カテゴリー「ショートフィルム」の8件の記事

2020年3月19日 (木)

これまでに観た映画より(160) 東京フェルメックス京都出張篇「『東』&ジャ・ジャンクー短編集」

2020年3月17日 京都シネマにて

京都シネマで、東京フェルメックス京都出張篇「『東』&ジャ・ジャンクー短編集」を観る。

東京で行われている映画祭、東京フィルメックス。京都を拠点に活動するシマフィルムがスポンサーとして参加したことを機に京都シネマと出町座という京都の2つの映画館でも出張篇として特別上映が行われることになった。

「『東』&ジャ・ジャンクー短編集」は、現代中国を代表する映像作家であるジャ・ジャンクー(贾樟柯 JIA Zhagke)の中編ドキュメンタリー映画「東」と短編ドラマ映画3本を合わせて行われる上映会である。

まずドキュメンタリー映画「東」。中国現代美術の代表的画家である劉小東(リュウ・シャオトン)を追った2006年の作品。上映時間は66分である。

北京に住んでいた劉小東が三峡にやって来る。発展著しい都市部とは異なり、内陸部にある三峡地区はまだ20世紀の中国の色彩が色濃く残っている。田舎で暮らすにはパワーが必要であるとして、劉は昔習った太極拳に取り組んだりする。
劉小東は制限された中で作品を作り上げるのを得意としている。際限のない自由を求めるような表現はしない。描くべき対象と向き合ってキャンバスを埋めていく。
若い頃は人体から溢れ出るような生命力には気がつかなかったという劉小東。今は体から発せられる活力と切なさを絵に込めるよう心がけているようである。

劉小東は、かつて絵のモデルの一人となり、今は他界した労働者の家族を訪ねる。中国の片田舎に住む、決して洗練されているとはいえない人々であるが、劉小東の余り上質とはいえないプレゼントにも喜ぶなど、人と人との関係は上手くいっている場所のようである。やがて劉小東は、タイのバンコクに向かう。バンコクの日差しに馴染むことが出来ず、タイの自然も理解することは難しいと悟った劉は、屋内でタイの若い女性達に向き合い、大作に挑んでいく。

若い頃の劉は西洋画を学んでいた。ギリシャの絵画などを参考や模範としていた。しかし今は古代の中国、北魏や北斉(葛飾北斎ではない)の絵に惹かれるという。それらの絵はアンバランスであるが、西洋とは違ったパワーが感じられるという。
カメラがモデルの一人の女性を追い(出身地が水害で大変なことになっているようだ。近く戻る予定だそうである)、混沌と熱気に満ちたバンコクの街と夜の屋台街で歌う流しの盲目の歌手の様子などを捉えて作品は終わる。

 

続いて上映時間19分の「河の上の愛情」。2008年の作品である。
「水の蘇州」として知られる蘇州が舞台である。おそらく蘇州大学に通っていた大学の同級生4人が久しぶりに再会するという話である。男性の一人は今も蘇州に住んでいるようだが、もう一人の男性は南京に、女性二人は合肥と深圳に移り住んでいるようである。
蘇州の水路でのシーンが、登場人物の揺れる心を描き出す。今の彼らは別の相手と結婚しているが、昔の恋が再会によって仄かに燃える。それがどこに行くかは示されないままこの短い映画は終わる。

 

「私たちの十年」。2007年の作品で上映時間は10分。どうもコマーシャルとして撮影されたようである。山西省を走る列車の中が舞台。この列車の常連である二人の女性の1997年から2007年までの十年が断片的に描かれる。それはメディアによっても表され、最初は似顔絵を描いたいたのがポラロイドカメラに変わり、最後は携帯のカメラでの撮影となる。若い方の女性は余り生活に変化がないように感じられるが、もう一人の女性は結婚し、出産し、そしておそらく別れを経験している。最初は活気のあった列車内が最後は閑散としているのには理由があるのだと思われるのだが、日本人の私にはいまいちピンとこない。

 

「遙春」。2018年の作品で、ごく最近制作されたものである。上映時間は18分。
いきなりワイヤーアクションのある時代劇の場面でスタートするが、これは日本でいう東映太秦映画村や日光江戸村といったアトラクションパークのシーンであり、舞台は現代の中国である。このアトラクションパークで端役のアクターをしている夫婦が主人公である。夫はやられ役、妻は西太后に仕える清王朝の女官役をしている。

長年にわたり一人っ子政策が行われてきた中国であるが、少子高齢化に直結するということで見直しが行われ、二人までなら生むことが推奨されるようになった。二人の間には中学生になる女の子がいるが、男の子が欲しいという気持ちもある。実は一度、男の子を流産したか堕胎した経験が夫婦にはあるようだ。一人っ子政策推進時代には二人目を産むと罰金が科せられたため、あるいはそういうことがあったのかも知れない。

もうすでに中年に達している二人だが、「映画監督なら38歳は若手、政治家としても若手。相対的なもの。相対性理論。アインシュタイン」という、多分、内容をよくわかってない理論で、息子を作る決意をする。
一人娘を田舎の祖父母に預け、二人は冴えないアトラクションのアクターのままではあるが、再び愛し合う決意をする。それはいわばセカンドバージンの終わりであり、目の前には希望が広がっている。
心の機微を掬い上げるのが、とても巧みな映画監督という印象を受けた。

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2019年11月24日 (日)

これまでに観た映画より(143) ポーランド映画祭2019 in 京都 「ポランスキー短編集」

2019年11月20日 出町枡形商店街の出町座にて

出町枡形商店街の出町座で、ポーランド映画祭2019 in 京都 「ポランスキー短編集」を観る。ポーランドを代表する映画監督の一人、ロマン・ポランスキーがウッジ国立映画大学在学中に制作した無声短編映画の上映である。クレジットに制作年が書かれており、全て1950年代後半の作品であることがわかる。

「殺人」、「微笑」、「パーティーを破壊せよ」、「タンスと二人の男」、「灯り」という作品の上映。いずれもDVDで入手できる映像であるが、今回はポーランドの音楽デュオであるシャザの生演奏付きでの上映である。ヴァイオリンとクラリネット他による演奏。

 

「殺人」は、ベッドで寝ていた男性が、小型ナイフで胸を刺されて殺害されるという、それだけを撮影したショートムービーである。
若き日のポランスキーが何を考えて、これだけのムービーを撮ったのかはわからない。ただ特殊に見える小型ナイフで心臓を一突きにしていることや、犯人の見た目が温厚そうなおじさんであることから却ってプロの殺し屋らしく見える。これらは意識して撮っているのだろう。

 

「微笑」は、覗きを題材にしたコメディーである。志村けんが作りそうなギャグでもある。マンションの部屋の主がドアの前に牛乳瓶を並べるシーンがあるが、ポーランドは共産党支配時代は牛乳が配給制だったそうで、夜の間に家のドアの前に牛乳の瓶を出しておくと、朝には配給されているというシステムだったそうである。

 

「パーティーを破壊せよ」。ウッジ国立映画大学のあるウッジという街は、ポーランドの中でもフーリガン(通訳は「ヤンキー」と訳していた)が多いことで知られているそうで、ウッジ国立映画大学在学中のポランスキーは大学でパーティーを開催する時に、街のフーリガン達も誘うことにしていたそうだ。その流れでこの「パーティーを破壊せよ」もフーリガン達に出演して貰って撮ったそうだが、喧嘩の場面は実際に殴っているとしか思えない。そんなこんなでポランスキーも大学を退学になりそうになったことがあるそうだ。映画に登場するフーリガン達は、ジェームズ・ディーン風というか、「ウエスト・サイド・ストーリー」のジェッツ(ジェット団)風というか(ジェッツはポーランド系移民のストリートギャングである)ポーランドであっても当時の不良はアメカジだったことがわかる。

 

「タンスと二人の男」は、ポランスキーの初期作品の中でも傑作として知られている作品である。音楽はクシシュトフ・コメダが作曲しているが、今回はシャザの二人がコメダの音楽を元にアレンジした曲を演奏する。映画の一場面は、同志社大学寒梅館クローバーホールで観た「コメダ・コメダ」の中でも取り上げられていた。
タンスを担ぎながら海から上がってきた二人の男が街へと繰り出し、あらゆる場所で拒否されてまた海に戻っていくという話である。かなりシュールであるが、ヨーロッパということで異人や移民の話なども絡んでいるのかも知れない。ポランスキー自身がユダヤ系ということもある。タンスを担ぎながら歩く二人の横で、スリや殺人といった犯罪が起こり、二人は街で見掛けた可愛い女の子には相手にされず、女の子にちょっかいを出そうとした不良グループとは揉めて、殴り倒される。路面電車やホテルにはタンスを担いでいるが故に立ち入りを拒否される。
タンスが何のメタファーなのかは、特に考える必要はないのかも知れない。生活用具なので、生活や人生を担いでいると見るべきなのかも知れないが、そこは固定せずに個人で捉えた方がいいだろう。
個人的には、ボードレールの「人皆キメールを背負えり」という詩を連想した。

 

「灯り」。人形館が舞台である。人形職人の男が嬉々として人形を作り続けている。部屋には完成したものや作りかけの人形が一杯で、結構不気味である。だが、電気がショートして火事が起こり、人形達は炎に包まれる。大惨事である。
ここでカメラが切り替わり、人形館の外の風景が映る。雨の日で、人々は人形館から漏れ出ている灯りが火事によるものだということに気づかず淡々と通り過ぎていく。内と外の違いが、ある意味、現代の孤独と断絶と無関心を引き立たせているとも感じ取れる。

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2019年11月23日 (土)

これまでに観た映画より(142) ポーランド映画祭2019 in 京都 「ワイダ映画学校短編集」

2019年11月18日 出町枡形商店街の出町座にて

午後6時35分から、出町枡形商店街にある出町座で、ポーランド映画祭2019 in 京都 「ワイダ映画学校短編集」を観る。全てジャパンプレミアである。
立誠シネマの後継映画館として2017年に出町に誕生した出町座。訪れるのは初めてである。2階と地下1階に1つずつミニシアターがあり、「ワイダ映画学校短編集」は2階で上映される。

ポーランド映画界を代表する存在だったアンジェイ・ワイダ(1926-2016)が、2002年に創設したアンジェイ・ワイダ映画マイスター学校の生徒が作成した短編映画の上映である。キャストも撮影技術も予想以上にしっかりしている。

上映時間30分の課題作として制作されたうちの3本が上映される。まずは「彼女の事情」。バルテク・コノプカ監督作品。2006年制作。母親が癌で余命幾ばくもないということで、里子に出されそうになったり、社会福祉課に保護されそうになったりする姉弟の話である。長女でサッカーに夢中のインガは、社会福祉課の世話になることを拒み、まずは弟二人(そのうち一人はまだ赤ん坊である)を連れて男友達の部屋に移り、そこから写真でしか見たことのない伯母(母親の姉)を訪ねて、田舎へと向かう。そこから先が見たくなるのだが、30分という制限があるためか(実際の上映時間は39分である)田舎の家の場面で終わってしまう。クローズアップの手法が多用されているのが演出上の特徴である。

2本目は、「ゲーム」という上映時間27分の作品。監督はマチェイ・マルチェノフスキ。2013年の作品である。エレベーターに閉じ込められた男女の心理ゲーム、と見せかけて、実はエレベーターは行き詰まりを迎えた夫婦のメタファーであるらしいことが徐々にわかってくる。ラストには男女を乗せたエレベーターがSF的にいくつも登場し、世界は行き場のない夫婦で溢れていることが示唆される(日本でも夫婦の三組に一組は離婚する時代である)。

3本目はドキュメンタリー映画「ワイダの目、ワイダの言葉」。ワイダと共に仕事をしてきた映画仲間に取材したドキュメンタリー映像にワイダがコメントを加えていくという形で進んでいく。エリザ・クバルスカ他による監督。2014年制作。上映時間25分。
カメラマンがフィルム撮影用カメラを紹介するときに「(クシシュトフ)キェシロフスキが使っていたカメラ」と話しているのは興味深い。カメラマンは、デジタルカメラよりもフィルム撮影用カメラの方を今でも信用しているようだ。
フィルム現像係は、1974年からずっとこの仕事を続けているが、「面白いと思ったことは一度もない」「義務としてやっている」と語ってワイダを失望させている。ワイダはエンドクレジットに全員の名前が載るのは、映画というものは皆で作るものだということの象徴であると考えており、「その中に嫌いで仕事をやっている人間がいるとは」嘆く。「仕事を変えたらどうだい。稼げる仕事なら他にある」という趣旨の発言もしてる。
一方、フィルム編集者の女性は自らの仕事に誇りを持っており、ワイダも嬉しそうである。フィルム編集は今ではフィルム編集者しか行えないが、以前は政治家が口出ししてきて、勝手にフィルムを刻むようなこともあったようだ。
ワイダが「仲間だ」と感じている人は全員、撮影スタッフだそうである。彼らはいつも現場にいて作業をしているため、自然にそうした連帯感が生まれるようである。俳優は作品によって出たり入ったりするため、「仲間」という意識にはなりにくいようだ。
ワイダは撮影所が存在することの重要性を何度も語り、最近は撮影所に活気がなくなってきていることを気に掛けているようだった。

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2017年2月 5日 (日)

楽興の時(13) ロームシアター京都オープン1周年記念イベント「Kyoto Gathering」

2017年1月31日 左京区岡崎の京都モダンテラスにて

午後6時から、ロームシアター京都パークパレス2階にある京都モダンテラスで、ロームシアター京都オープン1周年記念イベント「Kyoto Gathering」に参加する。写真、映画、音楽などの芸術を取り上げる催し。映画監督の林海象(京都造形芸術大学時代に見知った関係である)、女優の鶴田真由、DJ・作曲家&プロデューサーの沖野修也(おきの・しゅうや)らが参加する。バンド演奏は、Based on Kyoto.とNAOITO☆.Aの2組。


京都モダンテラスに入るのは初めてである。入ってすぐに林海象とバッタリ出会ったので挨拶。林さんは、「取材?」と聞く。取材ではないが、色々なものに接して取り入れようとしているのは事実である。林監督が「取材?」と聞いたのは、おそらく私が色々聞く性分だったからだと思われる。林監督にお目にかかるのは13年ぶりぐらいである。Facebookで繋がっているので、そう遠い感じはしなかったのだけれど。林監督は少し小さくなられたように見えた。林監督は元田中で「バー探偵」という店も経営されているのだが、私は酒が飲めないので行きようがない。

鶴田真由さんも普通にいる。舞台でお見かけした時には気がつかなかったのだが、小柄な方である。

芸術紹介のイベントなのだが、参加者は多くは賑やかに歓談しており、写真や映像をじっくり見ている人は余りいない。

沖野修也のDJタイムが1時間ほど続く。ジャズセッションの音楽が流れていたので、私もコードに合わせて口笛を吹いたりした。


午後7時過ぎから、まず、写真のイベントが行われる。スクリーンが降りており、そこに写真が投影される。
まずは、志津野雷(しづの・らい)による水の写真集『ON THE WATER』(青幻舎)からの映像。その他にバスク地方(フランスとスペインの境にある地域。著名な出身者にモーリス・ラヴェルなど)の男性などの写真もある。
 
鶴田真由は、「今日、新幹線で来たんですけど、富士山が見えたので、写真を撮ろうと思ったら(撮っている間に)すぐ終わってしまって」と言って、写真を撮る時も「撮るよりまず見る」ことが大切だというようなことを語っていた。
 
アラーキーこと荒木経惟の最新作も投影される。荒木経惟は近年は病気のため、自宅から出ることもままならないそうだが、自宅にオブジェを置いて、それを撮ることで活動を続けているという。


続いて映画のイベント。まず、鶴田真由が監督したドキュメンタリー映画の予告編3本が流される。それぞれ、日本の伝統工芸である染め物、石垣島の女性、アイヌの人々の姿を収めている。
鶴田真由は、「現代に生きることに慣れてしまって、他の部分が弱っているような気がする」と語る。ポール・ボウルズ原作、ベルナルド・ベルトリッチ監督の「シェルタリング・スカイ」にも繋がる考え方である。

林海象監督は、日本映画は京都が発祥の地であることを述べ、牧野省三が日本各地を巡回上映していたと語る。更に京都モダンテラスのある左京区岡崎について、「夜に来るところじゃない」と語る。左京区岡崎は白河上皇の時代に、京・白河と並び称された白河の地である。六勝寺という、6つの「勝」の寺の入る寺院がかつては建ち並んでいた。今でも岡崎は平安神宮を始めとする神道、金戒光明寺や真宗大谷派岡崎別院などの寺院、更には新宗教の施設も多い宗教地域でもある。
林監督によると、「今でも祇園の石塀小路なんかに行くと、新選組の幽霊が出るといわれている」と語る。ただ、「一番会いたい人って、もういない人じゃない」とも言う。野田秀樹の「パンドラの鐘」にも、「(亡くなった知り合いに会ったら、退きながら嫌悪の)おお! ではなくて(手を取って喜びの)おお!」だろうというセリフを書いている。映画の宗教的側面である。村上春樹もエッセイでそうしたことを書いている。なんだか人の意見ばかり引用しているようだけれど。
林監督は、下鴨神社で映写会も行っているという。「神様は映画知らないから(映画が出来たのは100年ちょっと前に過ぎないという意味)」ということで、映画を神事として奉納したのだという。下鴨神社の関係者も喜んで協力してくれたそうだ。

林監督の映画「BOLT」の予告編が流れた後で、同じく林監督による短編映画「GOOD YEAR」が上映される。上映時間は23分である。出演は、永瀬正敏と月船さららの二人。子役二人も登場するが重要な役ではない。2014年12月24日の山形が舞台。永瀬正敏演じる男は零細工場を営んでる。その工場には「幽霊が出る」という噂や「水槽には人魚がいる」などという噂がある。
品川ナンバーの車に乗った女(月船さらら)が、雪道でハンドルを取られ、零細工場のそばに突っ込む。男は女を助け、工場内に運ぶ。シューベルトの「アヴェ・マリア」の音に気づいて女は目覚める。女は自分の名前を「あべ・まりあ」だと告げる……。

林監督が、山形にある東北芸術工科大学(京都造形芸術大学の姉妹校)の教授を務めているということもあって、雪の山形で撮られた映画である。東北ということで東日本大震災にも触れている。

私が、ちょうど今取り組んでいる戯曲に少し重なる部分もある。
ラストはバンドタイム。ノリノリである。Based on Kyoto.もNAOITO☆.Aも変拍子の多い曲を奏でる(4分の4拍子の曲もある)。空いたスペースでは人々が踊り、一昔前のディスコ(クラブよりもディスコだろうな)のようになっていて楽しい。私も拍を取りながら動いた。

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2008年9月12日 (金)

これまでに観た映画より(35) 「セプテンバー11」

DVDで映画「セプテンバー11」を観る。2002年の作品。世界11カ国の映画監督が、2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ(9・11)を題材にして作った、それぞれ11分9秒01の長さのショートフィルムが連続して上映されるというオムニバス作品。日本からは今村昌平監督が参加。本作品が今村昌平の遺作となった。
参加した国は上映順に、イラン、フランス、エジプト、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルキナファソ、イギリス、メキシコ、イスラエル、インド、アメリカ、日本。
9・11発生直後にアメリカで起こった、平和ソング放送規制への反抗からか、表現の自由をテーマにしており、作風の統一は一切見られない。

DVD「セプテンバー11」 当然、シリアスな作品が多い。
メキシコのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督(代表作「バベル」)は、真っ暗の画面を使って、呪文のような声と音楽で独特の雰囲気を作り出し、時折衝撃音を入れている。この衝撃音が何を意味するのかは作品の途中でわかり、ラストのメッセージで、何故、暗闇のままの映像を用いていたのかが明かされる仕掛けになっている。

イギリスのケン・ローチ監督は、チリで起こったクーデターを題材にしている。1970年、民主的な選挙により、チリに共産主義政権が誕生する。しかし共産主義を怖れていたアメリカが内政干渉。アメリカは更にチリ国内の反共勢力を支援、クーデターを起こさせる。
1973年9月11日、CIAの支援を受けたピノチェトが蜂起する。共産政権の大統領であったアジェンデは大統領官邸内に籠もって抗戦、戦死した。
赤狩りを逃れ、ロンドンで暮らす男性(ウラジミール・ヴェガが演じる)を主人公として、アメリカの「正義」に疑問を投げかけ、全ての犠牲者を追悼するという深く苦い味わいのある作品に仕上げている。

シリアスな作品が続く中で、ブルキナファソのイドリッサ・ウエドラエゴ監督は、ブルキナファソの田舎町に現れたビンラディンに似たアラブ系男性を巡るコミカルなムービーを作っている。

今村昌平監督の作品は独特。他の監督が、倒壊する世界貿易センターの映像や、9月11日という日付を使っているのに、今村監督はそうしたものを一切使わずに戦争の狂気を描き出す。舞台はアジア・太平洋戦争終結直後の日本の寒村。戦争から帰還した男(田口トモロヲ)は、すでに発狂しており、自分が蛇だと思いこんで地を這い、ネズミを丸呑みにしたりする。
出演者は豪華。田口トモロヲ、麻生久美子、柄本明、倍賞美津子、丹波哲郎、市原悦子のほか、緒方拳がナレーションを担当し、出演もする。
役所広司もワンシーンだけ出ているが、後ろの方にただいるだけでセリフは全くなし。カメオ出演のようなものとはいえ、贅沢な使い方である。

Movie/セプテンバー 11

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2007年12月28日 (金)

祝ご結婚 麻生久美子主演「SF Short Films」

本日、ご結婚を発表された麻生久美子さん主演映画のDVDを紹介します。
中野裕之監督のSFシリーズ第3作「SF Short Films」。タイトル通り、ショートフィルムの連作で、麻生久美子は全6作品中3作品に主演しています。

「SF Short Films」

「Return」(中野裕之監督作品、出演:麻生久美子、田中要次、村上淳ほか)、「県道スター」(ピエール瀧監督作品、出演:ゲッツ板谷、安藤政信ほか)、「ハナとオジサン」(芹澤康久監督作品、出演:ピエール瀧、hanaeほか、「アダージェット」(安藤政信監督作品、出演:麻生久美子)、「仲良き事は良きことかな」(中野裕之監督作品、出演:大竹まこと、斎木しげる、きたろう、犬山犬子ほか)、「Slow is Beautiful」(中野裕之監督作品、出演:麻生久美子、桃生亜希子ほか)の6本のショートフィルムを収録。

ショートフィルムだけに傑出して面白いという作品はありませんが、普段とは別の角度から見た日常を上手く切り取って見せています。

40本以上の映画に出演しているという売れっ子映画女優の麻生久美子ですが、「SF Short Films」の立川空子(たちかわ・くうこ)が彼女の地に一番近い役だと思われます。

麻生久美子の実家の付近でもロケが行われており(感心するくらい田舎です)、また「Return」には麻生久美子の実のお母さんが、「Slow is Beautiful」には麻生久美子の実のお祖母さんが出演されています。

ショートフィルムス

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2007年11月15日 (木)

矢口史靖×鈴木卓爾 「ONE PIECE」秋コレクション

矢口史靖監督と鈴木卓爾監督が作ったショートフィルム集「ONE PIECE」の秋コレクションを紹介します。

以前に、春コレクションを紹介しましたが、秋コレクションもやはり全て家庭用ビデオカメラを用いた、ワンカット、編集なし、アフレコなしのショートフィルム集。

矢口史靖×鈴木卓爾 「ONE PIECE」秋コレクション

出演は、自主制作映画の帝王、BOBAさんこと田中要次、自主制作映画の女王こと唯野未歩子(ただの・みあこ。ジャケットの女性が彼女です)ほか。

大地震後の部屋を描いた「二人ぽっちの惑星」(矢口史靖監督)、おそろしくシュールな「傘男」(鈴木卓爾監督)、これまた怖い「暗室」(矢口史靖監督)、女性の嫉妬心を描き、恐ろしい結末を迎える(?)「祝辞」(矢口史靖監督)、これまた別の意味で恐ろしい結末を迎える「社長の首」(鈴木卓爾監督)、河原で集団ダンスの練習をする中学教師の姿をコミカルかつシリアスに描いた「サウンドオブ中学教師」(鈴木卓爾監督)、のちに深津絵里主演のテレビドラマとしてリメイクされることになる「猫田さん」(矢口史靖監督)など、全14作品が収められています。

特典として、唯野未歩子が踊るエンディング映像と鈴木卓爾監督の短編映画「おっけっ毛ビビロボス」(出演:西田尚美、西牟田恵、猫田直、上野純子、阿部サダヲ、田中要次ほか)がついています。

軽い感じで撮られたものが多いので、観て、「あー、面白かった」と思う作品は少ないのですが、恋愛ものである「猫田さん」(主演の相川直はこの作品に出演したのをきっかけに猫田直に改名した)などはなかなかです。

ONE PIECE 秋コレクション

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2007年6月22日 (金)

矢口史靖×鈴木卓爾 「ONE PIECE」春コレクション

東京造形大学の同期生である矢口史靖(やぐち・しのぶ)監督と鈴木卓爾監督が手がけたショートフィルム集、「ONE PIECE」春コレクションのDVDを紹介します。

家庭用ビデオカメラを使った、ワンカット、長回しを基本とし、アフレコも編集もなしという超低予算短編映画集。

ショートフィルム集「ONE PIECE」春コレクション

1994年から1998年にかけて撮られた作品集。出演は、自主制作映画の帝王こと田中要次(愛称:BOBAさん)、自主制作映画の女王こと唯野未歩子(ただの・みあこ。DVDジャケットの写真に写っているのが彼女です)、相川直(現在の芸名は猫田直)、女優としては駆け出しだった頃の西田尚美ほか。

親友が自分に対する悪口を言っているのを聞いてしまう「女友達」(矢口史靖監督)、あの世からのメッセージが届く「地獄のおじいさん」(鈴木卓爾監督)、妙な面接を描いた「バニー」(矢口史靖監督)、わずか36秒の「ベアー」(矢口史靖監督)、監督が次々に登場する「演出×出演」(鈴木卓爾監督)、プロポーズを描いた「春のバカ。」(矢口史靖監督)など14作品を収録。

おまけとして矢口史靖監督の13分の短編「バードウォッチング」も収められています。

大笑いではなく、クスリと笑えるショートフィルム集。気楽に撮られたものが多いので、本格的な映画が好きな人には不向き。実験映像やショートフィルムが好きな方にはお薦め。自分でも映像作品を作っている人は必見のDVDです。

「ONE PIECE」DVDには秋コレクションもありますが、それは後日紹介します。

矢口史靖×鈴木卓爾 「ONE PIECE 春コレクション」(HMV) icon

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