をテーマにした復讐劇。無実の罪で13年服役したイ・クムジャという女性が真犯人に復讐するまでを描いたもので、強烈な残虐シーンがあるなど、万人にはお薦め出来ませんが、オリジナル・サウンドトラックは、バロック音楽をモチーフにしたチョ・ヨンウクの哀切にして美しいオリジナル曲と、ヴィヴァルディの協奏曲やパガニーニの「24のカプリース」より第24番などのクラシック音楽が入っており、クオリティも高く、映画ファンのみならず音楽ファンも楽しめる出来で、万人にお薦め出来ます。

デジパック仕様で、ライナーノーツにはクムジャさんを演じるイ・ヨンエのミニ写真集とチョ・ヨンウク作品のオーケストラスコアが付いています。韓国盤なのでハングルしか書かれていないのが難点ですが、音楽を楽しむ上では何の問題もありません。

Soundtrack/親切なクムジャさん

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2008年2月25日 (月)

これまでに観た映画より(18) 「接続」

ビデオで韓国映画「接続」を観る。ハン・ソッキュとチョン・ドヨンが送る恋愛ドラマ。インターネットのチャットやメールを使った現代的な恋愛の形。しかしインターネットでなく電話によるすれ違い劇なら1990年にフジテレビで放送された「素敵な片思い」というドラマがあった(中山美穂、柳葉敏郎:主演)。それに少し似ていなくもない。

97年の公開だが携帯電話が出てこないのが気になる。今や珍しくなったじれったくなるくらいのすれ違い劇なのだが、携帯が普及した現在ならどうだろう。すれ違いは起きないかも知れない。かっての恋人を忘れられない男と、友人に彼を奪われた女の恋模様。チョン・ドヨン演じるスヒョンのいじらしほどの乙女心が愛らしい。ラストのドンヒョン(ハン・ソッキュ)の静かな心の揺れも説得力がある。

ラストの音楽が「ラヴァーズ・コンチェルト」なのがベタだが、まずは愛らしい「大人の童話風」映画に仕上がっている。

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2007年11月16日 (金)

これまでに観た映画より(13) 「風の丘を越えて/西便制(ソピョンジェ)」

DVDで韓国映画「風の丘を越えて/西便制(ソピョンジェ)」を観る。1993年の作品。イム・グォンテク監督作品。
これは日本でもかなり話題になった作品で、私も日本でロードショー公開された時(1994年)に銀座テアトル西友(現・銀座テアトルシネマ)で観ている。韓国映画を観たのはその時が初めてだったと思うが大いに感銘を受けた。
韓国映画がまだ、「重い暗い」というイメージを持っていた頃の作品であり、やはり重く暗いが、秀作だ。

12年ぶりに見直してみて、画質が古いのに驚く。当時はそれほど気にならなかったのだが。最近の韓国映画の画質の向上のめざましさが却ってよくわかる。
韓国映画の画質が飛躍的に上がるのはこの直後、韓国が国策として映画とコンピューターゲームに力を入れてからである。

韓国の伝統歌謡パンソリ。唱劇とともに一時は隆盛を誇ったものの次第に廃れていく。「風の丘を越えて~」はそんな死にゆく芸術パンソリと、義理の親子愛、姉弟愛を描いた作品。「芸のためなら~」という芸人の愛と表裏一体の残酷さが胸に迫る。

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2007年3月 3日 (土)

イ・ウンジュ 『ONLY ONE』

イ・ウンジュ 「ONLY ONE」 2007年2月22日、韓国の女優、イ・ウンジュの2周忌に当たる日に発売されたアルバム、LEE EUN J∞『ONLY ONE』を紹介します。

イ・ウンジュの遺作映画となった『スカーレット・レター』で彼女が歌っていた「Only when I Sleep」の未発表音源を復刻、新人歌手のキム・テフンとのデュエット版と、イ・ウンジュのソロ版の2種を収録しています。故人が残した音源を復刻して発売するのは韓国史上初だそうです。

2005年2月22日に自らの手で24年の短い人生を閉じたイ・ウンジュ。韓国の若手女優の中でも演技力の高さには定評があり、まだまだこれからの人でした。5歳の頃からピアノを習っており、高校生の頃の将来の夢は音大に入ってピアニストになることだったというウンジュ。17歳の時にテレビドラマに出演したのがきっかけで演技の魅力にとりつかれ、女優へと進路を変更しますが、ピアノや歌のレベルも相当なものであり、その実力がこのアルバムで発揮されています。「Only when I Sleep」で聴かせるチャーミングな歌声、そして彼女がピアノ演奏を担当した「永遠の片想い(原題:恋愛小説)」テーマ音楽の優しさ溢れる表情などは韓国映画ファン必聴です。

「Only when I sleep」を歌うイ・ウンジュ
「Only when I Sleep」を歌うイ・ウンジュ(映画『スカーレット・レター』)

イ・ウンジュ 「ONLY ONE」ライナーノーツより
イ・ウンジュ アルバム「ONLY ONE」ライナーノーツより

関連サイト 韓国「Mnet」(「Only when I Sleep」のビデオクリップを見ることが出来ます)
http://www.mnet.com/Ver2/AlbumBoom/albumBoomPage/20070214_lee/leeDetail.php

※写真はいずれもアルバム『ONLY ONE』に掲載されたものです。二次転載を禁じます。勝手に持って帰らないで下さい。

イ ウンジュ/Only One: Tribute To イ ウンジュ

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