カテゴリー「テレビドラマ」の59件の記事

2024年10月25日 (金)

明治大学博物館「虎に翼」展に行ってきました

今年の4月から9月にかけて放送されたNHK連続テレビ小説「虎に翼」(NHK東京放送局=AK制作)の展覧会が、主人公の猪爪寅子(佐田寅子。伊藤沙莉)の母校、明律大学のモデルである明治大学博物館の特別展示室で行われています。アカデミーコモンの地下1階です。

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明治大学のゆるキャラである、めいじろうも法服姿でお出迎え。

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伊藤沙莉さんのアップ写真、目立ってます。

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猪爪はる(石田ゆり子)と桂場等一郎(松山ケンイチ)がエントランスで出迎えます。

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この左横のモニターに、伊藤沙莉さんが「虎に翼」展のためだけに撮ったメッセージが映っているのですが撮影不可。

また伊藤沙莉座長が、「虎に翼」チームのために発注したTシャツとトートバッグもあるのですが、こちらも撮影禁止です。


寅子と優未(毎田暖乃)が親子二代に渡って着た黄色いワンピース。

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寅子は花岡悟(岩田剛典)にアピールしたくて、はるや花江(森田望智)の手を借りて手作りしたのですが、思いが花岡に届くことはありませんでした。ただ花岡だけはワンピースを褒めてくれました。

高等試験司法科試験合格証書

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寅子は日本人初の女性弁護士の一人となりました(女性はまだ裁判官になることは出来ない)。しかし、先駆者の苦悩が待ち受けています。

寅子の父親、猪爪直言(岡部たかし)が愛娘の記事を集めていたスクラップブック。寅子が高等試験司法科(現在の司法試験に相当)に合格した時には、戦前ですので右から左に「でかした」と記しました。

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はるが寅子に買い与えた六法全書。寅子にとっての初の翼となりました。はるさんが定義した「地獄」は、「頭の良い女が頭の良い女のまま生きること」。「男と競争して女が女として生きること」。「道なき道を行くこと」。米津玄師の主題歌「さよーならまたいつか!」の歌詞に、「人が宣う地獄の先に私は春を見る」とあるため、地獄とは誰かが宣った、つまり定義している訳ですが、最初に定義を行っているのは、はるさんです。

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司法修習を終えて、晴れて弁護士となった寅子でしたが、若い独身の女性弁護士ということで依頼人からの信頼が得られず、全く仕事がありません。信用を得るために結婚を考える寅子。

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打算で猪爪家の元書生であった佐田優三(仲野太賀)と結婚した寅子でしたが、多摩川の河原で一緒に焼き鳥を食べながら話しているうちに瞬く間に恋に落ちます。しかし優三も出征。子を宿した寅子は、「自分がなんとかしないと女性法曹の道が絶たれる」と焦ります。穂高先生(小林薫)に相談しますが、穂高先生は自分の考えで物事をどんどん推し進めていくタイプでこれは失敗。穂高先生が「犠牲」と失言をしたため裏切られた気持ちになります。よね(土居志央梨)に相談しなかったことで彼女からの信頼も失い、結局、降参。失職します。

失意の日々の中で、たまたま買った優三との思い出の品、焼き鳥を包んでいた新聞紙に日本国憲法の全文を発見した寅子。それはあたかも優三からのプレゼント。声を出して泣く寅子。新生、寅子の産声です。

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甥の直治(今井悠貴)のサックス。サックスは管楽器の中では歴史が浅いということもあって音が出しやすく、指使いもリコーダーと一緒で吹きやすい楽器ではあります。ジャズでは花形で、服部良一は「サックスが吹ける」というだけで大阪では引っ張りだこでした。直治が音楽好きになったきっかけは、寅子にコンサートに連れて行ってもらったことですが、何のコンサートなのかは描かれていません。「愛のコンサート」は、猪爪家ではラジオで聴いていましたので、「愛のコンサート」でないのは確かです。服部良一は、父親に「音楽乞食なんて辞めて魚屋を継げ」と言われたそうですが、音楽家の身分が相当低い時代でもありました。

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寅子と優三のパネル。初々しい学生時代の姿。この頃は可愛らしかった伊藤沙莉さんですが、どんどん美人になっていって、「何が起きてるの?」と不思議に思いました。


伊藤沙莉さんのサイン。着物の柄もあって読み取りにくいです。

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こちらは仲野太賀さんのサイン。読み取りやすいです。

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俺たちの轟グッズ

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轟太一役の戸塚純貴さんは、三谷幸喜脚本・監督の映画「スオミの話をしよう」にも重要な役で出ていました。

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山田よねの衣装。出番は多いのに、最後まで謎の多い役でした。ただ男でも女でもなく山田よねとして生きてくれたのは嬉しく思います。

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法服。中田正子さんのものです。


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こちらは現代の法服(男性用)。黒一色なのでピントが合わせにくいです。


花岡悟(岩田剛典)。岩田さんは名古屋の人で、今回は名古屋でのロケも多かったため、故郷に錦を飾れたんじゃないでしょうか。

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明治大学専門部女子部設立の趣旨。明治大学は進取の気質に富む大学で、共学の私立大学として初めて女子教育に力を入れたほか、私立大学初の商学部の設置、日本初の経営学部の創設などを行っています。
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番組台本 作・吉田恵里香

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「虎に翼」収録の前に、法律を学ぶ役の6人の女優が明治大学で特別講義を4コマ受けたという話は伊藤沙莉が何度もしているが(法律を学ばない花江役の森田望智もなぜかついてきたらしい。森田望智は大卒だが、明治大学ではなかったはずで、他の大学の雰囲気を味わいたかったのかも知れない)、こぼれ話が紹介されている。

伊藤沙莉は、ネットラジオなどを聴くと、大変頭の回転が速い人であることが分かるのだが、小難しい話は余り得意ではないようで、最初の授業は最前列で聴いていたが、2コマ目、3コマ目と授業が進むごとにどんどん後ろの席に下がっていったそうで、先生達も苦笑していたという。

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2024年10月19日 (土)

スペシャルコント「志村けん in 探偵佐平60歳」

スペシャルコント「志村けん in 探偵佐平60歳」を視聴。志村けんが作った約60分のコントドラマ。原作:樋口有介『木野塚探偵事務所だ』。脚本:内村宏幸、平松雅俊、戸田幸宏、志村康徳(しむらけんの本名)。演出:吉田照幸。NHKエンタープライズの制作。2018年の正月に放送されたものだが、翌々年、新型コロナにより志村けんは他界。ドラマ形式による作品としては最後の出演作となった。

出演:志村けん、伊藤沙莉、高橋恵子、岸本加世子、平泉成、津田寛治、堀内敬子、堀部圭亮、野間口徹、大悟(千鳥)、井出卓也、広岡由里子、中上サツキ、大津尋美ほか。志村けん主演のためかNHKとはいえ、コントドラマにしては実力派の俳優が揃っている。

警視庁を定年退職した木野塚佐平は、ハードボイルドな私立探偵となることを決意する。とはいっても、警視庁に定年まで勤めたとはいえ会計係、それもパソコンも満足に使えない窓際。ということで無理があるのだが、それでも新宿・歌舞伎町に事務所を借り、強引にスタート。まずは美人秘書を募集するのだが、希望するバスト86㎝以上(後に82㎝以上に訂正)のグラマラスな若い美女で、60を過ぎたおっさんの助手になろうという物好きはいない。そんな折、事務所内を飾る植物を運んできた梅谷桃世(伊藤沙莉)という大学生の女の子が現れる。アルバイトをしていた会社の社長が失踪して倒産したという桃世。出会ったばかりなのに佐平とタメ口で話すなど、口や態度はやや悪いものの、頭脳明晰で推理力と洞察力に長けるなど探偵としての資質は十二分。後に武闘面でも力を発揮と大変優秀な右腕となる。というより、事件はほぼ彼女任せとなる。高難度の演技もこなす伊藤沙莉だが、今回のような自然体で等身大の女の子を演じてもリアリティがあり、作品に溶け込んでいる。どこまでが桃世でどこからが伊藤沙莉なのか分からなくなるほどである。ボケとツッコミを交互にやったり、頭をはたかれたり、はたき返したりとコント的な演技も多いのだが、日本では数少ない天性のコメディエンヌとしての資質がここで生きている。今思うとだが、コメディの資質が志村けんから伊藤沙莉にバトンタッチされた瞬間に立ち会ったような趣すら感じる。なお、伊藤沙莉の上の世代の天性のコメディエンヌの一人に、「トリック」の山田奈緒子を演じた仲間由紀恵がいるが、桃世も奈緒子同様に、「貧乳ネタ」で散々にいじられ、自虐発言まで行っている。
おそらく志村けんと伊藤沙莉二人だけのシーンはアドリブ満載だと思われる。

うだつの上がらなかった警視庁の会計係が名探偵になれるはずもないのだが、佐平は唯一の特技であるコイン投げで、銭形平次のように相手を倒していく。ただジェネレーションギャップで桃世は銭形平次も「知らねえ」

金魚誘拐事件を佐平に依頼する元女優の高峰和子を演じるのは高橋恵子。高峰和子のデビュー作は「女子高生ブルース」であるが、高橋恵子(関根恵子)のデビュー作が実際に「女子高生ブルース」である。

最初の依頼人、高村麗香を演じる堀内敬子は、私より4歳上ということで、収録時、放映時共に結構な年齢なのだが、変わらぬ美しさと色気で世の男性陣を魅了する。なお、この後(2022年)、堀内敬子と伊藤沙莉は「ももさんと7人のパパゲーノ」において親子役で共演することになる。

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2024年10月14日 (月)

NHKBS「クラシック俱楽部」 大阪府堺市公開収録 石橋栄実ソプラノリサイタル(再放送)

2024年9月12日

録画しておいた、NHKBS「クラシック俱楽部」大阪府堺市公開収録 石橋栄実ソプラノリサイタルを視聴。2023年12月15日に堺市立美原文化会館での収録されたもの。ピアノは關口康祐(せきぐち・こうすけ)。

ソプラノ歌手の石橋栄実(えみ)は、1973年、東大阪市生まれ。私より1つ上で、有名人でいうと、イチロー、松嶋菜々子、篠原涼子、大泉洋、稲垣吾郎、夏川りみなどと同い年となる。大阪音楽大学声楽科を卒業、同大学専攻科を修了。現在は大阪音楽大学の教授と、大阪音楽大学付属音楽院の院長を兼任している。ソプラノの中でも透明度の高い声の持ち主で、リリック・ソプラノに分類されると思われる。東京や、この間、「エンター・ザ・ミュージック」で取り上げられていたように広島など日本各地で公演を行っているが、現在も活動の拠点は大阪に置いている。インタビュー映像も含まれているが、「一度も大阪を離れようと思ったことはなかった」そう。ちなみにインタビューには標準語で答えているが、言い回しが明らかに関東人のそれとは異なる。石橋はオペラデビューが1998年に堺市民会館で行われたフンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」だったそうで、「堺は特別な街」と語る。


曲目は、ジョルダーノ作曲の「カロ・ミオ・ベン」、マスカーニ作曲の「愛してる、愛してない」、モーツァルト作曲の歌劇「フィガロの結婚」から「とうとううれしい時が来た」と「恋人よ、早くここへ」、ドヴォルザーク作曲の歌劇「ルサルカ」から「月に寄せる歌」、プッチーニ作曲の歌劇「ラ・ボエーム」から「私が町を歩くと」、
連続テレビ小説「ブギウギ」メドレー(「東京ブギウギ」、「買い物ブギー」、「恋はやさし野辺の花よ」)、
歌曲集「カレンダー」から「十月」「三月」(薩摩忠作詞、湯山昭作曲)、「のろくても」(星野富弘作詞、なかにしあかね作曲)、「今日もひとつ」(星野富弘作詞、なかにしあかね作曲)、「いのちの歌」(miyabi=竹内まりや作詞、村松崇継作曲。NHK連続テレビ小説「だんだん」より)


声の美しさとコントロールが絶妙である(実は歌手の方には多いのだが、話しているときの地声が特別美しいというわけではない)。
映像映えのするタイプではないのだが、実物はかなり可愛(検閲により以下の文章は削除されました)

「愛してる、愛してない」は、マスカーニの作品よりも、坂本龍一が中谷美紀をfeaturingした同名タイトルの曲の方が有名であると思われるが、花占いをしながら歌う歌曲で、石橋もそうした仕草をしながら歌う。

モーツァルトのスザンナのアリアは彼女の個性に合っている。


途中で、堺市の紹介があり、大仙古墳は仁徳天皇陵と従来の名称で呼ばれている。
なんか冗談が寒いのがNHKである。

連続テレビ小説「ブギウギ」メドレー。最も有名な「東京ブギウギ」(作詞:鈴木勝=鈴木大拙の息子、作曲:服部良一)がまず歌われる。実は「東京ブギウギ」はリズムに乗るのがかなり難しい曲なのだが、クラシック音楽調に編曲されているので、オリジナル版よりは歌いやすいと思われる。
關口のピアノで、「ラッパと娘」と「センチメンタル・ダイナ」が演奏される。服部良一も大阪の人で、少年音楽隊に入って音楽を始め、朝比奈隆の師としても知られるウクライナ人のエマヌエル・メッテルに和声学、管弦楽法、対位法、指揮法などを師事しているが、音の飛び方が独特で、「え? こっからそこに行くの?」という進行が結構ある。「ラッパと娘」などは「それルール違反でしょ」という箇所が多い。

「買い物ブギー」。この曲は笠置シヅ子をモデルとした朝ドラに主演した東京出身の趣里、兵庫県姫路市出身の松浦亜弥、神奈川県茅ヶ崎市出身の桑田佳祐なども歌っているが、大阪弁の曲であるため、大阪の人が歌った方が味わいが出る。作詞は作曲の服部良一自身が村雨まさを名義で行っている。
石橋は客席通路での歌唱。カメラを意識しながら演技を入れての歌唱を行って、ステージに上がる。ただ、この曲はクラシックの歌手が歌うと美しすぎてしまう。笠置シヅ子は実は歌唱力自体はそんなに高い方ではない。彼女の長所は黒人の女性ジャズシンガーに通じるようなソウルフルな歌声にある。日本人には余りいないタイプである。


最後は日本語の歌曲。親しみやすい楽曲が多く、安定した歌声を楽しむことが出来る。顔の表情も豊かで、やはりかわ(検閲により以下の文章は削除されました)

メッセージ性豊かな歌詞の曲が選ばれているという印象も受ける。

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2024年10月 8日 (火)

テレビ朝日ドラマプレミアム「黄金の刻(とき) 服部金太郎物語」

2024年3月30日

テレビ朝日ドラマプレミアム「黄金の刻(とき) 服部金太郎物語」を見る。セイコーグループ(旧・服部セイコー)の創業者である服部金太郎を描いたドラマ。楡周平の同名小説が原作である。出演:西島秀俊、松嶋菜々子、山本耕史、濱田岳、水上恒司、吉川愛、正名僕蔵、高嶋政伸、高島礼子、船越英一郎(特別出演)ほか。ナレーション:八木亜希子。

服部金太郎の若き日を、朝ドラ「ブギウギ」の村山愛助役で話題になった水上恒司が演じているほか、壮年期以降の金太郎役で連続ドラマ「さよならマエストロ」を終えたばかりの西島秀俊が主演。昨年は大河ドラマ「どうする家康」で家康の母・於大の方として出演していた松嶋菜々子、NHKドラマ「ベトナムのひびき」に主演したばかりの濱田岳などお馴染みの顔ぶれが揃っている。

銀座のシンボルである和光(現在はセイコーハウス銀座に改称)に本社を置くことでも知られるセイコー。後楽園球場のスポンサーとなり、電光掲示板最上部の時計の下に「SEIKO」の文字を出していたことでもお馴染みである。

創業者の服部金太郎は、幕末生まれと意外に古い人物で、寺子屋で学び、丁稚奉公を経験している。年季が明けた後は時計店に見習いで入り、その後独立して時計修理の服部時計店を立ち上げると、西洋式の取引で頭角を現し、時計の製造へと手を伸ばす。時計技術長に迎えられた吉川鶴彦を山本耕史が演じているが、今だとASDかそのグレーゾーンの診断を受けそうな人物として描かれている。コミュニケーションが取れず、相手の目を見ることが苦手で、過集中で仕事にのめり込み、英語を習ったことがないのに内容を理解し、細工の腕や創造力の高さは一種のサヴァンを連想させる。戦前の職人仕事だから良かったが、高度コミュニケーション化された現代社会で通用するのかどうか微妙な人物である。

ベテラン俳優の領域に達した西島秀俊が貫禄はあるがどこか抜けている社長を好演。濱田岳が敵役で憎たらしさを出している。松嶋菜々子はいつもながらの松嶋菜々子で、良くも悪くも安定感があった。

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2024年9月28日 (土)

「あさイチ プレミアムトーク」 伊藤沙莉 2024.9.6

2024年9月6日

「あさイチ プレミアムトーク」。ゲストは、連続テレビ小説「虎に翼」で主役の佐田(猪爪)寅子を演じた伊藤沙莉。8月31日に、「虎に翼」がクランプアップしての出演である。
コロコロ笑っていたかと思うと、メッセージに涙し、1時間に4回も泣くなど、感情豊かな人であることが分かる。

クランクアップの様子も放送されるが、泣きながら「明日から佐田寅子としていられないっていうのがちょっと想像つかない」と言いながら、「3日後ぐらいには徐々に実感」と言って笑い取りに行っているのが、いかにもお笑い芸人の妹である。

周りからは「朝ドラのヒロインって大変でしょ」と言われたそうだが、「意外とそうではなくて」「作品を作る楽しさ」の方が勝っていたそうである。

この人はかなりの人たらしだと思われるのだが(唐沢寿明や織田裕二に可愛がられているようである。また「虎に翼」でナレーション担当の尾野真千子ともかなり親しくなったらしい。出来るドジっ子なので当然、モテる)、自分を下げてでも必ず相手を立てるので悪い印象のない人である。

セリフ覚えが良く、普段はセリフを間違えないようだが、土居志央梨の証言によると、一度、ちょっとだけ噛んだときに、いきなり自分で自分の頬を「周りが引くぐらい」思いっきりはたき、頬が真っ赤になって、メイクさんが「あー!」と言いながら寄っていったそうで、逆に迷惑を掛けてしまったそうだが、シンプルに集中力を欠いていたので切り替えるのに一番早いというのでセリフビンタを選んだようである。土居志央梨は、「自分に厳しすぎるだろ」と笑っていた。

猪爪時代の寅子がお見合い中に居眠りするシーンがあるが、伊藤沙莉のフォトエッセイを読むと、「コンビニのバイト中はレジ打ち中にシンプルに就寝」と書かれており、この辺から取られている可能性がある。

森田望智(みさと)の証言、「どこか別の世界に行っている」に関してもフォトエッセイには、「居酒屋のバイトではビラ配りしてたら夜の散歩が気持ちよくなって一時行方不明」と呼応するようなことが書かれており、昔からそうだったようだ。

この人はなんなんだろう。


後半には、リアルにその時代を生きた人達の、想像では補えないくらいの苦労に思いをはせ、表現する上での難しさやプレッシャーなども述べて、その上で今の時代とリンクする部分に考えさせられることも多かったと語った。


前作の朝ドラ「ブギウギ」(NHK大阪放送局=BK制作)のヒロインである趣里から、励ましのメッセージを何度も受け取ったことや、プレゼントとして練り香水を貰ったことも明かして、今もつけているということで、手首の匂いを鈴木菜穂子アナウンサー(私の父親の大学の後輩で学部も一緒である)や博多華丸・大吉にかがせていた。

伊藤沙莉は、シングルマザーの貧しい家庭環境で育っており、伯母の協力を得ていたという境遇を寅子の娘である優未に例えていた。同じ千葉県出身の女優である麻生久美子も同じような幼少期を送っており、苦労人も多いようである(伊藤沙莉は千葉市若葉区出身で私と同郷。麻生久美子は山武〈さんぶ〉郡山武町〈さんぶまち〉、現・山武〈さんむ〉市出身)。


最後に、生まれて初めてネイルサロンに行ったということで爪を見せていた。女優だと様々な役をやるので、ネイルをデコレーションしたりは出来ないようである。


今後は1ヶ月ほど休養を取るようだ。

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2024年9月26日 (木)

米津玄師 「さよーならまたいつか!」(NHK連続テレビ小説「虎に翼」オープニングタイトルバック・フルバージョン)

米津玄師オフィシャルYouTubeチャンネルより。
朝ドラのヒロインにはイメージカラーがあり、猪爪寅子(伊藤沙莉)は虎に由来する黄色がイメージカラーで、若い頃は黄色い着物をよく着ています。明律大学専門部女子部の仲間との風景を経て、寅子は挫折して倒れます。そこから復活して、「綺麗な水のような」法律と戯れます。「空に唾を吐く」の部分で、米津玄師はやや粗めに歌っていますが、ここが伊藤沙莉のハスキーボイスを意識した箇所だと思われます。
ドラマのオープニングは、様々な職業の女性と共に踊る、寅子こと伊藤沙莉の実写で終わります。

2番の映像は、その後新たに撮られたもので、階段下の書生部屋にいる佐田優三(仲野太賀)と、明律大学講堂(当時、竣工したばかりの明治大学記念館の講堂がモデル)での法廷劇で、妨害行為を行った小橋浩之(名村辰)らに激怒した寅子を止めようとして引っ掻かれてしまう優三が映っています。笑い声の部分に出てくるのは、家庭裁判所の父こと多岐川幸四郎(滝藤賢一)です。
「雨霰」の部分では泣く猪爪改め佐田寅子と猪爪花江(森田望智)が描かれます。
「蓋し虎へ」の「蓋し」は「まさに」という意味ですが、「なるほど」というニュアンスも含まれ、「なるほど」が口癖の星航一(岡田将生)がちゃんと映っています。

そして、明律大学法学部の「魔女ファイブ」(佐田寅子=伊藤沙莉、山田よね=土居志央梨、桜川涼子=桜井ユキ、大庭改め竹村梅子=平岩紙、汐見香子こと崔香淑=ハ・ヨンス)+玉(村沢玉。羽瀬川なぎ)によるダンス。玉は戦後は車いすという設定なので、上半身だけ踊ります。
実は伊藤沙莉は、幼い頃はダンサー志望で、女優よりもダンサーとしてのデビューの方が先だったりします。土居志央梨は高校まではクラシックバレエをやっていたので、踊りはお手の物だと思われます。桜井ユキは日舞をやっているようですね。平岩紙はホルンを吹いているイメージで、ダンス経験は不明。ハ・ヨンスについてもよく分かりません。ただ簡単な振付なので動きに問題はないと思われます。

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2024年9月22日 (日)

米津玄師 「さよーならまたいつか!」(NHK連続テレビ小説「虎に翼」オープニング曲)オリジナルプロモーションビデオ(PV)

この映像はカラオケにも採用されており、見ながら歌うことが出来ます。

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2024年9月16日 (月)

NHK総合「土スタ 『虎に翼』特集@明治大学」 伊藤沙莉&仲野太賀 ハイライト映像へのリンクあり

2024年5月25日

NHK総合「土スタ(土曜スタジオの略のはずなのだが、「土曜にスターがやってくる」の略だとされており、そう読み上げられる)『虎に翼』特集@明治大学」を録画で見る。現在放送中の連続テレビ小説「虎に翼」のヒロインのモデルである三淵嘉子(独身時代の名前は武藤嘉子で、苗字にちなんで「ムッシュ」というあだ名で呼ばれていた。二度結婚しており、和田姓を経て三淵姓となっている)が旧制明治大学専門部女子部法科(3年制)と旧制明治大学法学部(3年制)卒ということで、東京都千代田区神田駿河台(最寄り駅は御茶ノ水)にある明治大学駿河台キャンパス・アカデミーコモン内のアカデミーホールからの生放送となる。ゲストは、ヒロインの猪爪寅子(いのつめ・ともこ)改め佐田寅子役の伊藤沙莉と、寅子の夫となった佐田優三役の仲野太賀。仲野太賀は俳優の中野英雄の息子(次男)で、再来年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」で、羽柴小一郎や大和大納言の名でも知られる豊臣秀長役で主役を張ることが決まっている。

明治大学アカデミーコモンは、私が在学中には存在しなかった建物で、一部を除いては学部の教室ではなく、専門職大学院や社会人向け講座(リバティアカデミー)などで使われているそうだが、現在の私は明治大学とは関係がないし、東京にもいないので実態はよく分からない。地下に移転した明治大学博物館(「虎に翼」展開催中)があり、明大OBである阿久悠記念館が出来ている。
アカデミーホールは多目的ホールで、講演なども行われるが、毎年、明治大学シェイクスピアプロジェクト(MSP)の上演会場となっている。MSPは一度だけ、「ヴェニスの商人」を観ている。

明治大学出身者の法曹がモデルということで、伊藤沙莉も明治大学で法学の特別講義を4コマほど受けたそうだ。ちなみに女学校時代の寅子の親友で、今は寅子の兄の直道(上川周作)に嫁いでいる花江役の森田望智(もりた・みさと)も法律とは関係のない役なのに何故か付いてきたそうである。森田望智は大卒のはずだが(大学名非公開)また大学の雰囲気を楽しみたかったのだろうか。仲野太賀は明治大学には来ていなかったそうで、「だから落ちたのか!」と冗談を言っていた。

昨日の放送で、優三に赤紙(召集令状)が届き、出征するシーンが描かれたのだが、優三に届いた赤紙は色が薄いピンク色であった。前作の朝ドラ「ブギウギ」で、ヒロインの福来スズ子(趣里)の弟である花田六郎(黒崎煌代)に届いた赤紙は文字通り真っ赤であった。六郎が召集令状を受けたのは日米開戦前ということで染料が豊富にあったのだが、その後に染料が足りなくなり、赤紙の色も落ちていった。優三が招集されたのは昭和19年という設定である。

石田ゆり子、岡部たかし、土居志央梨、上川周作がビデオ出演。土居志央梨と上川周作は同い年(31歳)で、京都造形芸術大学映画俳優コースの同級生。伊藤沙莉も先日30歳になったばかりで、仲野太賀も31歳。若手陣は全員アラサーである。土居志央梨は、男装して男言葉を話す無愛想なキャラ(山田よね)を演じているため、ビデオ映像に出演した素に近い状態とのギャップがかなりある。
昨日、「あさイチ」に草彅剛が出演し、ゲストとしてT字路sが登場して歌を披露したのだが、伊藤沙莉はカラオケでT字路sの曲をよく歌うそうだ。「虎に翼」は名古屋がロケ地になっているのだが、名古屋ロケを終えた夜に伊藤沙莉と土居志央梨は二人でカラオケに出掛け、伊藤沙莉はT字路sを、土居志央梨は椎名林檎を歌った。二人とも歌は上手いらしい(伊藤沙莉は歌手デビュー済み)。

撮影の裏話が中心だが、チームの雰囲気はとても良さそうで、伊藤沙莉も仲野太賀も互いをリスペクトしている様子がよく伝わってくる。

伊藤沙莉と仲野太賀が夫婦役を演じるのは二度目で、NHKBSプレミアム(現在は統合によりチャンネル自体は廃止されている)とNHK総合「ドラマ10」で放送された連続ドラマ「拾われた男」で共演している。「拾われた男」には草彅剛も準主役で出演しており、昨日の「あさイチ」では「拾われた男」の映像も流れた。「拾われた男」は、現在はDisney+で配信されている。

ハイライト映像へのリンク

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2024年9月12日 (木)

こう読む  NHK連続テレビ小説「虎に翼」原爆裁判判決の回

判決文に関しては、一切説明がありませんでしたが、佐田寅子(伊藤沙莉)が「最後に何か書き加えてみては」と言っている以上、寅子の意志が国家の責任の部分に反映されているのだと思われます(ノベライズ本にはどこが寅子が関与した部分か分かるようになっています)。まさかここまでやるとは思っていなかったのですが、史実超えを狙っています。寅子自身は一言も発しておらず厳しい顔のままなのですが(伊藤沙莉さん、ほとんどまばたきしません。特に最初のロングカットでは1回しかまばたきしていません。これは「当事者」の目です)、最後の部分で山田よね(土居志央梨)が目の角度から寅子を見ているのが分かります。寅子も閉廷して立ち上がるときに一瞬だけよねを見ます。よねは泣いている。裁判に負けて悔しかったからではないと思われます。

第1回法廷の後、弁護団が竹中次郎記者(高橋努)に挨拶した後になりますが、よねと寅子がすれ違う時に「意義のある裁判にするぞ」という場面がありますが、これは「一緒に」を意図的に抜いたセリフです。寅子はすぐに「みんなで一緒に海行きましょう」などとと提案するタイプですが、よねが寅子に「一緒に」だとか「共に」というニュアンスを込めた言葉を発するのは初めてのはずで、寅子が驚いて振り返るのはそのためです。
よねが泣いたのは、寅子が「意義のある裁判」にしてくれたのが嬉しかったからだと思われます。土居さん、微かに頷いてますね。

説明のないシーンなので説明してみました。

佐田寅子が関与したと思われる部分(国家責任にまつわる箇所。前半にも関与している可能性があるが、セリフに沿うとこの部分である)
「それでこそ訴訟当事者だけでなく、原爆被害者全般に対する救済策を講ずることができるのであって、そこに立法および立法に基づく行政の存在理由がある。終戦後十数年を経て、高度の経済成長を遂げた我が国において、国家財政上、これが不可能であるとは到底考えられない。我われは本訴訟を見るにつけ、政治の貧困を嘆かずにはおられないのである」

その後、寅子は、山田轟法律事務所に行き、「私…」と言って深々と頭を下げます。これが「ごめんなさい」だと誤解する人は多いです。今まで徹底してそう言って来ましたので、今回もそうだと思い込む。だがこれは違います。「私、ごめんなさい」とは言わないので、飲み込んだのは他の言葉です。その次に星家で寅子が語る「私、出来ることはやった」が続きの言葉だと思われます。続きは、「でもこれで原告の被爆者の方々が救われた訳じゃない」。救うのは国・行政の役目ですので符号します。

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2024年9月 3日 (火)

NHK特集ドラマ「ももさんと7人のパパゲーノ」(再放送)+伊藤沙莉フォトエッセイ『【さり】ではなく【さいり】です。』より

2024年8月23日

「そうやってフェードアウトできたら楽かもしれない、怖いけど」(伊藤沙莉『【さり】ではなく【さいり】です。』より)

NHK総合で、深夜0時45分から、特集ドラマ「ももさんと7人のパパゲーノ」の再放送がある。2022年放映の作品。伊藤沙莉は、主人公のももに扮しており、この作品で令和4年文化庁芸術祭で放送個人賞を受賞している。パパゲーノというのは、モーツァルトの歌劇(ジングシュピール)「魔笛」に登場するユーモラスな鳥刺し男だが、絶望して首つり自殺を図ろうとする場面があることから、「死にたい気持ちを抱えながら死ぬ以外の選択をして生きている人」という意味の言葉になっている。自殺願望を抱えている人を周りが救った例をメディアが取り上げて自殺を抑止することを「パパゲーノ効果」といい、NHKは「わたしはパパゲーノ」というサイトを開設して、寄せられたメッセージを読むことが出来る他、自身で投稿することも出来るようになっている。
冒頭に掲げた言葉は、伊藤沙莉に自殺願望があったという意味ではないが、芸能生活が上手くいかなくなった時期の気持ちを表したもので、彼女の失意がストレートに出ている。

出演は、伊藤沙莉のほかに、染谷将太、山崎紘菜、中島セナ、橋本淳、野間口徹、平原テツ、池谷のぶえ、堀内敬子、浅野和之ほか。語り:古舘寛治。
作:加藤拓也、演出:後藤怜亜。精神科医療考証:松本俊彦(国立精神・神経医療研究センター 精神科医)、自殺対策考証:清水康之(NPO法人 自殺対策支援センターライフリンク代表)

ももが路上で寝転がり、「死にてー」というつぶやくシーンからドラマは始まる。
埼玉県川口市出身で都内で一人暮らししているOLのもも(伊藤沙莉)は、一緒にカラオケなどを楽しむ友人がおり、仕事も余り良い仕事ではないかも知れないがそこそこ順調。セクハラを交わす術も覚えて、陶芸など打ち込む趣味(伊藤沙莉の趣味が陶芸らしい)もあり、一般的と言われる人生を送っていた。
しかし、ある日、ももはオーバードーズ(薬物大量摂取)をしてしまい、救急車で病院に運ばれる(薬が病院で貰ったものなのか、また一人暮らしで意識のないももがどうやって救急車を呼んだのかは不明。だが事件を起こした後で、精神科に通い始めたことが分かるセリフがある)。自分に自殺願望があったことに気づくもも。死にたい気持ちを抑えるために、カッターナイフで足の甲を傷つけるレッグカットを行うようになってしまう。

特に好きではないが断る理由もない男から交際を申し込まれ、OKするももだったが、彼のSNSを見て余りの寒さに地雷臭を感じる。それでも一緒に部屋で暮らす時間を作るほどには親しくなるが、足の甲の傷を見つけられてしまい、説教される。一方的なメッセージにももは別れを決意する。
翌朝、出社するために電車に乗ったももだが、途中下車して休んでいるうちに気分がどんどん悪くなってしまい、会社に休むとの電話を入れる。その後もももは駅のベンチから動くことが出来ない。結局、ももは会社を辞めることを決意。SNSで「辛いけど楽しいことをしている人」を募集し、メッセージをくれた人に会いに行く。
ももはパパゲーノと出会う旅に出掛けることになる。

ももは自殺願望はあるものの、端から見るとそれほど強い動機には見えないため、そのため却って葛藤する。「たいしたことないよ」という風に言われるため、助けを求めることが出来ないのだ(「私が苦しいって思ってるんだから苦しいんだよ。貴様に何が分かる。くらいまでいく時はいく」『【さり】ではなく【さいり】です。』より。実はこの後、オチがあるのがお笑い芸人の妹らしい)。

セクハラを拒否したことで村八分にされ、IT会社を辞めて農業をする女性(玲。演じるのは山崎紘菜。たまたまももの同級生だった)と出会ったももは、宿を確保していなかっため、近所の家に泊めて貰おうとするという「ロケみつ」的展開となるが、早希ちゃんより可愛くないためか…、あ、こんなこと書いちゃ駄目ですね。ともかく断られ、テントがあると教えられてそこで野宿生活を送ることになる。

喫茶店で待ち合わせた雄太(染谷将太)と出会うもも。雄太は保育士のようなのだが、ももの影響を受けて仕事を辞めてしまう。ももは一人で旅したかったのだが、結果として雄太はももと二人で過ごす時間が増え、二人でアルバイトなどをしてお金を稼ぎながら旅を続ける。
その後も、トランペットに挫折した女子高生、もともとろくに働いていなかったが年を取って仕事に就けなくなった男性、仕事は苦手だが妻子を養うために辞められない男性、何をするでもなく生きている男、山口(浅野和之)らと出会い、様々な人生観に触れながらももは生きていく決意をする。

伊藤沙莉は、NHK連続テレビ小説「虎に翼」で、現在40代になった主人公の佐田寅子を演じており、40代の演技をしているため、20代前半を演じている「パパゲーノ」とはギャップが凄い。丸顔で童顔なため、今回は実年齢より若い役だが違和感はない(最近痩せてきているのが気になるところだが)。
比較的淡々と進む作品だが、そのなかで微妙に変化していくももの心理を伊藤沙莉が丁寧かつ自然体の演技で表している。

先進国の中でも自殺率が特に高い国として知られる日本。基本的に奴隷に近い就業体制ということもあるが、生きるモデルが限定されているということもあり、しかもそこから外れるとなかなか這い上がれない蟻地獄構造でもある。実際のところ、ももも何の展望もなく会社を辞めてしまったことを後悔するシーンがあり、「一人になりたい」と雄太に告げ、それでもその場を動かない雄太に、「一人になりたいの! なんで分からないの!」と声を荒らげてもおり、どこにも所属していない自分の不甲斐なさに不安を覚えてもいるようだ。
それでも自分だけがそんなんじゃないということに気づき、歩み始める。まっすぐに伸びた道を向こうへと歩き続けるももの後ろ姿を捉えたロングショットが効果的である。


引用があることからも分かるとおり、遅ればせながら伊藤沙莉のフォトエッセイ『【さり】ではなく【さいり】です。』(KADOKAWA)を買って読む。伊藤沙莉自身があとがきに「文才なんて全く持ち合わせておりません」と記しており、口語調で、Webに書き込むときのような文章になっているのが特徴。読点がかなり少なめなのも印象的である。文字数も余り多くなく、読みやすい。くだけた表現も多いので、ライターさんは使っていないだろう。お芝居以外は「ポンコツ」との自覚があるため、この人が演技にかけている演技オタクであり、結構な苦労人であることも分かる。出てくる芸能人がみんな優しいのも印象的(態度の悪いスタッフに切れるシーンはあるが、無意識にやってしまい、後で落ち込んでいる)。基本的に伊藤沙莉は愛されキャラではあると思われるが、この手の人にありがちなように悪いことは書かないタイプなのかも知れない。

ちょっと気になった記述がある。子役時代に連続ドラマ「女王の教室」に出演して、主演の天海祐希に金言を貰ったという、比較的有名なエピソードを語る場面だ。これに伊藤沙莉は、天海祐希の言葉を長文で載せ、「『A-studio+』でも言わせて頂いたが完全版はこれだ」と記しているのである。さらっと記しているが、長文で記された天海祐希の言葉は天海が実際に話した言葉を一言一句そのまま書き記したものだと思われる。ということで、伊藤沙莉は人が言った言葉をそのまま一発で覚えて長い間忘れないでいられるという異能者であることがここから分かる。他にも様々な人のセリフが出て来て、長いものもあるが、「だいたいこんな感じ」ではなく、言われた言葉そのままなのだろう。やはり彼女は並みの人間ではないということである。あとがきで伊藤は、「昔から記憶力だけはまあまあ良くて だったらそれをフル活用してやんべ(語尾が「べ」で終わるのは「方言がない」と言われる千葉県北西部地方の数少ない方言で、彼女が千葉県人であることが分かる)」と記しているが、「まあまあ」どころではないのだろう。彼女が挙げた膨大な「何度も観るドラマや映画」のセリフもかなり入っている可能性が高い。

「なぜこの人はこんな演技を軽々と出来てしまうのだろう」と不思議に思うことがあったが、本人の頑張りもさることながら(観て覚えて引き出しは沢山ある)、やはり持って生まれたものが大きいようである。実兄のオズワルド伊藤が妹の伊藤沙莉のことを「天才女優」と呼んでいるが、身贔屓ではないのだろう。

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