カテゴリー「アメリカ映画」の94件の記事

2025年2月 4日 (火)

これまでに観た映画より(373) リドリー・スコット監督作品「ブラック・レイン」デジタル・リマスター版

2025年1月30日 烏丸御池のアップリンク京都にて

アップリンク京都で、リドリー・スコット監督作品「ブラック・レイン」デジタル・リマスター版を観る。松田優作の遺作としても知られる映画である。出演:マイケル・ダグラス、アンディ・ガルシア、高倉健、松田優作、ケイト・キャプショー、神山繁、若山富三郎、安岡力也、内田裕也、ガッツ石松、島木譲二、小野みゆき、國村隼ほか。音楽:ハンス・ジマー。撮影監督:ヤン・デ・ボン。
タイトルは、B29による爆撃の後に降り注いだ黒い雨に由来している。
1週間限定の上映。

ニューヨークで物語は始まるが、大阪や神戸など、関西圏でのロケ場面の方が長い作品である。
ニューヨークで日本のヤクザの抗争があり、佐藤(松田優作)を逮捕したニューヨーク市警のニック(マイケル・ダグラス)とチャーリー(アンディ・ガルシア)。二人は佐藤を彼の地元の大阪まで護送することになるが、伊丹空港で佐藤の手下に騙されて、佐藤に逃げられてしまう。大阪府警の松本警部補(高倉健)と共に佐藤を追うニックとチャーリーだったが、チャーリーは佐藤とその手下の罠にはまり、日本刀で斬られて命を落とす。復讐を誓うニック。アメリカへの強制送還を命じられるが、飛行機から抜け出し、松本を頼る。松本はニックに協力していたため停職処分を受けていたが、最終的にはニックとすることになる。
佐藤は偽札作りを行っていた元兄貴分の菅井(若山富三郎)と接触。その情報を得たニックは菅井が他の組の者達を落ち合う場所を知り、出向く。

関西でロケが行われているのが魅力であるが、銃撃シーンは許可が下りなかったため、アメリカの田舎で撮影されている。その辺は残念である。

すでに癌に蝕まれていた松田優作。血尿が出たりしていたそうだが、安岡力也以外には病状を教えず、撮影を貫いた。バイクアクションなども華麗にこなしている。

 

坂本龍一の『SELDOM ILLEGAL 時には、違法』を読むと、プロデューサーから彼に、「『ブラック・レイン』に出る背格好の丁度良い日本人俳優を探してるんだ、まあ君でもいいんだけど」という話があったことが分かる。坂本は依頼を断ったようだ。その代わり楽曲を提供しており、いかにも坂本龍一的な音楽が流れる場面がある。

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2025年2月 2日 (日)

コンサートの記(884) レナード・スラットキン指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団第584回定期演奏会 オール・ジョン・ウィリアムズ・プログラム

2025年1月23日 大阪・中之島のフェスティバルホールにて

午後7時から、大阪・中之島のフェスティバルホールで、大阪フィルハーモニー交響楽団の第584回定期演奏会を聴く。今日の指揮者は、大フィルへは6年ぶりの登場となるレナード・スラットキン。オール・ジョン・ウィリアムズ・プログラムである。

MLBが大好きで、WASPではなくユダヤ系でありながら「最もアメリカ的な指揮者」といわれるレナード・スラットキン。1944年生まれ。父親は指揮者でヴァイオリニストのフェリックス・スラットキン。ハリウッド・ボウル・オーケストラの指揮者であった。母親はチェロ奏者。

日本にも縁のある人で、NHK交響楽団が常任指揮者の制度を復活させる際に、最終候補三人のうちの一人となっている。ただ、結果的にはシャルル・デュトワが常任指揮者に選ばれた(最終候補の残る一人は、ガリー・ベルティーニで、彼は東京都交響楽団の音楽監督になっている)。スラットキンが選ばれていたら、N響も今とはかなり違うオーケストラになっていたはずである。

セントルイス交響楽団の音楽監督時代に、同交響楽団を全米オーケストラランキングの2位に持ち上げて注目を浴びる。ただ、この全米オーケストラランキングは毎年発表されるが、かなりいい加減。セントルイス交響楽団は実はニューヨーク・フィルハーモニックに次いで全米で2番目に長い歴史を誇るオーケストラではあるが、注目されたのはその時だけであり、裏に何かあったのかも知れない。ちなみにその時の1位はシカゴ交響楽団であった。セントルイス響時代はセントルイス・カージナルスのファンであったが、ワシントンD.C.のナショナル交響楽団の音楽監督に転身する際には、「カージナルスからボルチモア・オリオールズのファンに転じることが出来るのか?」などと報じられていた(当時、ワシントン・ナショナルズはまだ存在しない。MLBのチームが本拠地を置く最も近い街がD.C.の外港でもあるボルチモアであった)。ただワシントンD.C.や、ロンドンのBBC交響楽団の首席指揮者の時代は必ずしも成功とはいえず、デトロイト交響楽団のシェフに招かれてようやく勢いを取り戻している。デトロイトではデトロイト・タイガーズのファンだったのかどうかは分からないが、関西にもTIGERSがあるということで、大阪のザ・シンフォニーホールで行われたデトロイト交響楽団の来日演奏会では「六甲おろし」をアンコールで演奏している。2011年からはフランスのリヨン国立管弦楽団の音楽監督も務めた。現在は、デトロイト交響楽団の桂冠音楽監督、リヨン国立管弦楽団の名誉音楽監督、セントルイス交響楽団の桂冠指揮者の称号を得ている。また、スペイン領ではあるが、地理的にはアフリカのカナリア諸島にあるグラン・カナリア・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者も務めている。グラン・カナリア・フィルはCDも出していて、思いのほかハイレベルのオーケストラである。
録音は、TELARC、EMI、NAXOSなどに行っている。
X(旧Twitter)では、奇妙なLP・CDジャケットを取り上げる習慣がある。また不二家のネクターが好きで、今回もKAJIMOTOのXのポストにネクターと戯れている写真がアップされていた。
先日は秋山和慶の代役として東京都交響楽団の指揮台に立ち、大好評を博している。

ホワイエで行われる、大阪フィルハーモニー交響楽団事務局長の福山修氏によるプレトークサロンでの話によると、6年前にスラットキンが大フィルに客演した際、終演後の食事会で再度の客演の約束をし、ジョン・ウィリアムズのヴァイオリン協奏曲が良いとスラットキンが言って、丁度、「スター・ウォーズ」シリーズの最終章が公開される時期になるというので、オール・ジョン・ウィリアムズ・プログラムで、ヴァイオリン協奏曲と「スター・ウォーズ」組曲をやろうという話になったのだが、コロナで流れてしまい、「スター・ウォーズ」シリーズの公開も終わったというので、プログラムを変え、余り聴かれないジョン・ウィリアムズ作品を取り上げることにしたという。

今日のコンサートマスターは須山暢大。フォアシュピーラーはおそらくアシスタント・コンサートマスターの尾張拓登である。ドイツ式の現代配置での演奏。スラットキンは総譜を繰りながら指揮する。

 

曲目は、前半がコンサートのための作品で、弦楽のためのエッセイとテューバ協奏曲(テューバ独奏:川浪浩一)。後半が映画音楽で、「カウボーイ」序曲、ジョーズのテーマ(映画「JAWS」より)、本泥棒(映画「やさしい本泥棒」より)、スーパーマン・マーチ(映画「スーパーマン」より)、SAYURIのテーマ(映画「SAYURI」より)、ヘドウィグのテーマ(映画「ハリー・ポッターと賢者の石」より)、レイダース・マーチ(「インディ・ジョーンズ」シリーズより)。

日本のオーケストラ、特にドイツものをレパートリーの中心に据えるNHK交響楽団や大阪フィルハーモニー交響楽団は、アメリカものを比較的不得手としているが、今日の大フィルは弦に透明感と抜けの良さ、更に適度な輝きがあり、管も力強く、アメリカの音楽を上手く再現していたように思う。

 

今日はスラットキンのトーク付きのコンサートである。通訳は音楽プロデューサー、映画字幕翻訳家の武満真樹(武満徹の娘)が行う。

スラットキンは、「こんばんは」のみ日本語で言って、英語でのトーク。武満真樹が通訳を行う。

「ジョン・ウィリアムズの音楽は生まれた時から聴いていました。なぜなら私の両親がハリウッドの映画スタジオの音楽家だったからです。私は子どもの頃、映画スタジオでよく遊んでいて、ジョン・ウィリアムズの音楽を聴いていました」

 

スラットキンは、弦楽のためのエッセイのみノンタクトで指揮。弦楽のためのエッセイは、1965年に書かれたもので、バーバーやコープランドといったアメリカの他の作曲家からの影響が濃厚である。

テューバ協奏曲。テューバ独奏の川浪浩一は、大阪フィルハーモニー交響楽団のテューバ奏者。福岡県生まれ。大阪の相愛大学音楽学部に入学し、2006年に首席で卒業。在学中は相愛オーケストラなどでの活動を行った。2007年に大フィルに入団。第30回日本管打楽器コンクールで第2位になっている。
通常、協奏曲のソリストは指揮者の下手側で演奏するのが普通だが、楽器の特性上か、今回は指揮者の上手側に座って吹く。
テューバの独奏というと、余りイメージがわかないが、思っていた以上に伸びやかなものである。一方の弦楽器などはいかにもジョン・ウィリアムズしているのが面白い。
比較的短めの協奏曲であるが、テューバ協奏曲自体が珍しいものであるだけに、楽しんで聴くことが出来た。

 

「カウボーイ」序曲。いかにも西部劇の音楽と言った趣である。スラットキンは、「この映画を観たことがある人は少ないと思います。ただ音楽を聴けばどんな映画か分かる、絵が浮かんできます。ジョン・ウィリアムズはそうした曲が書ける作曲家です」

ジョーズのテーマであるが、スラットキンは「鮫の映画です。2つの音だけの最も有名な音楽です。最初にこの2つの音を奏でたのは私の母親です。彼女は首席チェロ奏者でした。ですので私の母親はジョーズです」(?)
誰もが知っている音楽。少ない音で不気味さや迫力を出す技術が巧みである。大フィルもこの曲にフィットした渋みと輝きを合わせ持った音色を出す。

本泥棒。反共産主義、反ユダヤ主義が吹き荒れる時代を舞台にした映画の音楽である。後に「シンドラーのリスト」も書いているジョン・ウィリアムズ。叙情的な部分が重なる。
「シンドラーのリスト」の音楽の作曲について、ジョン・ウィリアムズは難色を示したそうだ。脚本を読んだのだが、「この映画の音楽には僕より相応しい人がいるんじゃないか?」と思い、スピルバーグにそう言ったのだが、スピルバーグは、「そうだね」と認めるも「でも、相応しい作曲家はみんな死んじゃってるんだ。残ってる中では君が最適だよ」ということで作曲することになったそうである。

スラットキン「ジョン・ウィリアムズは、人間だけでなく、動物や景色などの音楽も書きました。そして勿論、スーパーマンも」
大フィルの輝かしい金管がプラスに働く。大フィルは全体的に音が重めなところがあるのだが、この曲でもそれも迫力に繋がった。

SAYURIのテーマ。「SAYURI」は、京都の芸者である(そもそも京都には芸者はいないが)SAYURIをヒロインとした映画。スピルバーグ作品である。SAYURIを演じたのは何故か中国のトップ女優であったチャン・ツィイー(章子怡)。日本人キャストも出ているが(渡辺謙や役所広司など豪華)セリフは英語という妙な映画でもある。日本の風習として変なものがあったり、京都の少なくとも格上とされる花街では絶対に起きないことが起こるなど、実際の花街界隈では不評だったようだ。映画では、ヨーヨー・マのチェロ独奏のある曲であったが、今回はコンサート用にアレンジした譜面での演奏である。プレトークサロンで事務局長の福山修さんが、「君が代」をモチーフにしたという話をされていたが、それよりも日本の民謡などを参考にしているようにも聞こえる。ただ、美しくはあるが、日本人が作曲した映画音楽に比べるとやはりかなり西洋的ではある。

ヘドウィグのテーマ。スラットキンは、「オーケストラ曲を書くときは時間は自由です。しかし映画音楽は違います。場面に合わせて秒単位で音楽を書く必要があります」と言った後で、「上の方に梟がいないかご注意下さい」と語る。
ジョン・ウィリアムズの楽曲の中でもコンサートで演奏される機会の多い音楽。主役ともいうべきチェレスタは白石准が奏でる。白石は他の曲でもピアノを演奏していた。
ミステリアスな雰囲気を上手く出した演奏である。
ちなみに、福山さんによると、ヘドウィグのテーマの弦楽パートはかなり難しいそうで、アメリカのメジャーオーケストラの弦楽パートのオーディションでは、ヘドウィグのテーマの演奏が課せられることが多いという。

レイダース・マーチ。大阪城西の丸庭園での星空コンサートがあった頃に大植英次がインディ・ジョーンズの格好をして指揮していた光景が思い起こされる。力強く、躍動感のある演奏。リズム感にも秀でている。今日は全般的にアンサンブルは好調であった。

 

スラットキンは、「ありがとう」と日本語で言い、「もう1曲聴きたくありませんか?」と聞く。「でもどの曲がいいでしょう? 選ぶのは難しいです。『E.T.』にしましょうか? それとも『ホームアローン』が良いですか? 『ティーラーリラリー、未知との遭遇』もあります。ではこの曲にしましょう。皆さんが予想している曲とは違うかも知れません。私がこの曲を上手く指揮出来るかわかりませんが」
アンコール演奏は、「スター・ウォーズ」より「インペリアル・マーチ」(ダース・ベイダーのテーマ)である。スラットキンは指揮台に上がらずに演奏を開始させる。その後もほとんど指揮せずに指揮台の周りを反時計回りに移動。そして譜面台に忍ばせていた小型のライトセーバーを取り出し、指揮台に上がってやや大袈裟に指揮した。その後、ライトセーバーは最前列にいた子どもにプレゼント。エンターテイナーである。演奏も力強く、厳めしさも十全に表現されていた。

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2025年1月 7日 (火)

コンサートの記(878) 横山奏指揮 京都市交響楽団 オーケストラ・ディスカバリー2024 「マエストロとディスカバリー」第3回「シネマ・クラシックス」

2024年12月1日 左京区岡崎のロームシアター京都メインホールにて

午後2時から、左京区岡崎のロームシアター京都メインホールで、京都市交響楽団 オーケストラ・ディスカバリー2024 「マエストロとディスカバリー」第3回「シネマ・クラシックス」を聴く。今日の指揮者は、若手の横山奏(よこやま・かなで。男性)。

京都市交響楽団 オーケストラ・ディスカバリー2024は、9月1日に行われる予定だった第2回が台風接近のため中止となったが、メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」の語り手を務める予定だったウエンツ瑛士が、そのまま第3回のナビゲーターにスライド登板することになった。

「シネマ・クラシックス」というタイトルからも分かる通り、シネマ(映画)で使われているクラシック音楽や映画音楽がプログラムに並ぶ。
具体的な曲目は、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはこう語った(かく語りき)」から冒頭、ヨハン・シュトラウスⅡ世のワルツ「美しく青きドナウ」、ブラームスのハンガリー舞曲第5番(シュメリング編曲)、マーラーの交響曲第5番より第4楽章アダージェット、デュカスの交響詩「魔法使いの弟子」、ニューマンの「20世紀フォックス」ファンファーレ、ジョン・ウィリアムズの「スター・ウォーズ」からメイン・タイトル、久石譲のジブリ名曲メドレー(直江香世子編。Cinema Nostalgia~ハトと少年~海の見える街~人生のメリーゴーランド~あの夏へ~風の通り道~もののけ姫)、ハーラインの「ピノキオ」から星に願いを(岩本渡編)、フレディ・マーキュリーの「ボヘミアン・ラプソディ」より同名曲(三浦秀秋編)、バデルトの「パイレーツ・オブ・カリビアン」(リケッツ編)

 

横山奏は、1984年、札幌生まれ。クラシック音楽業界には男女共用の名前の人が比較的多いが、彼もその一人である。ピアニストの岡田奏(おかだ・かな)のように読み方は異なるが同じ漢字の女性演奏家もいる。
高校生の時に吹奏楽部で打楽器を担当したのが、横山が音楽の道に入るきっかけになったようだ。北海道教育学部札幌校で声楽を学ぶ。北海道教育大学には現在は岩見沢校にほぼ音楽専攻に相当するゼロ免コースがあるが、地元の札幌校の音楽教師になるための学科を選んだようだ。在学中に指揮者になる決意をし、桐朋学園大学指揮科で学んだ後、東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程を修了。ダグラス・ボストックや尾高忠明に師事した。
2018年に、第18回東京国際指揮者コンクールで第2位入賞及び聴衆賞受賞。2015年から2017年までは東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の指揮研究員を務めている。
趣味は登山で、NHK-FM「石丸謙二郎の山カフェ」のシーズンゲストでもある。
今年の6月には急病で降板したシャルル・デュトワに代わって大阪フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会でストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」全曲などを指揮して好評を得ている。直前にデュトワから直接「火の鳥」のレクチャーを受けていたことが代役に指名される決定打になったようだ。

 

今日のコンサートマスターは泉原隆志。フォアシュピーラーに尾﨑平。ヴィオラの客演指揮者には田原綾子が入る。ハープはマーラーの交響曲第5番より第4楽章アダージェットまでは舞台上手寄りに置かれていたが、演奏終了後にステージマネージャーの日高さんがハープを舞台下手側へと移動させた。

 

リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはこう語った」冒頭と、ヨハン・シュトラウスⅡ世のワルツ「美しく青きドナウ」はいずれも「2001年宇宙の旅」で使われた曲である。特に「ツァラトゥストラはこう語った」は映画によって誰もが知る音楽になっている。
「ツァラトゥストラはこう語った」と「美しく青きドナウ」は続けて演奏される。
「ツァラトゥストラはこう語った」はオルガンなしでの演奏。京響の輝かしい金管の響きが効果的である。ロームシアター京都メインホールも年月が経つに連れて響くようになってきているようだ。
「美しく青きドナウ」も端麗で優雅な音楽として奏でられる。

「美しく青きドナウ」演奏後にナビゲーターのウエンツ瑛士が登場。これまでオーケストラ・ディスカバリーのナビゲーターは吉本の芸人が務めていたが、ウエンツ瑛士は俳優だけあって、吉本芸人とは話の流麗さが違う。吉本芸人も生き残るのは100人に1人程度なので凄い人ばかりなのであるが。またウエンツ瑛士は吉本芸人とは異なり、台本を手にしていない。ミスもあったが全て暗記して臨んでいるようだ。俳優はやはり凄い。

ウエンツ瑛士は、「マエストロとディスカバリー」というテーマだが、「マエストロとは何か?」とまず聞く。会場にいる「マエストロ」の意味が分かる子どもに意味を聞いてみることにする。指名された男の子は、「指揮者やコンサートマスターのこと」と答えて、横山の「その通り」と言われる。
横山「先生とか権威ある人とか言う意味がある。コンサートマスターもマエストロと呼ばれることがあります」とコンサートマスターの泉原の方を見る。
ウエンツ「ご自分で『権威ある人』と仰いましたね。大丈夫なんですか?」
横山「自認しております」

 

ブラームスのハンガリー舞曲第5番。ハンガリー舞曲の管弦楽曲版は今では第1番(ブラームス自身の管弦楽版編曲あり)や第6番も演奏されるが、昔はハンガリー舞曲と言えば第5番であった。
ウエンツ瑛士は、この曲が、チャップリンの「独裁者」で使われているという話をする。
ロマの音楽であるため、どれだけテンポを揺らすかが個性となるが、横山は大袈裟ではないが結構、アゴーギクを多用する。ゆったり初めて急速にテンポを上げ、中間部では速度を大きく落とす。
躍動感溢れる演奏となった。
子どもの頃、ハンガリー舞曲第5番といえば、斎藤晴彦のKDD(現・KDDI)の「国際電話は」の替え歌だったのだが、今の若い人は当然知らないだろうな。

 

マーラーの交響曲第5番より第4楽章アダージェット。トーマス・マン原作、ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画「ベニスに死す」でテーマ曲的に使われ、マーラー人気向上に大いに貢献している。それまでマーラーといえば「グロテスクな音楽を書く人」というイメージだったのだが、アダージェットによって「こんな甘美なメロディーを書く人だったのか」と見直されるようになった。
ウエンツ瑛士が、「この曲は、『愛の楽章』と呼ばれているそうですが」と聞く。横山は、「マーラーが当時愛していて、後に奥さんになるアルマへの愛を綴った」と説明した。
実は当初は交響曲第5番にはアダージェットは入る予定ではなかったのだが、マーラーがアルマに恋をして書いた音楽を入れることにしたという説がある。第4楽章は第5楽章とも密接に繋がっているので、第5楽章も当初の構想から大きく変更されたと思われる。
ウエンツは、「アダージェット」の意味についても横山に尋ねる。横山は、「『アダージョ』は『ゆったりとした』といういう意味で、『アダージェット』はそれより弱く『少しゆったりとした』という意味」と説明していた。
弦楽のための楽章なので、木管奏者が退場した中での演奏。金管奏者は残って聴いている。
中庸のテンポでの演奏で、ユダヤ的な濃さはないが、しなやかな音楽性が生きており、京響のストリングスの音色も適度な透明感があって美しい。
横山はどちらかというと、あっさりとした音楽を奏でる傾向があるようだ。

 

デュカスの交響詩「魔法使いの弟子」。ディズニー映画「ファンタジア」でミッキーマウスが魔法使いの弟子を演じる場面があることで知られている。横山は、「三角帽子のミッキーマウスが」と話し、元々はゲーテが書いた物語ということも伝えていた。
実は、「ファンタジア」における「魔法使いの弟子」は、著作権において問題になっている作品でもある。ディズニーはミッキーマウスを著作権保護の対象にしたいため、保護期間を延ばしている。そのため著作権法案はミッキーマウス法案と揶揄されている。この映画での演奏は、フィラデルフィア管弦楽団が担当しているのだが、フィラデルフィア管弦楽団が「ファンタジア」の「魔法使いの弟子」の映像ををSNSにアップしたところ、ディズニー側の要請で動画が削除されるという出来事があった。演奏している当事者のアップが認められなかったのである。

横山の演奏はやはり中庸。描写力も高く、水が溢れるシーンなども適切なスケールで描かれる。

 

後半は劇伴の演奏である。日本では劇伴音楽が低く評価されている。映画音楽もそれほど好んで聴かれないし、映画音楽を聴く人は映画音楽ばかりを聴く傾向にある。アメリカでは映画音楽は人気で、定期演奏会に映画音楽の回があったりするのだが、日本では映画音楽の演奏会を入れても集客はそれほど見込めないだろう。
大河ドラマのメインテーマなども、NHKが1年の顔になる音楽ということで威信を賭けて、当代一流とされる作曲家にしか頼まず、指揮者も「良い」と認めた指揮者にしか任せないのだが、例えばシャルル・デュトワが「葵・徳川三代」のメインテーマをNHK交響楽団と小山実稚恵のピアノで録音することが決まった時、まだ楽曲が出来てもいないのに「そんなつまらない仕事断ればいいのに」という書き込みがあった。どうも伝統的なクラシック音楽しか認めないようだが、予知能力がある訳でもないだろうに、聴いてもいない音楽の価値を決めて良いという考えは奢りに思えてならない。

 

ニューマンの「20世紀フォックス」ファンファーレ。演奏時間1分の曲なので、続けてジョン・ウィリアムズの「スター・ウォーズ」からメイン・タイトルが演奏される。
「20世紀フォックス」ファンファーレは、短いながらも「これから映画が始まる」というワクワク感を上手く音楽化した作品と言える。この曲も京響のブラスの輝かしさが生きていた。

ジョン・ウィリアムズの「スター・ウォーズ」からメイン・タイトルは、映画音楽の代名詞的存在である。指揮者としてボストン・ポップス・オーケストラ(ボストン交響楽団の楽団員から首席奏者を除いたメンバーによって構成され、セミ・クラシックや映画音楽の演奏などを行う)の常任指揮者としても長く活躍していたジョン・ウィリアムズは、近年、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団やウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮台に立て続けに招かれている。「ジョン・ウィリアムズの音楽はクラシックではない」と見る人も当然いるが、「クラシックとは何か」を考えた場合、これだけ世界中で演奏されている音楽をクラシックではないとする方が無理があるだろう。
横山指揮による京響は、輝きに満ちた演奏を展開する。力強さもあり、イメージ喚起力も豊かだ。

演奏終了後、ウエンツ瑛士は、「『スター・ウォーズ』が観たくなりましたね。今夜は帰って『スター・ウォーズ』を観ましょう」と述べていた。

 

久石譲のジブリ名作メロディー。ジブリ作品においては愛らしいメロディーを紡ぐ久石譲。北野武作品の映画音楽はもう少し硬派だが、大人から子どもまで楽しめるジブリメロディーは、やはり多くの人の心に訴えかけるものがある。坂本龍一が亡くなり、今は世界的に通用する日本人の映画音楽作曲家は久石譲だけになってしまった。久石譲は指揮活動にも力を入れているので、自作自演を聴く機会が多いのも良い。自作自演には他の演奏家には出せない味わいがある。
今回は久石譲の自作自演ではないが、京響の器用さを横山が上手くいかした演奏となる。私が京都に来た頃は、京響はどちらかというと不器用なオーケストラで、チャーミングな音楽を上手く運ぶことは苦手だったのだが、急激な成長により、どのようなレパートリーにも対応可能なオーケストラへと変貌を遂げている。
久石譲の映画音楽は世界中で演奏されており、YouTubeなどで確認することが出来るが、本来の意味でのノスタルジックな味わいは、あるいは日本のオーケストラにしか出せないものかも知れない。
なお、ピアノは白石准が担当した。

 

ハーラインの「ピノキオ」から、星に願いを。岩本渡のスケール豊かな編曲による演奏される。スタンダードな曲だけに、多くの人の心に訴えかける佳曲である。

 

フレディ・マーキュリーの「ボヘミアン・ラプソディ」。同名映画のタイトルにもなっている。映画「ボヘミアン・ラプソディ」は、クィーンのボーカルであったフレディ・マーキュリーの生涯を描いたもので、ライブエイドステージでの「ボヘミアン・ラプソディ」の歌唱がクライマックスとなっている。
「ボヘミアン・ラプソディ」。全英歴代の名曲アンケートでは、ビートルズ作品などを抑えて1位に輝いている。ただこの曲は本番では歌えない曲としても知られている。フレディ・マーキュリーがピアノで弾き語りをする冒頭部分は歌えるのだが、そこから先は多重録音などを駆使したものであり、ライブエイドステージでも、ピアノ弾き語りの部分で演奏を終えている。「本番では歌えない」ということで、ミュージックビデオが作られ、テレビで全編が流されたのだが、これが「格好いい」ということでヒットに繋がっている。
横山は、ラプソディについて、「日本語で簡単に言うと狂詩曲」と言うもウエンツに、「うーん、簡単じゃない」と言われる。横山は、「伝統的、民謡的な音楽などを自由に使った音楽」と定義した。
横山は「ボヘミアン・ラプソディ」が大好きだそうだ。80名での演奏で、ウエンツは、「クィーンで80人は多いんじゃないですか」と言うが、演奏を終えると、「クィーン、80人要りますね」と話していた。
ピアノは引き続き白石准が担当。メランコリックな冒頭のメロディーはオーボエが担当する。スイング感もよく出ており、第3部のロックテイストの表現も上手かった。

 

ラストは、バデルトの「パイレーツ・オブ・カリビアン」。ウエンツは「映画よりも音楽の方を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか」と述べる。
スケールも大きく、推進力にも富んだ好演となった。

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2024年12月13日 (金)

これまでに観た映画より(358) 「BACK TO BLACK エイミーのすべて」

2024年11月27日 京都シネマにて

京都シネマで、イギリス・フランス・アメリカ合作映画「BACK TO BLACK エイミーのすべて」を観る。27クラブのメンバーとなってしまったイギリスのシンガーソングライター、エイミー・ワインハウスの人生を描いた作品である。監督:サム・テイラー=ジョンソン。脚本:マット・グリーンハルシュ、出演:マリア・アベラ、ジャック・オコンネル、エディ・マーサン、ジュリエット・コーワン、サム・ブキャナン、レスリー・マンヴィルほか。

27クラブの説明から行いたい。英語圏では27歳で早逝するミュージシャンが多く、この不吉な年齢で亡くなった場合、「27クラブに入った」と見なされる。27歳は若いので、自然死や病死の人は少なく、オーバードーズや自殺など、世間から見て「良くない」とされる死に方をしている人が大半である。エイミー・ワインハウスも急性アルコール中毒で、一応、病気の範疇には入るが、つまりは酒の飲み過ぎで、自ら死を招いている。
27クラブの主なメンバーには、ジミ・ヘンドリックス(変死)、ジャニス・ジョプリン(オーバードーズ)、ジム・モリソン(心臓発作であるがオーバードーズの可能性が高い)、カート・コバーン(自殺)がいる。

「私の歌を聴くことで現実を5分だけでも忘れることが出来たら」との思いで歌い続けるエイミー・ワインハウス(マリア・アベラ)。音楽好きの一家の生まれ、に見えるのだが、すでに両親は別居していることが分かる。演劇学校に合格し、入学当初は「ジュディ・ガーランドの再来」などと期待されるも素行不良で退学に。煙草と酒が好きでドラッグにも手を出すなど、かなりだらしない人という印象も受ける。特にアルコールには目がなかったようで、酒を飲みながらライブを行うシーンがある。
この映画では描かれていないが、エイミーは、酩酊したまま舞台に上がり、ほとんどまともに歌えないまま本番を終えて、「史上最悪のコンサート」とこき下ろされたライブを行っている。これを「笑っていいとも」でタモリが紹介しており、「エイミー・ワインハウスという名前で、ワインが入っているから」と笑い話にしていたが、結果的にこの「史上最悪のコンサート」がエイミーのラストライブとなったようである。

若い頃にジャズシンガーをしていて、音楽に理解のあった祖母のシンシア(レスリー・マンヴィル)と仲が良かったエイミーだが、この祖母にすでに癌に侵されていることを告げられ、彼女が他界するといよいよ歯止めが利かなくなっていったようである。

歌手としてデビュー後に出会ったブレイク(ジャック・オコンネル)と恋仲になり、胸にブレイクの名のタトゥーを入れるエイミー。しかし、その後、ブレイクとは別れることになる。祖母のシンシアが他界した時も、エイミーは腕にシンシアのタトゥーを入れている。
ブレイクとの別れを歌った曲が、映画のタイトルにもなっている「BACK TO BLACK」である。この曲での成功により、エイミーとブレイクはよりを戻す。コンサートで、結婚したことを発表するエミリー。しかし、どうにも駄目なところのある二人は上手くいかず、ブレイクは暴行罪で逮捕。スターとなっていたエイミーはパパラッチに追い回されることになる。更にブレイクからは、「共依存の状態にあるのは良くない」と別れを切り出される。

ダイアナ妃が事故死した際も問題になったが、英国のパパラッチは相当に悪質でエイミーを精神的に追い詰めていく。そしてエイミーもそれほど強い女性には見えない。何かにつけ、依存する傾向がある。エイミーはリハビリのための施設に入ることを選択する。

そんな中でグラミー賞において6部門においてノミネートされ、5部門で受賞するという快挙を達成。しかしそれが最高にして最後の輝きとなった。

以後もリハビリを続けたエイミーだが、映画では描かれなかった「史上最悪のコンサート」などを経て、同じ年にロンドンの自宅で遺体となって発見される。享年27。27クラブへの仲間入りだった。生前、エイミーは27クラブに入ることを恐れていたと言われている。自堕落な生活に不安もあったのだろう。
才能がありながらいい加減な生活を送って身を滅ぼした愚かな女で済ませることも出来なくはない。だが彼女の人生には人間が本来抱えている弱さと、周囲の容赦のなさが反映されているように思える。あそこまでされると生きる気力をなくす人も多いだろう。親族と親密な関係を築けたのがせめてもの幸いだろうか。

ライブシーンなども多く、マリサ・アベラ本人によると思われる歌唱も臨場感があって、イギリスの一時代を彩った歌姫の世界を間接的にではあるが味わうことが出来る。
エイミーの姿が悲惨なので、好まない人もいるかも知れないが、音楽映画として優れているように思う。

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2024年7月22日 (月)

これまでに観た映画より(341) 「関心領域 THE ZONE OF INTEREST」

2024年5月27日 京都シネマにて

京都シネマで、アメリカ・イギリス・ポーランド合作映画「関心領域 THE ZONE OF INTEREST」を観る。監督・脚本:ジョナサン・グレイザー。出演:クリスティアン・フリーデル、ザンドラ・ヒュラーほか。音楽:ミカ・レヴィ。原作:マーティン・エイミス。音響:ジョニー・バーン&ターン・ウィラーズ。ドイツ語作品である。
第76回カンヌ国際映画祭グランプリ、英国アカデミー賞非英語作品賞、ロサンゼルス映画評論家協会賞作品賞・監督賞・主演賞・音響賞、トロント映画批評家協会賞作品賞・監督賞、米アカデミー賞国際長編映画賞(元・外国語映画賞)・音響賞などを受賞している。

ドイツ占領下のポーランド領アウシュヴィッツにあった強制収容所の隣に住んでいたナチス親衛隊中尉一家、ヘス家の日常を描いた作品である。アウシュヴィッツ強制収容所の直接的な描写は一切ないが、遠くからなんとも言えない声や音がヘス家の中まで響いてきて、目に見えない惨劇を連想させる。音響のための映画とも言えるだろう。
アウシュヴィッツ強制収容所との対比を出すために、意図的に何気ない日常が中心に描かれており、隣で何が起こっているのかについては、登場人物の多くが関心を持たない。ドラマとしては面白いものとは言えないだろうが(実際、いびきが響いていた)、それが狙いであると思われる。実際にアウシュヴィッツで撮られた映像は理想郷をカメラに収めたかのように美しい。

主人公のルドルフ・ヘス(クリスティアン・フリーデル)は、アウシュヴィッツ強制収容所の隣に住み、収容所の所長をしているが、近く異動になる予定である。出世であるが、単身赴任する必要があり、妻子がアウシュヴィッツの家で暮らすことが出来るよう取り計らってくれるように頼んでいる。ヒムラー、アイヒマン、ヒトラーなどのナチスを代表する人物達の名前が登場するが、彼らが画面に登場することはない。なお、ルドルフ・ヘスは実在の人物で、アウシュヴィッツ強制収容所の所長をしていた頃の告白遺録『アウシュヴィッツ収容所』を遺しており貴重な史料となっているようである。

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2024年7月20日 (土)

これまでに観た映画より(340) ドキュメンタリー映画「ビヨンド・ユートピア 脱北」

2024年1月31日 京都シネマにて

京都シネマで、ドキュメンタリー映画「ビヨンド・ユートピア 脱北」を観る。アメリカの作品。金王朝が続く北朝鮮。洗脳教育が行われ、民は貧しく餓死者が出る始末。飲み水にも事欠くという状況であり、脱北を試みる人が後を絶たないが、金正恩は脱北は犯罪行為と断言したため、連れ戻されて悲惨な目に遭う人も多い。最悪、死刑もあり得るようだ。

今回のドキュメンタリーでは、北朝鮮から鴨緑江を越え、中国へと入った一家5人が、中国大陸を通過し、ベトナムとラオスを経てタイに亡命するまでを追っている。ソウルに住む牧師が計画を立ててリードを行い、ブローカーが何人も間に入るが、ブローカーは人助けがしたいわけではなく、金目当てだという。

中国国内も安全というわけではないが、そこから先は更に危険。ベトナムでは3つの道なき山を上る必要があり、予想以上に時間が掛かってしまう。ラオスも共産圏だけあって中国との結びつきが強く、途中、危険な目に遭うことはなかったが、用心する必要はある。

最後はラオスとタイの間を流れるメコン川。船は小さく、川に落ちたら渦巻く底流によりまず助からないという。そうした危機の数々を乗り越えて、ようやくソウルに至った家族。それでもまだ金正恩に対する洗脳が解けていないのが印象的であり、北朝鮮がいかに異様な国家であるかをうかがい知ることが出来る。

北朝鮮の家庭では、金日成、金正日、金正恩の肖像を一家で一番良いところに掛けねばならず、時折、当局から抜き打ちの検査があり肖像に埃が付いていたりすると大変なことになるようだ。また北朝鮮の威容を世界に示すマスゲームも幼い頃から放課後に有無を言わさず練習させられるようで、実情を知る人は哀れで見ていられないという。

この異様な国家がどこへ向かうのか。我々は見届ける必要があるように思う。

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2024年6月 3日 (月)

これまでに観た映画より(336) 「ジョン・レノン 失われた週末」

2024年5月15日 京都シネマにて

京都シネマで、ドキュメンタリー映画「ジョン・レノン 失われた週末」を観る。
1969年に結婚し、1980年にジョンが射殺されるまでパートナーであったジョン・レノンとオノ・ヨーコだが、1973年の秋からの18ヶ月間、別居していた時代があった。不仲が原因とされ、ジョンはニューヨークにオノ・ヨーコを置いてロサンゼルスに移っている。この間、ジョンのパートナーとなったのが、ジョンとヨーコの個人秘書だったメイ・パンであった。
中国からの移民である両親の下、ニューヨークのスパニッシュ・ハーレム地区に生まれ育ったメイ・パンは、カトリック系の学校に学び、卒業後は大学への進学を嫌ってコミュニティ・カレッジに通いながら、大ファンだったビートルズのアップル・レコード系の会社に事務員として潜り込む。面接では、「タイピングは出来るか」「書類整理は出来るか」「電話対応は出来るか」との質問に全て「はい」と答えたものの実は真っ赤な嘘で、いずれの経験もなく、まさに潜り込んだのである。プロダクション・アシスタントとして映画の制作にも携わったメイ。ジョン・レノンの名曲「イマジン」のMVの衣装担当もしている。また「Happy Xmas(War is Over)」にコーラスの一人として参加。ジャケットに写真が写っている。

ジョンの最初の妻、シンシアとの間に生まれたジュリアン・レノン。ヨーコは、ジュリアンからの電話をジョンになかなか繋ごうとしなかったが、メイはジョンとジュリアン、シンシアとの対面に協力している。ジョンが「失われた週末」と呼んだ18ヶ月の間に、ジョンはエルトン・ジョンと親しくなって一緒に音楽を制作し、不仲となっていたポール・マッカートニーと妻のリンダとも再会してセッションを行い、ジョン・レノンとしてはアメリカで初めてヒットチャート1位となった「真夜中を突っ走れ」などを制作するなど、音楽的に充実した日々を送る。デヴィッド・ボウイやミック・ジャガーなどとも知り合ったジョンであるが、メイは後にデヴィッド・ボウイのプロデューサーであったトニー・ヴィスコンティと結婚して二児を設けている(後に離婚)。

テレビ番組に出演した際にジョンが、「ビートルズの再結成はある?」と聞かれて、「どうかな?」と答える場面があるが、その直後にビートルズは法的に解散することになり、その手続きの様子も映っている。

現在(2022年時点)のメイ・パンも出演しており、若い頃のメイ・パンへのインタビュー映像も登場するなど、全体的にメイ・パンによるジョン・レノン像が語られており、中立性を保てているかというと疑問ではある。メイにジョンと付き合うことを勧めたのはオノ・ヨーコだそうで、性的に不安定であったジョンを見て、「あなたが付き合いなさい」とヨーコが勧めたそうである。ジョンの音楽活動自体は「失われた週末」の時期も活発であり、ヨーコの見込みは当たったことになるが、ジョンも結局はメイではなくヨーコを選んで戻っていくことになる。
ジョンがヨーコの下に戻ってからも付き合いを続けていたメイであるが、1980年12月8日、ジョンは住んでいた高級マンション、ダコタハウスの前で射殺され、2人の関係は完全に終わることになる。

メイ・パンは、ジュリアン・レノンとは親しくし続けており、映画終盤でもインタビューを受けるジュリアンに抱きつき、歩道を肩を組みながら歩いている。
ちなみにメイ・パンが2008年に上梓した『ジョン・レノン 失われた週末』が今年、復刊されており、より注目を浴びそうである。

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2024年4月 5日 (金)

これまでに観た映画より(328) 「ラストエンペラー」4Kレストア

2024年3月28日 アップリンク京都にて

イタリア、中国、イギリス、フランス、アメリカ合作映画「ラストエンペラー」を観る。4Kレストアでの上映である。監督はイタリアの巨匠、ベルナルド・ベルトルッチ。中国・清朝最後の皇帝である愛新覚羅溥儀(宣統帝)の生涯を描いた作品である。プロデューサーは「戦場のメリークリスマス」のジェレミー・トーマス。出演:ジョン・ローン、ジョアン・チェン、ピーター・オトゥール、英若誠、ヴィクター・ウォン、ヴィヴィアン・ウー、マギー・ハン、イェード・ゴー、ファン・グァン、高松英郎、立花ハジメ、ウー・タオ、池田史比古、生田朗、坂本龍一ほか。音楽:坂本龍一、デヴィッド・バーン、コン・スー(蘇聡、スー・ツォン)。音楽担当の3人はアカデミー賞で作曲賞を受賞。坂本龍一は日本人として初のアカデミー作曲賞受賞者となった。作曲賞以外にも、作品賞、監督賞、撮影賞、脚色賞、編集賞、録音賞、衣装デザイン賞、美術賞も含めたアカデミー賞9冠に輝く歴史的名作である。

清朝最後の皇帝である愛新覚羅溥儀(成人後の溥儀をジョン・ローンが演じている)。弟の愛新覚羅溥傑は華族の嵯峨浩と結婚(政略結婚である)して千葉市の稲毛に住むなど、日本にゆかりのある人で、溥儀も日本の味噌汁を好んだという。幼くして即位した溥儀であるが、辛亥革命によって清朝が倒れ、皇帝の身分を失い、その上で紫禁城から出られない生活を送る。北京市内では北京大学の学生が、大隈重信内閣の「対華21カ条の要求」に反対し、デモを行う。そんな喧噪の巷を知りたがる溥儀であるが、門扉は固く閉ざされ紫禁城から出ることは許されない。

スコットランド出身のレジナルド・フレミング・ジョンストン(ピーター・オトゥール)が家庭教師として赴任。溥儀の視力が悪いことに気づいたジョンストンは、医師に診察させ、溥儀は眼鏡を掛けることになる。ジョンストンは溥儀に自転車を与え、溥儀はこれを愛用するようになった。ジョンストンはイギリスに帰った後、ロンドン大学の教授となり、『紫禁城の黄昏』を著す。『紫禁城の黄昏』は岩波文庫から抜粋版が出ていて私も読んでいる。完全版も発売されたことがあるが、こちらは未読である。

その後、北京政変によって紫禁城を追われた溥儀とその家族は日本公使館に駆け込み、港町・天津の日本租界で暮らすようになる。日本は満州への侵略を進めており、やがて「五族協和」「王道楽土」をスローガンとする満州国が成立。首都は新京(長春)に置かれる。満州族出身の溥儀は執政、後に皇帝として即位することになる。だが満州国は日本の傀儡国家であり、皇帝には何の権力もなかった。

満州国を影で操っていたのが、大杉栄と伊藤野枝を扼殺した甘粕事件で知られる甘粕正彦(坂本龍一が演じている。史実とは異なり右手のない隻腕の人物として登場する)で、当時は満映こと満州映画協会の理事長であった。この映画でも甘粕が撮影を行う場面があるが、どちらかというと映画人としてよりも政治家として描かれている印象を受ける。野望に満ち、ダーティーなインテリ風のキャラが坂本に合っているが、元々坂本龍一は俳優としてのオファーを受けて「ラストエンペラー」に参加しており、音楽を頼まれるかどうかは撮影が終わるまで分からなかったようである。ベルトルッチから作曲を頼まれた時には時間が余りなく、中国音楽の知識もなかったため、中国音楽のCDセットなどを買って勉強し、寝る間もなく作曲作業に追われたという。なお、民族楽器の音楽の作曲を担当したコン・スーであるが、彼は専ら西洋のクラシック音楽を学んだ作曲家で、中国の古典音楽の知識は全くなかったそうである。ベルトルッチ監督の見込み違いだったのだが、ベルトルッチ監督の命で必死に学んで民族音楽風の曲を書き上げている。
オープニングテーマなど明るめの音楽を手掛けているのがデヴィッド・バーンである。影がなくリズミカルなのが特徴である。

ロードショー時に日本ではカットされていた部分も今回は上映されている。日本がアヘンの栽培を促進したというもので、衝撃が大きいとしてカットされていたものである。

後に坂本龍一と、「シェルタリング・スカイ」、「リトル・ブッダ」の3部作を制作することになるベルトルッチ。坂本によるとベルトルッチは、自身が音楽監督だと思っているような人だそうで、何度もダメ出しがあり、特に「リトル・ブッダ」ではダメを出すごとに音楽がカンツォーネっぽくなっていったそうで、元々「リトル・ブッダ」のために書いてボツになった音楽を「スウィート・リベンジ」としてリリースしていたりするのだが、「ラストエンペラー」ではそれほど音楽には口出ししていないようである。父親が詩人だというベルトルッチ。この「ラストエンペラー」でも詩情に満ちた映像美と、人海戦術を巧みに使った演出でスケールの大きな作品に仕上げている。溥儀が大勢の人に追いかけられる場面が何度も出てくるのだが、これは彼が背負った運命の大きさを表しているのだと思われる。


坂本龍一の音楽であるが、哀切でシリアスなものが多い。テレビ用宣伝映像でも用いられた「オープン・ザ・ドア」には威厳と迫力があり、哀感に満ちた「アーモのテーマ」は何度も繰り返し登場して、特に別れのシーンを彩る。坂本の自信作である「Rain(I Want to Divorce)」は、寄せては返す波のような疾走感と痛切さを伴い、坂本の代表曲と呼ぶに相応しい出来となっている。
即位を祝うパーティーの席で奏でられる「満州国ワルツ」はオリジナル・サウンドトラック盤には入っていないが、大友直人指揮東京交響楽団による第1回の「Playing the Orchestra」で演奏されており、ライブ録音が行われてCDで発売されていた(現在も入手可能かどうかは不明)。
小澤征爾やヘルベルト・フォン・カラヤンから絶賛されていた姜建華の二胡をソロに迎えたオリエンタルなメインテーマは、壮大で奥深く、華麗且つ悲哀を湛えたドラマティックな楽曲であり、映画音楽史上に残る傑作である。

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2022年12月28日 (水)

これまでに観た映画より(318) 第44回ぴあフィルムフェスティバル in 京都 ブラック&ブラック「ザ・ビッグ・ビート:ファッツ・ドミノとロックンロールの誕生」 ピーター・バラカンのアフタートーク付き

2022年11月25日 京都文化博物館フィルムシアターにて

午後6時から、京都文化博物館フィルムシアターで、第44回ぴあフィルムフェスティバル in 京都、ブラック&ブラック 日本未公開/関西初上映の音楽映画「ザ・ビッグ・ビート:ファッツ・ドミノとロックンロールの誕生」をピーター・バラカンのアフタートーク付きで観る。

共にルイジアナ州ニューオーリンズ近郊に生まれたファッツ・ドミノとデイヴ・バーソロミューを中心に、黒人音楽がリズム&ブルールへ、そしてロックンロールへと昇華する過程を様々なミュージシャンや伝記作家などへのインタビューと往年の演奏姿によって綴る音楽映画である。
ジャズ発祥の地としても名高いニューオーリンスが生んだ二人の天才音楽家が生み出した音楽が、エルヴィス・プレスリーやビートルズなどの白人ミュージシャンに影響を与え、ロックンロールという名を与えられていく。
ちなみに、リズム&ブルースは1949年に生まれたとされる言葉で、それまでは黒人の音楽を指す専門用語はほとんど存在しなかったようである。ただ、リズム&ブルースは、黒人音楽のイメージが余りに強いため、ロックンロールという新語が生まれたようだ。ともあり、ファッツ・ドミノが生み出し、デイヴ・バーソロミューが演奏とプロデュースを手掛けた音楽は全米で大ヒット。新たな音楽の潮流を生むことになった。
ブラスの分厚いニューオーリンズサウンドがとにかく華やかで、音楽性の豊かさに魅せられる。

ピーター・バラカンのアフタートークは、ニューオーリンズの紹介を中心としたもので(持ち時間が限られていたためにそこから先に行けなかったということもある)、フレンチクオーターと呼ばれる地域があり、フランス統治時代の面影が残っている(ルイジアナ州のルイジアナとはルイ○世のルイ由来の地名であり、オーリンズとはフランスのオルレアン地方が由来である)。フレンチクオーターの北の方にコンゴスクエアという場所があるが、ここで黒人奴隷達が週に1回音楽を奏でることが許されたそうで、ここが黒人音楽の発祥の地ということになるようである。音楽をすることを許されたのは、ピーター・バラカンによると統治していたフランスがカトリックの国であったことが大きいという。その他の地域、イギリスの統治下にあったところは、黒人が音楽を奏でることは許されなかったそうである。

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2022年9月15日 (木)

これまでに観た映画より(311) 「トップガン マーヴェリック」

2022年9月12日 MOVIX京都にて

MOVIX京都で、「トップガン マーヴェリック」を観る。大ヒットしたトム・クルーズ主演作の36年ぶりの続編である。前作をリアルタイムで観た人も(私は残念ながら前作はロードショーでは観ていない)、前作を知らない人でも楽しめるエンターテインメント大作となっている。こうした娯楽大作の場合は、解説や解釈を書いても(そもそも解釈の入る余地はほとんどない)余り意味はないと思われるが(あるとすれば、「スター・ウォーズ」の意図的な模倣――おそらくリスペクト――ぐらいだろうか)、取り敢えず紹介記事だけは書いておきたい。

監督:ジョセフ・コシンスキー、脚本:アレン・クルーガーほか。製作にトム・クルーズが名を連ねている。実は、今月16日からは、前作「トップガン」の公開も始まるそうで、前作を観たことがない人は、「トップガン」もスクリーンで観る機会が訪れた。私もこの機会にスクリーンで観てみたいと思っている。

出演:トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー、グレン・パウエル、モニカ・バルバロ、ルイス・プルマン、ヴァル・キルマー、エド・ハリスほか。

世界最高峰のパイロット養成機関トップガン出身のピート“マーヴェリック”ミッチェル(トム・クルーズ)は、今も現役のパイロットとして活躍。マッハ9、更にはマッハ10の壁を破ることに挑戦しようとしていた。だがそのプロジェクトに横槍が入りそうになる。今後、飛行機は自動運転化が進み、パイロットは不要となるということで、人間が運転して音速の何倍も速く飛ぼうが意味はないというのだ。AI万能論が台頭しつつある現代的な問題が提示されているが、マーヴェリックは、「(パイロットが不要になるのは)今じゃない」と答え、見事マッハ10の壁と突破する。
そんなマーヴェリックに課せられたミッションがある。トップガンの教員となって敵対する某国のウラン濃縮プラントの破壊に協力して欲しいというのだ。マーヴェリックは座学だけでなく、自らジェット機の操縦桿を握り、実戦形式で若いパイロット達を鍛えていくのだった。

とにかくジェット機によるアクションが見所抜群で、これだけでもおつりが来そうな感じである。マーヴェリックを巡る人間ドラマは、実のところそれほど特別ではないのだが(既視感のあるシーンも多い)、それによって空中でのシーンが一層引き立つように計算されている。
それにしてもトム・クルーズは大変な俳優である。宗教の問題が取り沙汰される昨今、サイエントロジー教会の広告塔ということだけが気になるが(難読症・失読症の持ち主として知られるが、サイエントロジーによって文字が読めるようになったと語っている)、マーヴェリックその人になりきって全てのシーンで観客を魅了してみせている。

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